( ^ω^)とひぐらしのなく頃に。のようです
- 2: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/22(金) 20:43:28.31 ID:Ha6ha7F70
- 楽しかった。
僕がこの世界を過ごした時間はたったの10日程。
それでも、この数日間は僕にとって、何よりの宝物となった。
・・・僕はこの幸せを守らなくてはならない。
自分の全てを投げ出してでも。
仲間を、
世界を、
守らなくてはならない。
その為なら何らかの犠牲を伴っても構わないさ。
さぁ、時間だ、行こう。
- 4: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/22(金) 20:45:33.50 ID:Ha6ha7F70
昭和58年6月15日
とうとうこの日がやって来た。
梨花ちゃんと改めて話をする事になっている。
今日を境に僕の雛見沢での生活は激変するだろう。
平和な日常から、常に命の危機に隣り合わせの日常へと。
それは普通の人ならば、考えただけで発狂してしまうような事。
だが、僕は違う。
僕ならば出来る。
運命を変えてみせる。
だって、僕は天才だから。
- 5: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/22(金) 20:49:26.79 ID:Ha6ha7F70
話をするのは、やはり古手神社。
誓いをたてるのなら、この場所しかないだろうという僕の思いからだ。
境内についたが、梨花ちゃんは来ていなかった。
また、僕が少し待つことになりそうだ。
賽銭箱の前の階段に腰をかけ、目を閉じた。
吹き抜ける風はあの時と同じ、僕を後押ししているように感じた。
少し早い時期に鳴くセミ達の合唱、それはまるで応援歌。
照りつける太陽は、僕の心を熱く燃やし、輝かせるかのよう。
僕は感じる。
世界も僕を祝福してくれていると。
・・・後は彼女の意志だけだ。
- 6: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/22(金) 20:51:23.34 ID:Ha6ha7F70
僕は、すでに明日以降の事を考え始めていた。
今日は梨花ちゃんと話をして、明日からはいよいよ行動を起こそうと思っていたからだ。
僕の計画は完璧・・・だと思う。
( ^ω^)「いや、成し遂げなければならないんだお。」
きっと、大丈夫。
「間違い」が起きなければ・・・きっと。
さすがに、羽入の時のようなイレギュラーは発生しないだろう。
もし、そんな事があったら・・・。
- 9: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/22(金) 20:53:52.74 ID:Ha6ha7F70
- ふと、何かの気配を感じて目を開ける。
・・・梨花ちゃんがすぐ目の前に立っていた。
(;^ω^)「うわっ!梨花ちゃん、来てたのかお。」
梨花「みー、僕は先程からずっといましたのです。ブーンは寝てるのかと思いましたですよ。」
全然気付かなかった・・・。
それ程までに、僕は思考に集中していたのだろう。
僕は立ち上がり、彼女に話しかける。
( ^ω^)「さてと・・・結論はついたのかお?」
聞くまでも無い。
真実しか話していない僕。
彼女を殺そうとしている鷹野。
それぐらいの見極めぐらいは簡単に出来るだろうと僕はタカを括っていた。
- 11: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/22(金) 20:56:16.05 ID:Ha6ha7F70
しかし、彼女の話す言葉。
それを聞いた時、僕の視界はぐにゃりと歪んだように感じた。
梨花「・・・僕は鷹野を信じようと思いますです。」
僕は彼女に返す言葉をあらかじめ考えていた。
それは、返答が僕を信じるというのが当たり前だと思っていたからだ。
だから、彼女の言葉に何も返せず、固まってしまうばかりだった。
梨花「僕は鷹野と話をしましたです。」
梨花「・・・彼女の言葉、瞳に、嘘は感じとれなかったのです。」
梨花「ブーンの事を裏切るような形になってしまって、申し訳ないとは思うのです。」
梨花「でも、僕は彼女を信じたい・・・。無垢な笑顔や、私を守ると言った言葉。全てを。」
- 13: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/22(金) 20:58:24.15 ID:Ha6ha7F70
- ・・・おい、今自分が何を言っているのか分かっているのか?
