( ^ω^)とひぐらしのなく頃に。のようです

3: ◆9d9cVF02x2 :2007/08/22(水) 00:06:31.65 ID:0/09y4u10



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目を覚ましても彼はどこにもいません。
泣きつかれた私は、もう一度眠りにつきます。

目を覚ましても彼はどこにもいません。
期待していた私は、またも涙を流します。

だから、私は目蓋を開くのを止めました。

目を覚ましても彼には会うことが出来ません。
それならば、私は夢の中で会いにいきましょう。

Frederica Bernkastel

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4: ◆9d9cVF02x2 :2007/08/22(水) 00:08:25.87 ID:0/09y4u10




( ^ω^)とひぐらしのなく頃に



――――――――――――――――夢写し編




5: ◆9d9cVF02x2 :2007/08/22(水) 00:10:55.72 ID:0/09y4u10


ジリリリリリリリリリリリ!!

( ーωー)「ムニャムニャ……わかったお……今起きるお……。」

けたたましい程の音を響かせる目覚まし時計。
目も開かないまま、手探りでスイッチを押して黙らせる。


( ーωー)「時間は……まぁ、いいお。」

始業は8時半。
お母さんが僕を起こしにくるはずだから……。

ん?
お母さん?


(;゚ω゚)「って、僕は何を言ってるんだお!!」


慌てて時計を確認すると、すでに8時を過ぎている。

今から、朝食を作り着替えを済ませ、支度をする。
間に合うのか?いや、間に合わせてみせる!

きっと僕になら出来る筈だ!



6: ◆9d9cVF02x2 :2007/08/22(水) 00:13:45.94 ID:0/09y4u10

( ゚ω゚)「フオオオオオオオ!!」

着替えながら、朝食を作る。
学校の支度をしながら、今日のニュースを確認する。
トーストを食べながら、歯を磨く。

若干、間違ってる感じもするが気にしない!


このスピード、まさに風の如し。
僕は自然と一体になり世界と同化する。

それにより大地の恩恵の力で、普段の3倍の速度をだすことができるのだ!!


( ゚ω゚)「それじゃ、行ってくるお!」

さぁ、走れ内藤ホライゾン!
名前の通り、地平線を駆け抜けろ!!



7: ◆9d9cVF02x2 :2007/08/22(水) 00:16:15.47 ID:0/09y4u10


( ´∀`)「内藤は遅刻っと……。」

( ^ω^)「ですよねー。」

僕が学校に着く頃には既にHRも終わり、1時限目の授業中でした。

仕方ないさ。
無理なものは無理なんだからさ。

ちょっと遅刻したっていいじゃない。
人間だもの。



( ´∀`)「遅刻は良くないモナよ。次からは気をつけるモナ。」

( ^ω^)「もちろんですお。ははっ、遅刻なんて良くないですよね。」

そうそう、遅刻するやつなんてダメ人間に決まってるさ。

矛盾?
何それ、美味しいの?



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/22(水) 00:18:05.70 ID:0/09y4u10

('A`)「お、珍しいじゃんかよ。
   こんなに、あからさまな遅刻するなんてよ。」

( ^ω^)「ドクオ……。」

先生の小言を聞き終えて自分の席に着くと、ドクオが話しかけてきた。
それにしても、ドクオの顔色が悪い気がする……。

あ、生まれつきか。



( ^ω^)「いやー、まだちょっとこっちの世界に慣れてないんだお。」

('A`)「は?まだ寝ぼけてんのかよ?」

( ^ω^)「気にしないでくれお。」

('A`)「そうか?ならいいけどさ……。」



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/22(水) 00:19:45.88 ID:0/09y4u10

( ´∀`)「ほら、そこの二人。授業に集中するモナー。」

('A`)「サーセン。ほらブーン、聞いてるふりだけでもしとけよ。」

( ^ω^)「把握したお。」


知っている事を、もう一度聞く事ほど、退屈なものはない。
いくら先生に注意されても、聞く気なんてさらさらなかった。

その事をドクオが知ってるのは都合が良い。
僕に授業について、質問なんて事は絶対してこないから。

あ、でも。
この前、赤点取ったから助けてとか言ってたっけ?……まぁいいか。



クルクルとペンを回しながら、授業の終わりを待つ事にする……。
筈だったのだが、段々とペンを落とす回数が増えてきて、

目の前が暗くなってきて…………。



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/22(水) 00:22:31.84 ID:0/09y4u10

