( ^ω^)がマジ切れしたようです

198: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 01:32:22.38 ID:qIcFMYyu0





    ( ^ω^)がマジ切れするようです・Cグループ

               IN

          ま・じ・か・る・ツンデレ 

               &

              料理人

         

             ノル゚‐゚ノ編











202: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 01:33:26.72 ID:qIcFMYyu0
(*゚∀゚)「ななななななんでここにいるんだいっ!?」

ノル゚‐゚ノ「何故と言われましても。ここが今の私の家ですから」

私は当然のように答える。
ドクオ様は慌てて下着を着込んでいる。
可愛い。

そしてツー様は…何やら不穏な事をお考えのようです。
いえ、そのお二方は割とネタにしやすいのではないでしょうか。
どちらかと言えば吸○鬼とかで【街○生きる】ネタを消化してしまわないと…
後悔先に立たずになっても知りませんよ。

(*゚∀゚)「で、でも!! 入る時はチャイム鳴らすように言ってある筈だし、鍵だって…」

ノル゚‐゚ノ「チャイムは押しました。鳴らないのであれば故障かと思われます。鍵は開いていました」

(*゚∀゚)「え? マジ?」

('A`)「ホントだ。チャイム押しても鳴らねーや。昨日まではちゃんと作動したんだけどな…」

下着姿のマスターが律儀に確認しています。
でも、当然なのです。
私が破壊したのですから。

目の前ではツー様が大きなため息を一つ。
あの言葉を言うつもりでしょう。

サイドテーブルから口紅を手に取ると、
右の頬に大きくあの一文字を書き込みました。



208: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 01:34:44.48 ID:qIcFMYyu0
(炎゚∀゚)「ギアs」























('A`)「黙れ」

ノル゚‐゚ノ「つか、それ違いますし」



214: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 01:37:03.68 ID:qIcFMYyu0
(#'A`)「本気でこの辺にしとけよ…」

(*゚∀゚)「にょろ〜ん」

ドクオ様に叱られてツー様は微妙に肩を落としています。
ただ、気持ちも分からなくもありません。
マスターもよく協会に書類を提出する直前になると部屋の掃除をはじめていました。
私が自重を促すと、苦笑いしながら【人の常】と仰ったものです。

(*゚∀゚)「あるある」

('A`)「ねーよ」

ノル゚‐゚ノ「……」

…ドクオ様に否定されてしまいました。
分かりきっていた事とは言え、胸の【コア】が嫌な音を立てます。
感情を持てないアンドロイドの私。
それなのに…それなのにどうして…。
もし、私の電子頭脳が『苦しい』とか『痛い』と言う感情を疑似体験させているのだとしたら…滑稽です。

ノル゚‐゚ノ「本来であればそのネタは時系列的に存在しません。
    いくらお祭とは言え、もう少し熟考して欲しいものです」

(*゚∀゚)'A`)「いや、意味わからねぇから」

ちなみに。
御二人が『OTONA NO ZIKAN』を妨害されるのは既に全てに優先される規定事項となっております。
例え歴史が正しい道程を歩まなくなったとしても、それが変わる事はないでしょう。
諦めてください。



220: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 01:40:50.38 ID:qIcFMYyu0
('A`)「ま、どっちにしても2回戦は中止だな」

言ってドクオ様は指定席になっている床に寝転みました。何だか申し訳ありません。
私とつー様もそれぞれの指定席…ベッドに横になる。

ノル#゚‐゚ノ「……」

(*゚∀゚)「…?」

何故でしょう。
マスターと同じ匂いを感じます。
もしかしたら、あの【包丁小僧飯店】の店主はこの御二人の子孫かもしれない。
そう考えて調べた所、確かにその通りでした。
しかし、そうだとすればドクオ様からマスターと同じ匂いや空気を感じる事はありえません。

もし可能性があるとすれば。
規定事項どおりであればドクオ様は料理修業の為に渡った大陸で、テロに巻き込まれ…その後消息を絶ちます。
あの忌まわしい駆動兵器戦争の起こる大陸です。
何らかの可能性でマスターとドクオ様が何らかの関係があるのかもしれませんが、
あくまで可能性です。
確認しようと考えた事もありますが、それは規定事項から外れる行為。
ただ、一つの可能性として…今はマスターと似たふいんき(ryのドクオ様の側で。
私は身体を休めるだけしか出来ないのです。

そして。
その安らぎに抱かれながら。
私はこの、【私の事をなんかのアニメと勘違いしているフルテンション娘】との出会いを思い出していました。


……話は10日前に遡ります。



225: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 01:42:35.53 ID:qIcFMYyu0
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(´・ω・`)「とまぁ、そんな訳で。今日からしばらく働いてもらうことになった、
      ツンちゃん。ノルノちゃん。伊藤だ。みんなよろしくね」

ζ゚听)ζル゚‐゚ノ「よろしくー」

('、`*川「え? なんか私だけ扱い酷くない!?」

ノル゚‐゚ノ。oO(規定事項)

シャキンさんの紹介で私達3人は【新感覚中華ダイニング・バーボンハウス】に雇われる事となった。
これで住居は確保…出来ない。
私がこの時代の住居を確保するには、優先規定事項の補完も含めてまだ為さねばならない事が沢山ある。

今、このバーボンハウスは駅の反対側。
マンションの1階にあったコンビニの跡地を利用して3号店を建設している。
そのマンションに社員寮があると言うのだ。

ドクオ様を厨房に残して、全スタッフがスタッフルームに集まっている。
それぞれ料理長が自腹で購入した缶コーヒー片手に歓談ムード…






にはならなかった。

残念だけどこれは歴史の必然なのです。



228: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 01:44:03.39 ID:qIcFMYyu0
川 ゚ -゚)「君はツンと言うのか」

