( ^ω^)がマジ切れしたようです

118: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 22:37:59.73 ID:E+udxsG90
店内に入ると、まず真っ先にゲームソフトの陳列棚が飛び込んできた。
子供の声がたくさんにあり、ロマンティックな雰囲気には程遠い。
おもちゃ屋さんの時点で分かりきっていたことだけど。

フサさんはゲームに目もくれず、どんどんと突き進んでいく。

(*ノωノ)「フサさん? そこって女の子のコーナーだよ?」

私の声を振りきって着いた先には、人形が立ち並んでいた。
男の子が遊ぶようなロボットなどのフィギュアでなく、女の子用のバービー人形やリカちゃん人形だ。

ミ,,゚Д゚彡「覚えてるか、昔無理やり風羽に人形遊び付き合わされたの」

言われて途端に恥ずかしくなった。
子供の頃を持ち出すのは卑怯だ、誰しも昔の無邪気な自分を恥ずかしく思うに決まっている。

ミ,,゚Д゚彡「俺らって毎日飽きもせずに良く遊んだよな。
  いっつも人形を使ってのままごとに付き合わされていたっけ」

(*ノωノ)「あぷー、昔のことは恥ずかしいから止めてよ……」

ミ,,゚Д゚彡「風羽、話し方が昔になってる」

(*ノωノ)「え、あ、ごめんなさい!」

ミ,,゚Д゚彡「いいよ、ようやくそうやって話してくれて嬉しいから」

笑いながら人形を手に取るフサさん、どこか和んで落ち着いている自分がいた。
すごく居心地がよかった、そしてとても懐かしかった。



121: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 22:39:48.66 ID:E+udxsG90
二人で昔のことに花を咲かせながら商品を見ていると、とある人形で目が止まった。


(*ノωノ)「これって……」


当時私が持っていた王子様とお姫様のセットが『復刻版』と題して置いてあった。
懐かしい、私は数ある人形の中でもこの王子様の人形が一段と好きだった。

(*ノωノ)「この人形、フサ君に似てるね」

ミ;゚Д゚彡「別に似てねーよ」

(*ノωノ)「すねないすねない、褒めてるんだから」

私はこの王子様ファッションが嫌いで、別の人形の普段着を着せていたっけ。
特別これといって着飾らない服装……

(*ノωノ)「あ、フサ君の今日のファッションも、昔私が着せていた服装に似てる」

ミ;゚Д゚彡「〜〜ッ!! そうかもな、俺が無意識にそいつをインスパイアしたのかもな!」

(*ノωノ)「怒らない怒らない、褒めてるんだから」

すねたそぶりが可愛くって、更に言うとフサ君も観念した。
頭を撫でてあげたくなって、そんな自分たちを想像してまた笑みが出た。



122: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 22:41:36.15 ID:E+udxsG90
昼食は界隈のパスタ専門店へ行った。

(*ノωノ)「ねえ、フサ君は麺類で何が好き?」

ミ,,゚Д゚彡「俺? 俺はスパゲッティだな、他はどうでも良いや」

(*ノωノ)「へー、さすが外国の王子様……」

ミ;゚Д゚彡「だからちげーって!」



食事後は洋服店を回った。
服を物色する私と一緒でも暇そうにせず、積極的に話し掛けてくれるからすごく居心地がよかった。
男の人は女性の買い物に付き合うのは苦手だって良く聞くから心配だったけれど、フサ君は例外みたい。

(*ノωノ)「どうかな、この服?」

ミ,,゚Д゚彡「風羽って黄色好きだよな、黄色と白」

(*ノωノ)「うん、黄色って可愛くて優しい色」

ミ,,゚Д゚彡「だからさ、たまには別の色でも良いんじゃない?
  色一つで大人っぽくなれるぜ?」

(*ノωノ)「……それって遠回しに私のことを子供っぽいって言ってない?」

ミ,,゚Д゚彡「すねるなすねるな、褒めてんだ」



125: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 22:43:32.34 ID:E+udxsG90
私の些細な質問や反応にも受け答えしてくれて、すごく楽しい。
恥ずかしながらにも、ずっとこの時が続けばなんて望んだ。

