( ^ω^)がマジ切れしたようです

1: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 21:19:28.29 ID:b88tDW8n0
この作品は本編に目を通してからお読みいただけますと、
より美味しく食べられる物となっております。


部屋は明るくし、画面から少し離れてお読みになってください。



駆動兵器 : http://vipmain.sakura.ne.jp/end/271-top.html

Memories : http://booooonovel.web.fc2.com/memories/memories.html



2: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 21:20:36.21 ID:b88tDW8n0




(´<_` )「その戦争は15年前に終戦したんだがな」

('A`)「駆動兵器はどうなったの?」

(´<_` )「当時第一人者だった荒巻博士が、駆動兵器の源である
       ヴィプクロメタリウムの生成方法を残さないまま亡くなって、
       動かなくなった物が、博物館に1体あるだけらしい」

('A`)「ふーん、乗ってみたかったなぁ」

(´<_` )「そう良い物でもないらしいがな。
       俺が軍に属してた時に、上司で駆動兵器に乗ってる人がいたが、
       辛そうに見えたな」

('A`)「そっか…」


周りでは子供がワイワイガヤガヤと好き勝手に遊んでいる。
その部屋の隅で話し込む2人の教師と生徒がいた。



7: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 21:22:08.56 ID:b88tDW8n0


キーンコーンカーンコーン


チャイムが鳴り、バラバラと子供達が部屋から出て行く。


(´<_` )「よーし、今日の授業はここまでだ」

('A`)「先生またお話してねー!」

(´<_` )「うむ、他の授業もまじめに受けるんだぞ」

('A`)「はーい」


少年の名はドクオ。
今は亡き父の名前を受け継いだ子。

母の行方も分からず、孤児院から通学している。



9: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 21:23:31.75 ID:b88tDW8n0


彼には父親の記憶が無い。


新政府の要人だった父は、反政府組織に暗殺されたのだが
本人にその認識は無く、事故で死んだという事を聞いただけ。

軍人であり、4国統一に尽力した功績が称えられ
手厚く葬儀された。

また駆動兵器のパイロットとしても戦果を上げ、
英雄として今でも語られている。


そんな父の名を受け継ぎ、彼は自分の名に誇りを持っていた。


('A`)(俺も父ちゃんのようにパイロットになるんだ!)



12: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 21:25:20.94 ID:b88tDW8n0


父に憧れる子。



いつの時代もそれは変わらない。






( ^ω^)ブーンがマジ切れしたようです

       Cグループ

     駆動兵器のMemories 編



15: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 21:27:09.01 ID:b88tDW8n0







-孤児院-



(#'A`)「わぁぁぁぁぁぁ!」

(#‘_L’)「おぉぉぉぉぉ!」


ガッシ、ポカ、ポカ


腕を振り回すだけの可愛らしい子供の喧嘩。
だが、本人達にとっては至って本気。

涙と鼻水をダラダラと垂らしながら絡み合っている。



18: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 21:29:04.70 ID:b88tDW8n0


ζ(゚ー゚*ζ「あらあら止めなさい、ね?」


(#'A`)「こいつがっ!父ちゃんをっ!馬鹿にしたんだ!」

(#‘_L’)「軍人なんてっ!人を不幸にするっ!存在だろっ!」

(#'A`)「父ちゃんのおかげでっ!平和な国になったんだっ!」


お互いにポカポカと叩きあいながら叫んでいる。


ζ(゚ー゚*ζ 「でも喧嘩は良くないよ?ね?」

(#'A`)「今日こそこいつを懲らしめてやるっ!」

(#‘_L’)「返り討ちにしてくれるっ!」


ζ(゚ー゚*ζ 「……」



21: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 21:30:54.92 ID:b88tDW8n0



ζ(゚ー゚*ζ 「止めないと、お母さんの愚地流マッハ突きが炸裂するよ?ね?」

(;゚A゚)「……」

(;‘_L’)「……」


ζ(゚ー゚*ζ 「いい子達、ね」


お母さんのマッハ突きは人間の反射神経を凌駕する。

孤児院では皆のお母さんのデレ。
普段はとても優しく大好きな母であったが、
キれると天地がひっくり返ったかのような、鬼の形相を見せる。

決定的な脅迫に二人とも手を止めた。



25: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 21:33:05.24 ID:b88tDW8n0

ζ(゚ー゚*ζ 「フィレンクト?ドクオのお父さんは皆が平和に暮らせる様に戦ったのよ?ね?」

(‘_L’)「……」


ζ(゚ー゚*ζ 「ドクオ?お父さんを尊敬するなら暴力は止めなさい。ね?」

('A`)「……」


誰をもひいきする事なく、平等に接するお母さん。

だけど今回は……今回だけは味方をして欲しかった。


(;A;)「なんだよ!お母さんだって本当は父ちゃんの事を馬鹿にしてるんだろ!?」

ζ(゚ー゚*ζ 「ドクオ?何を言ってるの?落ち着いて、ね?」



28: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 21:35:24.92 ID:b88tDW8n0

