( ^ω^)机は繋がり僕らは出逢うようです。

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/16(月) 18:28:32.96 ID:L4C8a7ML0
《そのじゅうよん 追憶はいたみにもにて。》

( ^ω^)「鳥みたいだ、って思ったんですお」

陸上部員が走り回る姿が眩しいグラウンドを眺めながら、ぽつりと呟いた。
入部からはや2週間、今だ自分の種目が決まらない僕であった。


( ^ω^)「なのに」


( ^ω^)ノ『第一志望は高飛びですお!』
/ ,' 3『合わない。却下』
とまあ顧問の荒巻先生にバッサリ一刀両断されたのは今でも胸締め付ける思い出だ。
って言うか却下の理由がインスピレーションてどうなの。

はふぅと憂いげなため息。
砂場のあたりで一人いつまでも続く準備体操しつつ愚痴る部活動時間。


( ^ω^)「いつかみてろお、あの狸爺」

後屈の姿勢で吐き捨てる恨み言。
日の傾きかけた春の空は、それでもまだ青色が主導権を握っている。



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/16(月) 18:29:29.31 ID:L4C8a7ML0
「噂をすれば影が差す、っとのぅ」
(; ^ω^)「っうぉお!? い、いやぁん!」
大袈裟すぎる程体全体が震えた。声のした方向を見る。
いやでも落ち着いて考えて見れば口調は狸爺のそれでも、声は全然違うくて。


川 ;゚ -゚)「いやん、って。……それにしてもちょっと可愛い声だったな」
少し驚いた風にこちらを見やる体操着の女子。
むしろ貴女に冗談を解する心があった事に僕は驚きです。

(; ´ω`)「部長ぉ……」
川 ゚ -゚)「情けない声を出すな。男の子だろう」
( ^ω^)「だって、涙が出ちゃう♪」
川 ゚ -゚)「そう易々と女子の特権を盗らないでくれ」

( ^ω^)「可愛かったですかお?」
川 ゚ -゚)「物には限度と言う物がある」
安いコントのようなやり取りだ。それでも僕の心は浮き足立っていて、

川 ゚ ー゚)「種目、決まったか?」
あの日、僕に(正確には僕らに)手を差し伸べてくれた三年生の須田空先輩は、
陸上部の部長でもあり、僕の恩人さんでもある。そして、



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/16(月) 18:31:16.77 ID:L4C8a7ML0
( ^ω^)「いや、それがまだなんですお」
川 ゚ -゚)「期限は今日までだろう? 藻川はたしか――」
( ^ω^)「先生の命令で強制長距離ですお。物凄い嫌がって物凄く拒否してましたお」
川 ゚ -゚)「ウチではコーチは絶対的な存在だからな」

そうなのである。まるで中世ヨーロッパの教皇並の権力を持つあの狸爺。
その割に素晴らしい暴君っぷりを発揮している陸上部の神様。
とりあえずモチツケと言いたい位の仮に言ったらヘッドロックの狸爺もとい荒巻先生。


川 ゚ ー゚)「とりあえず後半から口に出てるぞ、内藤」
そう言って笑う彼女に数秒見入ったのはここだけの秘密だ。
さらにあれが若い頃にはそれなりに名を馳せた短距離の名手だったと言うんだから末恐ろしい。


川 ゚ -゚)「あの人はあの人なりに考えてくれてるんだよ」
( ^ω^)「どう僕たちをいたぶれば楽しいか、をですかお?」
川 ゚ -゚)「一理ある」
勘弁してくれ。
はふぅ、と出てきたため息を余すことなく吐いてから、僕はそれに。と言い付ける。



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/16(月) 18:33:57.79 ID:L4C8a7ML0
( ^ω^)「僕は高飛びをしたかったんですお」
言って、隣りにいたクー先輩を見た。
あの日、僕に手を差し伸べてくれた三年生の須田空先輩。
陸上部の部長でもあり、僕の恩人さんである。

