( ^ω^)がマジ切れしたようです

154: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:07:06.36 ID:E+udxsG90
弱いんだ。
好きな人一人奪う度胸も無い、そして好きな人が変わってしまうのを恐れているんだ。


私では ツンさんの 代わりになれない と 自分で理解しているのだ。


別の人を好きなあなたが好き、良く聞く言葉だけれど、その意味を今ようやく知った。

ξ゚ー゚)ξ「ぷ……風羽ちゃんって言ったっけ?
  本当可愛いわねぇ、冗談よ冗談!」

(;゚ω゚)(いや、半分マジだった、十回死んだと思ったお)

ツンさんが笑顔を戻すと、内藤先輩もようやく安堵の息を吐く。
それにしてもツンさんとは初対面なワケだが、なるほど内藤先輩が惚れるわけだ。
頼り甲斐あるキビキビとした印象を受け、内藤先輩とはバランスがよく、とてもお似合いだと傍目からでも感じた。

その素晴らしさが悔しくて悲しくて、到底勝てる気などしなかった。

ξ゚听)ξ「風羽さん、始めまして。聞いてると思うけれど、私がツン」

(*ノωノ)「あ、はい、風羽です、始めまして」

ξ゚ー゚)ξ「挨拶ならもうしてもらったわよ」



156: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:08:53.34 ID:E+udxsG90
笑って言うツンさん、すごく良い人だ。
私と距離を近づけようとしてくれている、それが分かる。
警戒しなくても大丈夫だよって。

ξ゚ー゚)ξ「なるほどね、ブーンが好きになるわけね」

(*ノωノ)「え、ええっ!?」

得意げに笑って見せられるが、本当に私は焦ることしかできなかった。
まさか内藤先輩の彼女であるツンさんが、こんな事を私に言うなんて……予想外だった。
当然良く見られたい、気に入られたいと望んでいたけれど、突然そこまでの発言をされても覚悟ができていない。

内藤先輩は、黙ってうつむいていた。

ξ゚听)ξ「それでブーン、好きだったら……言わなきゃいけない、分かるわよね?」

( ^ω^)「……」

言う?
何をだろうか、真っ先に告白かとも思ったけれど、お門違いも甚だしい理想妄想だ。

ξ゚听)ξ「何のために今日は誘ったのよ、バカじゃない!?
  そうやって逃げ続けるの、変わってないわね。
  好きなんでしょこの子を、じゃあ言わないでどうするのよ!」

( ^ω^)「……」



158: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:10:39.86 ID:E+udxsG90
ξ゚听)ξ「もういいわ、私から」

( ^ω^)「僕から言うお!」

ξ#゚听)ξ「言えてないじゃない!」

(#^ω^)「でも言うお、絶対、僕が言うおッ!!」

怒鳴り合い、次には互いに睨み合う。
ただの喧嘩にしては少々度が過ぎている、では何なのかこれは?

私の何が関係あるのだろうか、私のせいなのだろうか?


内藤先輩は私に何を伝えたくて、今日ここに誘ったのだろうか?


(`・ω・´)「ダンナたち、悪いね、店内は静かに頼むよ。
  少ないなりにもほかのお客さんもいるもんでね」

( ^ω^)「……。マスター申し訳ないお、今日はもう帰りますお」

(`・ω・´)「そうかい」

お会計を済ますと、そのまま3人で車に乗りこみ、終始無言のまま家まで送って貰った。
そして内藤先輩と最後に約束した。
来週の日曜、またバーに行こうって、そこで話をするって。



161: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:12:34.76 ID:E+udxsG90


私たちの仕事場は、基本は毎週日日曜日と他一日が休みの週休2日制となっている。

イベント業務の補助がメインであり、イベントは日曜日に多い。
日曜日を明ける事で、自分の携わらないイベント業務の補助に行ける為だ。
当然自分たちが携わるイベントに関しては休日返上で業務となり、どこか別の日に代休を頂く事となる。


バーでツンさんと会ったその日は、自分が何をしたのかという自問でいっぱいとなり、なかなか寝つけなかった。

あの二人に何か言われることがあっただろうか?
心当たりがないからこそ、悩み苦しかった。

あんな喧嘩じゃない、仲の良い二人を見せ付けられたかったなんて言うと、調子のいい釈明なのだろうが。


月曜日、内藤先輩はいつもとなんら変わらない様子で、いつも通り私に接してくれた。
とても心の強い人だ、改めて尊敬した。
どんな人生を歩めばそれほど強い心を手に入れることができるのだろう?


