( ^ω^)机は繋がり僕らは出逢うようです。

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 18:11:56.32 ID:ZZh9BIx50
《そのじゅうはち 机はつながりぼくらは。》

(;; *ω*)「っは、ッぅあ……! はっはっはッ……くぅっ! っはぁッ、ぅぉおお!!!!」

体力ってこんな簡単に落ちるもんなのかお。
見慣れた通学路を逆走しながら僕は自分自身に毒づいた。


クソッタレ。
歯軋りする間際でも、足は止めない。
水を打ったようにひっそりと静まり返る道路は、やっぱりどこか違っていて、
シャッターの降ろされた店の名前が違ってたり、建設途中だった場所が空地だったりする。


そんなささやかな違いは、決定的な時間の差を教えてくれる。


(;; ^ω^)「っうぉ!?」
意識を景色に裂いて居たからか、つまずきそうになる。ギリギリの所で姿勢を直す。



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 18:13:14.99 ID:ZZh9BIx50
脚は高く振り上げて、

腕は振り子のように、


そのままの勢いを殺さずに――


体に叩き込んだことはほぼ忘れてやがるけれど、
3年の間に積み重ねてきたノウハウはまだ健在のようだった。

確かに衰えたスピードには舌打ちが漏れそうになるけれど、
さっきの事で学んだ。今はそんな事に容量裂いてる場合ではない。


( ゚ω゚)「うぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!!」

叫び声が閑静な住宅街に木霊する。



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 18:13:48.52 ID:ZZh9BIx50
東から漏れる淡い光の粒はもう町を暖め始めていて、
やがて来る朝への導線をゆっくりと引き始める。



僕は走れているのだろうか。



僕は走れるのだろうか。




――大丈夫。この足はまだひしゃげてなんかいない。




    【平成16年 6月20日 午前5時 57分 タイムリミットまであと3分】



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 18:16:03.66 ID:ZZh9BIx50
ξ♯゚听)ξ「阿呆じゃないの馬鹿じゃないの冗談じゃないわ!」

川 ゚ -゚)「ぶちぶち言いながらそれでも登校するのは偉いと思うよ」

ξ゚听)ξ「はいよ、お褒め頂いて光栄至極でございますぅ」

瞼を落としにかかっている友人に、まあまあと私は笑いかける。
致命的な準備不足でクラス全員に呼び出しがかかった文化祭当日の朝、
文句をたれながらそれでも健気に登校する私達。


ξ♯゚听)ξ「大体文化祭の準備なんて前日に終わらせときなさいよ!」


川 ゚ -゚)「まだ準備の出来てない大道具係って言ったら、誰だったかな?」

ξ♯゚听)ξ「っさい!」

ここ一番の図星を食らったツンが噛付いた。
半ばそれを苦笑いでみながら、ため息交じりに返答する。



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 18:17:03.98 ID:ZZh9BIx50
川 ゚ -゚)「はいはい」

ξ゚听)ξ「……大体クーはいいわよ。世捨て人みたいに早起きしてるんだし?」

川 ゚ -゚)「いや、私だって十分眠いぞ?」

ξ゚听)ξ「鏡持ってたら突きつけてやるのに!」

実に危なっかしい足取りで隣を歩くツンからあくびが出る。
その様子を横目で見ながら、両手を突き出して私は伸びをする。

起き慣れている、と言う程毎日早起きをしている訳じゃない。
ただ自己管理が出来ているだけの話だよ。


ξ゚听)ξ「うわ、何それ凄いむかつく」
さらに出た大あくび。



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 18:17:33.25 ID:ZZh9BIx50

川 ゚ -゚)「これ女の子がはしたない」


ξ゚听)ξ「上品にしてたら金一封でも出るわけ?」


悪態ついた友人と、



川 ゚ ー゚)「……確かにな」


軽く笑いあった朝の一コマ。



   【平成16年 6月20日 午前5時 58分 タイムリミットまであと2分】



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 18:18:50.28 ID:ZZh9BIx50
('A`)「大体お前は寝起きが悪すぎるんだよ」

( ^ω^)「おっおー、申し訳ねー申し訳ねーお」

('A`)「…………」
右目だけを細めて、ドクオは僕を睨む。
なんでもない、中学校への登校風景だった。


( ^ω^)「へっへっへ、見つめられると照れるんだお」
にやついてたら殴られた。


('A`)「ブーン、靴紐解けてる」
ボロボロ、と言うよりもべろんべろんになっている僕の運動靴を差してドクオが言う。


( ^ω^)「君は言った『あるがまま』に」
('A`)「名曲を汚すな」

( ^ω^)「あるがままに♪ あるがままに♪」
('A`)「英語で言え。無理矢理日本語に直すな語呂悪い」
じゃり、と靴が砂を噛む。
ドクオはため息一つ挟んで前方を向く。不思議な踊りを踊りながらその様子を見る僕。
マジックポイントは減ってなさそうだが、ドクオの中での僕の像は確実に目減りしている。



