( ^ω^)ブーンがピアノを弾かされるようです。

4: プロローグ ◆HGGslycgr6 :2006/03/15(水) 23:54:34.23 ID:0I+wfzx/0

ξ゚听)ξ「ブーン! あんたまた待ち合わせの時間過ぎてるじゃない!」
(;^ω^)「ご、ごめんお。でもツン、勝手に待ち合わせ場所変えた挙句『別府町で待ってる』なんて言われてもどこに居るのか…」
ξ#゚听)ξ「うるさいわね! 恋人なんだからそれくらい把握しなさいよ!」
(;^ω^)「無茶言うなお…」

今日はツンと付き合って1年と3ヶ月の記念日。
ブーンにしてみれば3ヶ月の何がめでたいのかはさっぱりわからない。
しかし、それを1年と1ヶ月の記念日に言ったらツンが怒って帰ってしまったので、ブーンはそれ以来怖くて口に出せずにいた。

( ^ω^)「それじゃ行くお」
ξ゚听)ξ「遅れたんだから今日はブーンのおごりね」
(;^ω^)「どーせいつも僕のおごりですお」

そんなやり取りをして、二人は手を繋ぎ歩き出した。



6: プロローグ ◆HGGslycgr6 :2006/03/15(水) 23:56:26.93 ID:0I+wfzx/0
それから二人はしばらくショッピングを楽しんだ。
途中露店で見つけた指輪をツンがブーンにねだったりと、ブーンは歩く度に出費がかさんで顔がどんどん青白くなっていった。
そしてちょうど日が暮れた頃、2人はブーンがあらかじめ決めていたレストランへと向かった。

中に入るとそこはガラス越しに綺麗な夜景が見える、いかにも高級そうなレストラン。
ピアニストがグランドピアノを演奏していて、それがさらに雰囲気を出している。
ここには前々からツンが行きたいと言っていて、ブーンはこの日のために予約を入れて、バイトも一生懸命頑張ったのだ。

ξ゚听)ξ「本当にここ、予約してくれたんだ…」
( ^ω^)「当たり前だお。そのために今日まで頑張ってきたんだお」
ξ*゚听)ξ「そっか…」

本当は感謝の言葉を言いたいのだが、ツンの口からはそれがどうしても出ない。
感謝の気持ちを覚られまいと、気持ちとは反対の言葉が口をついて出てくる。

ξ*゚听)ξ「でも、私がここに来たいって言ったのはもう半年も前なんですけどね」
(;^ω^)「ごめんお、予約だけはどうにもならなかったんだお…」

それでもブーンは、不満を言いながらも隠しきれてないツンの笑顔に、また愛おしさを感じるのであった。



8: プロローグ ◆HGGslycgr6 :2006/03/15(水) 23:58:18.51 ID:0I+wfzx/0
運ばれてくる料理を二人はゆっくりと食べていく。
と、言うよりはブーンの場合はさっきからかちゃかちゃと音を鳴らすばかりで全然料理が食べられずにいた。

(;^ω^)(む、むずかしいお…)
ξ゚听)ξ「あんたはそんなことも出来ないの?」

ため息混じりにそう言い放つツンを見て、ブーンが気付く。

( ^ω^)「ツン、口の端にソースが付いてるお」

ブーンはそう言って両手の物を置き、指でツンの口の端に付いたソースを拭うと自分の口に運んだ。

( ^ω^)「あ、うまいお」

ξ*゚听)ξ「ちょ、ちょっと!」

突然のブーンの行動にうろたえるツン。

ξ*゚听)ξ「ナ、ナプキンがあるんだからちゃんとそれで拭くわよ!」

1年と3ヶ月経っていてもツンとブーンの関係は未だ付き合いたての頃とほとんど変わりは無かった。
肝心なところで押しの弱いブーンと、素直になれないツンでは当然のことかもしれない。
あるいは二人にとってはこの関係が最も心地よい関係なのだろうか。



10: プロローグ ◆HGGslycgr6 :2006/03/15(水) 23:59:30.02 ID:0I+wfzx/0
ξ゚听)ξ「いい曲ね…」

ツンがふと、そんなことを口にした。

( ^ω^)「ピアノかお?」

ツンは無言でうなずいてピアノの音に耳を傾ける。
上品な音色が流れる中ブーンが静かに口を開いた。

( ^ω^)「…夜想曲第2番変ホ長調」
ξ゚听)ξ「何?」

( ^ω^)「この曲は、ショパンの夜想曲って言うんだお」

突然のブーンの発言に戸惑うツン。

ξ゚听)ξ「あんたなんでそんなこと知ってるの?」

( ^ω^)「たまたまだお」

そう言ってブーンはグラスに口を付け、喉を潤す。
隠し事を嫌うツンも、めずらしくその時はそれ以上ブーンに何も聞かなかった。
気になってはいたのだが、何故だかブーンが聞きにくい雰囲気を作っている気がしたのだ。



11: プロローグ ◆HGGslycgr6 :2006/03/16(木) 00:01:35.15 ID:qY6pkeUu0
(;^ω^)「なんか食った気がしなかったお」

レストランから出るや否やブーンはそう口にした。

ξ゚听)ξ「そう? 私はすごく満足したけど」

実のところツンも同じ気持ちではあったのだが、さすがにブーンの手前それを口に出すことはしなかった。
代わりにツンはさっきから気になっていたことをブーンに聞いた。

ξ゚听)ξ「ねぇブーン、さっきのことなんだけど―――」

ツンがそこまで言った時、急に二人の近くで車の激しいブレーキ音が響いた。
何事かと思い、音がした方を見てみると、止まった車の中から男たちが4,5人慌しく降りてこちらに向かって来ていた。
急な出来事にただ呆然とするブーンとツン。
あっという間に距離を詰めた男達の中の1人が突然ブーンの腹部に蹴りを入れた。

ξ゚听)ξ「ブーン!」

男達はうろたえるツンを捕まえ、両手後ろで手錠をかけて車へ放り込んだ。

(;^ω^)「………」

未だ声を出すことすら出来ないブーンも、抵抗する暇無く男達によって後ろ手に縛り上げられていく。
そして目隠しをされ、ツンの1つ後ろの座席に放り込まれた。



12: プロローグ ◆HGGslycgr6 :2006/03/16(木) 00:03:11.10 ID:qY6pkeUu0
ξ゚听)ξ「ブーン!?」

男「おい、そいつにも目隠しと、あと口も塞いどけ」

あっという間に目も口も塞がれ、ツンはどんどんと恐怖に飲み込まれていく。

ξ゚听)ξ「(一体何なの!? ブーン! 助けて…)」

急展開について行けずに目から涙が流れ出るツン。
ブーンも何とかしようとはするものの、両手は使えず、ズキズキと内臓を襲う痛みもあって中々行動に移せない。

( ^ω^)「…ツ…ツン…」

やっと振り絞った声もツンに届いているのかはわからない。
いや、返事が返ってこないと言うことは届いていないのか。
そう思うだけでブーンの気力はすっかり萎えてしまった。



戻る第一幕