女の人は、傍にいてるれる男性に弱いんだと思う。
私にはとても遠距離恋愛なんて無理だな、それを確信した。


そして夕方、後ろ髪を引かれながらも内藤先輩との約束が近づくといよいよお別れとなる。

(*ノωノ)「すみません、この後私用があって……」

ミ,,゚Д゚彡「気にしなくても良いよ、忙しいのに付き合ってくれてありがとう、楽しかったよ。
  それで、これを今日のお礼に」

(*ノωノ)「?」

渡された袋を開けると、ハンカチーフが入っていた。
明るい紫地で少し派手な模様かなとも思ったけれど、買い物の時にフサ君が私に勧めてくれた色合いに良く似ている。
私にこの色が似合うと考えてくれたのだろう、そう思うと素直に嬉しくて、大切にしなきゃって思えた。

(*ノωノ)「ありがとう、でも私からは何もなくて……あぷー」

ミ,,゚Д゚彡「気にするなよ、半日風羽自身を借りたお礼だよ。
  そう思うなら、代わりに今度また付き合ってくれな」

(*ノωノ)「うん、絶対」



127: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 22:45:17.26 ID:E+udxsG90
両手を大きく振って名残惜しく別れると、そのまま駅のロータリーで内藤先輩の車を待つことにした。

(*ノωノ)「フサ君か……」

懐かしさの余韻が私を包み込んでいた。
一緒にいる安堵感は昔から変わっていないのだろうきっと、悲しさや辛さを紛らわせてくれる、そんな存在。
温かく優しい、漆黒の夜だった私の心に光を当ててくれる太陽。

言葉遣いを崩して会話したのなんて本当に久しぶりだった。
社会人になってから幾度と(特に内藤先輩に対し)崩したいなと考えつつ、とうとうできなかったのに。
一気に距離が近づいた気がして、まるで本当に恋人同士だなんて思って。


すごく楽しくて、最高の一時だった。
もっと、一緒にいたいと本気で感じた。


フサ君の余韻に浸りながら、駅前のロータリーにいると見慣れた車がやってきた。
パールホワイトのコンパクトカー、内藤先輩の車だ。

両手を振って合図すると、恥ずかしそうに私の前に車をつけてくれる。



131: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 22:47:13.71 ID:E+udxsG90
(*ノωノ)「内藤先輩、えーと……こんにちは?」

午後五時という微妙に時間に、こんにちはかこんばんはかに悩んだ。
無難にこんにちはと言うと、内藤先輩もこんにちはと返してくれた。

(*ノωノ)「助手席失礼しますね」

( ^ω^)「むしろ後ろの座席に坐られたら地味に傷つくお」

(*ノωノ)「じゃあ、先客がいても……助手席取っちゃいますよ?」

フサ君の影響か、いたずらっぽい受け答えが頭に浮かんだ。
先輩への気持ちのアピールにと、つい途中で詰まりながらも口に出してしまった。
それでもこの私が内藤先輩にこんな事を言えるなんて……恥ずかしいかな、それでも最高の出だしだと思った。


(;^ω^)「お……お、でも助手席は事故の時危ないらしいお、後ろの方が安全だお……」


内藤先輩は反応に困ってか、なぜか事故の時の話に……調子に乗ってはいけないな。
前言撤回、出だしは少し気まずいものだった。



133: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 22:49:01.88 ID:E+udxsG90


( ^ω^)「風羽さんは仕事着と普段着って分けているのかお?」

(*ノωノ)「はい、一応仕事の時は服装自由といってもピシッと決まったのを着ますね」

( ^ω^)「それでかお、同じ『私服』だけど休みに会う風羽さんの方が何て言うか……」

「可愛い」って言って欲しかったけれど、残念ながら内藤先輩は言葉を濁してそこで止まった。
残念に思いながら、逆に内藤先輩の服装も褒める。

(*ノωノ)「内藤先輩こそ、今日はカジュアルですね、格好良いです」

( ^ω^)「ありがとうだお、でもこの突き出たお腹を引き締めないと、服装負けだお」

(*ノωノ)「いえ、今ぐらいがちょうど良いですよ、健康的で」

ここ数日の落ち込みようが嘘のように、今の私はとても積極的だ、フサ君の効果かな?