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 18:19:27.84 ID:ZZh9BIx50
('A`)「…………」
( ^ω^)「何か反応しろお」
('A`)「…………」

ちょっと寂しくなったので不思議な踊りは終了して普通に歩く。
前方に見える横断歩道は赤信号。


( ^ω^)「ドクオ見てろお! マジカルミラクル☆」
ワントゥースリーで信号を差した。まだシグナルは赤信号。

('A`)「…………」
( ^ω^)「今日はキてませんお」
('A`)「黙れ似非マリック」
どうしようもないほどいつも通りなやりとりである。
自分でも飽きずによくやっていると時々思うがこれが僕らの関係なんだと思えばそれも心地良いもんだ。



('A`)「あ――あれクー先輩たちじゃね?」



   【平成16年 6月20日 午前5時 59分 タイムリミットまであと1分】



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 18:21:20.39 ID:ZZh9BIx50
見間違うはずなんかない。


この光景、この風景、この場面。


向う側にいるあの黒髪、そして隣にいる金髪ツインテール。
あれは確かにクー先輩とツン先輩だ。


そして二人の脇を通り抜けようとしている猫。
あれは多分、ポリフェノールだろう。



と言う事は、横断歩道の手前側にいるカッターシャツの男子二人組みの背中は――



……そんな事今はどうでもいいお!


余計な思考を捨てて、僕は全部の性能を足に回す。



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 18:24:18.44 ID:ZZh9BIx50
何も考えずに走る。今必要なのはその一点だ。


( ^ω^)二⊃「っぅお…………」
そうするとフォームは自然に、あるがままに戻っていくらしかった。
ふっと、体全体軽くなるような錯覚。ああ、まるで背中から浮いているようなこの感覚は――


いつだって僕は、こうやって走ってきたじゃないか。
そうして叫ぶ。僕は飛ぶ。


⊂二二( ^ω^)二⊃「ブ―――――――――――――ン!!!!!!!!!」


       /⌒ヽ
⊂二二二( ^ω^)二⊃
      |    /
      ( ヽノ
      ノ>ノ
  三  レレ



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 18:25:32.68 ID:ZZh9BIx50
僕は僕を追い越して、横断歩道へ飛び出る。

クー先輩がポリフェノールを追って、走ってくる。
車の存在に気付いたツン先輩が後を追う。



そうしてトラックが――




セッティングはもう完璧に整っているらしかった。


⊂二二二( ^ω^)二⊃「間に合って、くれ、――お!」
ヒュウと喉が悲鳴を上げる。声の方はそれっきりだ。
そうして一抹の願いと共に、僕は走り、そして彼女に腕を伸ばして――



   【平成16年 6月20日 午前5時 59分 タイムリミットまであと30秒】



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 18:32:17.57 ID:ZZh9BIx50
ズシャ、っと体がアスファルトを滑る。




――――――――そうして静寂があった。





綺麗に決まったが故に不恰好なヘッドスライディング。
そうして地面を転がるのは、僕一人。

クー先輩と言えば、


ξ♯゚听)ξ「何考えてんのよクー!」
川 ゚ -゚)「…………む」


ツン先輩の腕の中である。


まあ僕と一緒に地面の熱い抱擁交わすよりは幾分もマシだろうと思うけど、
なんだろう。なんなんだろう、この言いようもない悲しみは。



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 18:35:42.31 ID:ZZh9BIx50
キッ、とツン先輩がトラックの走り去っていった方向を睨み、

それから、


ξ゚听)ξ「この人がアンタの背中押してくれなかったら今頃どうなってたかわかる!!!?」
( ω )「……………」
くい、とツン先輩がうつ伏せで倒れたままの僕を親指で指した。
結局、彼女に足りなかったのは助けたいと言う意志じゃなく物理的な距離だ。
よかった。と彼女を思う反面、なんだかなぁ、と自分の無様さを思う僕。


川 ゚ -゚)「……ミンチ?」


その穏かな声が耳に届く。ああ、くそ。泣くなよ男の子だろ。
いつか言われたような台詞を思い浮かべて一人鼻を啜る。

ξ♯;;)ξ「バッカじゃないの!!?」
ツン先輩も鼻声だ。
泣きながら怒れるって凄い芸当だなぁ。とちょっと思った。


川 ;゚ -゚)「すまん。けど、この猫が、」
僕をほっぽり出して話はすすむ。
いや、いいんだけどね。体の節々が痛くて立ち上がる気力と体力がないし、
顔を見られたらそこで多分アウトだろう(だって僕は向こう側にいるんだから。)



