( ^ω^)ブーン達は絡まり合うようです
- 4: ◆qvQN8eIyTE :2007/08/19(日) 20:24:13.69 ID:8Mva7VCS0
- 第九話 【獲物狩り】
(´・ω・`)『それじゃあお知らせね』
広い空の下、久々に機械を通した声が響き渡る。
その声に気付いた参加者達は、各々、動きを止めて耳を傾ける。
(´・ω・`)『えー、遂に参加者が半分を切りました。残りは9名です。皆、頑張ってね』
どこまでも通っていく声は、参加者達の耳に余すことなく届けられる。
一つ咳払いをして、孫悟空は言葉を続けた。
(´・ω・`)『うん、これだけだから』
そして即座に放送を切った。
何かが切れるような短い音を残して、声が響くことが無くなった。
ξ゚听)ξ「あと半分のようね」
放送を聞いたツンが呟いた。
- 6: ◆qvQN8eIyTE :2007/08/19(日) 20:26:44.73 ID:8Mva7VCS0
- ξ゚听)ξ「これならなんとか最後まで残れるかも……。クー、何か見えたりはしない?」
川 ゚ -゚)「いや、私の睫毛の近くには誰も通らなかった……ん? 映像が見えないな」
ツンから投げ掛けられた質問に、即座に答えるクー。
彼女の毛、睫毛は目に一番近く生えている故、置いた場所の映像が本人に見えるのだ。
そして、睫毛を通してのイメージが、突然途切れた。
(・∀・)*⌒「お姉ちゃん、わたしも音が聞こえなくなったよ!」
照美の毛、耳毛もまた、クーと同じような感知型。
置いた場所に響いた音を聞き取れるのだ。
ξ;゚听)ξ(まさか⌒*←この部分が耳毛だったとはね。正直髪の毛かと思ってたわ……)
ξ゚听)ξ「とにかく、なんで二人の毛が機能しなくなったのかしらね?」
一瞬、どうでも良いことに思考を奪われたが、すぐに本題に戻す。
ツンが照美の方を振り向いた瞬間、照美は顔色を変えた。
_,、_
(・∀・)*⌒「お姉ちゃん、臭いからこっち向かないで」
ツンの限界突破の瞬間であった。
- 7: ◆qvQN8eIyTE :2007/08/19(日) 20:29:08.23 ID:8Mva7VCS0
- ξ#゚听)ξ「黙れ!! 殺すぞ!! 脇毛で殺すぞ!!!」
_,、_
(・∀・)*⌒「わたし、そういうのだめなんだぁ」
何故こいつは自分ばかりを挑発するのであろう。
その怒りがツンの冷静さを欠かせた。
滅多に表情を崩さないクーが、焦りながら自身の後ろを指差しているのにも気付かないほどに。
( ^ξ#゚听)ξ「うぉら! 死ね!」
脇毛を引き抜き、投げる。
痛みはあるが、怒りのおかげで和らいでいる。
その怒りも、地に着いた脇毛を即座に喰らう蟻達を見て収まってしまったが。
( ^ξ;゚听)ξ「え? なにこの蟻h――」
川;゚ -゚)「ツンー! 後ろ後ろー!」
クーの叫びは届かない。
既に蟻に集られている彼女の耳に届かせるには、少し遅すぎた。
一瞬、唖然とした表情を残して、ツンは音も無く消えていってしまった。
- 8 名前: ◆qvQN8eIyTE [すみません、訂正です] 投稿日: 2007/08/19(日) 20:29:44.86 ID:8Mva7VCS0
- ξ#゚听)ξ「黙れ!! 殺すぞ!! 脇毛で殺すぞ!!!」
_,、_
(・∀・)*⌒「わたし、そういうのだめなんだぁ」
何故こいつは自分ばかりを挑発するのであろう。
その怒りがツンの冷静さを欠かせた。
滅多に表情を崩さないクーが、焦りながら自身の後ろを指差しているのにも気付かないほどに。
( ^ξ#゚听)ξ「うぉら! 死ね!」
脇毛を引き抜き、投げる。
痛みはあるが、怒りのおかげで和らいでいる。
その怒りも、地に着いた脇毛を即座に喰らう蟻達を見て収まってしまったが。
( ^ξ;゚听)ξ「え? なにこの蟻h――」
川;゚ -゚)「ツンー! 後ろ後ろー!」
クーの叫びは届かない。
既に蟻に集られている彼女の耳に届かせるには、少し遅すぎた。
一瞬、唖然とした表情を残して、ツンは音も無く消えていってしまった。
――ツン(脇毛)脱落――
