( ^ω^)とひぐらしのなく頃に。のようです

86: ◆9d9cVF02x2 :2007/08/16(木) 21:32:42.22 ID:oYluWxRv0

【ヒーローになれない俺だから】


俺は段々と薄れていく意識の中で考えていた。
アイツは一体どこにいるのだろうと。

隣で倒れているツンもまた、同じように考えていただろうな。
もう、2度と彼女が動く事はないけれど。

ツンのお腹からは、おびただしい量の血が流れていた。
まぁ、包丁があんなに深く刺さったのだから、無理もないか。

彼女は、最期の時まで、アイツの名前を呟いていた。
出来れば、会わせてあげたかった。
ついでに、俺も会いたいし。

でも、無理な事も分かってた。
別に、アイツが帰ってこないと思った訳じゃない。

理由は唯一つ。
俺の体も、ツンと同じようになっているから。



88: ◆9d9cVF02x2 :2007/08/16(木) 21:33:54.13 ID:oYluWxRv0

刺された時は本当に痛かった。
ああ、俺はここで死ぬんだと、そうとしか思えなかった。

でも、今は違う。

段々と痛みが無くなっている。
俺は本当に死ぬのかと疑問が湧いてくる程に。
……もちろん、これが逆に死への証拠だとも分かっていた。

そう、俺はまだ死にたくなかった。
だから、現実逃避に思考を切り替えていたのだ。

鈍っていく頭。
着実に重くなる体。

そうなってもなお、まだ助かる事を心のどこかで期待しているのだ。
せめて、救急車でも呼べば良かったかな。

まぁ、いいや。
考えるだけ無駄だよ、無駄
あーもう何もかもがめんどくせぇなぁ。



89: ◆9d9cVF02x2 :2007/08/16(木) 21:35:29.73 ID:oYluWxRv0

そうさ、俺に人を救う事なんか、できる筈が無かったんだ。
これはきっと、ヒーローに憧れた俺への罰。

イカロスは太陽に憧れ、蝋で翼を固めて太陽に近付いて、墜落した。
自らの限界を超えた望み、そんな物を求めたから死んだんだ。

そして、俺もまた同じ。
自分の限界を見計らった。

俺なんかをイカロスと同じと考えるだけおこがましいか。


でもさ、これも当然の事だろ?
誰だって、一度はヒーローに憧れるものだろ?

それなのに、俺にはこんな仕打ちかよ。
神様は非情、現実はあまりにも残酷だ。

……でもさ、



91: ◆9d9cVF02x2 :2007/08/16(木) 21:37:46.25 ID:oYluWxRv0

アイツなら、きっとヒーローになれる。
ツンも俺も救ってくれる。

俺がヒーローと同じように憧れた存在だから。
何でも出来るし、時折見せる優しさは心を癒してくれた。
まぁ、今となっては無駄なんだろうけどさ。

だって、もう全部終わっちゃったよ。

ツン死んじゃったよ?

俺、死ぬんだよ?


最後まで待ってたのにさ、来てくれなかったな。
別に恨んだりしないけどさ……すげぇ裏切られた気分だよ。

信じてたのは俺達だけだったのか。
お前は俺とツンの事……仲間だと思ってなかったのかな。



92: ◆9d9cVF02x2 :2007/08/16(木) 21:39:09.95 ID:oYluWxRv0

アイツなら、きっとヒーローになれる。
ツンも俺も救ってくれる。

俺がヒーローと同じように憧れた存在だから。
何でも出来るし、時折見せる優しさは心を癒してくれた。
まぁ、今となっては無駄なんだろうけどさ。

だって、もう全部終わっちゃったよ。

ツン死んじゃったよ?

俺、死ぬんだよ?


最後まで待ってたのにさ、来てくれなかったな。
別に恨んだりしないけどさ……すげぇ裏切られた気分だよ。

信じてたのは俺達だけだったのか。
お前は俺とツンの事……仲間だと思ってなかったのかな。



94: ◆9d9cVF02x2 :2007/08/16(木) 21:39:33.66 ID:oYluWxRv0

お前がいれば、ツンを救う事が出来たんだ。
だから、もし他の世界があるんら、そこのツンを助けてやってくれ。

ツンは誰かの助けを待ってるんだ。
俺はヒーローになれる様な器じゃないからダメなんだ。

……それに、俺もお前に会いたいんだ。
それで、お前に聞きたい事があるんだよ。



('A`)「ブーン、俺達は仲間……なんだよな?」


そんな言葉を最後に、俺の意識は完全に途切れた。



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