(;A;)「ちくしょう!ちくしょう!」


ドクオはテーブルの上に置かれていた、
パンを鷲掴みすると、そのまま孤児院を飛び出した。


ζ(゚ー゚*ζ 「ドクオ!待って!」


だがドクオは振り返らずに全力で走っていく。

子供とは言え、その全力はスカートにエプロンをした、
女に追い付けるものではなかった。


ζ(゚ー゚*ζ 「ドクオ……」



31: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 21:37:22.04 ID:b88tDW8n0


(;A;)「はぁっ、はぁっ」


どれだけ走っただろう。
息をするのも辛い、喉の奥がヒリヒリする。

いつしか周りの景色が見たこともないものに変わっていた。

いつもなら不安になり引き返すところだが、
今日は孤児院に戻る気にはなれなかった。


('A`)「……」


ポツッ、ポツッ

と顔に冷たい水が当たる。



34: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 21:39:17.25 ID:b88tDW8n0


('A`)「雨……か」


周りを見渡すと、こんな場所があったのか。

と思うほど、全く分からないところでたたずんでいた。


(;'A`)(ここは……どこだろう)


回りは既に暗くなり始めている。
幼心にも、このまま雨に濡れ続けるのはまずいと感じた。


('A`)「どこか、雨をしのげるとこを探さなきゃ…」


やがて方向も分からなくなり、森の中をさ迷う。



37: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 21:41:07.85 ID:b88tDW8n0

幸運にも闇に閉ざされる前に、洞窟を見つける事ができた。


('A`)(あそこで休もう)


洞窟はかなり奥深く掘られているようだったが、
ドクオはビビって入口付近で休んでいた。


雨に濡れない様に、懐にしまっていたパンをかじる。

パサパサで酷い味のパンだった。

いつものように皆で食卓を囲み、
スープを傍らにパンを食べていた時には、
そんな事は感じなかった。


(;A;)「父ちゃん……寂しいよぅ……」


少年は不味いパンを無理矢理胃に押し込むと、
そのまま眠ってしまった。



42: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 21:43:29.10 ID:b88tDW8n0






从'ー'从「ブン、これ。お父さんからのプレゼントよ」

( ^ω^)「お?これなんだお?」

从'ー'从「天体望遠鏡よ」

( ^ω^)「てんたい……ぼーえんきょー」

从'ー'从「そう、お月様やお星様が見れるのよ」

(* ^ω^)「すごいお!見たいお見たいお!」


うれしそうにはしゃぐブン。
ワタナベはブンが毎夜、空を眺めているのを知っていた。



46: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 21:44:57.13 ID:b88tDW8n0

( ^ω^)「父ちゃんにありがとうって言っておくお!」

从'ー'从「そう……ね」


面影が似てきた。
自分が愛した人に……。


从'ー'从「いい?ブン。あなたのお父さんはこの国の人々を守ったのよ」

(; ^ω^)「母ちゃん、その話はもう何百回も聞いたお!」

从'ー'从「あの人の……息子だということを誇りに思いなさい」

( ^ω^)「分かってるお!」


歴史の表舞台には決して名は出てこないが、
父、ブーンの偉大さは理解できていた



50: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 21:47:22.36 ID:b88tDW8n0

軍関係者や、父の知り合いと名乗る人々が尋ねてくる。

ある人はお墓の場所を聞きに、ある人はありがとうとだけ言いに、
ある人は母と懐かしそうに話をしたり。

父は皆に愛されていることがわかり、ブンも自分の事のように嬉しかった。


( ^ω^)「ポチの散歩に行ってくるお!」

从'ー'从「暗いから気をつけてね」

▼・ω・▼ ワンワン!

( ^ω^)「ポチ!ダッシュだお!」

▼・ω・▼ ワン!



从'ー'从(ブーン……あの子の幸せを祈ってあげてね……)



55: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 21:50:29.76 ID:b88tDW8n0


1人と1匹が土手を凄まじい速さで走る。


( ^ω^)「ポチ!遅いお!」

▼;・ω・▼ ハッハッ

( ^ω^)「ブーン!」

▼;・ω・▼ ハッハッハッハッハッハッハッハッハ



58: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 21:53:33.76 ID:b88tDW8n0


犬がまず限界に達し、もう走ろうとしなくなる。

「やれやれ、それでも犬かお?」

少年は犬の紐を引っ張り促すが、
犬はもうそこから一歩たりとも動かなかった。

仕方なく少年は土手に寝転ぶと、夜空を見上げる。



( ^ω^)(星が綺麗だお……)

▼;´ω`▼ ゼーッゼーッゼーッゼーッ

( ^ω^)(いつかは宇宙に行ってみたいお……)



64: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 21:56:53.68 ID:b88tDW8n0


