( ^ω^)がマジ切れしたようです
- 291: ◆qvQN8eIyTE :2007/10/17(水) 02:10:53.48 ID:bKqaRTH90
- 開かれた光から遮る闇へ。
二人の影はその姿を隠す。
影さえ映さなくなった黒の世界で
足場さえ存在しなくなった空間で
二つの声が響き合う。
――なぁ、僕達はいつからここにいるんだい?
――624万と562時間と19分……くらいだね
――もうそんなに経っているのかい?
――そうだね
――また、暗闇に戻ったね
――でも、色々な「可能性」を見られたよ
――そう。そして「結果」もね
- 293: ◆qvQN8eIyTE :2007/10/17(水) 02:12:21.36 ID:bKqaRTH90
- ――「結果」というのは「可能性」を経て形を成す物なんだ
――うん。今までの光景でそれがわかった
――前にA君の話をしたね
A君には色んな育ち方という「可能性」があった
――でも、その過程はどうであれ、A君は今「結果」として存在している
――そう。そうなんだ。あらゆる可能性を乗り越えて、「結果」へと繋がる
――「可能性」はいくらでも存在するけど「結果」は一つしかないんだね
――そういうことだね
- 294: ◆qvQN8eIyTE :2007/10/17(水) 02:14:05.41 ID:bKqaRTH90
- ――願望や奮闘などお構いなしに、ただ「結果」は待っているんだね
今、僕が君を見たり触れたりできないのも、きっと「結果」なんだ
――手紙がちゃんと届くかが「可能性」
ちゃんと届いたから「結果」
こういうこと、かな
――そうだね。でも、ときどき「結果」ってやつはイレギュラーを起こすんだ
――イレギュラー、かい?
――そう。例えば、その手紙が時空を遡ったり、ね
――そんなことあるわけないじゃないか
――でも、実際何処かで有り得た話かもしれない
時間ってやつは、膨大で不鮮明なものだからね
- 295: ◆qvQN8eIyTE :2007/10/17(水) 02:15:47.76 ID:bKqaRTH90
- ――その流れの中では、イレギュラーがあってもおかしくない、と?
――そうだね。実際、君も世界を跨いだ交流を感じたんじゃないかな
――どこか遠く、遠く。果てなく続く大地の先
確かにそこで何かを見た気がする
――それもまた「可能性」と「結果」が織り成した展開なんだ
――悲しみの少女、不可解な青年、常識外れの変態、非現実的な淑女、色欲に溺れた男
これら、全てが深い記憶にリンクしている気がする
――きっとそれは心の底、夢のような時間に見られた光景さ
現実からのイレギュラーとしての、夢
- 296: ◆qvQN8eIyTE :2007/10/17(水) 02:17:28.82 ID:bKqaRTH90
- ――とても楽しかった気がする
心が弾んで、気分が高揚して
――でもそれはイレギュラー。現実ではないんだ
――そっか
――うん。でも夢は望めば見られるのさ
――それは「可能性」が「イレギュラー」した「結果」として、かい?
――半分は正解
――もう半分は?
――望むわけだから、「イレギュラー」ではない。正常なことなのさ
- 297: ◆qvQN8eIyTE :2007/10/17(水) 02:18:56.59 ID:bKqaRTH90
- ――夢を見たい、ということが?
――そう。願望を持つのは誰しもが行うことだから
――なら
――なら?
――また、夢を見たい
――うん。君がそう言うのはわかっていたよ
より深い闇が訪れた
闇を更に上塗りするように
- 298: ◆qvQN8eIyTE :2007/10/17(水) 02:20:44.27 ID:bKqaRTH90
- 一層深くなる闇の中
瞼の裏に今までの光景を投影した
様々な世界
様々な人
様々な繋がり
様々な可能性
様々な結果
様々なイレギュラー
- 299: ◆qvQN8eIyTE :2007/10/17(水) 02:22:17.36 ID:bKqaRTH90
- 哀しみは不可解へ
不可解は非常識へ
非常識は非現実へ
非現実は淫らかへ
淫らかは哀しみへ
帰宅部だけ取り残されて
全てが繋がり
そして
全てを巡った
- 301: ◆qvQN8eIyTE :2007/10/17(水) 02:24:02.04 ID:bKqaRTH90
- 「やぁ、こんにちは。夢の中の僕」
「こんにちは。僕」
「今やっと気付いたよ。夢の中では僕は全てであって、全てが僕であるって」
「そうだね。だから、僕は君。すなわち僕なのさ」
- 304: ◆qvQN8eIyTE :2007/10/17(水) 02:25:40.34 ID:bKqaRTH90
- 歩むように、駆けるように
匍うように、跳ねるように
「可能性」と「結果」の繋がる「イレギュラー」な世界で
「暗闇」の中の「光」に照らされて
過去となった物語は
静かに幕を閉じる
「こんにちは。そして、夢の中でお休み。僕」
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