バシッ、と気持ち良いくらいの音と共に後頭部に走る鈍い痛み。
飛び上がるかのように目を覚まし、元凶を作った人物を確認する。
もっとも、犯人の目星がついた上でだが。


ξ゚听)ξ「偶には授業を全部聞いてみたらどう?」

( ^ω^)「ツン、おはようだお!」

('A`)「ひゃひゃ、ブーンは授業なんか聞かなくても学年1位だからいいじゃねぇか。」

ξ#゚听)ξ「それが気に食わないから言ってるのよ!」


( ^ω^)「おっお、僕だって偶には起きてる事もあるお。」

ξ゚听)ξ「そんなんじゃ、授業態度でマイナスされちゃうわよ?」

('A`)「ツンさんはいつだって、ブーンの心配してますねぇ。
   ……一体、何の見返りを求めているやら。」


ξ#゚听)ξ「ドクオ……アンタ殴られたいの?」



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/22(水) 00:26:02.99 ID:0/09y4u10

会話の始まりは互いをおちょくりあう。
変に見えるかもしれないが、僕達にとってはこれが普通の談笑だった。

('A`)「……そういや、ツン。昨日の放課後どこに行ってたんだよ?
   遊ぼうとしたのに、いなくなっちゃうしよ。」

ξ゚听)ξ「え?あ……ちょっと家族の用事があったのよ。」

('A`)「ふーん?ま、今日は一緒に遊ぼうぜ。良いゲーセン見つけたんだよ。」

( ^ω^)「あ、それちょっと待って欲しいお。」


('A`)「何だよ?」

( ^ω^)「今日はちょっとドクオに話があって、放課後に付き合って欲しいんだお。
      だからゲーセンは……。」


ξ゚听)ξ「それは私がいたらいけないの?」

( ^ω^)「うん、ちょっと二人きりで話がしたいんだお。」


ドクオと話をすることは朝から決めていたことだった。
……いや、もっと前からか。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/22(水) 00:28:19.47 ID:0/09y4u10

ξ゚听)ξ「男同士の友情ってやつ?
    ……まぁ、いいわ。今日は素直に帰るわよ。」

( ^ω^)「うん、なんだかごめんだお。」

('A`)「男に嫉妬するなよ。」

ξ#゚听)ξ「黙れっ!」

去り際にツンが繰り出した大振りのテレフォンパンチ。
しかし、運動神経なんて皆無のドクオは成すすべなく、それによって吹き飛ばされた。



(#'A`)「いてててて……あの凶暴女め。」

( ^ω^)「まぁ、あれもツンらしいっちゃあ、ツンらしいお。」

('A`)「だよな……あれでこそ、ツンだよなぁ。」


ドクオはなんだか物言いたげにそう呟いた。
ツンがツンである事に、何の問題があるというのだろうか。
今の僕にはドクオの憂いなど知る由も無いこと。



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/22(水) 00:30:41.89 ID:0/09y4u10

('A`)「でもさ、ブーン。話ってここでするんじゃ、ダメなのか?」

( ^ω^)「うん……ちょっと照れくさいからダメだお。」

(;'A`)「……俺はノンケだぞ。」

(;^ω^)「僕だって、そうだお。」


なんて馬鹿げた会話をしているところに、響くチャイムの音。
授業の始まりを告げるそれと共に、少しずつ教室内のざわめきが静まっていく。


('A`)「んじゃ、次の一時間も頑張りますか。」

( ^ω^)「頑張ってだお。」

(;'A`)「ああ、今ツンの気持ちが分かったよ……。」



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/22(水) 00:34:09.08 ID:0/09y4u10

授業が始まったが、僕はうわの空だった。
一瞬、ツンの怒る顔が浮かんだが、それもすぐにかき消される。

クラスメイトの顔や、教室の空気。
どこか懐かしく、それでいていつもの通りとも思えるこの風景。
こんな気持ちはきっと、僕だけしか味わえないんだろうなぁと思った。


だって、そうだろう?

