( ^ω^)がマジ切れしたようです

10: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:01:45.01 ID:2EEL30ml0



広がる空。

周囲に、黒い衝撃波が一方的に通過する。

駆動兵器三機の自爆。

それは、その『時代』から駆動兵器が無くなる事を意味し――。

ヴィプクロメタリウムという驚異的燃料を無くした、科学者、開発者達は頭を抱える。
そうなると、各方面の研究者のベクトルは、核開発へと必然的に向いた。


少量生成、超純度エネルギーを生んだ、あの合金はもう無い。
ノルノの仕業。




ノルノが犯す、歴史的大悪。



15: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:03:26.99 ID:2EEL30ml0


――――
―――
――


大陸を照らす月。
大きな月。


その大きさにも届きそうな、小さな自分の手。


それを見つめる、何も知らない目。
新しい光景を見つめる、何も知らない目。



自らが周る意味を持たせる為に『遂行』する。



20: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:05:29.57 ID:2EEL30ml0

ノル゚-゚ノ『……』

ある女には『期限』が訪れ――。

川; -)『戦うためだけに……創られた私が…正義を盾にするなど…
      過ぎた話だったのかもしれん』


ある少年達は『転機』を迎えた。


('A`)『俺には俺の……』
( ^ω^)『生きる……道……』



それも、全てはくるりと一回りする為。
吹き抜ける風が、いつか巡り巡って自分の体に二度触れる時が来るかのように。


これも『規定事項』。

ノルノは、すべき事を終える。




『未来』へと『戻る』のである。



24: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:06:42.45 ID:2EEL30ml0






( ^ω^)ブーンがマジ切れしたようです


Cグループ

From All



ノル゚-゚ノのメモリーズなようです



28: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:08:19.47 ID:2EEL30ml0



――キノコ雲。


そう聞いたのは、私の祖父から。
そもそも、伝聞というのは、表現が誇張されているもの。
そう思っていた。

そう思っていたんだ。


過去というものは、全てが全て、誇張されているものではない。
私達は、それを知った。
体験した、あの駆動兵器を使った大陸全土の戦争。
空に見た、あの核ミサイルは白く、淡く輝いていて、とてもそうは思えなかった。

だが、今私達の目の前に映るのは、地を抉り、大空をも飲み込みそうな、強き炎。
全てを包み込み、全てを終わらせる核の炎。
私達は、それをただただ見て、見て。
そして、逃げるしかなかった。

もう、地球に逃げ場は無い。
醜くて、汚い。
神という、居もしない偶像を盾に、武力を振るう者達の愚かな行いが、地球を駄目にした。



33: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:10:40.84 ID:2EEL30ml0


いや…、そうだろうか。
私達も、その流れに加担していたのではないだろうか?

この宇宙船の中で、私達は不安に満ち満ちた、スペースコロニーへと移住する。
生態系の潰れた地球に残された時間など、もう残されてはいないのだ。

一つの惑星を、一つの生物が潰した。
これは、紛れもない事実。

一つの生物と括ってしまえば、私達も皆、地球を壊してしまったのと同じなのだ。


それでも、まだ生きようとする私達は、醜い。





――――『宇宙船の中から・地球からの逃避1巻 より』――――



43: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:11:56.44 ID:2EEL30ml0

マスターのメモリーの補完。
それが、私の唯一、そして、存在の絶対に繋がる使命。

ノル゚-゚ノ「これで、マスターの想い出は、補完できるのでありますね?」

――ええ。そうよ私。これで、マスターの笑顔がまた見れるの。

ノル゚-゚ノ「私は、運命に踊らされています。でも、それでいいと思えるようになったのです。
    そして、私の中にある『何か』に、気付けた気も、するのであります」

――……エラーを無視しては、いけないわ。受け止めなさい。

ノル゚-゚ノ「人は、言うのです。嫌なものからは、目を背ける、と。
    私は、ずっとずっと従ってきました。嫌なものも、もちろん目を背けたりせずに」

――それは、駄目よ。私。

ノル゚-゚ノ「いいえ。私は、私なのです」

――……一人ぼっちになっても、いいというの?



ノル゚-゚ノ「私が、そう望んだから。それが、正しいのです」


――ずっと、ずっと一人なのよ?『私』がいなくなれば『私』はずっと……。
  ずっと一人なのよ?それでも耐えられるの?進めるの?