犬がまず限界に達し、もう走ろうとしなくなる。

「やれやれ、それでも犬かお?」

少年は犬の紐を引っ張り促すが、
犬はもうそこから一歩たりとも動かなかった。

仕方なく少年は土手に寝転ぶと、夜空を見上げる。



( ^ω^)(星が綺麗だお……)

▼;´ω`▼ ゼーッゼーッゼーッゼーッ

( ^ω^)(いつかは宇宙に行ってみたいお……)



68: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 21:57:50.00 ID:b88tDW8n0

この時間がブンのお気に入りの時間だった。

流れ星が見える。

音は川が流れる音と、虫の鳴く音しか聞こえない。


( ^ω^)(気持ちいいお……)


何も考えず、顔を撫でる風の心地よさに浸っていたブンだったが、
その時、不意に背後に気配を感じた。


( ^ω^)「!」


ブンが振り返ると、そこには美しい女性がたたずんでいた。



71: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 21:59:46.74 ID:b88tDW8n0

川 ゚ -゚)「……」

(; ^ω^)「お?」


母より少し年上だろうか?
凛とした顔立ちだが、どこかに影を感じさせる。


(; ^ω^)「何か……用ですかお?」

川 ゚ -゚)「……」

▼#・皿・▼ ガルルルルルルル






川 ゚ -゚)「ブーン……」

( ^ω^)「……え?」



女は確かにそう言った。



73: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:01:16.44 ID:b88tDW8n0






「マスター」


('A`)グーグー


「我を駆る者よ」



('A`)「んぅ……?」


ドクオが目をさましたときには朝日が挿し込み、
雨もあがっていた。


('A`)「寝ちゃったのか……へっくしょい」



76: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:02:27.50 ID:b88tDW8n0

雨に濡れたまま眠ってしまったのが悪かったのだろう。
ドクオは寝起きと共に、気だるさと熱を感じた。


('A`)「うーん……くらくらする……。
     まだ夢の中みたいだ」


ドクオは周りを見渡し、洞窟で雨宿りした事を思い出す。


('A`)「こんなとこで寝ちゃったのか」


森の中にあるほこらの様な洞窟。
明るくなってその不気味さを今更ながら把握する。


(;'A`)(怖い……家に帰ろう)



79: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:03:48.16 ID:b88tDW8n0

だが昨日の事を思いだし、帰る事にも抵抗が生まれる。

そしてふと、洞窟の奥が気になった。


('A`)(これ……明らかに人が造った物だよなぁ)


暗闇で先の見えない洞窟の奥に、
何があるのか異様に気になった。


('A`)(何もない……行き止まりだろうけど……)


