( ^ω^)がマジ切れしたようです

371: ◆tOPTGOuTpU :2007/10/07(日) 01:15:43.72 ID:tbIWpeWF0
ホテル編その2

('A`)「はぁ……」

ドクオが意識を取り戻したのは、ホテルの自室のことだった。
ボーっとしながら、今日の出来事を思い返してみた。

クーのことが気になるも、恥ずかしいから仮病する。
しかし、それでは解決にならないとばかりに、やっぱりクーネジ世界へ行く。
キチガイに会う。
逃げる。
てんやわんやでいつの間にか設定ノートGETしたくなる。
てんやわんやで手に入れたが、結局それを使わずに告白。
撃沈。何故か自殺したくなるも
気絶。今に至る。

(;'A`)「………」

てんやわんやの部分がよく覚えていなかった。
まるで時間の経った夢のように、断片的には何かの1シーンを思い浮かべることが
出来るのだが、それを連続させて内容をつなぎ合わせられないのだ。

自殺したくなった理由も分からない。
とりあえず頭の中で何かを朗読したような、操作されたような、
それを無意識の内に受け入れてしまっていたような、そんな印象だ。



379: ◆tOPTGOuTpU :2007/10/07(日) 01:18:20.96 ID:tbIWpeWF0
(;'A`)「プロットにすると、メチャ最高にくだらん出来事の連続だな……」

掛かっていた布団を払いのけ、ふと気づく。

('A`)「……誰かが運んでくれたのか」

オマケに、布団まで掛けてくれた。
誰だろう、もしかして、やはりあのメンバー全員で、だろうか。


そう考えるとドクオは何だかとても嬉しくなってしまい、
小躍りしながら冷蔵庫に向かい
缶ビールを何本も取り出した。



387: ◆tOPTGOuTpU :2007/10/07(日) 01:20:47.23 ID:tbIWpeWF0
(*'A`)「〜〜♪」


今日はお祝いだ、とばかりにロング缶のプルタブを開けて、
威勢のいい炭酸の抜ける音を聞きながら軽快に一飲する。



(*'A`)「アッー」


酒を飲むと、煩わしさがどうでもよくなる。


ドクオも例外ではなかった。



393: ◆tOPTGOuTpU :2007/10/07(日) 01:23:12.89 ID:tbIWpeWF0
気持ちのいいフラつきに酔いしれながら、頼りない足取りで
ドアへ向かう。ビール缶をいくらか抱えながら。


鍵を開けて廊下に出ると、目の前に広がる吹き抜けを囲む手擦りに凭れかかった。
足元にビールを置くと、溜息をつきながらボーっと
手擦りに体重を乗せて楽にしていたとき、
ふいに横から何者かが近づいてくるのが分かった。


('A`)「ショボンさん」

赤い絨毯の上を歩いている男は、

(´・ω・`)「やあ」

ドクオの記憶では、クーネジ世界で会っていないショボンだった。



400: ◆tOPTGOuTpU :2007/10/07(日) 01:27:24.15 ID:tbIWpeWF0
(´・ω・`)「えー……と、悪い、今日のワープ世界で会ったかな?」