49: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:13:25.77 ID:2EEL30ml0

流れる光の輪。
極彩色の輝きが、ノルノを包み、次の時代へと送る。

目を瞑れば、もう見られないかもしれないその不思議で美しい光を視覚に受け、
ノルノは何かの波に体を委ねる。



ノル゚-゚ノ「マスターのメモリーは補完します」

――……ええ。『私達』はそれを望んでいるものね。


最後の会話――。

それを終えると同時に、ノルノは、どこか懐かしくも感じる、生活の要塞へと帰って来た。
いつものように、周りを見渡す。

……が、もう『私』からの声は聞こえない。
ノルノが、それを拒んだからである。

存在を殺したわけではない。
一つになった、そう、一つになったのだ。

ノル゚-゚ノ「最後は……私の力で」

そして、ノルノは最期に気付くのだ。
自分の中にある、その『何か』に――。



52: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:16:18.68 ID:2EEL30ml0

コロニーに降り立ったノルノであったが、そこはノルノがいたコロニーでは無い。

その少し前。
地球から、人間達がコロニーへ移住して『9年後の過去』。

コロニーはまだまだ発展途上であり、そこかしこから、機械が金属を打ちつけるような音。
そして、人間達の努力の賜物である、住居郡が広がっていた。

人間の生きる為の知恵、というのは逞しいものであって、どこへでも生きていけるようになるものである。

たとえそこが、生まれた地球でなくなったとしても、自分達で地球と酷似した生活空間を作り出し、
そこに法や習慣が生まれ、直に地球と似たような物となる。

それが構築されるまで、数十年とかからない。
地球というのは、育つことのできる環境が整っている。
だからゆえ、進歩は鈍足であり、順調に進む。

ノル゚-゚ノ『……ごめんなさい』
   『ああ。こちらこそごめんなさい』

時に肩をぶつけてしまうほど人に溢れている。

だが、この宇宙空間に作られたコロニーには、それが十分に整っていなかった。
一つ間違えば、孤独な空間へと放り出されてしまうそれは、恐怖の塊。

こうして、人が暮らしていけるのも、人の生み出した、知恵、努力のおかげである。



58: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:18:50.51 ID:2EEL30ml0

その知恵が、1日1分1秒。
まるで雪解け水が、川に注いでいくかのように蓄積されていく。

コロニーに人が移住し始めて4年。
ある一つの生命が誕生する。

ドク。
ノルノのマスターとなる人物。

メモリーの補完に繋がる、最後の『規定事項』。
それは、幼きドクとの接触。

ノル゚-゚ノ(小さなマスターとの接触……)

幼き日。
父が乗る船を輝く目で見ていたあの日のドク。
小さいながら、宇宙の輝きに父の背中を照らし合わせてみていたドクと、ノルノは接触する。

いつか来るべきその日の為にである。
それが、ドクの『メモリー』を補完する為の最後の規定事項。

念を押すように、考え事をしながら人の肩を避けながらコロニーを歩いていくノルノ。
大きな多段ロケットの切り離し部分の一部を運ぶトラックや、訳のわからない機械を汗かきながらいじっている老人。
片足を失い、義足を付け、うつろな目で酒を飲み干す男。

そして、元気に走り周っている子供たち。

それを横目に、ノルノは歩いていく。
一歩、また一歩。



65: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:20:44.58 ID:2EEL30ml0

考えると、この一歩すら『規定事項』なのであろう。
一挙手一投足、全て運命にとらわれている、ドクのいつか聞いていた、昔の一曲のように。

決められたレールを、ただ歩いているだけ。

だが、いや、しかし、この一歩は大切な一歩である。
何もしなければ何も生まれない。

何かしないと何かが生まれない。

そういうもの。
そういうものなのだ。

人の賑わいが周りを包んでいた空間から、少し離れた。
もう少しで、ドクの済む住居区画の付近。

少し浮つく自分の中の何か。そして、どこか会いたくない自分の中の何かがひくついた。


その少しの歪みが、ノルノを止める。


ノル;゚-゚ノ「え……」




ノルノを、止める――。



68: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:22:04.12 ID:2EEL30ml0


system critical error
error code:unknown

system reboot......

failed.