「彼女を信じる」、そう言えば聞こえはいい・・・。
だが、裏を返せばこうもとれる。
「お前の言うことは嘘っぱち」だと・・・。
僕は梨花ちゃんではなく、百年を生きる魔女「古手梨花」に問いかける。
( ω )「・・・それは、つまり僕のことを信じないと言う訳かお?」
梨花「・・・誤解しないでほしい、私はあなたを信じないという訳では無いという事を。」
( ω )「・・・じゃあ、一体なんなんだお?」
梨花「ほら、あなたの話にも事実とは違うことがあったじゃない?」
羽入の事か。
しかし、僕は嘘を言ったつもりは無い。あれだって真実である筈なのだ。
梨花「それと同じように、鷹野が犯人とは断定は出来ないでしょう?」
僕の我慢の緒がとうとう切れた。
- 15: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/22(金) 21:00:38.47 ID:Ha6ha7F70
- (#^ω^)「ふ、ふざけるんじゃないお!」
(#^ω^)「こ、この僕が、助けてやろうというのに、お前は拒否するのか?!」
(#^ω^)「僕が言っているのは紛れも無い真実!お前が求めて止まない答え!それを目の前にしてどうしてお前は・・・!!」
起きてはいけないイレギュラー。
僕は初めて自分の計画が失敗した事に憤りを覚え、彼女を威嚇するかのように、吼えた。
・・・しかし、彼女の目は怯えなどまるで見せない。
そこにあるのは怒り、蔑み、呆れ・・・。
彼女は僕を馬鹿にしている。
確かにそう感じた。
- 17 名前: 現在、TIPS書きながら投下中orz ◆9d9cVF02x2 投稿日: 2007/06/22(金) 21:04:18.65 ID:Ha6ha7F70
梨花「うるさいわね・・・。前といい、今回といい、いちいち怒鳴らないでくれる?」
梨花の口調が変わる。
どうやら、腹を立てているようだ。
だが、彼女の怒りは逆に僕の心を黒く黒く染めていくだけ・・・。
梨花「もういいわ。こんな事言いたくなかったけど、私もむかついてきたしね。」
梨花「私は死のうとも、もう一度、生まれ変われるの。つまり、ここで死んでも、私の旅は終わらない。」
梨花「だから、もし鷹野に殺されても、私は構わない。人を信じて死んでいくって素敵だと思わない?」
一体、なんなんだこいつは。
わかっているのか?お前が死ぬときは僕達も皆殺しなんだぞ?
- 19: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/22(金) 21:07:26.95 ID:Ha6ha7F70
梨花「残された僕達はどうなるんだって顔してるわね?怖い怖い、くすくすくす・・・。」
梨花「たしかに仲間の皆に死なれるのは悲しいこと。でも、皆なら分かってくれる。
いつかは私と幸せな世界に辿り着けるからと。そう信じていてくれる。」
梨花「だから、あなたも私を信じていてね?
あなたは滅多に現れない貴重な存在。情報をくれただけ感謝はしておくわ。」
くそ、くそ!くそ!!
畜生、畜生!畜生!!
梨花「もし、鷹野に殺されたら・・・次の貴方にお礼を言っておくわ。
まぁ、100年に1回じゃ次がくるのかも分からないけどね。あははははははははは!」
怒鳴ったことで腹を立てているのも分かる。
「罪滅ぼし編」や「皆殺し編」なども、体験していないのだから、運命に諦めを感じているというのも知っている。
・・・それを踏まえても、この考えはあまりにもひどい。
- 21: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/22(金) 21:10:09.85 ID:Ha6ha7F70
梨花「今日の話はこれで終わり。私は帰るわ。沙都子も待っているしね。」
梨花「それじゃあ、さよなら・・・。怒りんぼうの役者さん?くすくすくす・・・あははははははははは!」
そう、言い残し彼女は去っていった。
僕は動くことも、考えることも出来ずに、その場に立ち尽くしている事しかできなかった・・・。
かなかなかな・・・。
なき始めたひぐらし。
そのなき声は僕を哀れみを感じて鳴いているようだった。
かなかなかな・・・。
なき止まないひぐらし。
そのなき声は僕の代わりにに声を出して泣いてくれるかのようだった・・・。
- 25: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/22(金) 21:12:38.57 ID:Ha6ha7F70
- 怒りと悲しみ。
二つの感情を持ち合わせたまま、僕は家に帰り、自分の部屋に閉じこもった。
だが落ち込んでいるだけではいけないのも分かっている。
考えなくてはならない。これからの事を。
梨花ちゃんが僕の話を信じなかった。
それはつまり、他の仲間達にも信じてもらえないという事。
今までの話をしたとしても、当事者である彼女に違うと言われたらそこでお終い。
そんな話を誰が信じるものか。
それぐらいは予測がつく。
だからこそ困る。
これでは何も出来ないではないか。