呼ばれている様な気がした。



ヒタヒタと暗闇の中を壁づたいに歩く。

しばらく歩くと前方に光が現れた。


「あぁ、外に繋がってたんだ」


と理解し、ドクオは光に向かって飛込んだ。



84: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:05:23.04 ID:b88tDW8n0





(;^ω^)「だ、誰ですお?なんで父ちゃんの事を……」

川 ゚ -゚)「……」



川 ゚ -゚)「お前が、ブーンの息子か?」

(; ^ω^)「お?」


ようやく口を開いたかと思えば、いきなりの質問。


(; ^ω^)「……」

川 ゚ ー゚)「あるほど、良く似ている」



87: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:07:58.52 ID:b88tDW8n0

話の流れから、父の顔見知りであることは間違いない。
だがその女から感じる不穏な空気から、ブンも警戒を解かない。


(; ^ω^)「知らない人と話をしちゃダメ、って言われてるお」

川 ゚ -゚)「ふっ、ワタナベか」

(; ^ω^)「……」


怖い怖い怖い

ブンは今までに話した誰よりも、得体の知れない恐怖を感じていた。



(; ^ω^)「か、帰るお」

川 ゚ -゚)「……」

▼#・皿・▼ ガルルルルルルル


今にも飛び掛りそうなポチを引っ張り、
震えながらその場を去ろうとする。



90: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:09:56.99 ID:b88tDW8n0

川 ゚ -゚)「……」

(((; ^ω^))) gkbr

川 ゚ -゚)「ブーン……」

(; ^ω^)「!?」


その名に、一瞬足が止まってしまう。

そして続けざまに女は続ける。


川 ゚ -゚)「君の父……ブーンの事を知りたくないか?」

(; ^ω^)「……」


振り向かずにそのまま立ち尽くす。



95: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:11:33.25 ID:b88tDW8n0

▼;・ω・▼ ワゥワゥ

(; ^ω^)「あなたに父ちゃんの何が分かるんですお?」


父のことは知りたい。

この女は何故か恐ろしい者だと感じているが、
その興味に勝つことができなかった。


川 ゚ ー゚)「私はブーンの元仲間だ」


女はニヤリと笑い、そう言う


(; ^ω^)「な、仲間?」


ブンは思わず振り返り、女に近寄っていく。



98: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:13:27.39 ID:b88tDW8n0

▼;・ω・▼ クゥーン


(; ^ω^)「父ちゃんは……」


父のことで聞きたいことを考えてみる。
しかし、考えるまでも無く答えは出された。


何も知らないのだ


大好きで、尊敬してて、心の拠り所であった父
その父の事を何も知らない自分に悲しみを覚えるブン。



103: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:15:29.16 ID:b88tDW8n0

( ;ω;)「ボクは父ちゃんの事……何も知らないんだお」

川 ゚ -゚)「そうか」

( ;ω;)「誰よりも知っていたい父ちゃんの事が……」

川 ゚ -゚)「ワタナベのやりそうな事だな」


ブンは先程まで感じていた恐怖を忘れ、
女にしがみ付いて泣いていた。


川 ゚ -゚)「お前には知る権利がある。
     もしお前が望むならすべてを教えてやろう」

( ;ω;)「……」

川 ゚ -゚)「だが、それを知ってしまったら後戻りはできんかもしれんぞ?
     それでもいいのか」

( ;ω;)「……いいお」



106: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:16:25.67 ID:b88tDW8n0

そう頷くとブンは涙を拭い、顔を上げた。


▼;・ω・▼ キューンキューン

( ^ω^)「ポチ、お前は帰るんだお」

▼;・ω・▼ クゥンクゥン

( ^ω^)「言うことを聞くんだお」


ブンは、ポチの紐を外し女の車に乗り込む。


▼;・ω・▼ ワンワン!


そして車は走り出した。


▼;・ω・▼ ……





ω・;▼彡 ダッ



109: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:17:45.25 ID:b88tDW8n0





強い日差しがドクオの目をくらませる。


('A`)「うおっ、まぶしっ!」


目が慣れてきて、視界がはっきりとしてくる。

そして、ドクオは固まった。


円形に囲まれた壁、そしてその円形のまま
空までポッカリ空いた穴。


(゚A゚)「……すげえ」


その幻想的な景色は、ドクオはまだ夢の中にいるのではないか
と思わせるほどだった。



123: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:23:26.72 ID:b88tDW8n0

ノル ゚ -゚ノ「初期開発の機体で、歴史の大戦をくぐり抜けて来たのです」

(;'A`)「え……え?」


女はポンッとロボットに手を置き、
懐かしむように機体をさすっている。


(;'A`)「待って……君は…誰?」

ノル ゚ -゚ノ「申し遅れました、私はノルノと申す者です」

(;'A`)「ノルノ……」

ノル ゚ -゚ノ「はい、訳あってここに残っておりました」


チンプンカンプンのドクオだったが、
女は全く気にする様子を見せない。



128: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:25:00.82 ID:b88tDW8n0


ノル ゚ -゚ノ「私は自己思考能力を備えたアンドロイドです」

(;'A`)「あんど……ろいど?」

ノル ゚ -゚ノ「貴方がここに来る事は必然であり、
     この後に起こることも規定事項なのです」

(;'A`)「意味わかんないよ!」


ドクオにとって意味不明な事を言っているのだが、
敵愾心は感じられない。

少なくとも危害を加える気は無いようだ。


(;'A`)「まぁ……いいや。でもなんでこんな所に駆動兵器が?」



133: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:26:56.73 ID:b88tDW8n0

ノル ゚ -゚ノ「この2ch-VBは貴方の父、ドクオが操っていた機体です」

(;'A`)「父ちゃんが!?」


現存する駆動兵器は1台だけとされている。
だが、父の乗っていたという機体がここにある。


(*'A`)「すっげぇ!さすが父ちゃん!
    ざまぁみろフィレンクト!」


よっぽど嬉しかったのだろう、意気揚々と機体に駆け寄り、
ベタベタと触り始める。


ノル ゚ -゚ノ「……」








ノル - ノ「乗って……みますか?」



136: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:28:28.34 ID:b88tDW8n0

(*'A`)「乗る!乗る!」


少年は目を輝かせ、即答で答えた。


ノル - ノ「了解しました」


ノルノはコックピットのハッチを開き、
そこの座席にドクオを案内する。

ドクオはそのままコックピットに座ると、嬉しそうにはしゃいでいた。


(*'A`)「これが動いたら最高なんだけどなぁ」

ノル ゚ -゚ノ「……」


次の瞬間、プシューという音と共にハッチが閉まりだす。



141: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:30:47.64 ID:b88tDW8n0

(;'A`)「え?…あ……ちょっ」

ノル - ノ「…………さい」


ハッチが閉まり切る前に、最後に見たノルノは
「ごめんなさい」そう言った。


フィィィィィン


閉ざされたコックピットの中に機械音が響く


(;'A`)「ま、まさか……」


次の瞬間、凄まじい音と共に、
2ch-VBは大空へと飛び立った。



143: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:31:56.90 ID:b88tDW8n0


(;゚A゚)「ギギギ……」


襲ってくる「G」に、子供のドクオが耐え切れるはずも無く、
気を失ってしまった。








ノル - ノ「……次は……」



145: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:33:28.48 ID:b88tDW8n0





「起きろ、ブーン」


( -ω-) グーグー


「……」



ゴンッ!


