( ^ω^)とひぐらしのなく頃に。のようです
- 77: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/29(金) 21:25:39.35 ID:oXBLVk9S0
- 【神はきまぐれ】
「・・・あら?羽入、久しぶりね。」
羽入「久しぶりなのですよ。どうだったのですか?」
「駄目だったわ。ある程度の進歩はみられたけどね。」
羽入「そうですか・・・。」
「それに、古手梨花の心境も悪すぎね。体験してない世界が多すぎるわ。」
羽入「梨花はきっと、頑張れるようになるのですよ。」
「そうだといいわね・・・。それよりも、あなた遊ぶだけ遊んで帰るなんてひどいんじゃない?」
羽入「あうあう、肉体だけを先に移して焦っていたのはそっちなのですよ。仕方なく、僕が入ってあげたのです。」
「・・・仕方ないでしょ。初めての人は不安定なのよ。」
- 80: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/29(金) 21:27:03.98 ID:oXBLVk9S0
羽入「でも、僕も2週間とはいえ、部活に参加出来て楽しかったのですよ。」
「楽しみすぎよ。周りがあの子の変化に違和感を抱いていたわ。」
羽入「あうあう、それはごめんなさいなのです。」
「まぁ、いいわ。次からは普通に出来るから。」
羽入「・・・でも、どうして『そっちの世界』には僕がいないのですか?」
「あの子が神という存在を認めないから、ね。」
羽入「認めない、ですか。」
「むしろ、恨んでさえいるわ。だからこそ、私はあの子を選んだ。」
羽入「彼にも頑張って欲しい限りなのです。」
「応援していてね?こっちも貴方を応援しているわ。」
羽入「ありがとうなのです。でも、思っている以上に厳しくなるのですよ。」
- 81: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/29(金) 21:27:52.83 ID:oXBLVk9S0
「そう・・・ね。貴方という神様の奇跡がないんだものね。」
羽入「・・・梨花が呼んでいるので、僕は戻るのです。でも、最期に一つ。」
「何?」
羽入「奇跡というのは神が起こすものではなく、信じる心が起こすのですよ。それでは。」
「信じる心が起こす奇跡・・・か。」
「あの子も手に入れられるかしら、少なくとも今はまだ奇跡を呼ぶような強さは無いわね。」
「さて、そろそろ・・・。」
- 82: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/29(金) 21:29:47.43 ID:oXBLVk9S0
- 【八幡神社にて】
('A`)「ドラマチック止められそうにない〜♪」
七月に入り、いよいよ本格的に熱くなってきた。
最近では、梅雨の日が嘘だったかのように青空が広がり続けている。
蝉は出番を待ちわびたかのように鳴いていて、本当に夏まっしぐらという感じだ。
('A`)「でも、虫嫌いの俺に飛びかかってくる蝉は、まさに悪夢なんだぜ。」
小学生の頃は素手で捕まえることも出来たんだけどなぁ。
これも一つの大人になるってことなのかな。
・・・大人になんてなりたくないなぁ。
時は残酷。
流れゆく時間を止める事など誰にも出来ないのだ。
だが、例外は存在する。
一つの時間が、その人を捕らえて離さないことがある。
それを人は停滞と呼び、過去にすがる愚かな者と嘲笑う。
- 84: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/29(金) 21:31:13.35 ID:oXBLVk9S0
- ('A`)「・・・俺だって、好きで前に足を踏み出せない訳じゃないさ。」
あんなことがあれば、誰だってこーなる。俺だってこーなる。
ブーンが居なくなってから2週間と少しが経ったある日。
ツンが自殺をした。
死因は出血性ショック死。
剃刀で手首を切り、水に晒し続けたのである。
・・・ツンがリストカットをしている事には薄々感づいていた。
特にブーンがいなくなってからは、あからさまに手首の包帯の範囲が大きくなっていた。
本人は料理による火傷と言っていたが、そう毎日毎日、火傷なんてするもんじゃない。
でも、止めなかった。
ブーンがいない今、止める事は俺にしか出来ないはずなのに。
- 85: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/29(金) 21:32:52.21 ID:oXBLVk9S0
リストカットなんて自殺したいと口に出す事しかできない臆病者がやるものだと思っていた。
認識不足。
人が死ぬという恐怖を味わったことのなかった者の甘えだ。
ツンが死んだという話を聞いた日、俺は眠れなかった。
昨日まで動いていた人が、その日からは2度と動かなくなるということに恐れを感じ、布団の中で震えていた。
身近な人がいなくなった事で初めて『死』という物がどんな事かを理解したのである。
今の俺に暴力や殺人なんて事は絶対に出来ない。
人に会う事にすら、若干の憂いを感じる。
今は孤独がこの上なく、気持ちよく感じられた。
- 87: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/29(金) 21:34:02.36 ID:oXBLVk9S0
でも、分かってる。
このままじゃいけないって事を。
これでは・・・まるでブーンに出会う前のようじゃないか。
人と出会う事を恐れ、逃げて、一人で居る事に安心感を覚える。
いつしか、他人に敵対心を持つようになっていた。
そんな俺をブーンが救ってくれた。
アイツにはそんなつもりは無かったのだろう。
でも、あの時の俺にあいつは太陽のような存在だったんだ。
だが、今の俺の孤独を好む気持ちはそれだからこそなのかもしれない。
なんとなくなのだが、虫の知らせというのかな。
ブーンは既に死んでしまっているように思う。
恐らく、ツンも直感的にそう思ったんだろう。
つまり、俺とツンの太陽は2度と昇らないんだ。
そんな風に考えた瞬間、俺の目から涙が零れ落ちた。
- 89: ◆9d9cVF02x2 :2007/06/29(金) 21:34:58.26 ID:oXBLVk9S0
(;A;)「・・・なぁ、ブーン、ツン。お前らとは本当にもう2度と会えないのかよ。」
(;A;)「俺、今年の夏休みは色んなところに行きたいと思ってたんだ。そんな風に思ったの初めてなんだぜ?」
(;A;)「神様、ブーンを返してくれよ!お前なんじゃねぇのか?ブーンを連れてったのはよぉ!!」
神様が祀られている祭壇に向かって思いっきり叫ぶ。
神は何も言わない。反応を示さない。
所詮、神様なんて妄想の世界の産物。
俺の怒りは誰も分かってくれないし、受け止めてもくれないんだ。
かすかな希望すら打ち砕かれ、俺に残るのは絶望という2文字だけだった。
?「なぁ、お前、今ブーンっていったか?」
途方にくれる俺に話しかける声。
振り返るとそこに立っていたのは・・・。
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