――残り8名――
- 10: ◆qvQN8eIyTE :2007/08/19(日) 20:32:09.71 ID:8Mva7VCS0
- ( ^////)「まずは、一人……」
ツンを消した男が、一歩ずつこちらに近付いてくる。
歩を進ませるごとに、木で遮られていた光の照らす面積は増えて。
少しずつ、男の表情が明らかにされていく。
( ^//^//)「残りは、二人……」
じわり、じわりと。
確実に距離を詰めてくる。
何とも言えない威圧感が、逃げ出すという選択肢を奪ってしまった。
( ^//ω//)「次の獲物は……」
男とクーの視線が、絡まり合う。
( ^^ω)「お前だホマ!!」
- 12: ◆qvQN8eIyTE :2007/08/19(日) 20:35:06.49 ID:8Mva7VCS0
- カサカサ……と気味の悪い音を立てながら、クーの方へと移動してくる。
今の状況はクー達が獲物で、男が狩人だ。
クーにはただ目を瞑り、脱落の時を待つことしかできなかった。
――硬質な音が鳴り響くまでは。
(#・∀・)「脇の臭いお姉ちゃんを……消したなっ!」
クーが再び目を開けると、太陽に照らされシルエットと化した少女が、
一本の棒を握り、男を殴り飛ばしていた。
その姿は他キャラと見紛うほどに、逞しかった。
川;゚ -゚)「お前、その姿とその武器は……?」
思わず口から漏れる、疑問。
(#・∀・)「いくもーざいってやつ塗ったらこうなった! 耳毛が無くなっちゃったけどあいつは絶対倒すんだから!」
( ω)「ガ……、ガギギギ……」
男は吹っ飛ばされ、その場で蹲っていた。
まさか幼稚園児ほどの女の子に殴り飛ばされるとは思っても見なかったのだろう。
その手が、自身の耳を覆う。
- 16: ◆qvQN8eIyTE :2007/08/19(日) 20:37:32.75 ID:8Mva7VCS0
- (#^^ω)「耳がッッッッ! 耳が痛ぇホマッッッッ!!」
蹲りながらも叫ぶ男。
そんな男に対して、獲物から一転、狩人へと地位を変えた少女が近付いていく。
かつては狩人だった獲物へと。
(#・∀・)「お姉ちゃんと一緒にいたかったのに! 絶対許さない!!」
身動きが出来ない男に、もう一度巨大化した耳毛を振りかざし、殴打。
腹部に当たったそれは、微弱ながらも高速に振動し、非現実的なほどの高音を発した。
(# ω)「あぁぁうぁ……何ホマ……この音は……」
川;゚ -゚)「音……? そうか、耳毛は音を感知する毛。
ならば攻撃に転ずる時は音を操っても何ら不思議ではないはず」
突如、解説に入るクー。
しっかりと背の高い茂みに隠れて自分の安全を確保している辺り、流石である。
(#・∀・)「これじゃあモララーってキャラと間違われちゃうじゃない!」
少女の怒りは既に、別のベクトルに向けられて爆発していた。
- 18: ◆qvQN8eIyTE :2007/08/19(日) 20:39:23.43 ID:8Mva7VCS0
- (#・∀・)「わたしの耳毛……返してよっ!!」
更に振りかぶり、男の腹部に振り落とす。
どこか空気の漏れたような声を発しながら、男はまた耳を覆いながら苦しむ。
( ω)「みみ……げ……? そんなの……」
場の雰囲気が変わった。
男が静かながらも、凄みのある声を発し始めたのだ。
(#^^ω)「そんなの知るかホマァァァアァァアアァアア!!!!」
ゆらゆらと蹌踉めきながらも起きあがる。
いつの間にか、その手には沢山の蟻。
ブーンの作るそれと、ほぼ同一の物であった。
(;・∀・)「……え?」
いくら狩人だからと言って、油断してはいけない。
追いつめられた獲物は、突如として牙を剥くことがあるのだ。
――そして、その牙は狩人の命を奪うことさえもあるのだ。
- 20: ◆qvQN8eIyTE :2007/08/19(日) 20:41:48.12 ID:8Mva7VCS0
- (;・∀・)「あっ……」
瞬く間に蟻は巨大な耳毛に集る。
見る見る喰われて小さくなっていく耳毛には、既にその主を守る力が残されていなかった。
