( ^ω^)がマジ切れしたようです
- 203: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:37:50.94 ID:E+udxsG90
- ( ・∀・ )「どうしてそれを僕に聞くんですか?
参ったね、どれだけ僕はお人良しなんだい」
(*ノωノ)「……」
( ・∀・ )「今が夢か現実か、そんな君のことを僕が知るわけないだろう。
今の君を信じられるのは君だけだ、自分自身がそう、信じるしかない」
今さっき自分の全てが信じられなくなったばかりだと言うのに、次には信じろと?
無茶にも程度がある、元よりそんな重大な決断を決められるような気強さなど私には無いだろうのに。
( ・∀・ )「そもそもこれが夢と分かったところで、その世界の人を見捨てるのかい?
君が考えている以上に、ここが夢か現実かなんてどうでもいい話なのさ。
そうでなければ、今君がこんなにも悲しんでいる理由はないだろう」
そうだ、ここが夢と分かって割り切れるのであれば、私はフサ君の事など心に留めずにスッパリと切り捨てられるハズだ。
とんだ見当外れの質問をしていた、まったく思慮の浅はかさに嫌気ばかりがさす。
(*ノωノ)「その通り……です」
( ・∀・ )「これは君の夢で、僕たちはただの登場人物だと思っていないかい?
この街は実在し僕たちは僕たちとして個々に存在する、少なくとも僕たち自身にとってはね。
君こそ僕の夢の登場人物かもしれないし、戻った先こそ誰かの夢かもしれない」
複雑に入り乱れた話に混乱する私へ、モララーさんは今までと同じ、しかしどこか優しい笑みを浮かべてくれた。
( ・∀・ )「安心しておくれ、この街の住民は貴方の味方ですから。
あとは、他のお二方に任せるとしましょうか……と、そうだ」
- 207: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:39:41.03 ID:E+udxsG90
- モララーさんは時計と封筒を取り出すと、私へと差し出す。
( ・∀・ )「時計をあなたに授けましょう。
ウサギは時計を持っているものですよ、辛くなったら文字盤を見て、心を落ちつけて下さい」
私は男の人用の太くて大きい腕時計を受け取った。
( ・∀・ )「そして……その痛々しい腕首を隠しなさい。
女性がそんなもの、露わにするべきではありませんよ」
横に真直ぐに引かれた切り跡、痛々しい記憶と傷痕。
もういない内藤先輩、存在しないフサ君。
(*ノωノ)「……すみません」
( ・∀・ )「泣いているのですか?」
言葉を発することも出来ず、首を振るとモララーさんは笑いを和らげた。
( ・∀・ )「そしてもう一つ、手紙を。
少しでもあなたの手助けとなれば幸いです」
(*ノωノ)「はい」
渡された封筒を開けて中身を見た瞬間、私は驚愕のあまり目を白黒とさせた。
- 209: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:41:27.71 ID:E+udxsG90
- 『 あなたにとってこれは、きっと突然のお手紙となっていることでしょう。
以下には私が経験から得た事実を認めます、助けになれば本望です。
あなたは今、どこにいますか?