system helt 30
system helt 29
system helt 28


徐々に動かなくなる、自分の手、足、首、体、それに関わる全て。
その場で膝をつき、右肩から地面に崩れ落ちる。


system helt 12
system helt 11


…………

何が起きたのか、ノルノさえ確認できない。
すぐさま、エラー報告を急がせるが、その報告文さえ一つも出なかった。
視界が、両端から暗く、黒く染まる。



74: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:25:28.78 ID:2EEL30ml0


system helt 3
system helt 2


指の先に、もう神経感覚は無い。
腕……肘……肩……胸。


薄れ行く意識。

ノル; - ノ『ァっ……く……』


system helt 1


長すぎた、その時間がノルノを止める。
ヴィプクロメタリウムをエネルギーにしているノルノ。

しかし、その合金は役目をもう果たせなくなっていた。
幾度にわたる時間超越。

その大エネルギー要素が、ヴィプクロメタリウムの本来の力。
『流動エネルギー』を生み出す力を無くしてしまった。



81: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:27:44.90 ID:2EEL30ml0

ノル; - ノ『っ……!!』

規定事項を終えるべき時間まで、体が持たないというの?
私は、マスターのメモリーを補完する事が、できないというの?
マスター。

マスター。

マ……。


system helt now........


………………。

暗転する、世界。
ノルノの、最初の戸惑い。

それが、最初の、そして最大の過ち。
決められた時間分しか存在できない、存在。
それがノルノ。

時間超越を許された特別な存在。
力の抜けた体。
そこにもう火は灯ることが無く、どこかの誰かに言った『空の入れ物』となる。

それは運命か、規定事項か、皮肉か。
横たわり、力が抜けたノルノを、月が見ているように感じた。



89: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:30:02.13 ID:2EEL30ml0

――――
―――
――

『……………………』

『………………』

『…………』

『……』


ノル - ノ『……ッ』

どこでしょうか……ここは。
私はあれから…体が動かなくなって……エラーが…そして……。


マ?

マ……えっと……。


ノル;゚-゚ノ『マっ!!!マスタァ!!!』
('A`)『え?マスター?』

目覚めたそこには、いつも夢見たあの顔があった。
どこか、いつも退屈そうで、気だるそうで。



94: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:33:18.02 ID:2EEL30ml0

私が『愛して』止まないマスターが、そこにはいた。
そして私は、なぜかベッドで布団を被っていて、マスターは緑色のエプロンをつけていました。

ノル;゚-゚ノ『……』

('A`)『なんだよマスターって。
   それより、今日は近所の子達と遊びにいくんだろ?
   まだあっちの方じゃ工事も進んでるんだ、遠くに行くなよ。わかったか?』


な、何が起こったんでしょうか。
私は夢を見ているのですか?

だ、誰か答えをお教えください。
あの時代のドクオ様の家にあった『はじめてのおるすばん』というディスクを読み込んだからでしょうか?

――

(;'A`)『の、ノルノちゃんそれ見ちゃ駄目だって!!!』
ノル゚-゚ノ『じゅうはちきんぴーしーげーむ、はじめてのおるすばん?』

(;'A`)『い、いやそれね!!あのなんつーかさ!!ほら!!セコムとかそういうさ!!
    セキュリティソフト!!そう!!お留守番ソフトだよ!!!』

――

セキュリティを強化するディスクだと思い読み込んだのは、まずかったでしょうか……。



99: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:36:42.35 ID:2EEL30ml0

ノル;゚-゚ノ『え…あの、マスター……』

('A`)『だからなんだよそのマスターってのは。なんかのアニメで流行ってるのか?
   最近の月面衛星放送は変わってんだな。そういえば、電子映像館で前に見たんだが、
   昔のアニメにガン○ムマイスターとかいうのがいてな、それがもう駄作駄作で……』

い、いえ……。
そういうことではなくて……。

と、私が口に出す前に、続けざまにマスターは言います。

('A`)『……っと、ほら、これ弁当。さっさと顔洗って、そのぼっさぼさの髪なんとかしてこい』
ノル;゚-゚ノ『え?は……はい……』

言われるがままに、顔を洗い、いつも使われているかのような髪をとく櫛を使うノルノ。
生活感が漂う、この空間。さも何年も暮らしてきたかのような、そんな気持ちにさせられた。

本当に、どうしたんだろうか。
そのような考えが、頭に渦巻く。

('A`)『じゃあ父さん、今日からまた行って来るからな。
   まあお前が帰ってくる頃には飯作って待ってるから』

ノル;゚-゚ノ『は、はい……』



101: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:38:27.27 ID:2EEL30ml0


……父さん?


