( ^ω^)とひぐらしのなく頃に。のようです
- 2: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:07:44.69 ID:QEFFpvtn0
- 6月18日。
計画実行日だ。
僕が用意した計画はとてもシンプル。
圭一と全く同じ方法である。
つまり、上手く人の通らない道に梨花ちゃんを連れて行き、殺害。
その後、予め掘っておいた穴に埋めるというものだ。
色々と考えてみたが、この方法がシンプルかつ、ベストなものだと思う。
穴は既に掘ってある。
少女一人を埋める為の穴だが、念には念を入れて大人でも入るぐらいのサイズにしておいた。
凶器は家にあった金属バット。
『悟史』のバットでは、もしかしたら、無くなった事を不信に思う人がいるかもしれない。
それを考えると、家にあるバットの方があんしんできる。
問題は、梨花ちゃんをどうやって一人きりにするか、である。
- 3: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:10:04.32 ID:QEFFpvtn0
一番困るのは部活メンバーと一緒にいること。
この日を境に古手梨花はいなくなるわけだから、その後の事を考えると厄介である。
ただでさえ、この村では人と人との繋がりが強いため、最後に梨花ちゃんが会っていたのは僕という噂が流れると思う。
その疑いの目をかける相手が部活メンバーだと、少々手強い。
・・・いや、今はある程度、無茶をした方が上手くいく気がする。
後の事を今は、そこまで心配するな。僕なら上手くやれる。
そういえば、明日が綿流しなら梨花ちゃんは今日古手神社の集会に参加してるんじゃないか?
そこから、連れ出さなくてはならない・・・。
必要なのは嘘と、臨機応変の対応、か。
- 4: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:12:52.86 ID:QEFFpvtn0
夕暮れ時、ひぐらし達がなき始める。
日は真っ赤に燃え始め、子供たちの笑い声も止み始める頃。
そろそろ、始めるとするか。
僕が初めにする事は、自転車に仕掛けを施すこと。
自転車で梨花と、殺害予定の場所に行っても、そこで止まれる可能性は低くなる。
そのような不安があったため、神社の下にある梨花の自転車のタイヤをパンクさせておく。
辺りを確認して・・・。
よし、これで大丈夫。
もうすぐ、会合が終わってしまう。
それまでに、準備を済ませなくては。
- 6: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:14:32.88 ID:QEFFpvtn0
次は沙都子を出かけさせる。
自転車や、もしもの事を考えると、出かけてくれている方がやりやすい。
僕は梨花ちゃんと沙都子が住んでいる家へ向かい、沙都子を呼ぶ。
沙都子「ふあ・・・どうしたんですの、ブーンさん?」
寝ぼけ眼の沙都子が表れた。
どうやら、昼寝の最中だったらしい。
( ^ω^)「起こしてすまないお、沙都子。梨花ちゃんから伝言があるから来たんだお。」
沙都子「梨花が伝言・・・?一体、なんですの?」
- 7: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:16:10.99 ID:QEFFpvtn0
( ^ω^)「会合がまだ、終わらないから夕食のお買い物に行ってほしいらしいお。」
沙都子「まだ、話し合ってたんですの?!今年は力を入れているみたいですわねぇ・・・。」
沙都子「しょうがないですわね、じゃあ会合が終わったらわたくしが買い物に行ったと伝えておいてもらえますこと?」
( ^ω^)「もちろんだお!」
・・・よし、これで邪魔者は消えた。
そして、最後の準備。
僕は思いっきり、自分の頬を殴りつける。
鈍い痛み。口の中が切れたような感触。
これで決心がついた。
後は梨花ちゃんを待つだけ・・・。
- 8: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:17:27.04 ID:QEFFpvtn0
真っ赤に燃えていた太陽も徐々に、その姿を隠すかのように沈んでいく。
周囲には影の気配が一層濃くなっている。
集会所から、人がちらほらと出始めた。
その中には見知った人たちもいるようだが、出来るだけ姿を見られないようにしておく。
・・・見つけた。
一人の少女が村人に笑顔を振りまきながら出てくるのを確認。
それは間違いなく僕の標的「古手梨花」。
さぁ、行こう。
僕の人生の中で1番の勝負所だ。
梨花ちゃんが一人になったのを見計らって僕は駆け出した。
- 9: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:19:38.59 ID:QEFFpvtn0
(;^ω^)「はぁ、はぁ、り、梨花ちゃん。大変なんだお!」
梨花「・・・ブーン?一体どうしたのですか?」
(;^ω^)「沙都子が、沙都子が!!」
梨花「沙都子に何かあったの!?」
・・・よし。食いついた。
( ^ω^)「さっき、僕は買い物に行ったんだお。
その時、沙都子に会って、買い物をしにきたと言っていたお。」
梨花「それはおかいしいわ?今日は私が買い物に行く筈よ。」
( ^ω^)「梨花ちゃんがお祭りの準備で忙しいから、せめて買い物ぐらいは自分がと言っていたお?」
梨花「なるほど・・・。それで、どうしたの?」
- 10: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:20:47.89 ID:QEFFpvtn0
( ^ω^)「会話をして・・・沙都子と別れて・・・僕が買い物を終えた後、もう一度、彼女を見かけたんだお。」
( ^ω^)「そしたら、その横には如何にも柄の悪そうな金髪の男がいたんだお。」