ζ゚听)ζ「あ、はい。よろしくおねがいします」

まず口火を切ったのは、ゴスロリ給士服の背に玩具の羽をつけたアメジスト色の瞳の女性だ。
最初彼女を見た時はてっきりホールスタッフだと思った物だが、実際は違うらしい。
全くこの時代の通貨を持たない私に、特例として給料の日払いを約束してくれる辺り
相当な権力を持つ人物なのでありましょう。
…実際にはそのような手段を使う必要などないのですけれど。

まず、アンドロイドの私には食事の必要がない。
体内の永久機関が全てを補ってくれる。
入浴の必要がない。
例え汚れたとしても、表面部をクリーニングするだけだ。
衣服を着用したり、住居を確保する必要がない。
衣服などは対人視覚操作装置で幾らでも変化できるし、不可視装置を発動してスリープモードに入れば
住居など無くても構わないのだ。

にも関わらず。
私がこの時代において衣食住を確保しなくてはならないのは、
私のような人造人間を見た事もない人々に対する配慮。
そして、その行為が規定事項であるからに過ぎない。

まったく。

人はこのような時『やれやれ』と言うのだろう。






232: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 01:45:38.84 ID:qIcFMYyu0
散々引っぱったり覗いたり揉んだりしてから、ようやくクー様はツンお姉さまを解放した。

(;*゚∀゚)「ご、ごめんね。この人はこーゆー人だからさっ!!」

ζ#゚听)ζ「どーゆー人ですかっ!! 頭のネジ外れてるんじゃないですか!?」

(*゚∀゚)「そんな事言われてもわたしが分かる訳ないじゃないかっ!! 逆切れはやめておくれよっ!!」

ノル゚‐゚ノ。oO(私の記録装置が確かであれば。世間では貴方の今の行動を逆ギレと言うのですよ)

気がつけば。
いつも私はこの時彼女を睨みつけている。
しかし、それも仕方ないのだろう。
何故…あの素晴らしいドクオ様が彼女の様な…いえ。何でもありません。

川 ゚ -゚)「世の中には3人自分にそっくりな人がいると言う。
     ドッペルゲンガー現象とか、生まれ変わりとか…そのような都市伝説も存在するが、
     私は自分で確認したこと以外信用しない性質だ。済まなかったな」

言ってクー様は背中につけられたおもちゃの羽を揺らしながら、自身の城であるバースペースへ戻っていく。

ノル゚‐゚ノ。oO(しかし。貴方は数年後、その不思議な現象を自ら体験するのです。
      僅かの時間…生き返り、その無念を晴らし…最後は愛しい人の下生まれ変わるのです。
      DATと言う存在によって…)


知らず知らずのうちに声に出ていたようだ。
ツー様が不思議そうな顔で私を見ていた。
眉以外そっくりなクセに出演機会ではすっかり差がある2人の男が漫画について熱く議論している。
その向こう。私からの視線に気付いたツー様ががっくりと肩を落とした。



235: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 01:47:18.35 ID:qIcFMYyu0
( ゚∀゚)「…女子高生いいなぁ」

( ,,゚Д゚)「…いいなぁ」

( ゚∀゚)「…あの制服の下にある熟れる直前の青い果実…いいなぁ」

(,,゚Д゚)「…いいなぁ」

( ゚∀゚)「…まだ女の子だけの秘密のワンダーウォールは健在なのかなぁ」

(,,゚Д゚)「…もしそうだとしたら…俺の股間のアルファベットで貫通してぇなぁ」

( ゚∀゚)「…その時は…俺達もきっとSの壁を突破できるんだろうなぁ」

この2人は放置しておいても大丈夫です。
金髪で顔中ピアスのコックは数十秒後フルボッコになる。これも最優先規定事項の一つなのですから。
つか、無許可です。真剣に自重してください。

それよりも問題は。私から視線を外そうとしないツー様の存在です。

こちらから視線を外す事は簡単。
しかし、それでは正しい歴史を外れてしまいます。

風が吹けば桶屋が儲かる。
この国にはその様な諺があると言います。
それは未来にも伝わっていて。

ただし、何故風が吹くと桶屋が儲かるのか。
桶屋などという物が存在しない未来では分かりませんでした。
それについて尋ねるとマスターは嬉しそうに教えてくれた物です。



241: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 01:49:29.17 ID:qIcFMYyu0
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

('A`)『いいか、ノルノ。風が吹くと桶屋が儲かるというのはだな』

マスターの愛機レオポルドUの整備室。
何故か作業服の上から白衣を着込み、ホワイトボードを前にしてマスターは言います。

('A`)『まず、風が吹く。ここまではいいな?』

私は頷く。

('A`)『風が吹けば雨も振る』

私は頷く。

('A`)『雨は夜更け過ぎに雪へと変わるだろう』

…そうなのだろうか。
しかし、マスターの言う事に間違いは無い。
私は頷く。

('A`)『きっと君は来ない。一人きりのクリスマス・イブ♪』

ノル゚‐゚ノ『……?』

マスターは突然歌いだす。
地球が健在だった頃、亜細亜地区の一部で好まれて歌われたクリスマスソングだ。
何故マスターが…と言う疑問は残るが、
『どうだ? 分かるだろ?』とでも言いたげにこちらを見るマスターを見て
半ば仕方なく私は頷いた。



243: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 01:50:42.16 ID:qIcFMYyu0
('A`)『ここまで来れば残りは簡単だ』

言ってマスターはホワイトボードをモニター代わりに何やら映像を映し出す。

そこに映っていたのは…。

http://images.amazon.com/images/P/B00005UD3U.09.LZZZZZZZ.jpg

何と表現すればいいのだろう。
この時代にある物で最も分かりやすく言うならば。
腐ったスヌーピー人形とでも言うべきだろうか。
そんな私を見てマスターは満足げだ。

('A`)『どうだ? これを見てどう思った?』

ノル゚‐゚ノ『先程マスターとご一緒した紅茶とクッキーを体内から逆噴射しそうになりました』

率直に答える。

('A`)『そうさ。人間もそう感じるんだ』

言いながらマスターは私に近寄ってきた。

('A`)『もし、吐いちまった場合。床に吐いたら掃除が大変だろ? だから桶が必要になり…桶屋が儲かるんだ
    これでまた一つ賢くなったな』

そして、その大きな手で私の頭を撫でてくれる。
私の…大切な思い出。



247: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 01:53:39.13 ID:qIcFMYyu0
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ノル゚‐゚ノ。oO(あ)