- 27: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/22(金) 21:15:07.03 ID:Ha6ha7F70
何かないものか
誰の力も借りずに。
何かないものか
僕だけの力で。
この世界を、仲間を救い出す方法・・・。
そんなものは普通の人には考えられないだろう。
百年を生きる魔女ですら、無理なのだから。
でも、僕は考えついてしまった。
最悪であり、最高の計画。
それは・・・
「古手梨花」を殺すこと。
- 30: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/22(金) 21:18:29.05 ID:Ha6ha7F70
- 鷹野が引き起こす雛見沢ガス事件にみせかけた大虐殺・・・通称、『滅菌作戦』には鍵がある。
それは古手梨花の死。
そもそも、何故、滅菌作戦を行わなければならないのか。
『雛見沢症候群』それが全ての元凶である。
雛見沢症候群とは、ルールXを巻き起こす病気。
ある特定の条件により、病状が悪化したものは疑心暗鬼、幻覚、凶暴化などの症状がでる。
その条件の中の一つが『女王感染者』の死亡といわれている。
女王感染者・・・それが古手梨花なのだ。
つまり、
古手梨花の死 →雛見沢住人の凶暴化 →滅菌作戦
というのが、この雛見沢におけるもしもの時の緊急マニュアルなのである。
- 31: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/22(金) 21:20:41.62 ID:Ha6ha7F70
鷹野はこの緊急マニュアルを下した指揮官として、歴史に名を残そうとしている。
それが、神になることであり、祖父と自分の研究が認められた結果になると思っているからだ。・・・救われない。
しかし、梨花ちゃんを僕が殺し、その死体が見つからなかったらどうだろう。
ここまで大規模な計画である。
恐らく、死にました。・・・なんていう情報では政府も決断を下せない。
それが起きたのが『綿流し編』、『目明し編』である。
魅音の双子の妹、『詩音』が梨花ちゃんを殺したが、死体を井戸に捨て、失踪扱いになる。
時が過ぎ、女王感染者の死亡を確認。
・・・しかし、雛見沢住人の暴走は起きなかった。
つまり、この女王感染者の死亡が、雛見沢症候群を悪化させるというのはガセなのである。
- 32: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/22(金) 21:22:27.56 ID:Ha6ha7F70
- ということは、古手梨花が死ぬことが鍵になるのではない。
鷹野が古手梨花の死をはっきりと確認することが鍵になるのである。
つまり、僕が古手梨花を殺し、死体を見つからないように隠す。
そうすれば、他の人達は無事に生きていけるという事になる。
・・・いいのか?仲間を殺すのか?
違う!
あいつは仲間なんかじゃない!
あいつは僕を信じなかったじゃないか!
信じることも出来ずに、何が仲間!
笑わせてくれる!
- 35: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/22(金) 21:25:43.09 ID:Ha6ha7F70
それに、この計画なら僕はたった一人で世界を、仲間を救えるじゃないか!
たった一人で!
誰の力も借りず!!
アハハハハハハハハハハハハハハハハ!
やっぱり、僕は天才だ!
僕は手に入れられるんだ。
雛見沢での幸せな生活の続きを!
そうだ、幸せには犠牲がつきものなんだ。
だから・・・僕の為に死んでくれないかな、古手梨花。
- 39: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/22(金) 21:28:51.76 ID:Ha6ha7F70
計画はいつ、実行に移そうか。
本当なら、綿流しのお祭りの当日がいいが・・・。
恐らく、厳しいものがあるだろう。
ならば・・・綿流し前日、6月18日。
恐らく、梨花ちゃんが居なくなったという事になれば、お祭りは中止だろう。
それは悲しいことだが、同時に利点もある。
綿流し前日に事件が起これば、恐らく当日には何も起きない。
つまり、富竹は死なないとう事になる。
素晴らしい。
梨花一人の犠牲で他の人たちは皆、無事に生き残れるじゃないか。
彼女が死ぬことは・・・
('、`*川「ブーン、ご飯よー。おりてらっしゃい。」
( ^ω^)「おー、今行くおー。」
- 42: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/22(金) 21:30:36.78 ID:Ha6ha7F70
( ^ω^)「〜〜♪」
('、`*川「ふふっ、どうしたの?妙にご機嫌じゃない?」
( ^ω^)「んー、なんでもないお〜♪」
彼女が死ぬことは僕の幸せ。
彼女が死ぬことは皆の幸せ。
家に帰ってきたときの陰鬱とした気持ちは吹き飛んでいた。
戻る/TIPS/次のページ