( ^ω^)がマジ切れしたようです

55:バトロワ ◆I40z/j1jTU :2007/10/02(火) 21:32:25.07 ID:Y54Kj55K0

見渡す限りに存在する本の棚。

棚には所狭しと本が犇めき合っていた。

そこからひとつ本を取ってみる。
その本の題名は『愚かな主人公』。

適当にぺらぺらと捲っていると、途中の話が抜けていることに気づいた。
すっぽりと、綺麗に。

なぜここだけ真っ白なページなのだろうか。
目次にはここにはショボンと魔法の絵の具という話が記されていた。


^^なぜだ
なぜこの話が本に書いていないのだ


腕を組み、考えていると少しはなれたところから声が聞こえてきた。
ババァと、見知らぬ老人が話し合っている声。



60:バトロワ ◆I40z/j1jTU :2007/10/02(火) 21:34:42.91 ID:Y54Kj55K0

( ^ω^)「久しぶりだお。しばらく見ないうちに随分と老けたようだな」

J( 'ー`)したわけ
あまり私を見くびらないほうがいいぞ

( ^ω^)「おっおっお。調子は昔のままだお」


老人は持っていた本を、ぱたりとテーブルの上に置く。

部屋は暗く、照らす光は蝋燭の炎しかない。
ゆらりと揺れるたびに、影も同じように蠢きだす。


J( 'ー`)しそれでな
お前に頼みごとがあるんだよ


老人の笑顔はとまる。

先程までの笑顔が嘘だったかのように。
そして、一言。


( ^ω^)「……言ってみろお」



67:バトロワ ◆I40z/j1jTU :2007/10/02(火) 21:37:03.13 ID:Y54Kj55K0

J( 'ー`)しあの男を
本の世界にいかせて欲しいんだ


ババァと老人が、俺を見る。

響き渡る足音。老人がゆっくりと近づいてくる。
全てを見透かしたような眼で、俺の顔を覗いていた。


( ^ω^)「お前の名前は?」

^^俺の名はデスピーチ
貴様の名はなんだ

( ^ω^)「僕の名はブーン・カシャール。よろしくだお」


老人は棚から一冊の本を取り出す。
表紙が黒ずんでおり、題名が読めなかった。



71:バトロワ ◆I40z/j1jTU :2007/10/02(火) 21:39:29.51 ID:Y54Kj55K0

( ^ω^)「しょうがない、いかせてやるかお」

J( 'ー`)し本当かい

( ^ω^)「あぁ」


短くババァにそう伝えたあと、ブーンはその本を広げる。

すると、その本からは溢れるくらいの光がでてきた。
視界が擦れるくらいの、眩い光。

蝋燭一本では照らせなかった、部屋の全貌が姿を現す。


( ^ω^)「さぁ、デスピーチ。この本のなかに飛び込むんだお」

^^強く
強くなれるのか

( ^ω^)「なれるお。その薄っぺらい強さが、本当の強さに変わる。
       だから安心していってこい」


本の光が、俺の気持ちを後押しするかのように強く光り輝く。



76:バトロワ ◆I40z/j1jTU :2007/10/02(火) 21:42:04.20 ID:Y54Kj55K0

^^ブーン
お前を信じるぞ


途端、身の回りに光が纏わりつく。

徐々に身体を包んでいく光。
心なしか、暖かかった。


( ^ω^)「井の中の蛙よ。本当の強さを手に入れて来い」


次第に弱くなっていく光。
そこに、デスピーチの姿はなかった。


ブーンは、閉じた本を見つめている。
がんばれ、と掻き消されるくらい小さな声でそう呟いた。



――続――



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