どうやら私は随分と電子頭脳内の記録回路が見せる映像に夢中になっていたらしい。
緩んでいた口元を引き締める。

少し離れた床の上。
案の定血だまりが出来ていて、ショボン様は私達に真新しい制服を手渡すとスタッフルームを出て行った。

ノル゚‐゚ノ。oO(早速着替えましょうか)

そう考えて衣服のファスナーに手をかけるが

( ゚∀゚)

何故かこの場に居る【自称・ジョル子】様の存在を思うとどうにも躊躇する。
理由を電子頭脳に解析させるが返って来た返答は【エラー】の一文字のみ。

(*゚∀゚)「……出てけ」

( ゚∀゚)「……ちっ」

ツー様の一言でようやく躊躇…いや、危険信号というべきか…は解除された。
念の為に厳重に鍵をかけ、再び私は衣服を脱ぎ始める。






249: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 01:55:33.46 ID:qIcFMYyu0
(*゚∀゚)=3「むはー!! ピンクだねっ!!」

ノル゚‐゚ノ。oO(…自重)

騒ぎ立てるつー様をよそ目に私は黙々とコックコートに着替える。
どうやら、制服の着方を教えると言う名目でツー様はここにいるらしいが
私はすでに何百回とこのコックコートに袖を通しているのだ。
問題は無い。

むしろ、全てのネタを消化してそれでも【自重】と言う単語を使うとは思いませんでした。
サービスタイム?
その様な物はございません。何を仰っているのですか? 意味が分かりません。
私達は真新しいコックコートに身を包むと、一人ホールに残るペニサスおねぇさまと別れました。

ζ゚听)ζ「…伊藤ごめんね」

ノル゚‐゚ノ「しかたありません。全ては料理長の判断。そして、規定事項です」

(*゚∀゚)「料理長の判断? 規定事項?」

ノル゚‐゚ノ「なんでもありません」

…傷ついた顔をしていますね。
しかし。

     (´・ω・`)「あの騒がしい伊藤ってのはホールね。厨房に騒がしいのが2人もいたら堪らないよ
           あ。これはツーには内緒ね」

そう言っていたのは料理長なのです。
私を恨まないでくださいね。



253: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 01:58:33.47 ID:qIcFMYyu0
そうして。
ドクオ様との出会い。
いや。
私から見たら【再会】というべきなのでしょう。

この時間旅行の中で、私を癒してくれる数少ない存在であるドクオ様。
ただただ私はドクオ様に見とれていました。

そんな私の周囲を、何やら騒ぎ立てながらツー様が走り回っています。

ノル゚‐゚ノ。oO(申し訳ありませんが)

私はドクオ様との今を守りたいのです。
ツー様限定での聴覚装置の音量を最低レベルに下げる。

ノル゚‐゚ノ「よろしくお願いします…間抜け面に無理したガイルヘアーが良くお似合いですね」

(;'A`)「へ? 俺? つか、今のって無許可だよね? 自重しないとやばいんじゃ…」

ノル゚‐゚ノ「問題ありません。ち○こを股に挟めば人類皆女と言うではありませんか。
    あ、私の事はノルノとお呼び下さい。中華料理店でバイトの経験がありますので自信があります」

('A`)「そうなの? そりゃ助かるなぁ。問題はこの店の味に馴染めるかだけど…」

それは問題ありません、ドクオ様。
なにせ私が料理のスキルを得たのは…この店なのですから。

(* ∀ )「……」

ノル゚‐゚ノ。oO(あ。倒れた)



261: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:00:14.94 ID:qIcFMYyu0


     番外編 ノル゚‐゚ノが炒飯について語るようです


('A`)「じゃ、まずはその自慢の味とやらを見せてもらおうかな」

倒れたつー様をスタッフルームに運び込み、厨房に戻ってきたドクオ様が言いました。

ノル゚‐゚ノ「炒飯でよろしいですね」

それを聞いたドクオ様がニヤリと笑う。

('A`)「分かってるじゃねーか」

ノル゚‐゚ノ「では、もっともスタンダードな葱炒飯を」

言って私はコークスに火をつける。
超強力な火で煽られた鉄鍋が白い煙を立て始めた。

ノル゚‐゚ノ「まずは鍋に油を染み込ませます」

オイルポットから玉じゃくしで2杯。
油を注ぎ込む。

ノル゚‐゚ノ「この時鍋に残った油だけで炒飯は仕上げます。ですから完全に捨てきらないで下さい」



265: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:02:27.55 ID:qIcFMYyu0
ノル゚‐゚ノ「一口に油と言っても種類は色々です。
    しっとり系の炒飯を食べたいのでしたら植物油を。香りが強すぎない太白胡麻油もよろしいかと。
    パラパラ系がお好きでしたらラードですね。
    バター? それではバターライスではないですか。
    マーガリン? オリーブオイル? 奇を衒えば良いという物ではありません」

('A`)「あ、あぁ」

ノル゚‐゚ノ「一人前につきしっかり混ぜ合わせた全卵を2個使います。
    お手軽に金色炒飯を作る方法として卵黄のみをこの中に追加するやり方もありますが、
    素人がやるとべチャッとする為に推奨は致しません」