明確な返答は、恐らく でしょう。
ただ、自分 界ではない、どこか別の場所に迷い込んでいることは分かって頂けるでしょう。
結論を言いましょう、あなたは
自身はまるで のでしょうか、私も初めはまったく理解できませんでした。
様々な るのです
居心 なものか、私に知る術はありません
ただ、その世界は ことを理解して下さい。
そこにいる人たちは 、あなたの ではないことを把握して下さい。
そう、それは夜寝ている時に見る、束の間の、それでいてとても長い時間です
あなたがどのように帰結するの せんが、しっかりと現状を捉え、結論を出して下さい。
心が固まり誠の決意が定まれば、おのずと元の世界へ戻るないしその世界へ留まれることでしょう。
あなたが は個人によって異なるのでしょうが、』
- 214: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:43:16.43 ID:E+udxsG90
- (*ノωノ)「……。あの」
( ・∀・ )「勘違いしないでくれ、僕が描いたものではないし、元から汚れていたんだ。
だから言ったんだよ、『少しでも助けになれば幸い』だって。
まぁ僕も物持ちが良い方でないし、少なからず要因の一端を担ってもいるけれどね」
(*ノωノ)「下の方が破れて……」
( ・∀・ )「うん、元から元から、気にしちゃいけないよ」
一番大切な所がないじゃないか、そんな風に考えていたら口元が緩んでしまった。
ヒントになんか到底ならないこの手紙、実際なら絶望に打ちひしがれでもしそうなものだけれど。
( ・∀・ )「いいね、やっぱり女性には笑顔が一番似合うよ」
言われてつい表情を引き締めてしまった。
実際は笑っていられるような状況ではないのに、不謹慎だなんて考えてしまって。
次には現実に改めて押し潰される自分が、やはり私は強い心と無縁だ。
モララーさんは残念だと言いたげにため息をついた。
( ・∀・ )「さて、それでは僕には帰りを待つシャム猫と帽子屋がいるのでね。
案内役のウサギの出番はこれにて終わりですよ。
これ以上の案内は不要でしょう?」
(*ノωノ)「……はい、後は私が決めなくちゃいけないって、私でも分かります」
- 216: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:45:02.73 ID:E+udxsG90
- 涙が遅れて出てきたけれど、気付かないふりをしてモララーさんは手を振ってくれる。
( ・∀・ )「それでは、あなたの出す結論を楽しみにしています」
私は本当に不思議の国のアリスなんだ。
これはたった夢、そんな自身の夢に振り回される……アリスなんだ。
モララーさんがいなくなってからしばらくは、思考が止まった。
現状をまとめようという決心に反して、脳がそれを拒絶する。
防衛本能が、律義にもこんな自分勝手な人間を守ってくれている。
思い出したように歩き始め、焦点の合わない虚ろな面持ちだろうままバーへ戻ると、客は一人もいなかった。
私を確認するやマスターはカクテルを出してくれる。
頷いてそれに口をつけた。
(`・ω・´)「おいしいかい?」
(*ノωノ)「しょっぱいです」
(`・ω・´)「そうかい」
そんな私に、ナッツチョコを出してくれる。
やっぱりしょっぱかった。
- 218: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:46:52.17 ID:E+udxsG90
- (`・ω・´)「顔を隠さなくても良いよ、ここではすべてを吐き出しても良いんだ。
涙がどれだけ出ていようと、鼻水がどれだけ出ていようと、どれだけくしゃくしゃな顔だろうと構わない。
ここは我慢する所じゃないんだよ、風羽さん」
(*ノωノ)「え、名前……?」
驚いて顔を上げると、マスターは手を伸ばし、その涙をぬぐってくれた。
(`・ω・´)「俺も昔、君と同じで車に痛い目をみせられてね、死の直前まで行ったんだ。
笑われるかもしれないが、三途の川近辺にバーがあって、生きていた時の色々な話を聞いて貰ってね。
生きているとプライドが邪魔をする、死との狭間で初めて俺は素直になれたんだ」
(*ノωノ)「……マスター、それって今と一緒じゃないですか」
(`・ω・´)「ああ、だから俺はこうやってバーを始めたんだ。
君のような人を、助けるために」
マスターはどこかから椅子を持ってくると、のんびりと腰かける。
カウンター越しに私たちは向き合った。
(`・ω・´)「別に君に現実世界へ戻れと言う気はない、そこは勘違いしないでくれ。
俺の望みは一つ、君が本当に自分の納得できる結果を出すことさ。
存在しない者を選ぶか、狭間の者を選ぶか、生きる現実を選ぶか」
(*ノωノ)「……どうして、フサ君は現れたのでしょうか?