(;・∀・)「やだ……お姉ちゃん達と一緒に暮らしたかったのに……」
(;∀;)「こんなのやだよー!」
少女の叫びは何処に届くこともない。
何時の間にか蟻とは違う、どこか大きめな虫に運ばせた照美の人形を、
男が手にしたからだ。
彼女の涙は地面を少し濡らして、そして、消えた。
――ツイン照美(耳毛)脱落――
――残り7名――
- 22: ◆qvQN8eIyTE :2007/08/19(日) 20:43:41.19 ID:8Mva7VCS0
- 川 - )「クソッ……」
目の前で、抗うことも出来ずに消された友人。
目の前で、自分の居場所を守ろうと抗ったのに消された少女。
その二人が消されていくのを、ただ、傍観することしかできなかった自分。
あまりの無力感が、とても悔しかった。
自分の茂みの中という安全な居場所が、今となって許せなかった。
そして、思わず男へ向かって飛び出してしまった。
( ^^ω)「ホマ?」
川;゚ -゚)「あっ……」
飛び出して2秒後、即座に後悔した。
――クー(睫毛)脱落――
――残り6名――
- 26: ◆qvQN8eIyTE :2007/08/19(日) 20:46:08.60 ID:8Mva7VCS0
- _
( ゚∀゚)「あー、暇だなー」
そして、場面は変わる。
辺りと比べて小高い丘の上。
草枕をしてジョルジュは空を眺めていた。
既に参加者は半数を切っている。
わざわざ探しても出会す可能性が低い。
そう考えて、寝ながら待つことにしたのである。
_
( ゚∀゚)「……ビンゴ」
地面を通して、聞こえる足音。
一定のリズムを刻みながらも、確実に近付いてきている。
( ´_ゝ`)「あー、ちんちんかいーのー」
しばらくぶりに見る。
流石兄弟、兄者だ。
どうやら弟はいない。
既に脱落したのであろうか。
- 27: ◆qvQN8eIyTE :2007/08/19(日) 20:48:30.24 ID:8Mva7VCS0
- _
( ゚∀゚)「まぁ、どうでも良いか」
口角を歪めて笑う。
その目は既に、獲物を見付けた目であった。
_
( ゚∀゚)「発毛剤、補充しておきたいところだったしな」
身を起こし、兄者の元へと疾走。
唐突に的を目前にした兄者の顔には、瞬く間に驚きの色が広がっていった。
(;´_ゝ`)「ちょっ、またお前かよこっちくんないや怖いっqあwせdrftgyふじこlp;」
( ´,_ゝ`)「なーんてな。ぷっwww」
突如として変わる顔色。
それと同時に、後ろからの気配。
( ´_ゝ`)「弟者! 今だ!」
- 30: ◆qvQN8eIyTE :2007/08/19(日) 20:50:31.71 ID:8Mva7VCS0
- (´<_` )「おk!」
何時の間に後ろに回られていたのだろう。
ジョルジュの背後から無数の毛が襲いかかる。
弟者の足の指毛だ。
確実に刺さった。
そう弟者が確信した瞬間であった。
_
( ゚∀゚)「やっぱり仕掛けといて良かったわ」
平らであったはずの土が盛り上がり、もう一つ影が新たに出来る。
その影の主によって、弟者の攻撃は止められていた。
( ゚∀゚)「おっぱい!」
眉毛の無い、二人目のジョルジュだ。
( ´_ゝ`)「ちょwwww土から爆誕wwwねーよwwwwww」
(´<_` )「いや、それが今現実に目の前で起きてるから困る」
- 32: ◆qvQN8eIyTE :2007/08/19(日) 20:53:27.56 ID:8Mva7VCS0
- ( ゚∀゚)「おっぱい!」
( ゚∀゚)( ゚∀゚)「「おっぱい!」」
( ゚∀゚)( ゚∀゚)( ゚∀゚)「「「おっぱい!」」」
_
( ゚∀゚)( ゚∀゚)( ゚∀゚)( ゚∀゚)「「「「おっぱい!」」」」
増えていくジョルジュ。
土から順々に姿を現し、遂には四人まで増えた。
_
( ゚∀゚)「あり? だいぶ減っちまってるな。まぁまた増やせばいいか」
小さく一人呟き、その手を自身の眉毛に持って行く。
強く握られた眉毛は、簡単に抜けてしまうのであった。
( ゚∀゚)つ⌒-「よっ」