私はアルミ缶に割り置きされた卵をお玉で半分掬い取ると、鍋に注ぎ込む。
熱した鍋にはしっかりと油がなじみ、卵が焦げ付く事は無い。

ノル゚‐゚ノ「次…に行く前に。次の食材を入れるタイミングです。
    ご飯の固さによって、卵をどこまで固くするか。考えておくべきです。
    ご飯が炊き立てなのに半熟状態の卵に放り込めばべちゃべちゃですし、
    ご飯が時間が経って固いのに火を通しすぎた卵では…おいしくありません。
    同様に、ご飯の量を増やした時。ご飯から出る水分の事を計算して卵に火を入れるべきでしょう」

('A`)「は、はい」

ノル゚‐゚ノ「私は卵の後にご飯を投下するタイプです。
    先に葱を投入する方もいらっしゃいます。
    これについてはあくまで好みでして。
    シャキシャキ感を味わいたければ葱の青い部分をご飯の後に。
    甘味を味わいたければ葱の白い部分をご飯の前に投入するべきです。
    玉葱? ケチャップライスにしてオムライスでも作るおつもりですか?
    これは独り言ですが…いつもありがとうございます」



269: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:03:35.46 ID:qIcFMYyu0
ノル゚‐゚ノ「ご飯についても色々ですね。
    炊き立てご飯でしっとり派の方もいらっしゃいますし、
    固いご飯でパラパラ派の方もいらっしゃいます。
    どちらにしても、卵の火の入れ方次第でどちらにも対応できる筈です。
    ちなみに。こちらではジャポニカ米を使ってらっしゃいますが、
    最近ではジャスミン米と言う品種がパラパラ派では人気のようですよ」

'A`)「…お詳しいですね」

ノル゚‐゚ノ「ご飯を投下したら最初に簡単に卵と絡め、ご飯の塊を叩いてほぐします。
    強く叩くと水っぽくなりますから注意ですよ」

A`)「仰る通りでございます」

ノル゚‐゚ノ「形が出来てきたら味付けに上湯。これも叩いて形を無くします
    塩で味の調整をして味見。私が分量や火力を間違える訳がありませんから不必要ですけどね」

`)「……」

ノル゚‐゚ノ「5回火で煽ったら5回叩く。5回火で煽ったら5回叩く。
    これを数回繰り返していただいて。
    仕上げは胡椒。香り付けに醤油を鍋肌に垂らして焦がしたり、日本酒や老酒を垂らしても良いですね」

)「……」

ノル゚‐゚ノ「これを濡らしたお玉で掬い取り、お皿に盛り付ければ…炒飯の完成です。
    あれ? ドクオ様? ドクオ様?」

「…俺より上手い……ウツダシノウ」



272: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:04:55.48 ID:qIcFMYyu0
そしてその日の仕事後。
ドクオ様はつー様をタクシーに詰め込んで立ち去っていった。

(,,゚Д゚)「なんかアイツ元気なかったけどどーしたんだ?」

川 ゚ -゚)「俺は未熟だ…とかしきりに繰り返していたようだが」

ノル゚‐゚ノ。oO(……)

ごめんなさい、ドクオ様。
やりすぎてしまったようです。
でも、これも全て規定事項。
この屈辱を乗り越えてドクオ様は一回り大きな料理人になります。
そして。
この屈辱を忘れられない貴方様は、自身を磨く為にツー様とお子様を置いて修行の旅に出て…
全ては規定事項なのです。

('、`*川「ねぇ、ノルノ」

ノル゚‐゚ノ「ん?」

来ましたね。

('、`*川「あんた、ずっとあの宇宙生命体の事見てたけどもしかして…」

宇宙生命体と言うのが何を指しているのかは分かりません。
もし、マスターの事であれば確かにマスターは宇宙で生活している生命体でありますが、それをペニサスおねぇさまが知る筈もありません。
そして。そのペニサスおねぇさまの言葉を耳ざとく捕らえた人物がいました。



276: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:06:22.03 ID:qIcFMYyu0













         (´・ω・`)「恋の匂いがするわ」















284: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:09:14.12 ID:qIcFMYyu0
(,,゚Д゚)「何だゴルァ!! いきなり気持ち悪ぃ!!」

(´・ω・`)「私は恋の匂いをかいで大きくなるの」

川 ゚ -゚)「自重しろ。無許可だ。つか、2回もやるのはダメだろう。常識で考えて」

その通り。
しかし、この言葉に当然喰い付いてくる者がいる。

('、`*川「kwsk」

…ペニサスおねぇさまは「いや、あたしはどっちでも…」と言うツンお姉様の袖を掴んで放しません。

川 ゚ -゚)「これは…マネージャーとして放ってはおけん問題だな」

(´・ω・`)「そうよね。ショボ子も激しく同意だわ。スキンヘッドだけに禿同ってヤツよ」

自重。3回目…しかも複合ネタは流石に危険です。そんな所で根性試しをしないで下さい。

('、`*川「そうと決まれば」

ペニサスおねぇさまがニヤリと笑う。

('、`*川「これからノルノの新居で引越し祝い&暴露パーティじゃぁぁぁぁぁっ!!」

     おおーっ!! うぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 教会に火をつけろぉぉぉぉぉぉ!!

ペニサスおねぇさまの一言に。
皆様は楽しそうに…本当に楽しそうに歓声をあげました。



289: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:10:31.79 ID:qIcFMYyu0
ノル゚‐゚ノ「……」

今。私の目の前では皆様が大盛り上がりの真っ最中です。

全ては【今まで】どおり。皆様の一人一人、一字一句たりとも【今まで】と変わりありません。
そして。このまま進展すれば…燃え上がるのは教会ではないのです。

     『本当にこれでいいのか?』

電子頭脳ではなく、胸の【コア】の中から誰かが問いかけてきます。

ノル゚‐゚ノ「……はい」

     『あいつらは友達じゃねーのか?』

ノル゚‐゚ノ「……」

友達……私には分かりません。
でも、これだけは分かります。
私にとってマスターが全て。
私の中のマスターを守る為なら…たとえ身を焼かれ世界を滅ぼそうとも…悔いはありません。
それが…それが私の選んだ私の生き方です。