そして、 鳥のように飛ぶ人。一瞬で僕の心を掴んでいった人。

川 ゚ -゚)「?」
僕の言葉を待ちつつ、視線の意味に疑問符を浮かべるクー先輩。

(^ω^ )「なんでもないですお」
そう言いつつ回想するあの日のこと。

あれは確か、偶然つけたケーブルテレビのローカル番組だったはずだ。
市内中学対抗、春の陸上大会生中継。
ただ自分の在校する中学の名前が出たからと言う理由で止めたチャンネル。

市立のスポーツセンター、だだっ広いグラウンドの画面。
あちこちに散らばる短パンとランニングのユニフォーム。

( ^ω^)『うっはwwwだっせぇwwwww』
('A`)『おなごのなまあしwktkww』
割と間違った楽しみ方で、ドクオ消費していた休日の午後。



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/16(月) 18:35:50.38 ID:L4C8a7ML0
切り替わった画面。
ブラウン管に写された雲ひとつない、だけど少し淡い色をした春の快晴。

画面を裂くように一閃伸びる、高飛びのハードル。

( ^ω^)「…………」

しばらくの静止画。
そして次の間に画面へ現れたのはしなやかに跳ぶ、彼女だった。
バネのような体、そのフォーム。その日僕は初めて人が『飛ぶ』姿を一つの芸術品として認識した。

多分その刹那、僕は鳥になりたいと強く思ったんだ。


それからの事は周知の通り、僕は口八丁手八丁でドクオを巻き込み、
週明けの月曜日に即効入部届を書いて即効ボロ切れにされた。
うわ、何今凄い延髄痛んだんですけど! 嫌なファントムペインだ。

( ^ω^)「僕は鳥になりたかったのに」

もう叶わない願い事が耳の奥で反響する。



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/16(月) 18:38:00.77 ID:L4C8a7ML0
( ^ω^)「クー先輩みたいになりたかったんですお」
両手を広げて、空を仰ぐ。
少しだけ藍色の色が濃くなった空が目に入る。その空に鳥の姿はない。


川 ゚ -゚)「そうか? 私は君の方こそ――」
西は茜色に染め上げられている。僕は地面に視線を落とし、自分のシルエットを見る。


川 ゚ ー゚)「鳥のように自由だと思うよ」


くすくすと、何かの感情を押し殺して笑う、先輩の声がする。
シルエットは少し気恥ずかしげに、頬を掻いていた。



さて後日談ではあるがいい雰囲気になり始めたぐらいに、
僕の選択権なんぞ初めからなかったと体言する荒巻先生が
「内藤短距離!」と言い継げたのは今でも素敵なデバガメだったと思う空気嫁狸爺。

それへのささやかな反抗としてか、せめてもの努力としてかは自分自身でもよく解らないけれど、
両手を広げて走るフォームを僕は三年間突き通した。これはさらに閑話だけど。



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/16(月) 18:39:56.66 ID:L4C8a7ML0
部室で、

大会で、

偶然一緒になった帰り道で、

休日すれ違った道路で、

誰のものでもなかった記憶が全部僕へ帰ってくる。
頭蓋骨に真横から釘でも打ち込まれた感じの頭痛がする。

ショボンが大丈夫ですかと声をかけてくる。それすらも今はどこか遠い所にあって、
手を挙げて何かを伝えるアクションすら実行出来ない。
頭に張り付いた両手を引き剥がせず、僕はさらに鋭く痛む頭を抱えて地面に伏す。

ああ、そうだ。全部思い出した。

須田空先輩。
部活の部長で、ショボンのお姉さんで、僕が憧れた人で、


それで――――僕の初恋の人



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/16(月) 18:42:23.87 ID:L4C8a7ML0
忘却していた記憶の大事さが頭痛の目安にでもなっているのか、偏頭痛はまだ治まらない。
いや、この痛みが贖罪と言うなら、罪滅ぼしだと言うなら収まらなくともいい。


だって、そうだろう?