フサ君とは恩人と言うことで今日の買い物に付き合ったけれど、今から考えるととても酷い話だ。
あんなに優しくしてくれて、あんなに楽しませてくれて、プレゼントまでくれたのに……
私は深く考えることもせずに、恩人という理由だけで付き合ったのだから。

また後日、改めて私から誘わなきゃ。
今日の分の贖罪として、一日中付き合ってもらおう。
それでまた、おもちゃ屋さんで子供のようにはしゃごう。


(*ノωノ)(フサ君……)



135: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 22:50:52.63 ID:E+udxsG90

( ^ω^)「風羽さん?」

(*ノωノ)「あ、はい!」


自分の名前を呼ばれて、つい考え事に浸っていたことに気付いた。
最悪だ、せっかく内藤先輩が誘ってくれたのに、別の事を考えていて話を何も聞いていないなんて。

( ^ω^)「どう思うお?」

(*ノωノ)「えと……あぷー、ごめんなさい、ちょっとボーっとしていました……」

本当に最悪だ。



私が他所事を考えていたのを気にしてか、内藤先輩はその後も積極的に話をしてくれた。
きっと私が楽しんでいないなんて思ったのだろう、内藤先輩は必至に盛り上げようとしてくれた。

私はと言うとフサ君の余韻ももうない、ダメな自分の嫌悪しながらも、頑張って内藤先輩と話を続けた。

……頑張らないと、先輩とは話が続けられないのだろうか?
フサ君の時には考えもしなかった疑問が頭を掠めた。

今の私はすごく宙ぶらりんなのかもしれない。



136: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 22:52:42.98 ID:E+udxsG90
目的地のお蕎麦屋さんへ到着したのは18時前、食事時間としては少し早い目で然程混雑は無く、少し並んだだけで席に案内された。
座敷に連れられ、内藤先輩と相席で坐る。

(*ノωノ)「私普通のざる蕎麦が良いです」

( ^ω^)「僕もそれにするお」

トントンと注文を済ませると、お手拭を手にとって話をする。

(*ノωノ)「楽しみですね、話題のお蕎麦なんて」

( ^ω^)「僕も初めてだからwktkだお。
  そういえば、この後はどうするお?」

(*ノωノ)「えと……特に考えてないです」

( ^ω^)「だったら僕のオススメの場所があるんだお、そこで少し話でもどうかお?」

(*ノωノ)「はい、喜んでお付き合いします。
  先輩オススメの所だなんて、すっごく楽しみです」

こうやって休みの日に二人っきりで会うのなら、遊びも良いけどやっぱり一番には話がしたい。
私は内藤先輩のことを何も知らない、だから今日は……
そのオススメの所で色々と聞きたいな、内藤先輩の少年時代の事なんかを。



139: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 22:54:31.65 ID:E+udxsG90
運ばれてきたお蕎麦はとてもコシがあって、量は然程多くなかったのにお腹いっぱいになった。
ところで内藤先輩はワサビを沢山つゆに入れていた、ワサビが好きだとのこと。
思わぬ収穫と、頭のメモリにしっかりと焼き付けた。


食事を終えてから少しのんびりしたかったが、入り口では外にまで続く長蛇の列が出来ていた。
渋々と早々にお店を立ち去り、内藤先輩の運転で『オススメの場所』へと向かうことに。
向かう途中に何度か聞いてみるも、その場所は到着まで秘密だそうだ。