そう。例え全てを失っても…ただ一つマスターが残るのなら…私は立ち止まらない。立ち止まれない。

それでも。何故か。     

ノル ‐ ノ。oO(ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい…)

私は幾度となく呟いていました。



293: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:12:33.40 ID:qIcFMYyu0
テナント工事中のマンション前。
途中で一度車を降りた私が一人遅れて到着した時。路上にもかかわらず何人かはすでに缶ビールを飲み始めていました。
いい大人がまるで田舎の高校生のようです。
それぞれ手にコンビニのビニール袋を下げ、明らかに安物のスカジャンを着込んだギコ様は一人30a四方のダンボール箱に腰を下ろしていました。

ノル゚‐゚ノ「お待たせしました」

ζ゚听)ζ「…って、なんでそんな格好なのよ」

('、`*川「趣味を疑うわね」

御二人がそう言うのも無理はありません。
何故なら私は、頭に広島東洋カープの帽子。右手にグローブ。左手にガソリンの入ったポリタンクと言う姿だったからです。

ノル゚‐゚ノ「そろそろ寒くなるし…ストーブでもつけようかと思って…」

(,,゚Д゚)「いや、ストーブに入れるのは灯油だ。ガソリンなんか入れたら大変な事になるぞ」

川 ゚ -゚)「開店前に3号店が炎に包まれる可能性がある。頼むから止めてくれ」

(´・ω・`)「…渋いチームが好きなんだね。ファッションセンスは無いけど」

ノル゚‐゚ノ「ガソリン買ったらくじ引きをやっておりまして。3等の景品です」

これは嘘。この時代に来てから密かに準備した物です。

ノル゚‐゚ノ「それでは。参りましょうか」

皆様は酒宴の為に。私は…最初の最重要規定事項を成し遂げる為に。
そして…最初の罪に手を染める為に。…ごめんなさい。



297: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:14:16.81 ID:qIcFMYyu0
何も無い。本当に何も無いマンションの一室。
フローリングの床に直座りで車座を描く形で酒宴は始まりました。

と、言いましても私がこの部屋に居住する事が決まったのがつい6時間ほど前。
それまでは完全な空き部屋だったのですから当然なのです。
電気こそは生活に最低限必要という事でクー様が【実力】で開通させて下さいましたが、ガスや水道は未だ停止したまま。
それどころか。備え付けのクローゼットや棚にはビニールが被せられ、更に厚く埃が溜まっていました。

川 ゚ -゚)「ところで内藤はどこだ? 一階で3号店立ち上げの手伝いをしていたのだろう?」

クー様は一切表情を変えず…いえ。正確にはミクロ単位で眉を顰めています。
服に埃がつくのが心底お嫌な様子です。

(´・ω・`)「内藤君? とっくに帰ったんじゃないかな?」

川 ゚ -゚)「…私がここに来たのに? わざわざ会いに来たのに?」

(´・ω・`)「うん。ほら。夜も遅いだろ? ツンを送っていかなきゃいけないだろうし」

川 ゚ -゚)「……」

私には分かります。表情には出さずとも、彼女のアドレナリン値が限界まで上昇している事が。

川 ゚ -゚)「皆の衆」

言いながら、ジンのスクリューキャップを親指1本で器用に弾き飛ばします。

川 ゚ -゚)「…今夜は飲むぞ……朝まで、いや。勤務時間直前までな」

クー様が怒りを押し殺した声で宣言すると、酒宴は開始されました。



302: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:16:06.71 ID:qIcFMYyu0
(´・ω・`)『それにしても…本当に何も無いね』

店から拝借してきたグラスにコンビニのロックアイスを放り込みながらショボン様が言いました。

( ゚∀゚)「全くだぜ。皿が無いのは我慢するとして…つまみがコンビニってのは寂しいよな」

右手に缶ビール。左手に栗羊羹と言うスタイルでジョルジュ様が答えます。
…その選択肢が天才菓子職人によるものとは到底思えないのは私だけでしょうか?

(,,゚Д゚)「ま、お前らがそう言い出すのは分かってたぞゴルァ」

ギコ様が先程椅子代わりにしていたダンボール箱を開きました。
そこから出てきたのは…タッパーに詰められた料理の数々。

(,,゚Д゚)「酒盛りするって聞いてな。店の余り物詰め込んできたんだ」

素晴らしい機転ですね。
ただ、それは間違いなく犯罪です。横領罪です。
この時代の刑法に照らし合わせれば……アイアン・メイデンの刑です。

( ゚∀゚)「おちんちんびろーん」

酔う前から脱がないで下さい。

('、`*川「……」

観察しないで。

…早くも、ショボン様の車から持ち出した毛布に包まって部屋の隅で丸くなっているツンお姉さまをよそ目に。
空になった酒瓶と空き缶が次々と積み重ねられていきます。



307: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:17:34.62 ID:qIcFMYyu0
(´;ω;`)「うっ…うっ…」

川 ゚ -゚)「何を泣いているショボン」

部屋の片隅。
泣きながらショボンさんはカルーアを瓶から直にストレートで飲みはじめました。
気持ち悪くならないのでしょうか?

(´;ω;`)「ねぇ、僕ってまだ若いよね?」

川 ゚ -゚)「あ? あぁ…」

(´;ω;`)「それなのに…ここに来るまでの車内で…あの2人と全然会話が合わないんだよ」

川;゚ -゚)「そ…そうなのか? 例えば?」

(´;ω;`)「この間、彼女達の学校で文化祭があったらしくてさ。後夜祭でキャンプファイヤーをやったらしいんだ」

川;゚ -゚)「うむ」

(´;ω;`)「で、キャンプファイヤーと言えばマイムマイムが定番だよね?
      それを今の子は…肩を組んでメモリーグラスやセクシャルバイオレットナンバーワンを歌ったって…」

川 ゚ -゚)「……」

クー様は溜息を一つ。ショボンさんの元を立ち去りました。どうでもいいのでしょう。

( ゚∀゚)「象さんだよ〜」

顔を書かないで下さい。



313: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:19:35.12 ID:qIcFMYyu0
ノル゚‐゚ノ。oO(そろそろでしょうか?)