45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 18:37:17.73 ID:ZZh9BIx50
ξ;;)ξ「猫ぉ?」
にゃぁう。ややあってから響く猫の鳴き声。
いつかショボンの家で聴いたものと一緒の、ポリフェノールの声だ。
それに気付いたらしいツン先輩が、クー先輩の腕の中を覗きこむ。


ξ゚听)ξ「「………………」」川 ゚ -゚)


再び沈黙が訪れ、ツン先輩は


ξ゚听)ξ「いっちゃなんだけど――」
僕が言いたくても決して言えなかった一言を


ξ゚听)ξ「ブッサイク」
感心しきりに吐いたのだった。


……先輩、それ言っちゃおしまいですお。





47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 18:40:55.99 ID:ZZh9BIx50
ξ゚听)ξ「…………起き上がらないけど、大丈夫アンタ」
(;; ^ω^)「だ、大丈夫です!」
ツン先輩がこちらに気付き、それから手を貸そうか、と聞いて来る。
白魚のような手と、血色のいい肌が眼に入る。


(;; ^ω^)「一人で起き上がれますお!」
ふるふると首を振れば、あっそと簡単に引き下がるツン先輩。



川 ゚ -゚)「君、すまなかった。ありがとう」



そうして背中越しに聞こえてくる、クー先輩の声。

――そう言われると、振り返りたくなるじゃないですかお。
忘れていた事を懺悔して出逢えた事に感謝して、それから振り返って抱きしめたくなる。
かっこよく去ろうとしてた決心がグラグラと揺らいだ。


そうすると多分、色々パラドックスやら難しい事が起るだろう。
けどそんな小難しい事全部ほっぽり出して触れたくなるじゃないか。



51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 18:46:09.34 ID:ZZh9BIx50
その思考を諌めるように、一瞬東の空が鮮烈に煌いた。
それは正しい意味でのタイムリミット宣告でもあり、時間と世界の微調整を知らせる光でもあった。


つまりは朝が来るって事。


途端、それを浴びた僕の体は、足先から細かい光の粒子になっていく。
僕と言う針の狂いを見つけた世界か何かが、急ぎ足でゼンマイでも巻いてるんだろう。


僕は『今』と言う時間に戻り、僕の存在はあるべき場所に戻っていく。
炭酸の中へ徐々に体を浸しているような感覚は、少し愉快だ。


ξ;゚听)ξ「な……アンタ」
驚いたような、そんなツン先輩の声がする。

そりゃそうだ。朝日を浴びた人間が急に消えかかってるんだから。
肩口まで光の粒になった僕に残された時間は、ごくごく僅かで。



53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 18:48:38.27 ID:ZZh9BIx50
無言で立ち上がり(傍から見たら肩から上だけの人間が浮いている感じだろう。)振り返る。


これぐらいのわがままは、許されるだろう?


顔が光で埋め尽くされる最後の最後、


( ω )「始めまして、久しぶり。 ――また三年後に!」


彼女から伝えられた言葉。
僕が伝えたかった言葉。
もっと欲張ればよかったかな、なんて思わずに、今はただ現状に満足しよう。
段々と落ちていくスピード。弱い僕と言う光が、終息に向かう。

終わりだと言うのに、それでも気分は極めて安らかだったんだ。
街路樹に止まっていた鳥が空に向かって羽ばたいて、


僕の残り時間は、ゼロになった。



   【平成16年 6月20日 午前6時 00分 タイムリミット】



56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 18:53:17.04 ID:ZZh9BIx50



「おいこらブーンてめェ!!」


ガツン、とか、ドン、とかそんな生易しい音じゃなく、
耳に残るエグイ破壊音を出す純粋な暴力を受けた。


ドガ、ドン、べチャ。ズシャー、ガッシャン。


本日、いや本日と言う訳でもないんだろうけど、二度目。僕の体が地面を滑る。
続けて机と椅子が吹っ飛んでくるのを風圧で感じ、思わず両目を瞑った。


「何? 何用具とってこいって言われて寝てる訳?
 眠たいし眠りたいのは俺も同じなんですけど!」


天から振ってくるのはそんな声。
こっちだって色々あるんだお。あったんだお。
内心イラつきながら、目を開ける。瞬間、網膜に焼き付くのは陽光。



59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 18:59:11.64 ID:ZZh9BIx50
何センチか先に僕の椅子があった。
……ここまで飛ぶとは、かなりのスピードで打撃を受けたらしい。



(♯^ω^)「っなにすんだお、馬鹿高お…………か?」



立ち上がり文句つけようと振り返った先にいたのは、



('A`)「誰と勘違いしてんだか」


引きこもりが居た。
学校指定のポロシャツを着崩して、ポケットに手突っ込んで笑う友人。もとい、長距離走者。

(;;^ω^)「……ド、ドクオ?」
('A`)「うん、俺だけど」

( ^ω^)「おま、……お前、老けたかお?」
('A`)「は?」
訝しげにイントネーションは語尾上がり。



60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 19:01:31.63 ID:ZZh9BIx50
頭が沸いたとでも思われているらしく、