(^ω^;三;^ω^)「おっ?おっ?」

川 ゚ -゚)「起きたか」

(; ^ω^)「おー……」



147: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:34:57.71 ID:b88tDW8n0

思い出した!
僕は、見ず知らずの人にホイホイと着いてきてしまったのだ。


(; ^ω^)「おはようですお」

川 ゚ -゚)「うむ、それより速く車から降りろ」


車から降りたブンがまず目にしたのは、
見たこともないくらい、巨大なロボットだった。


(* ^ω^)「おっ!おっ!かっこいいお!」

川 ゚ -゚)「2ch-VR、芸術品だ」


子供にとって魅力過ぎる大きさ、そして形。



148: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:36:12.57 ID:b88tDW8n0

(* ^ω^)「ロボだお!ロボだお!」

川 ゚ -゚)「ロボではない、駆動兵器だ」

( ^ω^)「工藤……平気?」


バーローwwww


川#゚ -゚)「駆動兵器だ」

(; ^ω^)「把握」


ほっぺたをつねられながら、ブンは頷いた。


川 ゚ -゚)「現在、唯一稼働している最後の機体だ」

( ^ω^)「最後の……かお?」

川 ゚ -゚)「あぁ……政府の連中は駆動兵器の局地的な戦力よりも、
     核という争いそのものを抑制させる物に、力を入れるなどと言い出した」

( ^ω^)「核……」



151: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:37:52.26 ID:b88tDW8n0

ブンは、母から核についての話は聞いていた。
怨みや憎しみ、怒り、すべての感情が込められた話。

ワタナベにとって、それはブーンを失った事が大きく起因しているのだが、
ブンにとってはその理由も知らず、ただ「悪」であると植えつけられた。


(# ^ω^)「核はダメだお!母ちゃんがまた悲しむお!」

川 ゚ -゚)「ワタナベにとっても辛い思い出だろう。
     何せブーンを失った原因だからな」

(; ^ω^)「え……?」

川 ゚ -゚)「む?それも聞いてなかったのか……。
     お前の父は、私と姉弟であり」


次に発せられた言葉は、ブンの心を打ち砕いた。






川 ゚ -゚)「駆動兵器に乗り、そして核で死んだ」



155: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:40:11.11 ID:b88tDW8n0

(; ^ω^)「父ちゃんが……核で?」

川 ゚ -゚)「そうだ、もし核開発が進み誤って使用でもされた場合、
     地球レベルで崩壊してしまう」

(; ^ω^)「?????」

川 ゚ -゚)「人類は駆動兵器の時点で、発展を止めねばならんのだ」


ブンには難しい話で、内容が理解できなかったが、
目の前の女が必死になっているのだけは分かった。


川 ゚ -゚)「それを分からせるために私は軍を抜けた。
     そして駆動兵器の有用性も分からせる必要がある」


女がだんだんと出合った頃のように、
恐ろしい雰囲気を発してくる。



161: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:43:51.60 ID:b88tDW8n0

川 ゚ -゚)「そのためにお前に会いに来たのだ」

(; ^ω^)「お……?」

川 ゚ -゚)「お前にとっては全く意味の分からない話だろうが、
     ブーンの息子として駆動兵器を駆る力があると踏んだ」

(; ^ω^)「ボクが……?」

川 ゚ -゚)「そうだ、博物館にあるハンゲツを取り戻し、
     お前が乗るんだ」

(; ^ω^)「ちょっ、ちょっと待ってくださいお。
       訳が分からないにも程がありますお」

川 ゚ -゚)「言語道断!さぁ来るんだ」

(; ^ω^)「アッー!」


無理やり機体に詰め込まれたブンは、なす術もなく連れ去られるのだった。



164: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:45:55.43 ID:b88tDW8n0


▼・ω・▼ ワンワン!

从;'ー'从「ポチ!まだなの!?」

▼・ω・▼ ワン!


ポチが突然立ち止まり、吠え出す。


▼・皿・▼ ガルルルルル!

