( ^ω^)とひぐらしのなく頃に。のようです

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/16(土) 20:13:07.80 ID:DNIj+Ib20
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雨を待っていた
予測不能の夕立を

雨が降ってきた
理解不能の大雨が

雨と思っていた
やがてそれは大嵐になった

Frederica Bernkastel

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6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/16(土) 20:14:22.33 ID:DNIj+Ib20
( ^ω^)とひぐらしのなく頃に

―――――――――――――橋渡し編



9: sage :2007/06/16(土) 20:16:19.05 ID:DNIj+Ib20
平成19年6月5日

カチッ。カチッ。
(  ω )「・・・。」
カーテンで閉めきった部屋。静まりかえった部屋ではマウスの音だけが響く。
時刻は既に7時過ぎ。始まった筈の朝だが、彼はいまだ太陽の光を浴びようとはしない。

彼の名は内藤ホライゾン。通称はブーン。
彼が今、ヘッドホンをしながらしているのはサウンドノベルゲーム「ひぐらしのなく頃に」である。
何度も何度もやっている筈だが、彼は飽きるなどという事が無かった。
むしろ、他に興味が沸かなかった。



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/16(土) 20:17:58.82 ID:DNIj+Ib20
生まれつき何でも出来た。
学力テストでは常に1番、運動神経も抜群。
コミュニケーション能力もある。顔も・・・まぁ、並以下とは言えない。

だからこそ、彼は人生という名の難易度の低いゲームには飽き飽きしていた。
普通とはいえない生活を幻想世界の中で求めていた。
あたかも、自分がその世界の中にいるように感じているのである。

そして、彼が見つけた至極の世界。それが「雛見沢」だった。
美しい景色、澄んだ空気、最高の仲間。・・・そしてスリル。
彼は雛見沢の中にある問題すら求めていたのである。

だから、彼は「この世界」には退屈をしている。
彼の部屋には生活家具とPCしかおいていない。
・・・家族もいない。彼は一人暮らしである。

こういった理由から私は彼を選んだ。



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/16(土) 20:20:24.37 ID:DNIj+Ib20
――――――。
( ^ω^)「・・・お?そろそろ、学校の時間だお!」
本当はこのまま続きをやっていたいけど、そうもいかない。
僕は準備をして家から飛び出した。

ドアを開けると、もうすぐ夏と感じられる暑さに包まれた。
・・・ひぐらしの鳴き声は聞こえない。当然か、都会だし。

ああ、豊かな自然の中を思いっきり駆けてみたい!
くさい台詞を大真面目に話してみたい!
・・・命の危険を感じるような状況におかれてみたい!!

そんな気持ちは、コンクリートの中を駆け回る車の騒音にかき消されるかのごとく、徐々にうすれていくのだった・・・。



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/16(土) 20:22:54.68 ID:DNIj+Ib20
('A`)「おいすー。お前は相変わらず朝っぱらから元気だなぁ。」
( ^ω^)「ドクオが低血圧だから、そう感じるだけだおw」
とは言うが、僕は意図的にそうしているつもりである。
・・・こいつは僕のそんな努力なんて知るよしも無いだろうが。

ξ゚听)ξ「おはよー。ブーンとドクオ」
('A`)「おいすー。」
( ^ω^)「おはよう、ツン。今日は可愛い髪留めをしてるお。よく似合ってる。」
ξ///)ξ「そ、そう?・・・べっ、別に褒められても嬉しくないんだからねっ!」
そういって、ツンは自分の机に逃げていった。恐らく、笑顔が隠せないのだろう。

('A`)「・・・お前、プレイボーイだな。」
( ^ω^)「思った事を口にしただけだお?」
・・・なんてね。
あの女が僕に好意を持っているのは大体わかる。
あとは、ちょっとおだててやれば・・・。女なんて簡単なもんだ。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/16(土) 20:25:12.73 ID:DNIj+Ib20
これが僕の日常である。
自分を上手く作り、人に好かれるようにする。
それは僕の頭の中のマニュアル通りに、寸分の狂いも無い。