他の世界で1月を過ごした。
だから僕にとっては昨日が、昨日で無くなっている。

こんな話をして信じる人がいるのだろうか。


……いや、それでも僕は信じてみたい。
こんな空想的な僕の言葉を信じてくれる仲間がいる事を。

話す気はないけれど、そうしてくれると僕は信じる。



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/22(水) 00:36:58.60 ID:0/09y4u10

ゆっくりと、おだやかに時は流れている。

空を泳ぐ雲の流れも緩やか。
今日は風もあまり吹いていないらしい。

周りにいる学生は今日も将来の為と割り切って勉強している。
彼らの両親も、それぞれが自分のすべき事を普段通りに全うしているのだろう。
多少のイレギュラーがあろうとも、人生という大きな歯車が狂う事は無い。


あまりにも平凡な日常。

これに飽く者がいてもおかしくないとは思う。
それでも、忘れないで欲しい。

こんな普通で、至極当たり前の日々こそ大切な宝物。
自分では気付かないけど、求める人も多いということを。

そう、普段通りと思える日々こそが幸せな世界なのだ。



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/22(水) 00:40:46.47 ID:0/09y4u10


仲間が欲しかった?
すぐ傍にいたじゃないか。

良い環境で暮らしたかった?
こんなに綺麗な空を見て、何が不満なものか。

スリルが欲しかった?
そんなものは、人生の中でいくらでも味わえるさ。


……簡単に答えがつく。

僕の願いなんて、誰もが一度は夢見る事。
そして、誰もが願わずとも手に入れられるものだった。

その時を待てば良かったのだ。
ゆっくりと、この当たり前の日々を生きていればよかったのだ。

そんな事も分からなかった僕は焦りを感じ、人の心を失くしていった。



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/22(水) 00:44:03.03 ID:0/09y4u10

人が人である為に必要な心。

他者を認め、愛し、信じる事。

これこそ何よりも大切だったのだ。
それに気付けなかった今までの僕は本当の愚か者だった。

両親が死に自暴自棄になった過去。
そんな過去にようやく、区切りをつけられる。

だって、僕は夢のようなあの世界で教えてもらった

仲間の大切さを。
信じる心の大切さを。


だから、僕はドクオに話がしてみたかった。
僕と君は仲間だと、信じあえる関係だと聞いてみたかったのだ。

……今までの謝罪と感謝と共に。



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/22(水) 00:46:35.70 ID:0/09y4u10

授業も終わり、待ちに待った放課後。
既にツンは帰宅済みである。

僕はドクオと共に校舎裏へ向かう。
ここに来るのは3回目になるのだろうか。
相も変わらず、人の気配も音も感じとれない、世界から隔離されたような場所。

でも、いつもの世界とは違う。

今度は現実から目を逸らすため為ではない。
過去を乗り越え、今を生きていく誓いを立てるために僕はここを訪れた。



('A`)「なぁ、ブーン。何で校舎裏なんだよ?」

( ^ω^)「んー、この場所はある意味、僕の因縁の場所だからだお。」

(;'A`)「は?今日のお前は朝から訳わかんねぇよ。」

( ^ω^)「まぁまぁ。気にせずこっちまで来るお。」



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/22(水) 00:48:47.74 ID:0/09y4u10


丁度、神様が現れた場所に立つ。
僕をいざない、別の世界への扉をもたらした光。
今思うと、あれは希望の光だったような気がして少し笑えてしまった。


(;'A`)「な、なぁブーン。本当に大丈夫か?」

( ^ω^)「ごめん、ちょっと挙動不審だったかお?」

(;'A`)「ああ。つーか、ブーンがブーンじゃないような……あー何言ってるんだろ俺。」


( ^ω^)「……大丈夫、ドクオのそれは多分間違っていないと思うお。」

('A`)「は?」

( ^ω^)「自分で言うのも何だけど……僕は変われた気がするんだお。
      うーん、成長出来たという言い方が正しいのかもしれない。」


('A`)「成長? 背は止まってるだろうが。」

(;^ω^)「いや、そうじゃなくて……ちょっと聞いてもらいたいんだお。」



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/22(水) 00:51:50.11 ID:0/09y4u10

('A`)「まぁいいぜ?ドンとこいや。」

言葉通りに、胸を誇らしげに叩くドクオ。
笑顔でそんな行動に応え、僕は語りだす。



( ^ω^)「うん……まず、僕の両親が死んだ事は覚えているかお?」

('A`)「ああ、覚えてるよ。 つか、忘れられなねぇよ。
   だって、あの後からお前は……。」

そこまで言ってドクオは口を閉ざす。
如何にも、しまったという表情を浮かべ、申し訳なさそうに僕から目を逸らす。


( ^ω^)「うん、あの後から僕は君たちとの関わり方を変えた。
      人間というものが信じられなくなったんだお。
      大切な人を亡くしたショックで、二度とそんな思いをしないための自己防衛が起きたのかもしれない。」