ずっと昔のことなのに、どうして今になって……」
- 221: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:49:05.56 ID:E+udxsG90
- 私がフサ君を生み出したのは遠い昔だ。
小学校の頃父親の転勤を切欠に、私は二年間ほど田舎のおばあちゃんの家へと預けられた。
当然友達なんていない、都会者というだけで迫害された。
元々都会にいた私にとって、田舎での遊びはとてもではないが内輪に入れるものではなかったから当然だろう。
田んぼに浸かったり、イモリやカエルを捕まえたり。
沢山の虫がいるだろう野山を駆け回ったり。
性格が内気となった事もあり、完全に相手にされなくなったんだ。
そんな私は、いつも一人で人形を使い、おままごとをしていた。
フィギュアさん、フとサをとってフサ君。
王子様人形に安直にもそう名をつけて、ラフな普通の格好に着替えさせていた。
お姫様人形は大人の私、子供ならではのベタな設定、いっつも同じ展開ばかり飽きずによくやっていたものだ。
お姫様の私はいつも孤独で寂しかったんだ。
独りの寂しさから、とうとう私は城を抜け出して街に出る。
そこで野蛮な人たちに襲われた私を助けてくれた人こそが異国の王子様であるフサ君だった。
そんな何の捻りも無い、ごく単純な子供染みた設定だ。
(`・ω・´)「君がそう望み、それを望んでいたんだ、違うかい?」
- 222: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:50:44.95 ID:E+udxsG90
そうだ、その通りなんだ。
大人で独りっきりの私。
寂しい私。
助けだしてくれた人。
まさに子供の頃の設定をなぞらえた、私の王子様なんだ、フサ君は。
(*ノωノ)「なんで……子供の時だよ、私だって忘れていた大昔だよ?
どうすればいいのよ、なんで私を助けるの?
どうして、私はどうすればいいの!?」
一気にカクテルを飲み干すと、私の前に改めて違う飲み物が出てくる。
その些細な優しさにすごく救われた、涙は次々に出溢れた。
(*ノωノ)「ごめんね、ごめんね……」
(`・ω・´)「また、結論を出したら是非教えてくれ。
どうであれ、俺は君を応援するよ」
- 225: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:52:47.29 ID:E+udxsG90
家に帰ると、電気もつけずにベッドにダイブして携帯を手にとる。
メモリからフサ君を出すと、通話ボタンに指をあてた。
不思議と心は落ち着いているも、指を動かす勇気は出なかった。
(*ノωノ)「フサ君……」
繋がらない気がした。
電話をかけて繋がらなかったらもう二度と会えない、それを何となしに確信していた。
一度メール画面に切り替えて、フサ君から貰ったいくつかのメールを見る。
消えてなんていない、やっぱりフサ君は存在するんだ。
でもどうしてこんなに電話をかけたくないのだろう。
どうして繋がる気がしないのだろう。
胃がキリキリと痛み出した。
(*ノωノ)「本当弱いな、私……弱くてバカだ」
「もし」フサ君がいなくなっていたとしても、それを認めたくないんだ。
確認さえとらなければ、どこかにいるなどとふざけた考えに固執することで自分は苦しまなくて済むんだ。
次会ったら昔の事やフサ君の存在についてちゃんと話をしようなんて、その気もないのに考えて自分を納得させるんだ。
(*ノωノ)「フサ君、分かるよ、まだ存在してくれていることくらい分かるよ。
なのにどうしてこうも渋っているんだろうね」
- 228: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:54:31.92 ID:E+udxsG90
- ゴロンと横に転がると、自分の髪の毛を枕にして携帯の通話ボタンを押した。
ピッピッピッと電子音が鳴り響く。
嫌な間だった、寝る前の秒針音のように、ずっと私の耳に残り続けそうな音だった。
プルルルル プルルルル
(*ノωノ)「!!」
心臓が飛び跳ね、私自身も飛び上がりそうだった。
電話は私の心なんて考えてもくれず、あっさりと繋がる。
携帯を耳に当てることすら怖かった。
ミ,,゚Д゚彡「もしもし?」
(*ノωノ)「……なんで?」
なんで出るの、なんでいるの?
- 230: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:56:14.28 ID:E+udxsG90
- やっぱり私は弱くて卑怯なままだ。
フサ君に出て欲しくなかったんだ、話をしなくちゃいけないけれど、怖くて止めたかったんだ。
自分の夢だったら……望めばその通りになるなどと勘違いして、傲慢にフサ君を消そうとしていたんだ。
フサ君のことを心配している振りをし、何よりも一番に自分を擁護していたのだ。
ミ,,゚Д゚彡「ん、どうかしたのか、風羽」
(*ノωノ)「フサ君……、うん、ゴメンねいきなり電話して」
深呼吸をし、覚悟を決めて電話へ話す。
(*ノωノ)「昔、私と何して遊んだか覚えてるかな?」
ミ,,゚Д゚彡「……人形遊びだろ?