ここに来て一番の頭痛が僕を襲う。

(  ω )「ぐぅぉぉおお…………!」
(;´・ω・`)「内藤くん!?」
ショボンがポリフェノールを取り落とす。
それでも流石だ。現役猫はすたん、と着地の衝撃を上手く殺す。
にゃおん、と抗議の声を一つだしてから、僕の隣りに座り込んだ。

『クーは私が殺したから』
ツン先輩の声がする。――――違う、そうじゃない。
簡単に否定しないで、と聞こえてきそうな程の即断。


『お前だって、あの事故現場いたくせに』
答えはとっくの昔に示されていたのに、僕は諦めつづけていた。



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/16(月) 18:43:57.71 ID:L4C8a7ML0
(  ω )「僕は――――」


『クーは私が殺したから』
そう言う意味じゃ、僕だってそうじゃないか。

脂汗が額を伝った。床の間に飾られた赤い花が眼に入る。
その色はまるであの日の紅のように鮮烈だった。

(  ω )「ぐぅ……っ!」

そして鮮明にフラッシュバックするあの日の事。
三年前の明日、平成16年 6月20日。あの忌まわしい交通事故の事。


僕の足がひしゃげた日。

蝋の翼が溶かされた日。


僕が、彼女を見殺しにした、あの日の事。






14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/16(月) 18:45:34.37 ID:L4C8a7ML0
('A`)「大体お前は寝起きが悪すぎるんだよ」
( ^ω^)「おっおー、申し訳ねー申し訳ねーお」
('A`)「…………」
右目だけを細めて、ドクオは僕を睨む。
なんでもない、中学校への登校風景だった。

( ^ω^)「へっへっへ、見つめられると照れるんだお」
にやついてたら殴られた。

強いて違う所を述べるとしたら、この時間帯だろう。今はまだ朝日の登らない、夜明け前。
独特の倦怠感と、全部の汚れが洗い流された感じのさっぱりとした空気が僕は好きなので
頭を霧がからせるこの眠気の他にはこれといった愚痴はない。


中学陸上の強化指定選手だかなんだかに選ばれて以来、
いや正確には僕とドクオが県タイムだかなんだかを出して以来なんだけど、
僕らの生活サイクルはこんな感じに、明け方から始まるのが多くなった。

鼻息荒く寄って来る担任の先生を特に感慨なく眺めたのは、
つい先日のことのようにも思うし遠い昔のことのようにも思う。
荒巻先生と言えば、特に何も言わずにただケラケラ笑っていただけだ。
やっぱり色んな意味で凄かった陸上部の独裁者もとい荒巻コーチ。


('A`)「ブーン、靴下解けてる」

ボロボロ、と言うよりもべろんべろんになっている僕の運動靴を差してドクオが言う。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/16(月) 18:48:59.28 ID:L4C8a7ML0
( ^ω^)「君は言った『あるがまま』に」
('A`)「名曲を汚すな」

( ^ω^)「あるがままに♪ あるがままに♪」
('A`)「英語で言え。無理矢理日本語に直すな語呂悪い」

じゃり、と靴が砂を噛む。
ドクオはため息一つ挟んで前方を向く。不思議な踊りを踊りながらその様子を見る僕。
マジックポイントは減ってなさそうだが、ドクオの中での僕の像は確実に目減りしている。

('A`)「…………」
( ^ω^)「何か反応しろお」
('A`)「…………」
ちょっと寂しくなったので不思議な踊りは終了して普通に歩く。
前方に見える横断歩道は赤信号。

( ^ω^)「ドクオ見てろお! マジカルミラクル☆」
ワントゥースリーで信号を差した。まだシグナルは赤信号。

('A`)「…………」
( ^ω^)「今日はキてませんお」
('A`)「黙れ似非マリック」
どうしようもないほどいつも通りなやりとりである。
自分でも飽きずによくやっていると時々思うがこれが僕らの関係なんだと思えばそれも心地良いもんだ。