そう言うと、マスターはキッチンへと向かい、食器を洗っていました。
私は、ただただそれを見ている事しかできず、それに私は機体がうごか……。


そう。
動かなくなったはずなのです。

それなのに、なぜ私は動いているのでしょうか?


ノル;゚-゚ノ『……体が……人間に……?』


私の体が、人間になったのですか?
なんで、どうして……。



('A`)『こいするおっとめーにーみんな〜。
    やっぱいくら昔のアニメでも、6号さんはいいな』



108: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:39:54.51 ID:2EEL30ml0


――――
―――
――

考え事をしている間に、景色は変わっていました。
これは、一方的な夢?

それであったとしても、この夢が何を意図しているのかわからない。
私に大切な事は、マスターの想い出の補完。
ただそれだけなのに。


『ノルノちゃん?』

ノル;゚-゚ノ『え……あっ、は、はい!?』

ミセ*゚ー゚)リ『何ボーッとしてるの?あっ、またお父さんの事考えてたんだ?』
从'ー'从『あれれぇ〜?ノルノちゃんパパが好きなんだ?』

ミセ* ー )リ『らしぃよぉ?顔を赤くしてあたしにこう……なんというか、胸の内を
      ぽわぽわぁ〜ってした顔でさ!もうかわいくって!びっくりしちゃった!
      それでね?その細い指であたしの服を裾掴んで……。ああもう鼻血出てきちゃいそう』

从'ー'从『1ブロック先に総合病院があったはずだよぉ〜?』
ノル;゚-゚ノ『……』

これは……本当になんなのでしょうか?
今まで感じたことの無い何かが、私を締め付けてきます。



117: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:44:25.44 ID:2EEL30ml0

ミセ*゚ー゚)リ『ほら!どうなのよノルノちゃん!』
ノル;゚-゚ノ『え?えっと……』

ミセ*゚ー゚)リ『……そ、その顔がまたたまらんですたい!!たまらんですたい!!
      も、もっと顔を赤らめて、あたしに頼ってもいいんだよ?ノルノちゃん!
      あたしなら何でも受け止めて!!受け止めてあげるから!!!あぁ!!!』

从'ー'从『ほら。やっぱり病院いっちゃいなよぉ〜』


これは……。
夢、なのでしょうか。

私は、アンドロイドなのに――。
今の私には、その機能が存在しません。

ミセ;*゚ー゚)リ『い、いやに病院をすすめるね、ワタナベちゃん……』
从'ー'从『ん〜、もうそろそろ潮時だよぉ〜?
     精神病棟のノストラフェトゥ先生。腕がいいって評判だってぇ
     どんな精神疾患でもたちまちに治るらしいよぉ?』

ミセ*;゚ー゚)リ『あたし精神疾患だったんだ……』

ワタナベに手を引っ張られながら進むノルノ達に見えてきたのは、コロニーの先端部分。
先に見えるは広大な宇宙であった。
多くの宇宙船が行き来し、修繕ポッドがコロニーを守る壁を直していた。
宇宙なんて、見慣れていた。
ノルノはずっと、ずっと見ていたように感じていたのだ。



123: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:47:12.10 ID:2EEL30ml0

なぜ?
と問われれば、答えられない。

だが、ノルノの中には、あのもやもやしていた【内に秘めていた何か】が、はっきりとわかっていた。
今ならわかる。
はっきりと言える。

あれは、感情であったと。
宇宙光に目をやり、何かにふけるノルノを、ミセリはニヤニヤと見ていた。
そのニヤニヤしているミセリを、困った顔でワタナベは見ていた。

ミセ*゚ー゚)リ『あたし達、もう18歳でしょ?そろそろ彼氏の一人くらい欲しいよねぇ』
从'ー'从『そ〜お?って、最近ずっとそればっかり言って無ぁい?』

ノル゚-゚ノ『……』
ミセ*゚ー゚)リ『ワタナベちゃんはいいじゃない!相手がいてさ!なんだっけ……。
      ギアス君だっけ?この前言ってたじゃん?』

从'ー'从『ギアス君は違うよぉ〜。あの人、なんか私の家までついてきてぇ、
     【結婚を前提にギアスッ!!】とか言ってねぇ、治安維持隊の人に、
     どっかに連れてかれちゃっただけだよぉ〜』

ミセ;*゚ー゚)リ『あっ、そうだったの?じゃあただの変態じゃない!
      気をつけなよぉ〜?男は狼なのよ!気をつけなさい!!』

从'ー'从『うん。ただの変態さんだったぁ。
     気をつけてるつもりなんだけどねぇ』



135: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:49:04.82 ID:2EEL30ml0

なんて平和なんでしょう。
私は、ずっと歴史を遡って、こうやって戻ってきました。
行く先行く先、何かがあって、誰かが困って……。

私の周りは、負に満ちていました。
でも、今は……。

夢の中は、違う。
私は、これを望んでいたのでしょうか?