人形を使ってのおままごとに付き合わされたな、今となっちゃいい思い出――」
その記憶は私にもある、嫌がるフサ君を無理やり私が付き合わせた記憶。
偽りの記憶。
(*ノωノ)「私が聞きたいのはそんな答えじゃない。
私の、本当の、記憶の方」
一気に緩みかけた涙腺を引き締め直す。
電話越しに強い決心を伝えた私に、フサ君はずっと黙っていた。
- 235: ◆7at37OTfY6 :2007/10/12(金) 23:58:26.50 ID:E+udxsG90
- (*ノωノ)「明日、会えるかな?」
ミ,,゚Д゚彡「ああ、俺はいつでも会える」
(*ノωノ)「じゃあ明日、正午におもちゃ屋さんで」
ミ,,゚Д゚彡「ああ」
約束も早々に、強い決心を見せたまま電話を切ろうとする私をフサ君は止めた。
ミ,,゚Д゚彡「おやすみ、健康に気をつけろよ」
私は何も言い返せなかった。
勃興する感情に涙腺が緩み、虚勢が一気に剥がれ去って弱い自分が露呈する寸前だったから。
電話は、フサ君の方から切られた。
明日、私は平気でいられるのかが心配で堪らなかった。
いられないことが、手にとるように分かったから、こそ。
- 241: ◆7at37OTfY6 :2007/10/13(土) 00:00:58.77 ID:HiuDdhYs0
次の日、昼からはフサ君と、夕方からは内藤先輩との対面が私の気分をひたすらに重くさせた。
気乗りしない怠惰な体に鞭を打ち、約束のおもちゃ屋さんへ移動する。
到着したのは1時間以上前だ、当然フサ君はまだいなかったけれど、もしかして……と少し怖かった。
どれだけ臆病なんだろう、バカみたい。
迷わず人形の並ぶコーナーへ行くと、フサ君とそっくりな人形を見て、また昔を懐古した。
(*ノωノ)「……だから、か」
当時の人形セットはすべて海外のログハウスなんかが主流で、和らしいものなどまったくなかった。
おままごとに使っていたセットも同様だ。
だから登場人物の好きな食べ物はすべて、私の持っていたグラタンやスパゲッティだった。
王子様の好きな食べ物は、スパゲッティにしたっけ。
(*ノωノ)「忠実すぎるよね、本当」
男の人用の腕時計を見ると、集合時間まではまだ40分以上あった。
(*ノωノ)「早いね、フサ君」
ミ,,゚Д゚彡「風羽の方がな、どもこんちは」
(*ノωノ)「こんにちは」
皮肉なほど自然な笑いができる自分がいた。
こんなに辛いというのに、自分で自分が分からなくなるほど気分も上向いた。
- 245: ◆7at37OTfY6 :2007/10/13(土) 00:02:33.54 ID:HiuDdhYs0
- 挨拶ついでに、手に持ったフサ君似の人形も一緒にお辞儀をさせる。
フサ君は恥ずかしそうに頭をかいた。
可愛いって言ったら怒られそうだな。
ミ;゚Д゚彡「もうその人形は勘弁してくれ」
(*ノωノ)「だーめ」
その場で少し話をして、食事に移ろうとおもちゃ屋さんを出た。
そして洋食屋さんを探し、特に選別もせずに入る。
(*ノωノ)「カルボナーラ二つ」
ミ,,゚Д゚彡「え?」
(*ノωノ)「今日は、一緒にカルボナーラ食べたい気分」
無理やり注文を決めると、そのまま仕事の話で盛り上がる。
頼んだものはすぐにも来た。
(*ノωノ)「美味しいね」
ミ,,゚Д゚彡「うん、うまいな」
この楽しいひと時は、すぐに過ぎていこうとする。
本題を恐れながら、私は相当せわしく口を動かしていたことだろう。
逃げているといわれるかもしれない、それでも本当に……楽しかった。
- 246: ◆7at37OTfY6 :2007/10/13(土) 00:04:04.31 ID:HiuDdhYs0