街のネオンが見える辺りまで来ると、コインパーキングに車を止める。

( ^ω^)「ここから少しだけ歩きだお」

(*ノωノ)「はい、分かりました」

まぶしい街を歩いていると、つい手を繋ぎたい衝動に駆られる。
これだけ沢山の通行人がいるのだから、誰にも気付かれないだろうなんて考えてしまう。
ここで腕を繋いだとしても、それは私たちだけが知る秘密。

まったく子供っぽい話だ。

( ^ω^)「到着したお、ここだお」



140: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 22:56:20.30 ID:E+udxsG90
目的地は少し明るさを抜けた先にあった。
「バーボンハウス」と大きく書かれた看板の下から店に入ると、オレンジ色の光で照らされた趣ある木造りの空間が広がる。

促されるままにカウンター席へ坐ると、流れでカクテルを注文した。
内藤先輩はミルクだった、車だからアルコールが飲めないのは当然だけれど。

(*ノωノ)「ここって、バーって言われる所ですか?」

( ^ω^)「そうだお」

内藤先輩はそう頷くと、何か言葉を続けようとして止めた。
私が話し掛けずに待っていると、決心したように続きを発した。

( ^ω^)「ここは僕とツンが付き合う切欠になったバーなんだお。
  ここにいると不思議と、言い難いことも口に出せるようになるんだお」

一瞬内藤先輩がなんと言ったか分からず、頭が真っ白になった。
恥ずかしいくらい表情は悲しい顔をしていたことだろう、実際激しく悲愴し、虚しさが津波の如く押し寄せた。
まるで私という存在が内藤先輩から消されたのではないかという程の錯覚を覚えた。

どうしてわざわざ私にツンさんのことを言うのか、それが分からなかった。
その一言で私がどれだけ傷ついて、心を沈めたことだろう。


それとも……言い難いことがあるのだろうか。

内藤先輩が。

私に。



142: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 22:58:06.40 ID:E+udxsG90
カクテルが来たので軽く口をつける。
とても美味しいけれど、あまり酔いたい気分ではなかったため、すぐガラスコップをコースターの上へと戻した。

(*ノωノ)「内藤先輩」

先輩はのんびりゆっくりと反応した。

( ^ω^)「なんだお」

今度は私がゆっくりのんびりとする番だ。
心を落ち着けると、言葉を繋いだ。

(*ノωノ)「内藤先輩とツンさんって、会社で出会ったんですよね?」

( ^ω^)「会社……の前から知ってるお」

のんびりと会話が続く。

( ^ω^)「ツンと僕は、小学校から同じだったお」

(*ノωノ)「……」

( ^ω^)「でも子供の頃は全然話なんてしなかったから、会社からと言っても誤謬ないお」

そんなことすら知らなかった自分にひどく幻滅した。
そうか、私とツンさんは根から違ったのだ。
記憶のずっと深くにまで張り巡らされた、綿密な関係が二人にはあったのだ。



144: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 22:59:53.75 ID:E+udxsG90
(*ノωノ)「内藤先輩の子供の頃って、どんなだったんですか?」

( ^ω^)「……」

次は内藤先輩が黙った。
そうだ、いつもこの話題になると内藤先輩は会話を曲げてしまい、結局私は先輩について何も知らないのだ。
自分を語ろうとしないのは先輩の悪い癖だ。

( ^ω^)「風羽さんはどうだったんだお?」

(*ノωノ)「私はそうですね、ちょっと陰気でした。
  引っ越しが多くて、何度か祖父母の家へ預けられていたので友達も少なくて……
  そうです、この前助けてくれたフサ君はその田舎での唯一の友達でした」

( ^ω^)「仲良かったんだお?」

(*ノωノ)「はい」

言うと内藤先輩は少し残念そうな、哀愁ある顔を見せた。
嫉妬じゃないことは明白だった、でも、それならばどうしてそんな顔をするのだろう?