火曜日、クライアントの要望で突然仕事が増え、この日は少し残業した。
仕事自体はそこまで切羽詰まっていなかったので、なんとかこなせて安心。
相変わらず内藤先輩とはいつも通り、会話はするけれど日曜のことは話しなかった。


水曜日、昨日増えた仕事を一気に片づける。
夜、内藤先輩から日曜日の待ち合わせについてのメールが来た。



162: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:14:00.85 ID:E+udxsG90


木曜日、内藤先輩は今週この日が休みだった。


金曜日、滞りなく仕事は終了、定時に帰れた。
土曜日曜と私は休みなので、自然と仕事もはかどった。



土曜日、私は思い立ってお昼前に繁華街へと乗り出した。
バスを乗り継ぎ、歩くこと十数分、「バーボンハウス」と書かれた看板は、昼の明るい世界では少し寂しい。

中に入ると、他にお客さんは数人いるだけだった。

(`・ω・´)「いらっしゃい……と、この前のお嬢さんかい」

(*ノωノ)「あ、先週はすみませんでした。
  ……お客さんの顔、一人一人覚えているんですか?」

(`・ω・´)「まさか。初めての人なら、一騒動でもない限りなかなか」

(*ノωノ)「あぷー……」

(`・ω・´)「はは、注文が決まったら呼んでくれ」

言うとマスターは別のお客さんの所へと行ってしまう。
薄暗いこの店内は、一人でいるにはすごく居心地が良かった。



168: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:16:20.04 ID:E+udxsG90
大きくため息をついた。

明日はいよいよ内藤先輩と会う日だ、だというのにどうしてこうも乗り気になれないのか。

(*ノωノ)「何があるんだろ……先輩、私に何か隠してたのかな?」

ボソボソと独り言をしていると、マスターが私の前にやってくる。
考えてばかりで注文の決定をなおざりにしていた。

(*ノωノ)「あ、すみません、まだ決まって……?」

(`・ω・´)「あちらのお客様から、あなたにだそうですよ」

目の前に置かれた、レモン色のカクテル。
驚いて言われた先を見ると、そこには見知らぬ人がいた。


( ・∀・ )


思い出そうと努めるが、まったく心当たりがなくピンと来ない。
どこかでお会いしたかと尋ねるには距離があり不自然だ。

ナンパというものだろうか、それともバーではこういった行為は日常茶飯事なのだろうか?
ドラマなどでは良く見かけるが、実際バーに来ることなど皆無な私では、結論は出せず終いだ。

私にはつい最近、フサ君の時もまったく思い出せなかったという前科がある。
しかし残念ながら、どれだけ悩もうと合致する記憶は回顧できなかった。



169: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:18:19.13 ID:E+udxsG90
とりあえずカクテルを持って、会釈して口をつける。
少しの酸味が良いアクセントとなっており、爽やで飲み易い。

(*ノωノ)(お客さんも少ないし、こういうものなのかな)

そう結論づけ、ありがとうと再び軽く会釈をすると、男の人は満足したのかお勘定をする。
視線を送ったが、その人はこちらをチラとも見ずにバーから出ていこうとした。

その時だった。


( ・∀・ )「お嬢さん、あなた……少し自分勝手が過ぎるようですね」


ドアが閉まる寸前にその人は私の方へ振り向き、言葉を残してドアは閉まった。

すぐさま追いかけようと立ち上がったけれど、残ったカクテルや注文をしていない事が頭を掠めた。
いや、これは言い訳だろうか?
怖いのだろうか?

(`・ω・´)「いいよ、行ってきなよ。
  そして戻っておいで、カクテルはその時改めて出すようにしよう」

(*ノωノ)「あ、ありがとうございます!」

マスターの言葉は、まるで私を後押してくれたように感じた。
一歩が踏み出せない私を見かねて、背中をポンッと。



173: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:20:23.66 ID:E+udxsG90
バーから出ると、その人はちょうど路地裏へと消えてしまうところだった。
慌てて後を追い、路地裏に入り込むとそこには誰もいない。
煙のように、その人はいなくなってしまった。

(*ノωノ)「あ……れ?」

( ・∀・ )「誰かお探しかい?」

頭上から声がし、見上げれば廃ビルの2階の窓に腰かける、男の姿があった。

( ・∀・ )「狐につままれたような顔をしているね。
  だがあいにく僕は狐ではなく、案内人のウサギだよ。
  ウサギを追いかけてくるとは、ずいぶんと好奇心旺盛だね、不思議の国に迷い込んだアリスお嬢さん」

(*ノωノ)「……」

( ・∀・ )「風羽さんだね、知っているよ。
  僕の自己紹介はまだだったか、僕はモララーというんだ、以後お見知りおきを」

バーにいた時からずっと、その人はほのかな笑みを止めなかった。
まるですべてを知っていて、私の行く末を娯楽として眺めているような、達観した視線。

( ・∀・ )「つかぬことですが、あなたは夢を見ますか?
  ああ、夢と言っても自分の未来への希望ではなく、寝ている時に見るものですよ」

(*ノωノ)「……」



175: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:22:11.68 ID:E+udxsG90
唐突な、真意の図れない質問に返答できなかった。
未知のものに出会った恐怖、そしてそれとは違った第六感の知らせる危険。
喉が乾き、先刻のカクテルが恋しくなった。