梨花「まさか、それって!!」
( ^ω^)「そう・・・『北条鉄平』がそこにいたんだお。」
北条鉄平
沙都子の叔父にあたる人物。普段は愛人と共に興宮で生活している。
しかし、彼がこの雛見沢に帰ってきたとき、その世界は終わりを迎える。
沙都子に虐待を行い、心を破壊してしまうからだ。
そのため、今の状態の梨花は彼が帰ってきたとき、言い様もない絶望を感じる筈だ。
・・・僕は逆にそこを利用する。
- 12: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:23:00.94 ID:QEFFpvtn0
梨花「う、嘘でしょ?明日のお祭りは皆で楽しむはずだったのに・・・。」
( ^ω^)「信じられないなら、確かめに行くお。恐らく、沙都子の実家に戻っているから。」
梨花「わかったわ!急いで行きましょう!」
ちょろい、ちょろい。
百年を生きる魔女も僕にかかればこんなもの。
僕達は急いで神社の階段を駆け下りた。
梨花ちゃんの表情からは簡単に不安が見てとれる。
・・・実に滑稽だ。
もう、君は舞台上の役者ではない。
すでに君は僕の操り人形なんだよ。
- 13: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:24:14.19 ID:QEFFpvtn0
梨花「沙都子の自転車がない・・・。本当にどこかへ行ってしまったのね・・・。」
梨花ちゃんの表情が更に青ざめていく。
沙都子を出かけさせておいたのは、予想以上の効果を成したようだ。
( ^ω^)「・・・今は早く確認するのが先だお!」
そう言って僕は自転車にまたがる。
・・・この行為は僕が何もしていないと示す演技にすぎないのだが。
計画通り、梨花ちゃんは違和感に気付いた。
梨花「そんな・・・自転車がパンクしてる・・・。こんなときにどうして!」
( ^ω^)「なっているものは仕方ないお!走っていくお!」
- 14: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:25:37.71 ID:QEFFpvtn0
僕達は北条家本宅へ向かって走り出す。
その道は楽園への階段。
幸せを手に入れるためのかけがえのない第一歩。
その道は断頭台への階段。
全てを終わらせる確実な死への第一歩。
同じ道を走る僕達でも、意味は全く違うのだ。
もっとも、彼女は階段を登っていることにすら、気付いていないけどね。
- 16: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:26:38.23 ID:QEFFpvtn0
北条家本宅へ向かう道は北条家本宅へ向かう道でしかない。
つまり、本来なら、人など全然通らない道なのだ。
・・・だからこそ、この道は僕にとって絶好の場所。
( ^ω^)「・・・あ、梨花ちゃん。ちょっと待って欲しいお。」
梨花「何!?一刻も早く確認しないと・・・沙都子が!」
( ^ω^)「えーと、確かここら辺に・・・ん、あった、あった。」
走るのを止めて僕は草の茂みの中に手をのばす。
そう、この場所こそが断頭台。
僕の計画場所。
・・・凶器を隠しておいた場所である。
- 17: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:27:47.03 ID:QEFFpvtn0
梨花「一体、なんなのそのバットは?まさか、鉄平を殴り殺すつもり!?」
( ^ω^)「半分は正解ってとこだお?」
梨花ちゃんが疑問の表情を浮かべる。
そりゃそうだ、こんな選択肢など思い浮かぶはずがない。
( ^ω^)「僕が殺すのは・・・梨花ちゃん君だお。」
梨花「・・・!?な、何をいってるの?」
( ^ω^)「君が死ねば、皆幸せになるんだお。だから、僕は君を殺す。」
梨花ちゃんには理解できないだろうと思っていた。
・・・しかし、彼女は不適な笑みをみせる。
その顔に僕は若干の恐怖を感じてしまった。
- 19: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:30:21.41 ID:QEFFpvtn0
梨花「・・・鉄平が帰ってきたっていうのも、私をここに誘い出すための嘘ってこと?」
( ^ω^)「理解が早くて助かるお。
ついでに、死ぬ覚悟も早くつけてほしいとこだお。」
梨花「・・・まんまとやられたわね。この世界はもう終わりってことか。」
その顔に諦めなんて言葉は似合わなかった。
恐らく、彼女は既に次の世界の自分の事を思い浮かべている。
梨花「あなたがこの世界に現れたときは、待ち望んでいた雨が降ってきたかのように喜んだわ。」
でも、と彼女は付け足す。
梨花「普通、雨というのは嫌われる存在。・・・これは晴れの日の素晴らしさを忘れた私に訪れた罰なのかしらね。」
( ^ω^)「・・・遺言の言葉はそれでお終いかお?」
梨花「そうね・・・。でも、私が死んだところであなたは幸せになんかなれないわよ。」
( ^ω^)「・・・何故だお?」
梨花「この雛見沢にはルールXYZがある。そして、私はルールYで殺される。
・・・どういうことかわかる?」
一体なんだというのだ。
僕は理解出来ないと目で語りかける。
梨花「つまりね・・・。私が他の理由で殺されるときはルールXになるのよ。ここまで言えばわかるでしょ?」
- 20: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:32:34.36 ID:QEFFpvtn0
つまり、彼女はこう言いたいのだ。
お前はルールXに縛られ人を殺す。
お前は狂っていると。
(;゚ω゚)「ぼ、僕はおかしくなってなんかないお!」
梨花「あら、私達の事を知っているあなたならわかるでしょ。人を殺した人の末路を。」
黙れ!