从;'ー'从「ど、どうしたの」


次の瞬間、轟音と共に赤い機体が浮かびだす。


从;'ー'从「あ、あれは!2ch-VR!!」



167: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:47:37.96 ID:b88tDW8n0


川 ゚ -゚)「む、付近に生体反応?誰だ?」

从;'ー'从「クー!!!」


轟音にかき消されそうになりながらも、めいいっぱい叫ぶ。


川 ゚ -゚)「ワタナベか……」

从;'ー'从「ブンは何処!?そこに居るのね!?」

(; ^ω^)「母ちゃ川 ゚ -゚)「しばらく預かるぞ」

从;'ー'从「!!」


ブンの声を遮って、クーの声が聞こえる。



169: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:50:07.20 ID:b88tDW8n0

かつては共に戦った仲間だが、
今は自分の命より大事な者を危険に晒そうとしている。


从;'ー'从「クー!お願い!ブンを返して!!」

川 ゚ -゚)「すべて終わったら返してやる」

从;-;从「お願い……ブンを……巻き込まないで……」

川 ゚ -゚)「……」


ワタナベの願いも空しく、クーは何も答えないまま飛び去った。


从;-;从「あぁ……ブン……」

▼´ω`▼ キュゥゥゥン……



180: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 22:58:41.04 ID:b88tDW8n0



(゚A゚)


加速が弱まり、Gの負荷も治まってきた頃、
ようやくドクオは眼を覚ました。


(;'A`)「うぇっ……げほっ」


込み上げてくる吐き気を必死で抑え、
コックピットから外の景色を見る。

相変わらず凄まじいスピードで移動するVBからの景色。
視点の中心以外は、流れて見える。


(;'A`)(一体……何処に向かってるんだ……?うっ)


そう、分からないのは何処を目指しているか。

見る限り、この駆動兵器はオートで動いている。
そうである以上、何かの目的があって動いてるのであろうが、
ドクオには全く想像も付かなかった。



183: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:00:09.63 ID:b88tDW8n0






川 ゚ -゚)「……怖いか?」

(; ^ω^)「怖い……お」

川 ゚ -゚)「駆動兵器が一線を退いて以来、それを操れる媒体もいなくなってしまった。
     適正という意味では、お前を除いて他にはいないと思う」

(; ^ω^)「……」

川 ゚ -゚)「私の作戦を実行するためには、お前は絶対的に必要なのだ」

(; ^ω^)「……でも」

川 ゚ -゚)「……着いたぞ」


眼下を見ると、大きくそして荘厳な建物が見えた。



187: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:01:45.94 ID:b88tDW8n0

川 ゚ -゚)「4国統一戦争の、記念館だ。
     あそこに、ハンゲツが保管してある」

(; ^ω^)「どうやって進入するんですお?」

川 ゚ -゚)「簡単だ」


そう言うとVRは背中から巨大なランチャーを取り出し、
そのまま躊躇なく博物館に向かって打ち込んだ。

煙を吐いて博物館に大きな穴が開く。


(; ^ω^)「なんという……中にいた人は死んじゃったんじゃ……」

川 ゚ -゚)「安心しろ、まだ開園前で生体反応も検地されていない」

(; ^ω^)「そういう問題でも……」


破壊された博物館の真ん中にVRが降り立つ。



189: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:03:13.40 ID:b88tDW8n0

川 ゚ -゚)「よし、降りろ」

(;^ω^)「と、言われてもボクは駆動兵器の操りかたなんて知らないですお……」

川 ゚ -゚)「心配するな。ヴィプクロメタリウムは乗った者の精神や感情に呼応する。
      もし、お前が駆動兵器に認められなければ即座に解放する」

(;^ω^)「本当かお!」

川 ゚ -゚)「ああ、約束だ」


ブンは内心、こんなものを操れる筈がないと思い込んでいた。

これで帰れると。


川 ゚ -゚)「時間が無いぞ。私が動いたと知られれば軍も動く」

(;^ω^)「わ、わかったお」


二人は保管されているハンゲツに向かう。
クーも下調べしたのだろう、迷う事なく辿り着いた。



191: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:03:49.97 ID:b88tDW8n0

( ^ω^)「これが……」

川 ゚ -゚)「そうだ、以前はジョルジュという男が乗っていた。
     私と闘った事がないから不本意だが、最強と呼ばれていた機体だ」


ハンゲツを目にして、何故かブンは確信してしまった。

「乗れてしまう」と。


特殊な金属がそう感じさせるのか、
なんとも懐かしい気分になってしまう。


(;^ω^)(どうすれば……)

川 ゚ -゚)「さあブン、乗るんだ」

(;^ω^)(核……父ちゃん……)


「乗りなさい」


(;^ω^)「!?」

川 ゚ -゚)「?」



193: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:05:00.25 ID:b88tDW8n0

クルッと振り向きクーを見たが、違う。

明らかに違う人の声だ。


(;^ω^)「だ、誰だお!?」

川 ゚ -゚)「何を言いっている?
      ……仕方ない」

(;^ω^)「あっ!」


クーはブンを抱きかかえるとトントンッとハンゲツを登って行く。

そしてハッチを空けそこにブンを放り込んだ。


(;^ω^)「っちょ!」

川 ゚ -゚)「期待してるぞ」


クーはそう言うとハッチを閉める。

ブンの視界は真っ暗闇の中に閉ざされた。



197: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:07:06.65 ID:b88tDW8n0

(;^ω^)(どうすりゃいいんだお……)