黙り込んでいる私に向いて、「仕方ないな」とモララーさんは笑いを強めた。

( ・∀・ )「そうですね、質問を変えましょう。
  たとえば、夢の中で知らない街にあなたがいたとしても、それに疑問を抱きませんよね。
  夢でいつもの街がその景観を変えていても、疑問を抱かずに当然としてそれは存在していますよね」

(*ノωノ)「……」

( ・∀・ )「ここは、あなたが暮らしてきた、街ですか?」

(*ノωノ)「!!」

( ・∀・ )「あれは、本当にあなたの知り合いですか?」

『あれ』とはフサ君のことだろう、直感でそれが理解できた。

こめかみに銃をあてがわれた。
包み隠していたモノの外装を一気にナイフで切り裂かれた。
開けてはいけないパンドラの箱を、叩き割られた。

どんな比喩を持ってしても、今の心境を説明するには不十分なほどだ。



179: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:23:58.08 ID:E+udxsG90
( ・∀・ )「あなたはあの時、本当に3人でしたか?」

あの時、車に轢かれかけた時、私と栖来先輩と内藤先輩の3人だったのか?

止めて、止めて、ごめんなさい、だから開かないで、すべてを明かさないで。
知りたくなんてない、幸せに私はいたいの、楽しく皆と一緒にいたい、今のままでいたい。
何がいけないの、どうして知らせるの、これ以上望んでなんていないのに。

( ・∀・ )「あなたが塞ぎ込んでいた理由は、本当に髪型の失敗だったのですか?」

(*ノωノ)「止めて、もう本当に止めてお願いッ!!
  違う、私は本当にあの時先輩と話していたから!
  落ち込んだ私を先輩は優しく慰めてくれた、覚えている、ちゃんと記憶にある!」


落ち込み、服装、喧嘩……この上ない違和感が脳を覆いつくす。


自分が信じられなくなる事がこんなにも怖い事だったなんて。
その鮮明な記憶が嘘だなんて……考えた事などありはしない。
記憶だけは事実として私を形成してくれていた、いわば私の人生そのものだ。


そして今、それが崩されようとしているのだ。
成すがままに蹂躙されるしかないのだ。



( ・∀・ )「それではこれは……何ですか?」



183: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:25:53.66 ID:E+udxsG90

いつの間にか眼前にいたその人は、私の右手の袖をまくった。


真横一線の痕が映る。



ぞっと背筋を何かが駆け抜けた。



私がリストカットをした……何故?



内藤先輩。裏切り。電話。流れる血。



植物。




(*ノωノ)「いやあああぁぁあぁぁぁ!!」



188: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:27:51.76 ID:E+udxsG90
頭の中に様々な映像や記憶が混沌と雪崩れ込んでくる。
どれだけ抗おうと次から次に甦るそれらは、私を一瞬に蝕んだ。

気絶するかと思うほど痛烈な痛みが脳天を走り抜け、脳がパンクしそうだった。
頭が中から破裂しそうだった。

( ・∀・ )「ウサギを追いかけてきたお嬢さん、トランプの兵隊、女王様、ここはすべてが絡まったおもちゃの世界」

理解できない事象の数々に、ただ頭痛に耐えることしかできなかった。
これまでの人生は何か、自分が信じられない今、一体何を信じればいいのか。

( ・∀・ )「風羽さんでしたか、落ち着いてください。
  何もとって食おうというわけではないのですから」

とって食われるだけならばどれだけマシだっただろうか。

とりあえず相手の言葉通り落ち着こうと努める。
気になることはあるが、頭痛に吐き気がすざまじく、これ以上考え続ければ間違いなく脳が壊れる。


考えていたよりも簡単に思考は停止した。
記憶を信じられない人間とは、まるで操り人形のようだ。

そして、助けてくれと懇願の目をモララーさんへ向けた。



190: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:29:36.91 ID:E+udxsG90
( ・∀・ )「そんな目で見られてもねぇ……。
  つかぬことだが、君は童話『不思議の国のアリス』の最後を知っているかい?」

不思議の国のアリス。

痛い頭をなんとか回転させ、脳みそをえぐられるような痛みに耐えて記憶をまさぐった。
信じるに値しない記憶の数々を除けていると、まるでガラクタを漁っているような錯覚に陥った。