私に先輩は理解し難い、そんな現実に押し潰されそうだった。
こうやって沢山話をしていく事で、まざまざとその事を思い知らされるのではないか、と。



147: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:01:42.99 ID:E+udxsG90
(*ノωノ)「内藤先輩、別の質問良いですか?」

( ^ω^)「なんだお?」

(*ノωノ)「言い難いことって、何ですか?」

内藤先輩は驚いて目を見開いたけど、次にはいつも通り優しく笑ってみせる。

( ^ω^)「風羽さんには敵わないお。
  仕事をしてると感じないけど、こうやって話すると本当に思うお」

(*ノωノ)「あぷー、お仕事のことは勘弁してください」

こういった細かな事に気付くのは、内藤先輩が好きだから、これは絶対。
言動一つ一つがすごく気になってしまうのだから。
それらを深読みしてしまって、恥ずかしいほど一喜一憂してしまうのだから。

だから……私を特別のように言わないで。
私にこれ以上期待させないで。
これ以上、想いを強くさせないで。

( ^ω^)「風羽さんってすごく良く周りを見てて尊敬するお」



148: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:03:31.71 ID:E+udxsG90
とんでもない、それはまさに私が内藤先輩に対して思っていることそのままだ。
きっと内藤先輩は、私が先輩を見る以上の視点や気配りで全体を見ているのだろう。
だからあんなにも気配りが上手く、優しいのだ。

(*ノωノ)「内藤先輩って本当、誰にも優しいですね」

(;^ω^)「おっおっ、買いかぶりすぎだおとんでもないお!」

聞き上手だし、意見もよく合わせてくれる。
でも褒められるのは苦手、とても不思議だった。
こんなに良い性格だったら小さい頃から褒められていそうなのに。

( ^ω^)「そういえば、そのカクテルはおいし――」

  「ブーン?」

(( ゚ω゚))「!!」

突然後ろからかけられた声に、内藤先輩がビクッと震えた。
ブーンとは内藤先輩のあだ名だ、知っている。
そして女の人の声、まさかこの声の主は……


(;^ω^)「つ、ツン……」

ξ#゚ー゚)ξ「ブーン、女の子と随分楽しそうなことで」


まさに修羅場だろう、彼女のツンさんに見られてしまうとは……内藤先輩にひたすら申し訳なくなった。
どうなってしまうのだろうか、私は驚くばかりで、何一つと言葉を出せなかった。



152: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:05:18.76 ID:E+udxsG90
(;^ω^)「いやいやいや、ツンこそどうしてここへ!?」

ξ#゚ー゚)ξ「あら、恋人との思い出の場所へ憩いを求めやって来るのはそんなに不自然な行為かしら?
  恋人のいない夜を嘆き一人で感慨に浸りに来たのですが何か?」

(;^ω^)「いや、えと、こちら会社で僕直属の後輩の風羽さんだお」

まさか私に振られるとは予想だにしていなく、戸惑うばかり。
先輩を恨めしく思いながら、ツンさんへと会釈する。

(*ノωノ)「あ、はじめましてツンさん、風羽です……」

ξ゚ー゚)ξ「内藤から話では聞いているわよ、可愛い後輩がいるって」

(*ノωノ)「いえ、でも内藤先輩はとっても真面目で、私なんて女としてじゃなくてちゃんと後輩としてで。
  その優しくしてくれますがそれは皆にそうで、えと、ごめんなさい何が言いたいのかわかんなくなっちゃいました……」

ξ゚ー゚)ξ「風羽ちゃん? 聞いていた通り、可愛いわね。
  高卒ってことはまだ十代かしら? 若いって良いわ……ねえ、ブーン?」

(;^ω^)「え、いや二十代半ばにも半ばの美貌といいますかお、相応の魅力が……」

(*ノωノ)「ツンさん、あの本当に内藤先輩はツンさんが好きで、私なんか歯牙にもかけられないです!
  仕事でしぶしぶ、無理言って付き合ってもらってばかりで」

私は突然何言っているんだろう?
どうしてわざわざ内藤先輩とツンさんの仲を仲介しているのだろう私は。



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