('A`)「……自己防衛?」

( ^ω^)「そう、人と距離を置いて心に傷をつけないようにした。
      死という裏切りによる悲しみをうけたくなかったんだお。」



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/22(水) 00:54:39.39 ID:0/09y4u10


( ^ω^)「1度、人と距離を置くとそれは加速するばかりだったお。
      今度は少しでも僕の思い通りにいかないと、感に触るようになった。
      ……だから、僕は自分の上に仮面を作ったんだお。」

('A`)「えーと、自分の本心を表面に出さなくなったとかか?」

( ^ω^)「そういう事だお。
      僕は友達とか、仲間だとかそういう概念を消し去った。
      つまり、ドクオたちも他人というカテゴリの中にひとくくりにしたんだお。」


('A`)「そっか……。」

ドクオは明らかにショックをうけたようで、俯いてしまった。
よく見てみれば、拳を血管が浮き出るほど強く握り締めている。

不謹慎だけど、僕の事を思っていてくれたと感じて嬉しかった。


( ^ω^)「だけど……」

('A`)「……え?」



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/22(水) 00:56:55.25 ID:0/09y4u10

( ^ω^)「僕は教えて貰った。
      有り得ないような体験を超えて、僕は学んだんだお。」

('A`)「うん?」


( ^ω^)「この世界は退屈な事もあるかもしれないけど、それで良かったんだお。
      平凡で当たり前の日常こそ、求めるべき幸せな日々だってことに気付いたから。」

( ^ω^)「そして信じる事の大切さ。
      一人で悲しみを抱え込んだから、僕は間違った道を歩んでしまった。
      仲間と共に苦しみを乗り越えていく事が、必要だと教えてもらったんだお。」


( ^ω^)「だから、僕はドクオと仲間でありたいと思うんだお。
      信じあって、苦しい時に助け合う友達であり続けたいんだお。」


('A`)「友達……。仲間……。」



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/22(水) 00:59:28.34 ID:0/09y4u10


( ^ω^)「ようやく僕は元に戻れる様な気がするんだお。
      昔のように、笑いあって過ごせるようになれると思うんだお。」

( ^ω^)「だから、僕とドクオは仲間……で良いかお?」


('A`)「……。」

( ^ω^)「ドクオ……?」


('A`)「…………。」

(;A;)「ブワッ!」


(;^ω^)「むおっ!」



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/22(水) 01:02:48.76 ID:0/09y4u10

(;A;)「そっか、そっか。
    俺とブーンは友達で、信じあえる仲間なのか。」

零れ落ちる涙と対比するかのように、ドクオの顔には満面の笑みが浮かんでいた。
先程の悲しそうな様子など、見る由もない。


(;A;)「俺、怖かったんだよ。
    ブーンにそんな風に思われていたなんて知らなかったから……。
    しょうがなく一緒にいてくれてるんじゃないかとかの不安があったんだよ。」


( ^ω^)「それじゃ……?」

(;A;)「ああ、もちろんだ!
    俺とブーンは友達だ、親友だ!!
    絶対に最後まで信じあえる最高の仲間だよ!!」

ドクオが喜びのあまり僕に抱きついてきた。
こんなに感情を露にした彼を見るのは初めてかもしれない。

……彼のすすり泣く声を耳元で聞いて、もらい泣きしそうになった。


( ^ω^)「ドクオ、僕はノンケだお。」

(;A;)「俺だってそうだよ!」



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/22(水) 01:05:58.88 ID:0/09y4u10
こうして、手に入れた最高の仲間。
こうして、手に入れた幸せな世界。

ここまで来るのに、すごく遠回りしてしまった気がする。

今始めて、僕は両親の死を乗り越える事が出来たのだろう。
今ようやく、僕は自分を取り戻す事が出来たのだろう。
ここからが本当の人生の始まりだ。


でも、僕は一人じゃない。

世界にはこんなにも多くの人間がいる。
その内のほんの一握りでも、僕を必要としてくれる人がいる。

それで充分だ。

そう、人がたった一人で生きていける筈が無い。
誰かと助け合いながら過ごすのが人生。

それこそが、人の生きる道。


もし、この先何があっても乗り越えていける、仲間と共に。
それが今日、僕が立てた誓いだから。



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