彼らが今何を口にし、話しているか? それだけで私はあとどれ位で自分が行動に出なければならないか、分かります。
当然です。私は時の旅人。【今まで】【何度も】経験しているのですから。

ーーーーー規定時刻になりました。規定時刻になりました。

計算どおりです。電子頭脳が私に告げました。
私は立ち上がると、安物のヒラメに粉末の昆布茶を振りかけているギコ様を見ます。

川 ゚ -゚)「何をしているのだ?」

(,,゚Д゚)「あ? いや、このヒラメが全然美味くねぇからよ。こうすると即席の昆布じめが出来るんだぞゴルァ」

('、`*川「…昆布茶なんか持ち歩いてるんですか? オヤジくさwww」

おねぇさま、酔っているとは言え…それを言ってはいけません。ギコ様は酷く傷ついています。
そして私は、如何にもギコ様の行動を見て思いついた、自分も酔っているという風にガソリンの入ったポリタンクと
グローブのオマケでついてきた艶出しのグリースを手に取り、混ぜ合わせました。

('、`*川「あんた…何してるのよ」

ノル゚‐゚ノ「せっかくだし、皆さんにカクテルでもと…」

('、`*川「そんな物人間に飲める訳がないでしょ!! 自分で飲みなさいよ!! 自称アンドロイド!!」

ノル゚‐゚ノ「……」

私は残念そうに、そのガソリンとグリースの入った特大ジョッキの中身をシンクに捨て、
ガソリンの入ったポリタンクを玄関の外に出しました。準備完了です。皆さん…ごめんなさい。マスター…ごめんなさい。



316: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:21:08.95 ID:qIcFMYyu0
それからしばらくして。皆様が仕事の疲れで引っぱられるように眠りについた数時間後。

ーーーーー緊急報告。緊急報告。半径10m以内に強力な熱源を感知。

ーーーーースリープモード強制解除。

ノル゚‐゚ノ「……」

私は電子頭脳からの緊急信号によって目を覚ましました。
室内は異様な熱気に包まれ、真っ黒い煙が立ち込めています。

ーーーーー適切な脱出処置を奨励。適切な脱出処置を

私は尚も電子頭脳から送られてくる緊急報告を強制遮断した。
両目を暗視モードに切り替える。

ノル゚‐゚ノ「……」

【今までどおり】です。
大量のアルコールを体内に摂取した皆様は、事の次第も分からずに眠りこけています。
クー様は何時、どの様に運び込んだのか不明なソファの上で。
ショボン様はその足元で。
ペニサスおねぇさまはギコ様とジョルジュ様に、制服のスカートから伸びる足を絡めるようにして…
見ているだけで妊娠しないか心配になる光景です。

そして、ツンお姉さまは…。

ノル゚‐゚ノ「……」

アルコールを全く摂取していないにもかかわらず、熟睡していました



321: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:22:56.82 ID:qIcFMYyu0
ノル゚‐゚ノ「……」

私の状況判別装置によれば。
現在、室内は温度・酸素量・二酸化炭素量・一酸化炭素量等全てにおいて人体に悪影響を及ぼす数値が計測されています。
それなのに。何故、ツンお姉さまは幸せな寝顔を立てているのでしょう?
これはすでに『寝起きが悪い』とか『低血圧』と言うレベルではありません。
まさに『規定事項だから』としか説明できないのではないでしょうか。

ノル゚‐゚ノ「もしかして…もしかして…」

私は『ちゅ〜してよぉ』などと呟いているお姉さまの手元。
無造作に転がっている携帯電話を拾い上げました。

一見、この時代に一般的に普及している携帯電話に過ぎません。
しかし。
この中にはこの時代どころかマスターの時代ですら解析不能なブラックテクノロジーが詰まっている。
そして…それは【次の】私がマスターに出会う為に必要不可欠な物。

この携帯電話自体を入手する必要はありません。
ブラックテクノロジーのシステムのみをスキャニングすればいい。
むしろ、この携帯電話がこの場から消え去れば…私の人格を形成する【マザー】誕生に不都合が生じる。 

私は手にした携帯電話のシステムに波長を同調させます。
もしも。もしもこれが上手く行けば私は皆様を連れてここから脱出できる……。

ーーーーーシステムスキャン開始。

そして淡い期待は一瞬で。

ーーーーーエラー発生。スキャンを中止します。



323: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:24:11.99 ID:qIcFMYyu0
ノル゚‐゚ノ。oO(……)

やはり、【今までどおり】だ。
今のままではブラックテクノロジーシステムに近づく事すら出来ない。
しかし、落胆は無かった。
そう。
【今までどおり】。
結果は分かっていた事。
そして……おそらく、この愚かな行動…裏切られると分かっていてもしがみつく微かな希望すらも【規定事項】。

ノル゚‐゚ノ。oO(そうと決まれば為すべき事は一つ)

私は自身の声帯ボリュームをヒューマンから見て常識的な範囲にまで上昇させます。

     皆様。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。

     マスター。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。

     どうか…私に力を…。

そして叫びました。







ノル゚‐゚ノ「火事だーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!!!」



327: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:25:10.44 ID:qIcFMYyu0
川 ゚ -゚)「な、なんだと!?」

真っ先に跳ね起きたのはクー様です。
起きるや否や、捲れ上がっていたスカートの裾を直し、足元に転がっているショボン様の頭を蹴りつけました。
直前まで大股開きで寝ていたと言うのに無意味な行動だと思うのですが、おそらく無意識の行動なのでしょう。