この夢を望んでいたのでしょうか?

ミセ*゚ー゚)リ『…まぁたボーッとして。何か悩みがあるなら言ってね?』
从'ー'从『そうだよぉ。私達、お友達でしょ〜?』

それでも今は……。
今は、幸せに感じて……しまう。


ノル^-^ノ『……うん。大丈夫だよ。何でも無い』


ミセ* ー )リ『……その笑顔もまあ中々ありな感じ?たまにしか見せないしレアリティもそこそこ、
      何より可愛い。うん。いいよ!!!いいようん!!!ノルノちゃんすっごくいい!!!
      パパもいいけどあたしを愛して!!いいから愛して!!!強く!!強く抱きしめろ!!』



从'ー'从ノル゚-゚ノ『……』



138: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:52:29.18 ID:2EEL30ml0

そして、過ぎていく楽しい時間。
現実とも、空想とも取れないその空間は、ノルノに居心地のいい時間を与えた。
コロニーには、一日の変わりが見られない。
なので、コロニーに住む人間は、皆腕時計をする。
腕時計をつけず、ただそのまま暮らしていれば気付けば3時。などという事もざらにあったりするからだ。


そして時計が指した時間は、18時。
ノルノが、そろそろ帰ろうと提案し、二人は乗った。
帰り道も、たわいのない会話をしながら歩いていく。

ミセ*゚ー゚)リ『じゃっ!また明日……かな?』

从'ー'从『どうせ暇だから明日もだねぇ〜』
ミセ*゚ー゚)リ『だね。じゃあまた明日!』

从'ー'从『みんなばいばぁ〜い』
ノル゚-゚ノ『さようなら』

あらためて考え直してみると、なんでアンドロイドの私がこのような事になっているのか。
疑問が浮かんで浮かんでしょうがない。
あの時、私はもう体が動かなくなっていたはず。



141: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:53:32.01 ID:2EEL30ml0

そのはずなのに、私はこう、動いている。
それも、アンドロイドではなく、人間として。
腕にだって、足にだって、関節部も無い。人間としての体。

少し、悲しくなった。
もしこの夢が、私の望むそれならば。

そう考えただけで――。

私は『マスターのメモリーを補完する』という一つの使命だけを考えて、
規定事項を遂行してきたわけでは無くなってしまうのだ。

私は、私を欲してしまっている事になるのだ。

ノル゚-゚ノ『……』

そうして、ノルノはドクと共に暮らす住居の入り口の前で立ち止まり、俯いてしまった。
このドアを開ければ、そこにはドクがいる。
しかし、そのドアを開ける事に、少し前に抱いた何かがひくつく。

ノル - ノ『……っ』

――私は絶え間ない時の流れに、何度も逆行し、遂行する存在。

綺麗な円を描くような、輪廻の輪の中で転生を繰り返し、
永遠に同じ道を歩み続ける事しか許されていなかった存在。

しかし、あの時私は、思いもよらなかった己の『停止』によって、確かに規定のループを外れた。



148: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:55:02.71 ID:2EEL30ml0

私の目の前には見慣れた扉がある。
何よりも大切な…マスターの家の扉。

那由他に一つの可能性でも……。
愛する人と共に、同じ時の流れを生きられたなら。


それはどんなに『心』躍る事だろう。


今、再び始まった無限にループする規定の毎日。
その中で私は――『今までどおり』では無い、何かを胸のコアに感じながら――扉をノックした。


('A`)『遅かったじゃないかノルノ』
ノル゚-゚ノ『……』

あの時と変わらない笑みを浮かべて、ドクはノルノを向かえた。
もう、夢でもなんでもいい。そういった考えが、ノルノに浮かぶ。

今のこの感情が、全てにおいて正しいと、ノルノは決めたのだ。

そう思うと、ノルノの白く、透き通った頬に、一筋の涙が流れた。



そして……一言。



151: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:55:26.16 ID:2EEL30ml0




ノル゚-゚ノ『ただいま。お父さん』


('A`)『おお。おかえりノルノ』



161: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:57:37.94 ID:2EEL30ml0


――――
―――
――


その一言で、夢は収束を始める。
たっぷりと入った水がめから栓を抜いたかのように、渦ができ、そして無くなっていく。
収束していく夢は、ノルノの周りをポロポロと剥がしていき、原型を崩していく。