('A`)「もう一発、殴っとくか?」
ドクオは大きなお世話様に拳を固めてくる。


(;;^ω^)「いや、それは結構ですお」
丁重にお断わり申し上げて、それもそうか、とちょっと納得。


事故があって、見間違いにしろツン先輩のあの姿を見たからドクオはひきこもり始めた。
そうして朝日を遮断し部屋の時間、もとい自分の時間を止めた。

『ひきこもる』って言う行動の原因だった『事故』がなくなれば
当然ドクオは普通に生活してて、つまりはひきこもらなくて、
そうなると当然ドクオの時間は――


何かをしているかぎり、積み上げるかぎり、諦めないかぎり、結果は付きまとってくる。
行動には結果。それが当たり前だ。



62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 19:02:34.88 ID:ZZh9BIx50
(;'A`)「あんだよ、ニヤニヤして気持ち悪りー……」


机が繋がったから、今この場所にドクオはいる。


『未来は変えられるが歴史は変えられない』
そんな言葉。どこぞの偉い人が残したのはまるで正確な世界の定義だった。



('A`)「……まあいいや。ほら、さっさと会場行くぞ」

( ^ω^)ノ「おっおー! ……あ、ドクオ。その前に一つ聞きたいことが」


片手を上げて元気に返事する僕をやはり訝しげにみるドクオ。
その手の中には何本ものマイナスドライバー。

もしかして出し物ってお化け屋敷じゃなくてマイナスドライバー屋敷?


関係ない思考がまかり通り、ドクオの声で引き戻された。



64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 19:04:31.91 ID:ZZh9BIx50
('A`)「あんだよ」
( ^ω^)「ズバリ、長距離に必要なのはなんだお?」
体の半分を扉の向う側に置いて、ドクオは顔だけをこっちにやる。

それからニヤリと笑い、


('∀`)「諦めだな!」



そう言うドクオの顔には、言葉のような色はない。
僕が返せたのは、小さな笑いとそうかお、とただの一言。
トントン、と手に持ったマイナスドライバーで肩を叩き、ドクオが言う。


('A`)「珍しい話繋がりで一つ教えてやるよ」
( ^ω^)「お?」

('A`)「俺さ、三年前お前のドッペルゲンガーみたことあるんだぜ」
(;;^ω^)「…………んな」

('A`)「ま、だーれにも信じてもらえなかったけどな」
ドクオがまた陽気に笑う。そうだ。コイツは元々こんな風に笑う奴だ。
と言うか、そのドッペルゲンガーって言うのは多分――



68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 19:07:10.80 ID:ZZh9BIx50
( ^ω^)「僕は信じるお?」


僕だ。


('A`)「はいはい。……結局、自分自身が信じれるかどうかの話だよな」

その言葉。
人の思いいざ知らず、サラリと言うドクオを僕は見る。
笑いと一緒に息をつく。まったく、それ僕じゃなくてさ。

( ^ω^)「……ドクオ自身に聞かせてやりたいお」
('A`)「なんか言った?」


別に、と僕。あっそう、とドクオ。


('A`)「じゃ、先行ってるからさっさとこいよ」


残った体の半分を廊下に入れて、ドクオはさっさと行ってしまう。
淡白すぎると言ったらその通りなその様子。まったく、と思う。



70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 19:09:46.88 ID:ZZh9BIx50
( ^ω^)「…………」
教室の窓に背中を預けながら、僕は小さな確信を抱く。


やがて僕らは繋がる、と。
茫漠とした距離を跨いで、横たわる永劫の溝を越えて、


そうして僕と君は出逢う。


きっと、やたぶん、じゃなく。


( ^ω^)「絶対に、会えるお」

人気のない教室。最後列、出入り口に一番近い廊下側。
軽くそれらを見渡して、僕は座り込み、足元に倒れた自分の机をなぞる。


『絶対なんてこの世にはないよ。絶対に。』
整った字体を脳裏に思い浮かべて、小さく笑った。


朝日を背中で受けて、ああこれが全部のスタートラインだったんだと柄にもなく感慨深く頷いてみる。



72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/22(日) 19:11:23.59 ID:ZZh9BIx50
窓から燦燦と注がれる日の光を一身に受ける自分の机を見、
出来るだけゆったりとした動作で両腕を天に掲げて、伸びをする。


凍った氷が溶けて行くように、時計の針が一日分進んでいく。
そうして今日が始まって行く。


よし、と僕は一つ意気込んでから



( ^ω^)「ドクオー! まってくれおー!!」



両手を広げて、走り出した。


《そのじゅうはち 机はつながりぼくらは。》 終
                ご愛読、ありがとうございました!



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