シグナルは一歩遅れて青になる。
少し間の抜けた電子ハトの鳴き声が朝の街に響く。



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/16(月) 18:50:51.21 ID:L4C8a7ML0
('A`)「あ――あれクー先輩たちじゃね?」
横断歩道の向う側、それをドクオが指差して言った。
こちら側に歩いてくる二人の近所の高校、その制服姿の女の人。
長い黒髪が揺れる。金髪のツインテールが目に眩しい。

あれは確かにクー先輩とツン先輩だ。

('A`)「先輩ー!」
( ^ω^)「おっおー!」
すちゃ、と座り込んで靴紐を直す僕。

('A`)「……お前」
( ^ω^)「身だしなみはきっちんとね!」
ドクオが呆れを前面に出したため息をつく。へへ。笑いが漏れた。


――ああ、そうだその、次だ。それは世界が閉じる音だった。
今僕の耳の奥で反響する、あの音は、終わりは簡潔にクるんだと、僕に囁いた音だ。


――――――――――ドン、


ドクオが息を呑む。僕は顔を弾き上げる。
視界の中に入ってきたのは、



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/16(月) 18:52:23.21 ID:L4C8a7ML0











綺麗だ、と思った。













19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/16(月) 18:53:54.18 ID:L4C8a7ML0
僕はあのブラウン管越しに見た、今だ鮮明に思い描けるあの時の光景のように。
あの日の、あの悪夢を。クー先輩が空中に飛ぶ姿を芸術品見てしまったんだ。
それはただの事故でしかなかったのに、それは惨劇でしかなかったのに。


東から、朝日が輝く。
アスファルトに鮮やかな赤が広がる。
トラックが、走り去っていく。


('A`)「先輩っ……!!」
ドクオが向う側へ走って行く。
ツン先輩は呆然と立ち尽くしていて、延ばされた、石膏で固めたように動かない右手が妙に印象的だった。
足は凍りついたまま、姿勢は座り込んだままで僕は動けなくて。


『動け動け動け動け動け!!』
念じてもぴくりともしない足。足に向かう筈だった全部の回線は既に遮断されている。
辛うじて稼動する喉と理性がたった一言、僕を罵倒する。


( ^ω^)「何の為に、あるんだ――この足は……!」


僕はその日その時、確かに自分に嫌悪して、全部の記憶を閉じて沈めた。
人間の血の色をした朝日が、確かに西にあった、あの日に。



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/16(月) 18:55:25.64 ID:L4C8a7ML0



ずち、ずち、ずち、と、釘は頭の中に深く打ち込まれていく。
頭痛は鈍くなって行くけれど、その痛みの波が収まる事はない。

懇々と底からせり上がって来る感情は、ドクオの家の廊下で座りこんだ原因のものと全く一緒だ。

それはイコール自己嫌悪。



|;;;;;;;|:::: (へ) ,(へ) |シ「にゃおぉ」
ポリフェノールが鳴く。
僕の足に体全体をこすり付ける感じで寄ってくる。

それに手を伸ばして、背中を撫でる。
艶のある毛並みと、柔らかで暖かい毛触り。つい笑みがこぼれた。


よしオッケー、リラックスしたら随分マシになってきたお。


( ^ω^)「ありがとうだお、ポリフェノールちゃん」
|;;;;;;;|:::: (へ) ,(へ) |シ「にゃあ」



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/16(月) 18:59:06.54 ID:L4C8a7ML0
(´・ω・`)「大丈夫、ですか?」
( ^ω^)「おっ……心配かけたお。もう大丈ぶ、」
最後の「い」、言おうとすれば襲ってくる渾身の一発。釘は脳みそにめり込んだ。