悲しみが、満ちた。


『これが、夢の終わり?』


ノルノはそう呟く。
一瞬の、一瞬の幸せしか手に入れさせはしない、その夢を。
時間の残酷さを、胸に抱き、肌に感じ、目に映し、脳に刻んで。


収束を終えた世界に続いて引き起こった事象。


それは、走馬灯のように輝き、走るメモリー。



166: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/01(月) 23:58:51.90 ID:2EEL30ml0


ζ゚听)ζ 『レデンツレデンツレーデレデ!』

ζ゚听)ζ 『ま・じ・か・るツンデレ!』


そう、流れていくのは連綿とした想い出。
私が関わった人達との、大事な――。


(´・ω・`)『炒飯のリズムはぁぁぁぁぁぁぁぁぁ 幽波紋のリズムぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!
       今からそれを見せてやるぅぅぅぅぅぅ!!』



(* (,,゚Д゚)『そうだ。お前もこれを機会に3次元の素晴らしさに目覚めろ。
      昨日は暖房消して【雪山登山遭難プレイ】に挑戦したんだが、これが燃えてな…』



大事な、想い出。
私の中に刻まれた、メモリー。



173: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/02(火) 00:00:13.58 ID:zYqEMmbM0

从'ー'从『ブーンさん。あなたは、今私達を見てくれていますか?
     よかったら、守っていてください。あなたから授かった命が、私のお腹にいます。
     名前、いいのがあったら、夢の中に出てきて、こっそり教えてください……』


……いいえ。
メモリーじゃないわ。
私を作っているのは、私に関わった人達の『メモリーズ』。


ノノ'A`)『お前は…お前の信じる道を生きるんだ』

(`゚ω゚´)『やめろっ!僕にはもう生きる目的も何も無い』

ノノ'A`)『意味のない生などない!目的はまた作るんだ』



(`゚ω゚´)『知りたくなんて無かった…あんたと…ブーンさえいなければ…』


ノノ'A`)『…すまない』



それが、たとえ私に直接の関係が無いとしても。
その言葉、行動が、何かを変えるのでしょう。



181: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/02(火) 00:01:30.86 ID:zYqEMmbM0


そうですよね?マスター。



私のメモリーは、マスターの一部になれましたか?
マスターのメモリーは、私の中で、こうも鮮明に映っています。



189: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/02(火) 00:03:15.79 ID:zYqEMmbM0
そう、こうやって私の中に――。

――――――
――――
――


ノル;゚-゚ノ;゚听)ξ『ッ!進行方向に障害物急接近!』


(;'A`)『しまった!ツン、エンジン逆噴射!緊急停止だ』

ξ;゚听)ξ『了解!』


完全に油断した。
目的地が近づき一瞬気が緩んだ。

眼前に巨大な隕石が迫ってくる。

もう今更ハンドルを切っても間に合わないだろう。
激突する前に止まるしか道はない。


(; ゚ω゚)『間に合ってくれおぉぉぉ!』
(;゚A゚)『うおぉぉぉ!』

私は『マスターと共に』いました。
ずっと、ずっとです。



194: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/02(火) 00:05:18.03 ID:zYqEMmbM0

ただ、今までその事に気付けないでいた。
今まで望み続けてきたその願いは、すでに叶っていたのです。


私の見た、マスターのメモリー。
それは、もう一人の『私』を通してみた、もう一つのメモリー。


('A`)『ツン。座標を開いてくれ』
ξ゚听)ξ『現在座標θ2234.87661』

('A`)『随分遠いとこまできちまったな』
ξ゚听)ξ『あんた……本当にこんなところに宝がある、なんて信じてるの?』

('A`)『ああ。あるさ。
    俺の頭ん中にこびり付いてるんだ。あの小さい頃から、ずっとな』

ξ゚听)ξ『へぇ……。何かわからないけど、大変ね。
      ……って、前方障害物37よ』

('A`)『はいよ、っと』


マスターを、ずっと見ていた。
作られたあの時から、私は居ないけど、私はそこに居た。



201: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/02(火) 00:07:48.47 ID:zYqEMmbM0