( ゚∀゚)( ゚∀゚)ボワン「「おっぱい!」」
( ゚∀゚)「うし、成功」
一人増え、五人となったジョルジュ達。
顔、体型、動きに雰囲気。
何もかもが全くと言っていいほど、同じである。
- 35: ◆qvQN8eIyTE :2007/08/19(日) 20:55:39.85 ID:8Mva7VCS0
- (´<_`;)「眉毛で分裂って……どういうことだよ」
( ゚∀゚)「お前、眉毛をなめんなよ。眉毛は髪の毛に一番近い毛なんだぜ?」
(;´_ゝ`)「何? ということはまさか……」
(´<_`;)「兄者、わかったのか?」
( ´_ゝ`)「いや、わかんないけど言ってみた」
(´<_`#)「死ね。この世に存在する一番の苦痛を感じながら死に絶えろ」
(*´_ゝ`)「らめぇ! 言葉責め感じちゃうのぉぉ!!」
(;゚∀゚)「……」
流石兄弟のやり取りに乗り遅れたジョルジュは、ただ呆然と二人を眺めていた。
二人のノリに着いていけなかったのである。
そして、しばらく悩んだ後に導き出した結論は、
( ゚∀゚)「――――Go」
一番正しい答えであった。
- 39: ◆qvQN8eIyTE :2007/08/19(日) 20:59:01.01 ID:8Mva7VCS0
- (*´_ゝ`)「弟者たんたら、そんなに真っ赤になっちゃって」
(´<_`#)「滅べばいいのに……」
(#)_ゝ`)「そんなに言わなくたyとあひlれはいっ!!!」
突如、頬に走る強烈な衝撃。
鼻に何かが通り抜けるような感覚が襲う。
熱と痛みが、その頬にしっかりと残された。
(#)_ゝ`)「ちょ、感じt……痛い!」
(´<_`;)「バカ! 何やってんだ」
気付けば、いつのまにか迫っていた二人のジョルジュに、兄者が殴られた後に捕まっていた。
二人は言い争いに熱中しすぎた。
そう後悔した時には既に、弟者の手足もまた二人に掴まれていた。
(#)_ゝ`)「足裏触っちゃらめぇwwww感じちゃうのおwwww」
(´<_`;)「二人掛かりとかムサすぎるだろ!」
( ゚∀゚)「さて、お前らはそのまま押さえていろ」
唯一、兄弟を押さえに行かなかったジョルジュが呟き、そして、歩を進める。
向かう先は、彼らのバック。
( ゚∀゚)「発毛剤補給&人形ゲットだ」
- 43: ◆qvQN8eIyTE :2007/08/19(日) 21:02:54.26 ID:8Mva7VCS0
- 手に握られているのは、それぞれ2セットの、液体と人形。
まずは二人の人形を、自身の人形に絡ませる。
(´<_`;)「待て、俺らは賞金で母者に服を買わないと殺されてしまうんだ」
(#)_ゝ`)「あの肉体に合う服なんて有るはずがないんだがな」
二人がジョルジュを必死で説得しようと試みる。
しかし、ジョルジュは彼らの言葉に耳を傾けることもなく、
( ゚∀゚)「知るかバーカwwww」
呆気なく毛を抜いてしまった。
――兄者(手の指毛)脱落――
――弟者(足の指毛)脱落――
――残り4名――
- 46: ◆qvQN8eIyTE :2007/08/19(日) 21:05:27.33 ID:8Mva7VCS0
- ( ゚∀゚)「さて、お前らはまた土にでも戻ってろ」
捉えるべき対象を失った分身に対して、新たな命令を下す。
その命令を聞き入れた四人の『自分』は、素直に土へと潜っていった。
( ゚∀゚)「うし、弾を補給しとかないとな」
そう呟いて、ジョルジュは先程手に入れた発毛剤を眉毛に塗りたくる。
まるで空に向かって伸びる雑草のように、眉毛はあっという間に生えていった。
_
( ゚∀゚)「そういや、眉毛は髪に一番近い毛だからオリジナルに近い能力だって、あいつらに説明し忘れてたな」
小さく声を漏らして、再度草枕。
空が目前に広がっている。
手を伸ばせば、遠くにある雲さえ掴めそうな錯覚さえ感じた。
_
( ゚∀゚)「雲は流石に届かないけど、賞金ぐらいなら届いてもおかしくはないな」
伸ばした手をそのままに、空へと語りかける。
そんな彼の瞳もまた、空を映していた。
戻る/第十話