だからこそ、つまらない。
これが古手梨花の感じていた些細なイレギュラーを求める心なのだろうか。

・・・もちろん、僕自身がこういった考えから日常をつまらなくしているという事にも気付いてはいた。
しかし、一度演じた役は簡単には変えられない。変えようとも思わない。
僕が求める世界は「この世界」では永遠に手に入らないんだろうから。

( ^ω^)「・・・豊かな自然の中を思いっきり駆けてみたい。そして・・・、」
('A`)「・・・ん?どうしたよ?」
(;^ω^)「い、いや、なんでもないお?」

思わず口に出してしまったみたいだ。
まぁ、聞かれて困るような内容でもなかったから、いいかな。



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/16(土) 20:29:06.96 ID:DNIj+Ib20
( ´∀`)「だから〜〜〜このbarukisuが〜〜〜」
この範囲は教科書をみて自分で理解した内容だな。
モナー先生が分かりやすく説明してくれているみたいだが・・・僕のほうが上手く授業できる自身がある。

・・・僕の感じている退屈を見破ってくれる人はいないのか。
そうすれば、僕も腹をわって友情を築いていけそうな気がする。
いつかは、部活メンバーのような心の底から信頼できる仲間になれる、そんな気がする。

考えるだけ、無駄か。授業を聞くのも、無駄。
そんな時は不貞寝してしまうに限る。
目を閉じて・・・心を閉じて・・・。

そんな時だった。

「かなかなかな・・・。」

一度目は聞き間違いだと思った。
ゲームのやりすぎかなと思って、今日は止めておこうなんて考えてた。



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/16(土) 20:33:34.40 ID:DNIj+Ib20

「かなかなかな・・・。」

二度目に聞いたときは驚いたが間違いないと思った。
聞けるはずの無い声。でも確かに今聞こえる。
これは「ひぐらしのなく声」だ!

( ^ω^)「行かなくちゃ!」
立ち上がった衝撃で大きな音を出して倒れる机と椅子。
だが今は、そんな事を気にしている場合ではない!

ξ;゚听)ξ「ブーン!?どこ行くの!?」
('A`)  「おっ、おい!ブーン!!」
( ´∀`) 「モッ、モナッ!?ポンポンモナッ?ポンポン痛いモナかっ!?」

普段なら、僕のような生徒がこんな行動を起こす筈も無いため教室はざわめきたった。
でも、僕は気にせず教室から飛び出し走り抜ける。
この声の場所は・・・きっと校舎裏だ!

そこで、きっと僕の日常は変わる!そんな気がする!



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/16(土) 20:36:39.12 ID:DNIj+Ib20
辿り着いた校舎裏では光の塊のようなものが浮いていた。
先程までは、あそこから「ひぐらしのなく声」がしていたのだと思う。
しかし、今は何の音も聞こえない。

?「・・・あなたはこの世界をどのように感じていますか?」
不意に破られた静寂。
普通の人なら、この心に直接語りかけるような感覚に驚くだろう。
しかし、僕は自分でも不思議なほど落ち着いていた。

( ^ω^)「・・・この世界は平和で、普通の人なら何も思わないと思う。
・・・でも、僕にとってここは地獄とも感じられるとこだお」

?「つまり、あなたはこの世界からの脱出・・・いえ、違う世界への移動を求めている。そうではありませんか?」

僕は肯定の意を込めて首を縦に振る



23: ありがとう。俺頑張るよ。 :2007/06/16(土) 20:40:05.94 ID:DNIj+Ib20
?「ならば、私はその願いを叶える事ができます。『あなたが思う地獄』から、『私が思う地獄』への移動を。
・・・どちらにしろ地獄には変わりありませんが。」

心のこもらない冷たい声のように感じた。
・・・でも、僕に、迷いなんてものは、無かった!

( ^ω^)「連れて行くお!僕を・・・『あなたの思う地獄』へと!」

?「・・・わかりました。あなたならきっと、世界を変えてくれる・・・期待をしていますよ。」

そういうと、光は大きくなっていき・・・僕を包んで・・・。

?「極僅かな、ですけどね・・・。くすくすくす・・・。」

あのときの「ひぐらしのなき声」は
僕を呼ぶために「鳴」いていたのか。
それとも、愚かな人の子を哀れむように「泣」いていたのか。

光が消えた時、そこには元から誰も居なかったかのような静寂が戻っていた・・・。



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