(´・ω・`)■『母さん。これで母さんが僕の目の前に……』

私はショボン様に『二度』作られていたのですね。
今なら、何もかもわかる――。


ξ゚听)ξ『……』
( ^ω^)『!ツン!』

(´・ω・`)『やぁ、久々だね』

ξ )ξ『ショボン……』
('A`)(感動の対面か)

ξ#゚听)ξ『てめぇぇぇぇぇ!っ殺す!』
(´・ω・`)『ははは、母さんそんなに怒らないでよ』

――――

そして、ノルノに見えていたメモリーズが、途絶えた――。
暗い、暗い世界が広がる。
意識があるかどうか、体があるかどうかすらもわからない、黒。

このまま、孤独に体をやられたまま、ずっと時を過ごすのも、悪くはなかった。
でも、頭の端から無くなりはしない、あの想い出。

なぜか悔しくて、切なくて。
ノルノは、存在が確かでない、拳を握り締めた。



208: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/02(火) 00:09:21.63 ID:zYqEMmbM0

・・・
・・



コロニー第15研究所


(´・ω・`)「……」



カチリ


─wwヘ√レvv〜─!


そう、私はいつもここから始まる。
すべては決まった事であり、変更は認められない。

私は、見慣れた天井を毎度の如く視界に捉え、
『ああ、始まったのね』

と一人納得するのだ。



でも、今は違う。



217: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/02(火) 00:10:52.42 ID:zYqEMmbM0


(´・ω・`)「……ツン?」

ノル゚-゚ノ「残念ながら、そのメモリーの元人格は破棄され、再構築されたのです」
(;´・ω・`)「そ、そうなんですか……」

ノル゚-゚ノ「再生していただき、誠にありがとうございます」
(´・ω・`)(なんだかしおらしくなっちゃったなぁ)

少しさびしく思いつつも、実験が成功したことをショボン様は喜んでいたようです。
でも、長居はしていられない。

ノル゚-゚ノ「では、マスターの元へ行ってきます」
(;´・ω・`)「ま、マスター?」


一時の安堵を得る為。
それもそう。

だけど……。

ノル゚-゚ノ「それでは失礼します」
(;´・ω・`)ノ「え?あ…ちょ」



221: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/02(火) 00:11:26.43 ID:zYqEMmbM0


この研究所から、マスターの家までの道のりも全て覚えている。
入り組んだコロニーの中でも間違う事無くたどり着ける。

私にとって、ほんの僅かなマスターとの生活。
それが私の存在する全ての意義でした。

これから始まる唯一の安らぎに、
その後始まる長い苦難を忘れはしていない。


ノル゚-゚ノ (着いた)


扉の前、ブザーを鳴らすと出てくるマスターの顔が思い浮かぶ。
この瞬間も、何度経験しても慣れない。

そう、私は嬉しく感じている。


ビーッ



229: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/02(火) 00:12:36.88 ID:zYqEMmbM0


('A`)「はいはい?」


ノル゚-゚ノ「……」

('A`)「ど、どなたさん?」


私はマスターのためにのみ存在する。
それは今も変わらない。

プログラムであろうが、規定事項であろうが、
それが私の使命であり、私自身も望んでいる事。

ノル゚-゚ノ「マスター、今日からお世話になります」
('A`)「マ、マスター!?お世話?」


もし私に『生きる』という概念が存在するならば、
これが私の生き方なのでしょう。

(゚A゚)「どどどどどど、童貞ちゃうわ!」
ノル゚-゚ノ「いいえ、童貞です」



マスターと共に生きる事のできない世界であろうと、何であろうと。
私には、大切な物――。



236: ◆Cy/9gwA.RE :2007/10/02(火) 00:14:41.43 ID:zYqEMmbM0

('A`)「好きなように、生きろ――」
ノル゚-゚ノ「はい。では…」


('A`)「?」
ノル゚-゚ノ『いってきます』


何かが変わる。
何も変わらない中での変化を求めて。

たとえ、それが那由他に一つの可能性であっても。

('∀`)ノシ『おう。いってこい』


この胸に。


『メモリーズ』があれば……。





( ^ω^)がマジ切れするようです Cグループ


ノル゚-゚ノのメモリーズのようです 完



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