(; ´ω`)「つぉ……」
最後の最後でツメの甘さが出たな。そう言う意味でも眉をしかめさせる。
僕の隣りに座り、背中をさすってくれていたショボンの手が止まる。


(;´・ω・`)「本当に大丈夫ですか、内藤くん」
( ^ω^)「だ、大丈ぶい」
右手でVサイン。それから空笑いもトッピングさせておく。
元々下がり気味な眉毛をさらに急勾配にさせ、ショボンがこちらを見る。
もし女だったら惚れてるな。……どっちがどっちなのかはあえて言わないでおくけど。


そうして頭の奥で反復される光景。

東からの朝日。
アスファルトに広がる鮮やかな赤。
走り去っていくトラック。

――――猫の鳴き声?



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/16(月) 19:00:33.91 ID:L4C8a7ML0

キィン、と澄んだ痛みが脳みそをダイレクトアタック。



いや、まて。ありえない。


ショボンへ訊こうと口を開くけれど、あ、とかお、とかそんな言葉しか出てこなかった。
違和感は予想になりつつあって、でもそれに決定的な何かを持たせたくない僕と知りたい僕がせめぎ合っているんだ。



( ^ω^)「ひとつ、聞いていいかお?」
それでも誘惑に負けて僕は口を開く。
ショボンの言葉一つで、多分この予想はカクシンになる。


(´・ω・`)「はい?」



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/16(月) 19:02:26.83 ID:L4C8a7ML0


( ^ω^)「この猫は、――ポリフェノールはいつごろから飼い始めたんだお?」




立ち上がり、僕は足に擦り寄ってくる白黒ぶち柄を見る。
僕のして来た事が何の意味もなかったんじゃないかっていう憶測。
僕が積み上げてきたことは、僕が諦めたことは何の意味もなかったっていう、勘定。


本当に、そうかお――?


頭の奥の僕が呟く。



僕は、引き寄せてしまったんじゃないかお――?



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/16(月) 19:03:48.86 ID:L4C8a7ML0
(´・ω・`)「そ、それは……」
( ^ω^)「三年前、だお?」
(´・ω・`)「…………」
ショボンが押し黙る。



よりにもよって、最悪な未来を。



床の間の電気がゆらゆらと揺れているのか、それとも僕の涙腺が緩んでいるのか。
どちらにしろ今はどうでもいい。
今重要なのは反芻した事故の映像が、何故二種類あるのかと言う点だ。


いつだって僕のきっかけはささいな違いだったじゃないか。
一つ落書きや一つ言葉、そして一匹の猫。いつだって、簡単な間違え探しだっただろう。


( ^ω^)「それも、6月20日」
(´・ω・`)「!」
ショボンの右眉がぴくりと動き、その次の瞬間に顔は悲壮の色に染まる。
その何かを悲しみ慈しむ雰囲気は、ああなんとなくだけどクー先輩に似ているなと思った。



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/16(月) 19:06:31.69 ID:L4C8a7ML0
何かをしているかぎり、積み上げるかぎり、諦めないかぎり、結果は付きまとってくる。
行動には結果。それが当たり前だ。



|;;;;;;;|:::: (へ) ,(へ) |シ「にゃおぉ」


僕が机にあれを書いたから、今この場所にこの猫はいる。
それがはじき出された行動と結果。未来は変わらなかったと言う結論。


『未来は変えられるが歴史は変えられない』
そんな言葉。どこぞの偉い人が残したのはまるで正確な世界の定義だった。



( ´ω`)「っぅぁあ……」
瞬きをすると同時に、防波堤は決壊する。
ボロボロと出てきた涙の粒が一滴、ポリフェノールに落ちていく。



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/16(月) 19:08:07.70 ID:L4C8a7ML0





畜生。




飲み込んだ言葉はただその一言だった。



《そのじゅうよん 追憶はいたみにもにて。》終
             そのじゅうごにつづく!



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