(*ノωノ)「あ」


思い出した瞬間、自分の上辺の記憶が全て剥がされる。
真と偽が綺麗に分割され、脳の痛みが嘘のように吹きとんだ。

次に来るのは、怒涛の悲しさの津波だ。

(*ノωノ)「……夢」

不思議の国で色々と事を起こしたアリス、その最後は木陰で姉と一緒に眠っていたのだ。
そう、全ては彼女自身の生み出した、『夢』だったのだ。


それが何を暗喩しているのかは考えるまでも無い。



193: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:31:21.61 ID:E+udxsG90
私は髪型なんかで気落ちしていたのではない、内藤先輩がいなくなってしまい、絶望に打ちひしがれていたんだ。
髪型は気分を一新しようとバッサリ切ったけれど、結局そんな簡単なことで心は元気を取り戻せなかったんだ。
あの日は栖来先輩がそんな私を気遣ってくれて、『2人』で買い物に出かけたんだ。

ドラマの話も雑誌やニュースも、反応しない私のために、必至に栖来先輩が話してくれたんだ。


(*ノωノ)「あの事故は……」

( ・∀・ )「そうだよ、実際に遭った事故だ。
  今君は重体患者として病院にいる、分かるね?」

(*ノωノ)「これは私の夢なの? 街行く人たちも、先輩も、あなたも……」

( ・∀・ )「君にとって都合の良い世界であることは事実だが、残念ながら皆が皆君の創造物じゃない。
  ここは君の夢でもあり、生と死の狭間の世界でもある。
  君は今、単純に生と死を彷徨っているんだ、大好きな先輩たちのようにね」

(*ノωノ)「……」

涙が一気にあふれ出た。

(*ノωノ)「良かった……じゃあ、内藤先輩とツンさんは、本物なんだ……」

あの二人は私の作り上げたものではなく、植物状態である本当の二人なんだ。
今は現実にいない、それでも死んでもいない……本当の二人なんだ。
あの二人が本物で……いや、それでは合点いかない事がある。



196: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:33:32.13 ID:E+udxsG90
(*ノωノ)「それじゃあ……フサ君は……」

だって、鮮明燦然と甦った私の記憶に、フサ君と言う人間は存在しない。
だとすると彼は何なのだ、ここが生と死の狭間だというなら……

( ・∀・ )「残念だが、彼はトランプのジャックだ。
  生と死の狭間とここを言ったが、彼は魂すらない。
  当然生きてなどいない、君の作り上げた住民であり、いわば死の象徴だ」

体から一気に力が抜け、その場に坐り込んだ。

( ・∀・ )「フサと言う人間は存在しないよ」

(*ノωノ)「止めてよッ、違う、フサ君の事何も知らずに死だなんて言わないで!
  違うよ、私は遊んだもん、フサ君と一緒におままごとして……遊んだ……」

( ・∀・ )「もう君自身気付いているだろう、何をそんなに強情になっているんだい?
  そもそも本来であれば君がずっとここにいたいと願うならそれで良かった。
  僕もわざわざ出向いて事実を打ち明ける必要が無かった」

(*ノωノ)「だったらなんで!?」

( ・∀・ )「そう、『先輩』もどうして君に話しようとしたんだと思う?」

一緒にいる最中、突然真面目になって私をバーへ連れって行ってくれた内藤先輩。
きっとこの事を私に話すためだったのだろう、ここまで言われれば私でも理解できる。

しかしどうしてだろう?
モララーさんも、関係のない話だから黙っていてくれればよいものを、どうして?



199: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:35:20.44 ID:E+udxsG90
( ・∀・ )「時間がもうないんだ。
  車に轢かれた君の体は重体で、戻らなければ近日中に死んでしまい、ここにすらいられなくなる。
  君は選ばなければならないんだ、生か死かを」

『生』か『死』、なんて馬鹿げた二択だろうか。
誰が死をとるというのか?
そう、誰が好き好んで死を取るというのか……

(*ノωノ)「フサ君……」

( ・∀・ )「私を信じて生きるか、フサ青年とともに死ぬか。
  もう一つ、『先輩』と一緒に居続けるか……」

(*ノωノ)「内藤先輩と?」

( ・∀・ )「君ほぼ近日中に死ぬ、だがゼロではない。
  『先輩』がいつか目を覚ますかもしれない、同じくらい儚いが君が生き続ける可能性だってあるだろうに」

つまり、私には選択権があるんだ。
内藤先輩を選ぶか、フサ君を選ぶか、モララーさんを選ぶか。

無茶言わないでほしい、誰を裏切れというんだ、ここで選ばない人間とはもう二度と会えないかもしれないというのに。

(*ノωノ)「それに、仮に戻ったとして、その世界が現実だって保証はどこにあるの!?
  これは夢ですよね、痛みもあるし寝ていれば夢も見る世界なのに夢なんですよね、まだ信じられないのに。
  もしかするとこの世界が夢のまた夢の世界の可能性だってあるんですよね!?」



戻る次のページ