僕はあいつらとは違う!
僕は人を殺すことで幸せを手にいれられるんだ!
- 22: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:34:55.20 ID:QEFFpvtn0
梨花「狂人相手にこれ以上何いってもむだかしらね?くすくすくす・・・。」
(;゚ω゚)「黙れ!黙るお!僕はいたって平常だお!」
梨花「・・・人を殺して幸せになる。こんな考えを持つ人が異常でない訳がないのよ。」
( ω )「う・・・あ・・・。」
僕が幸せになれないだと?
僕が異常だと?
違う、僕はこいつを殺して・・・!
- 24: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:36:01.18 ID:QEFFpvtn0
梨花「はっきり言うわ。あなたはもう、この雛見沢の世界で幸せになんてなれない。」
梨花「もちろん、この世界を救うなんて到底、無理な話。」
梨花「身の程知らずなのよ。もう、二度と私達の世界に現れないでね?」
彼女が告げた言葉。
その言葉は僕に世界を救うことは不可能だと決め付ける。
確かに僕は犠牲無しに幸せになれないと諦めたのかもしれない。
・・・それでも。
- 27: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:38:51.01 ID:QEFFpvtn0
( ゚ω゚)「僕はお前と言う敵を排除して、世界を、仲間を救わなければならないんだお。
体が軽くなる。
きっと、今なら空も飛べる。
( ゚ω゚)「お前の言うことは敵の言葉。耳を傾けるだけ無駄だったんだお。」
体が熱くなる。
体中にドーピングをしているかのような力がみなぎってくる。
( ゚ω゚)「だから、だから・・・。」
脳が冴えていく。
興奮していても、脳は冷静。
- 28: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:40:39.84 ID:QEFFpvtn0
( ゚ω゚)「ここが、お前の世界の終わりだおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」
梨花ちゃんの頭を思いっきり殴りつける。
彼女は庇おうとする素振りすらしなかった。
すでに、この世界を諦めていたのだろう。
たった一発。
たった一発で頭の骨を砕いた様な感触がした。
しかし、僕のバットを振る手は止まらない。
- 30: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:43:08.28 ID:QEFFpvtn0
鈍い音が辺りに響き続ける。
人が人でなくなっていくその音は思わず耳を塞ぎたくなるようだ。
しかし、僕の手は止まらない。
まるで、憎しみを込めるように。
何度も、何度も、何度も。
確実に死んだと思っても、なお、バットを叩きつける。
飛び散る赤と鳴り止まぬ音。
ここは・・・地獄だった。
- 32: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:44:21.18 ID:QEFFpvtn0
太陽は沈み、既に闇が辺りを包み始めた。
おまけに、先ほどまでの空が嘘のようにポツポツと雨が降ってくる。
これ以上は辛くなってくる。
バットを振りかざす手を止め、空を見上げた。
( ω )「は、はは・・・。これで僕は・・・。」
・・・幸せを手に入れた殺人者になった。
- 33: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:45:55.29 ID:QEFFpvtn0
梨花ちゃんの死体を穴に埋めたときには既に、雨が激しくなっていた。
おまけに、林の中は5メートル先も分からぬほど暗くなっていて、帰るのも一苦労だった。
・・・しかし、全てをやりとげた僕は満足していた。
家に帰り、お風呂に入って、ベッドに寝そべる。
これで、ほとぼりが冷めた後はきっと、平和な日常が僕を待っているんだ。
- 36: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/24(日) 22:48:06.22 ID:QEFFpvtn0
でも、どうしてもあの言葉が耳から離れない。
僕の考えを真っ向から潰す言葉。
「人を殺して幸せになる。こんな考えを持つ人が異常でない訳がない」
僕は異常なんかじゃないよね?
この異様な痒みも雛見沢症候群とは何の関係もないんだよね?
・・・切れた口の中から、何かが出てきたような気がした。
そんなことを認めたくなかった僕はそのまま深い眠りについた・・・。
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