( ^ω^)がマジ切れしたようです

348:バトロワ ◆I40z/j1jTU :2007/10/02(火) 23:36:42.87 ID:Y54Kj55K0

目の前は真っ白だった。
決して比喩などではない。

地はあるのか。壁はあるのか。空はあるのか。
白い宇宙空間に投げ出されたような感じだ。

この空間に人はいるのだろうか。

奇妙な光景を見渡そうとしたとき、視界にカーテンがかかる。
目の前は反転して黒に変貌するが、優しい温もりが瞼を塞ぐ。

あたたかい手だ。


『だ〜れだ?』

^^知らん


相手にも聞こえるよう、力強く答えた。


――( ^ω^)が料理人になるようです



354:バトロワ ◆I40z/j1jTU :2007/10/02(火) 23:38:29.14 ID:Y54Kj55K0

川 ゚ -゚)『ま、そりゃそうだろうな』

手を離しぴょん、と目の前に現れる。
年増の分際でなんだかよくわからんひらひらした洋服を着ているこの女。

彼女は何故ここにいるのだろう。
以前のクーと比べると違和感を感じた。


^^おいクー
なぜお前がここにいる

川 ゚ -゚)『それは違う世界のクーだろう?私はこの世界のクーなんだ』


わけわからん。頭がどうにかなりそうだ。
催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。


川 ゚ -゚)『話進めていいか?』


やけに冷静な口調で、ぴしゃりと言い放つ。



357:バトロワ ◆I40z/j1jTU :2007/10/02(火) 23:40:17.12 ID:Y54Kj55K0

^^どうぞ

川 ゚ -゚)『君は、パラレルワールドというものを信じるか?』

^^信じるぜ

川 ゚ -゚)『だろうな。今の君にはそれを信じる度量ができている。
      まぁ、信じないっていったらそれこそ頭がどうにかなってるぞ』


この世界も含め、俺は三世界渡り歩いた。
オワタ、ショボン、そして目の前の女性、クー。

自分にはない強さを探し、普通なら逢うことのないはずの人物と逢っている。
おそらく、渡り歩いた世界以外にも別の世界があるだろう。
それが、彼女のいうパラレルワールド、平行世界。


川 ゚ -゚)『その通りだ。私はその数多の世界の一人のクーにすぎん』

^^なるほどな
お前と魔女世界のクーは似て非なる人物ってことか

川 ゚ -゚)『思ったより頭がいいじゃないか』


余計なお世話だ。



362:バトロワ ◆I40z/j1jTU :2007/10/02(火) 23:42:21.79 ID:Y54Kj55K0

^^ということは俺という存在もお前の世界にいるのか

川 ゚ -゚)『いないから安心しろ』


そうなんだ。


川 ゚ -゚)『まぁ、そんなことは別にどうでもいい。
     私がここにいる理由は、答えを聞き出すためだ』

^^答えか

川 ゚ -゚)『そうだ。この旅の目的は見つけることができたのか。
     そのために私は老人からここに呼ばれた』


答え合わせ。

オワタ、クー、そしてショボン。俺は彼らから学んだ。
人と人の繋がり。人の本当の強さを。

その答えを言うときがきたのだ。



365:バトロワ ◆I40z/j1jTU :2007/10/02(火) 23:44:10.82 ID:Y54Kj55K0

^^想い、だ

川 ゚ -゚)『正解だ』


彼女が左右の手の平を合わせるごとに、音が聞こえてくる。
その音が心を満たし、なんだか心地よかった。

想い。俺にはいままでなかった強さ。
オワタは観客を、ショボンとクーは互いを。

彼らは想いあうことで自分の信じる道を歩んできた。
それをこの眼でみて、自分がいかに薄っぺらいかを教えてくれた。

俺も彼らみたいに強くなれるのだろうか。


川 ゚ -゚)『なれるさ』


彼女の言葉が、俺の心を貫いく。


川 ゚ -゚)『お前にはわからないのか?見えないのか?
     彼らの想いは、君の心にちゃんと繋がれているのを』

^^心にか

川 ゚ -゚)『そうだ。そして彼らだけではない。ちゃんと私の想いも君の心に』



372:バトロワ ◆I40z/j1jTU :2007/10/02(火) 23:46:31.55 ID:Y54Kj55K0

クーは手の平を宙にかざす。忽然と現れるグラス。
なかには並々と液体が注がれていた。


川 ゚ -゚)『さぁ、飲んでくれ。私から君へのプレゼントだ』


そう言って彼女はそのグラスを俺に渡す。

淡い紫色の水。
不思議と、心が安らいだ。


川 ゚ -゚)『そのカクテルの名前はシオン。
     あなたを忘れない、お互い忘れないようにという意味が込められている』


グラスを口に傾け、シオンを喉に流す。甘く、清らかな味だった。


川 ゚ -゚)『これで、私の役目は終わった』


いままでの世界と同じように、消えていく自分の身体。

寂しさなんてものはない。
シオンが、俺の心に刻まれたから。



375:バトロワ ◆I40z/j1jTU :2007/10/02(火) 23:48:12.68 ID:Y54Kj55K0

川 ゚ -゚)『君は、君だけの道標【みちしるべ】を見つけるんだ。
     誰でもいい。君の心を導いてくれる人間ならば』

^^クー

川 ゚ -゚)『なんだ?』

^^ありがとう


彼女は優しく微笑む。
そして、人差し指を天高く掲げた。


川 ゚ -゚)『さよならは言わないぞ、デスピーチ!!
     さぁ、行け!! 想いが照らした君の道をどこまでも駆けて行け!!』


最後に見た彼女は、優しく微笑んでいた。



――続――



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