(;´・ωメ)「か、火事!?」

( ;゚∀゚)「おおっ!! なんだこりゃ!! ゲホッ、ゲホッ!! 笑えねーぞ!!」

(,,゚Д゚)「火事だと!! 火が怖くて料理人やってられるk…うおぉぉぉぉぉっ!! 熱ぃっ!!」

眠りこけていた筈の皆様も次々と立ち上がってきました。
ギコ様。【今までどおり】であれば、この火災で死者が出ることはありません。
しかし、【死亡フラグを裏切らない男bP】と呼ばれる貴方がその行動を取ると洒落になりません。

(;´・ωメ)「ひ、火元は!?」

川 ゚ -゚)「ここではあるまい。しかし、そんな問題ではないだろう」

( ;゚∀゚)「やべぇぞ!! 熱で玄関がいかれちまってる!! 開かねぇ!!」

(,,゚Д゚)「ガソリンに引火したかゴルァ!? クソッ!! この火の回り方は異常だぜ!!」

そうでしょう。
私が流しに捨てたガソリンとグリースの混合液が下水まで辿り着かず、火の回りを強めているのです。

摂氏4000℃で燃え上がる。

ーーーーー【ナパーム】と呼ばれるカクテルが。



334: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:27:13.90 ID:qIcFMYyu0
( 、 *川「……」

ζ;゚听)ζ「伊藤っ!!」

ツンお姉さまの突然の叫び声。
皆の視線が集まります。
ペニサスおねぇさまは…青白い顔をしてグッタリとツンお姉さまにもたれかかっていました。

川;゚ -゚)「煙を吸ったかっ!! お前達!! 姿勢を低くしろ!! やられるぞ!!」

クー様の声に皆様は床に伏せます。
そのクー様自身も元々白磁の様な肌の持ち主ですが…一層顔から赤みが消え失せていました。

(,, Д )「……でもまぁ、姿勢を低くすれば何とかなるってレベルじゃねーぞゴルァ」

(´ ω `)「…−。僕は君の事が…」

(  ∀ )「お…ぱい…おっぱ……ぃ」

火災事故において最も多い死因は焼死ではありません。
煙による一酸化炭素中毒がその大半を占めているのです。
そのデータを裏づけするように……皆様は次々と意識を失っていきました。

通常の意識を保っているのは人工生命体である私と。

ブラックテクノロジーシステムにより身を守られているツンお姉さまのみーーーーー。






339: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:28:54.82 ID:qIcFMYyu0
ζ;゚听)ζ「ノルノッ!!」

ノル゚‐゚ノ「……はい」

ζ゚听)ζ「あなたなら…あなたなら何とかできるんでしょ!! 早く…早くみんなを助けて!!」

ノル゚‐゚ノ「……」

そうだ。
私の身体に備え付けられている機能…ジェノサイドモードを発動させれば、
この様な状況など150秒で正常化してみせる。
しかし。
その行動を選ぶ訳には行かない。
この先…私の両手は更に血で染まる事になる。
それでも、私は決めたのだ。
私の中のマスターを守る為だけに。
だから、こう答える。

ノル゚‐゚ノ「…申し訳ありません。この熱で機能が低下しております。この状況を打開できる手段は…私にはありません」

嘘。
そして、こう続ける。

ノル゚‐゚ノ「しかし。ツンお姉様と…その携帯電話のブラックテクノロジーさえあれば…この状況を打開できるはずです」

ζ゚听)ζ「!!!!!」






344: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:30:16.50 ID:qIcFMYyu0
立ち込める黒い煙の中。
横たわるペニサスおねぇさまの頭を膝に乗せたツンお姉さまは驚きに両目を見開いている。

ζ;゚听)ζ「ノ…ノルノ…どうしてあんたそれを……」

ノル゚‐゚ノ「当然です」

嘘だ。

ノル゚‐゚ノ「私は未来から来たアンドロイド。この時代の事で知らない事などありません」

違う。知っているのは…【今までどおり】だから。
私が運命に縛られ…レールの上を外れる事が出来ない存在だから。

ノル゚‐゚ノ「私は全てを知っている。隠す必要はありません。そして、目を覚ましている人はいない。躊躇する理由も無い筈です」

ζ;゚听)ζ「……」

ノル゚‐゚ノ「今、皆を助けられるのは一人だけ…ツンお姉様だけなのです!!」

そう。皆を助けられるのは一人しかいない。
お姉さまは苦しげに眉を顰めると、ゆっくりと立ち上がり手にした携帯電話を掲げる。

ζ゚听)ζ「レデンツレデンツレーデレデ!」

瞬間。
その携帯電話から光が放たれ、お姉さまの全身を包み込む。
ブラックテクノロジーの全てが解放され…私は手を伸ばした。



348: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:31:17.57 ID:qIcFMYyu0













ーーーーーシステムスキャンは正常に完了しました。















356: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:33:43.98 ID:qIcFMYyu0
そう。
これが私のこの旅で犯した最初の罪。
お姉さまが人前で変身する事がないのは分かっていた。
規定事項だ。

しかし。
そのシステム。
私の旅において欠かす事の出来ないブラックテクノロジーシステムをコピーするには、
どうしてもガードが消滅する変身のタイミングを狙うしかなかった。

だから…。
だから私は罠を張った。
友達。仲間。大切な人。
それらを窮地に追い込み、私の目の前で変身せざるを得ない状況を作りあげた。

きっと、ペニサスおねぇさまやツンお姉さまは本当に私を心配してくれていたのだろう。
バーボンハウスの人達も本当に親切にしてくれようとしていたのだろう。

でも、私は裏切った。

私の全てを…マスターを守る為に。

この火災で破損したのか?
胸の【コア】が痛覚信号を発してくる。
その痛みは耐えがたく。
私の歩みは遅くなる。

それでも私は歩かなくてはならないのだ。
私の為。規定事項の為。そして…この星を……死に追いやる為。
そうする事で初めて私はマスターと…。



361: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:34:44.55 ID:qIcFMYyu0
ノル゚‐゚ノ「…終わりましたね」

