('A`)ドクオは故郷に帰るようです

144: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 04:22:29.99 ID:1Pp83ReT0
〜2014年5月4日(みどりの日)〜

時刻 PM2:51

父親の車を借りドクオはとあるBARに到着した。
車を降り『本日貸切』と書かれたBARの扉を開く。

(´・ω・`) 「やぁ、ようこそバーボンハウスへ。サービスのテキーラは無いが落ち着いて欲しい。
      うん、『貸切』なんだ、すまない」

('A`)「言われんでも、ドアに貸切って書いてあったから知ってるよ。会場はここでいいんだろ?」

(´・ω・`)「一応、お約束ってやつさ。ドクオ、久しぶりだね。元気そうで何よりだ」

('A`)「ショボンの相変わらず、しょぼくれた顔してんな。それみたら安心したわ」

(´・ω・`)「あ?ぶち殺すぞ!」

('A`)「さすが本家本元は凄みが違うねぇ。おお、怖い」

ドクオがショボンと漫才のような掛け合いをしていると不意に肩を叩かれる。



149: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 04:24:24.57 ID:1Pp83ReT0
(,,゚Д゚)「ドクオ、遅かったじゃねえか、ゴルァ!」

('A`)「ギコ先輩!なに言ってるんすか、三時からでしょ?」

(,,゚Д゚)「いつも10分前行動って言っただろうがゴルァ!」

('A`)「ちょ、今日は部活じゃないっすよ」

(,,゚Д゚)「やかましい!俺が10分前って言ったらその時間に集まるんだゴルァ!」

既に酔っ払ってるギコの絡み酒に辟易していると、助け舟を出す人物が現われた。

(*゚ー゚)「ギコせんぱい、いつまで絡んでるんですか!」

('A`)「おう、チビスケ。久しぶりだな」

(*゚ー゚)「もー、ドクオせんぱい。そのチビスケって言うのやめて下さいよ。子供じゃないんだから」

('A`)「実際ちっこいんだから仕方ねーだろ。そんな事より他のやつらはまだか?」

(*゚ー゚)「ツンせんぱいは、奥で着替えてます。クーせんぱいはそのお手伝いをしてます」

('A`)「ブーンは?」

(*゚ー゚)「ブーンせんぱいはあっちです」



153: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 04:25:38.43 ID:1Pp83ReT0
しぃが指差す方には扉がある。その扉には【御手洗い】と書かれている。

('A`)「あの馬鹿、相変わらず緊張すると腹下すのか」

(,,゚Д゚)「気合がたりねー証拠だ!ゴルァ!俺がいっちょ気合入れてやるか」

(*゚ー゚)「もー、ギコせんぱい、いい加減にしなさい!」

酔っ払いの相手はしぃに任せ、ドクオは内藤が立て籠もっている扉の前に立つとコンコンとノックする。

「誰だおー。ただいま使用中だおー」

('A`)「俺だ」

「…なんだお?今は忙しいから手短に頼むお」

一呼吸おいてドクオは手短に用件を話す。

('A`)「…ブーン、ありがとう。ケリつけるわ」



157: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 04:27:37.00 ID:1Pp83ReT0
その言葉を聞くと中で水が流れる音が聞こえ、すぐに扉が開くと内藤が飛び出してきた。

( ^ω^)「本当かお?!」

('A`)「ああ」

( ^ω^)「さすがはドクオ!漢だお」

('A`;)「まぁ、何がさすがなのかよくわからんが、落ち着け」

( ^ω^)「これが落ち着いていられますかってんだお!」

('A`;)「うん、分かったから落ち着こうな」

興奮の収まらない内藤はドクオの話をまったく聞こうともしない。

その内藤を止めたのは…



163: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 04:28:22.25 ID:1Pp83ReT0
ξ#゚听)ξ「貴様は何をしておるかーー!!」

(#)ω゚ )「ひでぶっ!」

着替えを終えたツンだった。

( ^ω^)「いきなり何をするんだお?」

ξ#゚听)ξ「まずはその格好を見てから物を言いなさい!」

ツンの言葉に内藤は全身を見渡すと

(  ゚ω゚ )「ふぉーーー!!」

下半身に何も身に着けていなかった。

驚いた内藤はすぐにトイレに駆け込んだ。

ξ#゚听)ξ「まったく、あの馬鹿は!」

('A`)「ツンも苦労するな」

憤るツンにドクオが同情する。

ξ#゚听)ξ「ほんとよ!これは決断間違ったかも知れないわ」

('A`)「確実に間違えたな」

ドクオはくっくっくと堪えた笑いを漏らす。



165: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 04:29:05.65 ID:1Pp83ReT0
ξ゚听)ξ「…アンタはクーにこんな思いさせるんじゃないわよ」