間も無くして暗闇の中に緑色のライトがともる。

そしてモニターのような画面が写し出された。



Now Loding



System start 88%



Lode Date Code NORUNO



(;^ω^)「日本語でおk……」



200: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:08:12.70 ID:b88tDW8n0

次の瞬間、モニターに女性が写し出される。


ノル ゚ -゚ノ「初めまして、ブーン様」


訳が分からないのも極まった。

ブンの思考能力のメーターは振り切っている。


( ^ω^)「もうどうでもいいお。
        それにボクの名前はブンだお。ブーンは父ちゃんの名前だお」

ノル ゚ -゚ノ「いえ、貴方は後にブーンの名を名乗る事になります」

( ^ω^)「??」



203: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:09:19.37 ID:b88tDW8n0

ノル ゚ -゚ノ「そしてこのハンゲツは私の統治下にあります」

( ^ω^)「統治?」

ノル ゚ -゚ノ「まずはお役目を果たしに参りましょう」


ハンゲツはゆっくりと動き出す。

クーはその様を慈しむように眺めていた。


川 ゚ -゚)(そうだ、お前に動かせない訳がない)


(;^ω^)「う、動いてるお……」

ノル ゚ -゚ノ「行きますよ」



209 名前: ◆3m0SptlYn6 [失礼しました……] 投稿日: 2007/09/30(日) 23:12:37.39 ID:b88tDW8n0

(;^ω^)「行く……?うあっ」


ハンゲツは振り返り、一瞬にしてVRとの間合いを詰める。

そしてそのままホットブラザーズを起動させ、VRに斬りかかった。


川;゚ -゚)「ッ!」


VRは凄まじい反応速度でその斬撃を受け止める。

衝撃音と共に、回りの床が陥没する。


川;゚ -゚)「なんの真似だ!」

(;^ω^)「いや、勝手に……」


ハンゲツはホットブラザーズを引き離すと、続け様に斬撃を打ち込む。



211: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:13:58.43 ID:b88tDW8n0

(;^ω^)「うおっ!わおっ!あひぃ」

川;゚ -゚)「くっ!」


VRは全ての攻撃をオオテンタで受け止めると、後方へと飛び距離をとる。


川 ゚ -゚)「面白い!ハンゲツとは一度、戦ってみたかった!」

ノル ゚ -゚ノ「……」


次はVRからハンゲツへと仕掛ける。
ブンを蚊帳の外に置いたまま、
……5合…6合…7合……。

そして8合目の打ち合いの時だった。


川 ゚ -゚)「ふぅん!」


渾身の一撃がVRから放たれる。

ハンゲツはなんとか受け止めたが、あまりの衝撃に後方まで弾き飛ばされた。



215: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:15:08.09 ID:b88tDW8n0

川 ゚ -゚)「ふー……」


クーに懐かしい感情が戻ってくる。
高揚感が全身に沸き上がり、自然と口の端がつり上がった。

そしてVRのオオテンタが頭上に構えられ、ピタリと止まる。
次に繰り出すのを待っているのは、必殺の一撃。

逃れられない死の宣告。


ノル ゚ -゚ノ「……」

川 ゚ -゚)「まだやるのか?」

(;^ω^)「ま、まって!」


ブンの言葉とは裏腹に、ハンゲツはライフルを構え、
VRに向かって躊躇なく引き金を引く。



218: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:16:16.16 ID:b88tDW8n0

しかし、VRに首をかしげる程度の動きでかわされてしまう。


川 ゚ -゚)「やはり最強は私とVRだったようだな」

(;^ω^)「いや、だから……」


死神の振り上げた腕に力が入る。


そしてまさに振り下ろされる瞬間、空から「それ」は来た。






(;'A`)「わあぁぁぁぁぁ!」


黒い機体から放たれた刄は、VRの首筋から入り、地面にまで貫通していた。



221: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:17:30.79 ID:b88tDW8n0

川;゚ -゚)「な……」


懐かしすぎるその黒い機体。
気付いた時には、指一本も動かす事ができなかった。


川;゚ ¬゚)「VB……ドクオ?……何故……ここに……」


口から赤い液体が溢れ出し、呼吸を邪魔する。


(;'A`)「うえっ……げほっ」


VBを引き離そうとなんとか腕を伸ばすが、
駆動系もやられてしまったのだろう。

ピクリともVRは動かない。



225: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:19:12.95 ID:b88tDW8n0


川; - )「ぶ、ブン……わ……たしは……戦いたかっ……
      ただけなのかも……しれない……」

(;^ω^)「……」


あまりに突然の出来事に、ブンは声を出す事すらできない。
しかしクーはそのまま喋り続ける。


川; - )「お前……と…戦っている…時は…
     核や駆動兵器など……どうでも…良くなっていた……」

(;^ω^)「……」

川; - )「戦うためだけに……創られた私が…正義を盾にするなど…
      過ぎた話だったのかもしれん」

( ^ω^)「クー……さん……」



227: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:20:12.06 ID:b88tDW8n0

川; - )「私は……理想を追い求め…戦っていた…あいつ等が……
      羨ましかっただけ……か」