食事を済ますといよいよだろうか、フサ君が真面目な面持ちを見せ始めた。
次第に私の口数も減っていき、缶ジュース片手に最寄の公園へ行き着くと、ベンチに腰かけた。
フサ君が、いつもにも増してのんびりな口調で話し始める。
ミ,,゚Д゚彡「風羽、どこまで聞いたんだ?」
いきなり本題だ、前ふりもないのは不器用なフサ君らしかった。
(*ノωノ)「ほとんど全部だと思う」
私もゆっくりと答えて、ここでいったん話が止まる。
色々と思うところがあるのだろう、フサ君も、私自身も。
ミ,,゚Д゚彡「俺、正直今日もこの前もすっごく楽しかった。
おもちゃ屋さんに行っただけかもしれないけどさ、それだけでその一時をとても満足満喫していた」
私も頷いた。
それは一緒だ、塞ぎこんでいた自分なんてさっぱり忘れてしまうほど、強烈で最高の楽しさ一色だった。
ミ,,゚Д゚彡「多分、俺はおまえが好きなんだろう。
だからなんてことなくたって、あれだけ楽しくいられたんだと思う」
私も頷いた。
それも一緒だ、私だってフサ君が好きだ。
懐かしくて優しい感じ、一緒にいるとすごく安心できるその包容力。
- 248: ◆7at37OTfY6 :2007/10/13(土) 00:05:52.24 ID:HiuDdhYs0
- ミ,,゚Д゚彡「俺さ、思うんだ。
本当に風羽のことが好きなのなら、きっと俺について来るなって言うべきなんだって。
俺は空想物であり、死の象徴だから」
頷けなかった。
フサ君は死の象徴じゃないと否定したかったけれど、それもできなかった。
ただ黙って、言葉の続きを待つことしかできなかった。
ミ,,゚Д゚彡「『俺のことを忘れないで』なんて約束しながら、『好きな人が幸せに生きるのが一番だ』なんて言うべきなんだろう。
だからこれは間違いなく自分本位なんだ、分かってる」
フサ君は何度も頷きながら、自分に確認をとっていた。
そして大きく一度、最後の決心の確認として、頷いた。
ミ,,゚Д゚彡「でも、やっぱり俺は風羽が好きなんだ、一緒にいたいんだ。
だって、俺の存在理由は、存在価値はそれだけなんだから」
私だって一緒にいたい、ずっと、ずっと。
相思相愛なのに、なんで……どうしてこんなに辛く悲しいのだろうか。
- 252: ◆7at37OTfY6 :2007/10/13(土) 00:07:37.04 ID:HiuDdhYs0
- 『フサ君の存在価値』。
これは私が幼い頃に作った物語の登場人物なんだ、知っている、覚えている。
夢見がちにも私は飽きもせず、いっつも同じ設定で物語を作り上げていたんだから。
だからフサ君がこうして私を迎えに来てくれるのだって、私自身による設定なんだ。
そして彼は私にこうやって告白してくれるんだ。
ミ,,゚Д゚彡「お姫さま、あなたに自由を……俺は与えます。
だから、ついてきてくれ」
って。
臭いセリフを堂々と、恥ずかしげもなく、真剣に。
私の答えもいつも決まっていた、「私を自由にして下さい」って返答するんだ。
独りぼっちで寂しかった私を、彼は自由の世界へと手を取り連れ出してくれるんだ。
でも、答えられないよ。
(*ノωノ)「私は、先輩が、好きだから……。
無理でも、無謀でも、そして二度と話し掛けてくれることがなくても……好きだから。
私が守らなくちゃいけないから」
ごめんなさい、私が勝手に設定を作って、勝手に私の事を思わせて、勝手に具現化させて……。
本当に自分勝手なのは私だよ、でも、やっぱりダメだよ。
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