今、私は夜の病院にいる。
この時代の監視システムなど私が潜入モードを発動させれば何の意味もない。
白いシーツのベッドが6つ置かれた大部屋。皆様が揃って寝ている。

ツンお姉さま。ペニサスおねぇさま。クー様。ショボン様。ギコ様。ジョルジュ様だ。

幸い外傷は無く、ジョルジュ様の眉毛が燃えて無くなった程度だ。
私は一人一人ベッドサイドに近づくと、その口元に手を添える。

ーーーーー簡易式治療装置発動。対象の状態をスキャン。治療開始。体内の酸素数値及び血液状態の正常化…。

胸の中でモーターが静かに回転しているのを感じる。

ーーーーーパーソナルコード・ノルノ。自己状態に異常無し。繰り返す。自己状態に異常無し。

どうやら、私自身に破損は無いようだ。
しかし。胸の【コア】が発する痛みは治まらない。

あの火災で死者が出ることは無い。
これは歴史の規定事項だ。

そして、私の行動もまた歴史の規定事項。
私があの時、あの行動を取らなければ正しい未来は生まれない。
別の未来でマスターが誕生する可能性はある。
しかし、それはすでにマスターであってマスターではない。
私は運命に逆らえない…運命の奴隷だ。
誤った行動は取っていない。
それでも…もし相手がマスターであろうとも。この時空の旅で何百回と繰り返してきた私の罪は告白できないように思える。



367: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:37:03.07 ID:qIcFMYyu0
ノル゚‐゚ノ。oO(ツンお姉さま)

あの火災から脱出した直後。
お姉さまには電流を放射して気を失ってもらった。
今、こうして記憶の改ざんを行っているから、目を覚ました時私の前で変身した事は覚えていないだろう。
消防隊に救出された位に思っているはずだ。
…ごめんなさい。

ノル゚‐゚ノ。oO(ペニサスおねぇさま)

この時間で。
一番親身になってくれるおねぇさま。
もし…私に姉がいたら…きっと貴女の様な存在なのでしょう。
…ごめんなさい。

ノル゚‐゚ノ。oO(クー様。ショボン様)

歴史の規定事項とは言え…バーボンハウス3号店は無くなってしまいました。
これにより、バーボンハウスのチェーン店化計画は打ち切りに。
3号店は数年後にならないと開設されなくなります。
そしてクー様。今の貴女が…それを目にする事は永遠に無いのです。
…ごめんなさい。

ノル゚‐゚ノ。oO(ギコ様。ジョルジュ様)

…。
……。
………とりあえずごめんなさい。



371: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:38:20.01 ID:qIcFMYyu0
全員の治療を終えると私は病室を後にしました。
途中、一度だけ振り向いて『姉』と呼んだ2人の顔を見ます。
この火災が原因で2人はバーボンハウスでのバイトを禁止されます。
そして、今の私とは2度と会う事は無くなるのです。

ノル゚‐゚ノ「……さよならです」

呟き、私は今度こそ本当に病院を後にしました。
治療装置が正常に作動していれば。
皆様は明日の朝には普段どおりの体調を取り戻している事でしょう。

今、私の体の中には全く同じ2つのブラックテクノロジーシステムが存在しています。
一つは今の私を形成している。
もう一つは……。

まず、私はバーボンハウス1号店に侵入し10玉程の麺を紙袋に詰め込みました。
胸の痛みは激しさを増し、【諦め】と言う感情に近い物を呼び起こします。
それでも、私の中のマスターを失う恐ろしさを思えば…私は歩くしかないのです。

ノル゚‐゚ノ「……次は」

そう。
あの人物やあの国と深く関わる為にも。
あの遺伝子情報を手に入れなくてはならない。

そして。
彼に不穏な気配を感じ取られてはならない。
私が罪人である事を悟られてはならない。
そうすれば…私は一時の。仮初の安らぎを得る事が出来るだろう。
この胸の痛みから逃げる為。私は足を急がせた。



377: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:40:32.09 ID:qIcFMYyu0
(*゚∀゚)
                                                ノル゚‐゚ノ
('A`)
























(   ) *゚∀゚
      ポーン                                     ノル゚‐゚ノ
(  )        'A`



382: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:42:06.11 ID:qIcFMYyu0
そう。
これも規定事項だ。
私が潜入モード全開で侵入し、突然姿を現すと2人は常にこの様なリアクションをする。

(;*゚∀゚)「なんでアンタがこんなとこにいるさっ!?」

ノル゚‐゚ノ「寮が…3号店もろとも燃えました」

(;*゚∀゚)「は!?」

悟られるな。
私の罪を悟られてはいけない。
ごく自然体の表情を取るのだ。

(*゚∀゚)「い、いつからここにっ!?」

ノル゚‐゚ノ「かなり特殊な性行為が始まった頃からでしょうか…。全ては規定事項。あ、これ引越し蕎麦です」

(*゚∀゚)「それはバーボンハウスで使ってる麺じゃないかっ!! つか、そーゆー問題でもないだろっ!!」

ノル゚‐゚ノ「お世話になります。改めて自己紹介を。私はノルノ。未来から来たヒューマンタイプアンドロイドです」

(;*゚∀゚)「なんだいそれわ…意味が分からないさ」

それでも。
この人は結局私を受け入れるのだ。
規定事項だからなのか。規定事項ではない…人間だけが持つ何かによるものなのか。
とにもかくにも。
こうして、私を含めた奇妙な同棲関係が始まるのであった。



384: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:42:49.50 ID:qIcFMYyu0














ノル゚‐゚ノ「めがっさめがっさ」














385: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:43:17.79 ID:qIcFMYyu0





    ( ^ω^)がマジ切れするようです・Cグループ

               IN

          ま・じ・か・る・ツンデレ 

               &

              料理人


             ノル゚‐゚ノ編
                             fin



           



388: ◆COOK.INu.. :2007/09/28(金) 02:43:45.12 ID:qIcFMYyu0
提供は



・斧少女
・ひぐらしのなく頃に解
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