顎に手をやりながら、スローテンポで話をし始めた。
ドクオは「いいえ」と返すと、
すなまそうに頭を掻いた。

(´・ω・`)「いや……そういえば君は確か行かなかったはずだね」


('A`)「はあ」

(´・ω・`)「では」

手を軽く上げながら、ショボンはそのままドクオを通り過ぎ、
階段へ向かって行き去った。


ドクオは何となく801な展開を頭の中で思い浮かべていた。
ただ、どうしてそんなことを考えてしまったのか、よく分からなかった。

まさか知らない間にとんでもないことがあったのだろうか。
咄嗟に貞操の危険を感じ取ってしまった。



406: ◆tOPTGOuTpU :2007/10/07(日) 01:30:19.95 ID:tbIWpeWF0
(#'A`)「何ですか!?」

(従゚ゝ゚)「どうだった」

('A`)「………」

その一言でドクオは、自分の心境の変化に気づいた。


('A`)「聞かせてやろうか? 俺の信念、心情」

(従゚ゝ゚)「yes」

('A`)「よかろう!」



411: ◆tOPTGOuTpU :2007/10/07(日) 01:32:33.92 ID:tbIWpeWF0


芝居がかった言い回しだった。既にドクオは半分酔っていた。
開けたビールを脇に置き、
語りを始めようと息を大きく吸い込むのだった。


ドクオの語る内容とは、即ち自分自身の恋愛観だ。
今日一日の、
不条理で、意味の判らない出来事。
告白経験。
そして失敗。
今までの経験。

全てを総合した、彼の1つの世界だった。



418: ◆tOPTGOuTpU :2007/10/07(日) 01:33:47.18 ID:tbIWpeWF0
('A`)「愛とか」

('A`)「恋とか」

('A`)「出会いとか」

('A`)「童貞とか」

('A`)「ヤリチンとか」

('A`)「ヤリマンとか」

('A`)「デートとか」

('A`)「そんなもん……」


      カッ



(゚A゚)「クソクラエじゃぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁああ!!!」



425: ◆tOPTGOuTpU :2007/10/07(日) 01:36:08.00 ID:tbIWpeWF0
(従゚ゝ゚)「おお」

(゚A゚)「ぜえっぜえっ……ハァッハァっ……」

(従゚ゝ゚)「言い切ったね」


('A`)「これが……今日で確信されし我が基盤よ!!」

(従゚ゝ゚)「いいねえ」

('A`)「俺は! 怖いから運命には喧嘩売らないけど、
   
    カップルには喧嘩売る!!1 心の中でなッ!」

(従゚ゝ゚)「ショボいねえ」

('A`)「これが俺の結果だ! 俺はダメ男の道に誇りを持つ!!」



432: ◆tOPTGOuTpU :2007/10/07(日) 01:37:55.42 ID:tbIWpeWF0
別にクーのことが嫌いになったわけではない。
今でも、好きな気持ちは変わらない……はずだったのだが、
ドクオの中では急速に価値観が捻じ曲げられてしまい、
ベクトルがワケの分からない方に向いていってしまうのだった。
今日の出来事は、ドクオの人生をほぼ決定づけた。

脱皮した。

(従゚ゝ゚)「そうか、これからも頑張れよ」

('A`)「何をだよ!!」

('A`)「うおおおおおお!!!」

叫び、酒を煽り、
笑い、肩をいからせ、ドクオは満足気な顔で従業員と
エロゲトーキングをした。

幸せだ、とドクオは感じていた。
しかし、それは一度カップルを見れば一瞬にして壊れても
おかしくないであろう、幸せだった。


でも、ドクオはそれを受け入れることにした。



438: ◆tOPTGOuTpU :2007/10/07(日) 01:39:36.04 ID:tbIWpeWF0
諦めかもしれない。
妥協かもしれない。
敗北かもしれなかった。


でも、ドクオはそれを受け入れることにしたのだ。

この信念こそがサイコロを投げた結果だ、俺はこれを信じていく。とばかりに。


「女とは、恋とは無縁の……童貞と共に男坂を歩む人生」

正直、負けだと思う。
でも、
ディスプレイの前のみんなは、もう歩んでいると思うと、勇気が湧いてくる。
ドクオは酔いながらそんなことを考えていた。


――ドクオとは、あくまでドクオである。   
                ドクオ・モイタン。

これこそが自分。
大道を勇ましく潤歩して大笑いできる気分だ。



445: ◆tOPTGOuTpU :2007/10/07(日) 01:43:15.93 ID:tbIWpeWF0


やがて従業員は一礼するとドクオに別れを告げ、
元々の目的地へと歩き出した。
ビールをしこたま飲んだドクオは彼の後姿をボーっと眺めながら、
その間にもビールを腹の中に流し込んでいた。

(*'A`)「まぁ〜たっ明日〜!」

角を曲がる従業員に、ビブラートの成り損ないを掛けた
歌で送ると、溜息をついて天窓に映る深い闇空を眺めた。

瞬く星の無数の輝きには、
どこか、悟らせるようなものがある。それでも信念は変わらない。

月の仄かな光。特にドクオは願い事をしようと思った。

目を見開いて満月を睨みつけたまま、必死に何を願うか、ドクオは考えはじめた。



451: ◆tOPTGOuTpU :2007/10/07(日) 01:45:44.57 ID:tbIWpeWF0
……

俺は、俺は……そりゃぁ、変わりたい。

ブーンやショボンと一緒に、改めて歩みたい。

でも、今の俺は果たして歩めるのだろうか。

今の俺は、変われたのだろうか。

……いや、恐怖から逃げたいって考えは、まだ  残っている。
だからまだ、俺は、頑張らなくちゃいけない。この旅行を。


この旅が終わるときはきっと、胸を張って

「おいショボン、昔の俺と思ったら大間違いだぞ!」って、笑いながら説教できるように。

「おいブーン! 俺も自分の住んでいる街を守るぜ!」って、澄んだ心で言えるように。

俺も頑張りたい、て 思えますように。



強くなって、変わらなくちゃ。
信念だけ手に入れたって、まだまだやることはある。



458: ◆tOPTGOuTpU :2007/10/07(日) 01:47:10.47 ID:tbIWpeWF0
ドクオはもう一度、天窓を見上げた。

いくら星が瞬いても、いくら月の光がシットリしていても、
背景の暗さ、闇の冷たさを打ち消すことは出来なかった。

冷たい空だ。

(*'A`)「飛んだら気持ちよさそうだなぁ」

ビールをグビ、と飲む。その一飲で缶の中は空になってしまった。
足元に置いてある新しいビールに手を掛ける。



463: ◆tOPTGOuTpU :2007/10/07(日) 01:48:16.71 ID:tbIWpeWF0
(*'A`)「……いや、やめとこう」

自制し、プルタブを開ける指の動きを止める。

明日も、明後日も、まだまだあるんだ。
俺は精力的に活動してやる。
二日酔いなんて、バカみたいな真似はしたくないな。


そう考えながら、ドクオは持ってきたビールの缶を全て手に持ちながら
自分の部屋へと戻っていった。 


熱いシャワーを浴びた後は、疲れたこの身体を
ベッドの中に飛び込ませたい。

明日も、変わってやる。


ドクオは部屋に入ると、ドアを閉めて鍵を掛けた。(ホテル編その2終)



戻る次のページ