Σ('A`;)「なっ!」

ξ゚听)ξ「ゴメン、今の会話全部聞いてたの。昨日の事も今朝ブーンから聞いた」

('A`;)「そ、そうか」

ξ゚ー゚)ξ「しっかりしなさい、きっとうまくいくから。私が保証してあげる」

そういうとツンは優しく微笑んだ。

('A`)「ああ」



170: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 04:29:47.18 ID:1Pp83ReT0
(´・ω・`)「では、新郎新婦が揃いましたところで、始めたいと思います。皆さんグラスは持ちましたか?」

('A`)「おいおい、このメンバーで堅苦しい挨拶なんざ無しにしろよ!」

(´・ω・`)「あ?ぶち殺すぞ!」

('A`)「きゃー、ショボンが怒ったー!」

(*゚ー゚)「ドクオせんぱい!いつまでも始まらないでしょ!」

(,,゚Д゚)「ゴルァ!ドクオいい加減にしろ!俺が飲めねーだろうが!」

ギコはそういうとドクオの脳天に拳を振り下ろす。

('A`)「あだ!!」

(´・ω・`)「そろそろ、乾杯してもいいかな?」

(,,゚Д゚)「おう!早くしろゴルァ!」

(´・ω・`)「それでは、ブーンとツンの結婚を祝って」

『かんぱーい!!』

(´・ω・`)「では、続きまして『木漏れ日の詩』の上映に入りt…

こうして宴は始まった。



175: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 04:30:42.75 ID:1Pp83ReT0
(  ω )「…もう飲めないお〜」

(,, Д )「…うげぇ〜。世界がグルグルまわるぞ〜ゴルァ」

開始から4時間が過ぎた頃、内藤とギコはつぶれてた。

ξ゚听)ξ「相変わらず、だらしないわねぇ」

ツンはカウンターに座りワイングラスを傾ける。

(*゚ー゚)「ホントですね」

その隣でしぃはカクテルグラスを手の中で弄ぶ。

('A`)「お前らが強すぎるんだよ」

(*゚ー゚)「あれ、ドクオせんぱいは平気なんですか?」

少々驚くしぃに、グラスを持ち上げてドクオは答える。

('A`)「今日は車だから、飲んでねぇんだ。これはただのジンジャエールだ」

(*゚ー゚)「意外と真面目なんですね」

ξ*゚ー゚)ξ「ふふふふふ。しぃ、違うのよ。実はねー」

('A`)「おい!ツン!!」

いたずらっ子のような笑みを浮かべるツンをドクオが制する。



178: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 04:31:41.05 ID:1Pp83ReT0
ξ*゚ー゚)ξ「きゃー、こわーい」

(*゚ー゚)「えー。なんなんですかぁ?」

('A`)「なんでもねーよ」

そういってドクオはジンジャエールを飲み干す。

ξ*゚ー゚)ξ「じゃあさ、飲んでないドクオはクーを送ってあげてね」

ツンはそういうとカウンターに突っ伏して寝ているクーを指差す。

('A`)「お前らは?どうすんだよ?」

(*゚ー゚)「あー、そういう事かぁ」

ツンの言葉に何かを悟ったしぃが声を上げる。

('A`)「おい、チビスケ。なにがそういう事なんだよ?」

(*゚ー゚)「いえいえ、こっちの話です。私たちは運転代行頼みますから平気ですよ。ね?ツンせんぱい」

ξ*゚ー゚)ξ「そういうこと。だからクーをお願いね?」

('A`)「ああ、任せろ。…おい、クー起きろ」



182: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 04:33:07.40 ID:1Pp83ReT0
川 つ _`)「ん?どうした、ドクオ」

ドクオがクーの肩をゆするとクーは目をこすりながら体を起こす。

('A`)「お開きにするってよ。送ってくから起きろ」

川 つ _`)「ん。了解だ」

そういうとクーは先に外に出て行った。

('A`)「じゃあ、俺も行くわ。ツン、しぃ、またな」

「そこの酔っ払い共にもよろしくな」と告げ、ドクオは入り口に向かう。

ξ*゚ー^)ξ「ドクオ、がんばれ」

ツンはそう励ますととウィンクをした。

('A`)「あー、わかったよ。…また連絡する」

めんどくさそうに手をひらひらさせるとドクオも店を出て行った。

(*゚ー゚)「うまくいくといいですね?」

しぃがカクテルをクイッと飲み干すと、グラスの中の氷がカランと音を立てた。



188: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 04:34:04.26 ID:1Pp83ReT0
(´・ω・`)「その、心配は必要ないんじゃないかな?」