カッツバルゲルに貫かれ、磔にされたままVRは起動を停止した。


川 - )「ワタナベ……すまなかった」





VRが起動を停止したと同時に、VBとハンゲツも動かなくなる。


そして自動でハッチが開いていく。



229: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:21:26.49 ID:b88tDW8n0

('A`)「……」

( ^ω^)「……」


二人はそれぞれ機体から降り、対峙した。


('A`)「……お前は」

( ^ω^)「……誰だお」


二人の少年は、巨大な駆動兵器三体に囲まれた異様な光景の中、
立ち尽くす。



232: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:22:38.61 ID:b88tDW8n0



VR「自爆モードオン」


(;'A`)「え?」


ハンゲツ「自爆モードオン」


(; ^ω^)「ええ?」


VB「自爆モードオン」



(;゚A゚)「ええぇぇぇ!」(゚ω゚ ;)



突如、作動した駆動兵器の自爆モード。
乗り物も無い、逃げる術も無い。



235: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:23:36.00 ID:b88tDW8n0



ノル ゚ -゚ノ「自爆まで3分です」

(;'A`)「!?」

(; ^ω^)「!?」


急に現れた女は、ドクオとブーンをそれぞれ片手で掴み持ち上げる。


(;'A`)「あ、あんたは……」

(; ^ω^)「おっ、わっ」

ノル ゚ -゚ノ「口を閉じてください、舌を噛みますよ」


そういうと、女の背中から筒状の物が2本生えてくる。



238: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:24:31.52 ID:b88tDW8n0




キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン



と、耳に痛い音が鳴ったかと思いきや、
次の瞬間には物凄いスピードで飛び出した。


(((;゚A゚)))「あばばばばばばばばばばばばば」

(((; ゚ω゚)))「おべべべべべべべべべべべべべ」


首がもげそうになるほどの風圧を受けながら、
博物館から遠ざかっていく。



240: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:25:36.63 ID:b88tDW8n0


そして博物館が全く見えなくなるほど離れたところで、
女はスピードを落とし、2人を解放する。


ノル ゚ -゚ノ「伏せててください」

(;'A`)「おえっ、げほげほ」

(; ^ω^)「うええっ」


2人が苦しそうに咽ていると、
次は後ろから鼓膜が破れるような爆音が鳴り響いた。



(;'A`)「ひぃぃ……もう……いやだ」

(; ^ω^)「殺せー」


モクモクと煙が上がっている。
あれ程の爆発だ、駆動兵器はもう跡形も残っていないだろう。


ノル ゚ -゚ノ(これで、駆動兵器に終止符が打たれ、世界は核開発に本腰を入れる。
     いつもと同じ、歴史の流れに異常なし)



243: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:26:41.13 ID:b88tDW8n0







('A`)「あの女の人……死んじゃったのかな」

( ^ω^)「あの爆発じゃ……」

ノル ゚ -゚ノ「彼女は自分の信念で動いていました。
     達成はできませんでしたが、納得の行く最期だったでしょう」

('A`)「……」

( ^ω^)「……」

ノル ゚ -゚ノ「貴方達も信念を持って生きてください。
     貴方には貴方の道があるのですから」

('A`)「俺には……俺の……」

( ^ω^)「生きる……道……」

ノル ゚ -゚ノ「それが未来を育む力となるのです」



245: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:27:58.29 ID:b88tDW8n0

2人の心の中に、その言葉が大きく刻み込まれた。
まだ幼い2人は今後、どんな困難が待っているのか想像もできない。

だが、この時この瞬間。
2人は自分を信じて生きて行こうと決めた。


('A`)(俺はパイロットに……父ちゃんのような!)

( ^ω^)(宇宙……月に行くお!)


ノル ゚ -゚ノ「それではブーン様ごきげんよう。
     間も無く母君が迎えに参ります」

(* ^ω^)「母ちゃんが!?」

ノル ゚ -゚ノ「ドクオ様は、私が家までお送りしましょう」

(;'A`)「え?え?」



249: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:29:11.91 ID:b88tDW8n0


ワシッとドクオを掴むと、再びノルノの背中から筒が出てくる。


(;'A`)「ま、ま、ま、ま、待って!まだ気分が」

ノル ゚ -゚ノ「口を閉じt(ry」





キィィィィィィィィィィィィィィィン





(((;゚A゚)))「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ死ぬぅぅぅぅぅぁぁぁぁぁ!!」



風と共に消えた。



( ^ω^)(あいつ……ドクオって言うのかお)



251: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/30(日) 23:29:57.21 ID:b88tDW8n0

運命は交差する。





決して狂う事無く。








終着駅を目指して。








駆動兵器のMemories 編   完



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