しぃに新しいカクテルを出しながらショボンが口を挟む。

(´・ω・`)「男と女の事で周りが心配することなんて無いよ。意外と成るように成るもんさ」

ξ゚听)ξ「なにやら、意味深な発言ね」

そういうとツンは空になったワイングラスを突き出す。

(´・ω・`)「職業病さ。バーテンなんてやってると、そういうのをよく目にするからね」

ツンのグラスにワインを注ぐと、自分もグラスを用意してバーボンを注ぐ。

ξ゚听)ξ「じゃあ、ドクオとクーの幸せを願って…」

『乾杯』

残された三人は、チンとグラスを合わせた。



192: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 04:34:52.99 ID:1Pp83ReT0
ドクオがバーボンハウスを出ると車の脇にクーが待っていた。

('A`)「じゃあ、行くか?」

川 ゚ -゚)「うむ」

二人が車に乗り込みドクオがキーを回すとブオンと調子よくエンジンが掛かる。

('A`)「…なぁ、クー。まだ眠いか?」

川 ゚ -゚)「いや。外の空気を吸ったら目が冴えた。この時期、夜風って意外と冷たいんだな」

いつもの調子に戻ったクーに、ドクオは胸をなでおろす。

('A`)(酔っ払ってたら、連れまわすわけにもいかないもんな)



195: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 04:35:49.38 ID:1Pp83ReT0
それと同時にある計画を実行しない口実を失ったことにドクオは身を固める。

('A`)(落ち着け。このままじゃ、今までと何も変わらない。ただのチキン野郎だ)

川 ゚ -゚)「どうかしたのか?様子が変だぞ」

衝動不振なドクオにクーは問いかける。

('A`)「なぁ、これからちょっと付き合って欲しいところがあるんだが、いいか?」

川 ゚ -゚)「ん?かまわないぞ。どこに行くんだ?」

('A`)「んー。まぁ、行けば分かる」

川 ゚ -゚)「…そうか。なら聞かないでおこう」

('A`)「…ありがとよ」

そういうとドクオはアクセルを深く踏み込んだ。



199: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 04:36:48.53 ID:1Pp83ReT0
川 ゚ -゚)「…ここは」

30分ほど車を走らせ二人は目的の場所に到着する。

丘の上に一本の大きな古木。
春風に揺れる草原は、まるで狼が群れを為して疾走するかのごとく波を打つ。

川 ゚ -゚)「ラストシーンのロケ地じゃないか」

('A`)「あれ以来、初めて来たが何も変わって無いな」

川 ゚ -゚)「そうだな。違うとすれば空くらいか?」

クーが見上げるとそこには、どこまでも透き通った水色の空ではなく、キラキラと輝く満天の星空が広がっていた。
その星空の下クーは大きな古木の立つ丘に向かい、ドクオはその後についていく。

大きな古木の下に着くとクーはその幹にそっと触れる。

川 ゚ -゚)「この樹もぜんぜん変わってないな」

そう呟くと急にドクオの方に振り向く。

二人は無言で見つめあう。



204: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 04:37:53.93 ID:1Pp83ReT0
('A`;)(やばい。どうやって切り出そう)

ドクオの頭の中はそれで一杯だった。

そのまま、どれくらい時間が過ぎたのか分からなくなった頃、不意にクーが口を開く。

川 ゚ -゚)「…いつ、帰ってきたんだ?」

それが何を意味するのかドクオには分からなかったが、続けるべき言葉は分かっていた。

('A`)「たった今だ。真っ先にここに来た」

川 ゚ -゚)「約束、覚えてたのか?」

('A`)「当たり前だ。誰よりもお前に会いたかった」

川 ゚ー゚)「…その言葉が聞きたくて私はここで待ってた」

そう微笑むとクーはドクオに抱きつく。

川 ;ー;)「…おかえり」

微笑みながら涙を流すクーをドクオは優しく抱きとめる。

('A`)「ただいま」

キラキラと輝く星空の下で二人はいつまでも抱き合っていた。



207: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 04:38:44.08 ID:1Pp83ReT0
この先の展開は台本なんか無い。

それでも、ドクオには何を言うべきかだけは分かっていた。

後はどうやって切り出すのか。それだけだった。

ドクオがそう考えていると、先にクーが口を開いた。

川 ;ー;)「ドクオ、この5年間本当に会いたかった」

('A`)「ああ、俺もだ」

川 ;ー;)「ドクオ。あの頃から私は…」

('A`)「まった!」

川 ; -;)「ん?」

('A`)(ここで切り出せなきゃ、男じゃねぇ)

急に言葉を遮られクーは困惑する。

('A`)「こんな時くらい、俺にかっこつけさせてくれや」

そう呟くと、ドクオは一回だけ深く息を吸い込む。



214: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 04:40:02.63 ID:1Pp83ReT0
('A`)「…ずっと、好きだった。こんなどうしようもない俺だけど一緒にいてくれ」

川 ;ー;)「…嬉しい。その言葉をずっと待ってた」

そのまま二人はお互いに吸い寄せられるように顔を近づけると…





永い永い口付けを交わした。まるで今まで遠回りしたぶんを取り戻すように。












…fin



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