( ^ω^)ブーンは出会い、何かを見つけたようです

22:梅雨の終わり :2007/07/02(月) 22:07:59.37 ID:2k47U41q0

朝起きたらクーがいなかった。
家のいたる所を探したが姿はない。
僕は彼女と行った場所を順番に周る事にした。

美術館、公園、商店街……。
どこにも、どこにも彼女の姿はない。

( ;ω;)「何も言わずにサヨナラなんて嫌だお!」

僕は零れてくる涙を止める事は出来なかった。
ぼやける視界の中、彼女の姿を探し続けた。

一方、クーの姿は二人が最初に出会った屋上の上にあった。

川 ゚ -゚)「……そろそろか」

クーはそう呟くと、錆びたフェンスをのぼり、ビルの端に立った。



23:梅雨の終わり :2007/07/02(月) 22:12:22.71 ID:2k47U41q0

枕元に神様が立った時は驚いたものだ。
なんでも梅雨の初めと終わりにこの時代とクーの時代が繋がるそうだ。
現実味のない話だが、今この身を持って体験している事だから信じるしかない。
そして今日が梅雨の終わりなのだそうだ。

――つまり帰れるのは今日だけなのである。

神様曰く、トンネルの出来る地点には不自然な虹が出るそうだ。
そういえば、こちらの世界に来る前に小さな虹を通った気もする。

川 ゚ -゚)「さて、行くか」

クーは下を向いた。そこにはビルに垂直に小さな虹が出ている。
ここから飛び降りれば元の世界に帰れる。
ごくりと唾を飲み、足を踏み出そうとしたその時。

( ;ω;)「やっ、やっと見つけたお!」



24:梅雨の終わり :2007/07/02(月) 22:15:53.56 ID:2k47U41q0

やっぱりここにいた。僕らの出会った、この場所に。
しかし今回は立場が逆だった。クーは今にも飛び降りようとしている。
僕は急いでフェンスに駆け寄った。

( ;ω;)「何やってるんだお!」

川 ゚ -゚)「信じてくれなくてもいい。ただ、この先に帰る道があるんだ」

僕は最初、その話を信じる事は出来なかった。
しかし、クーの瞳に嘘や偽りはない。どこまでも真っ直ぐだ。
――信じよう。クーが昔の時代から来た人間である事を信じたよう。

( ;ω;)「信じるお、クーを」

川 ゚ -゚)「真か? ……済まんかったな、何も言わずに去って」

( ;ω;)「本当、驚いたんだお! さよならぐらい……言わせて欲しいお」



26:梅雨の終わり :2007/07/02(月) 22:17:25.18 ID:2k47U41q0

しばらく二人の間に沈黙が流れる。
下から聞こえる喧騒やけによく聞こえた。

川 ゚ -゚)「君にあえてよかった、内藤。楽しかった、ありがとう」

タイミングを見計らうようにしてクーが言った。
僕はまた涙が頬に流れるのを感じていた。

( ;ω;)「僕も……楽しかったお」

川 ゚ -゚)「泣くな、内藤。男が無闇やたらと泣くものじゃないぞ」

( ;ω;)「おっおっ……」

川 ゚ -゚)「それじゃあ、さよならだ」

その直後、僕の視界からクーが消え去った。

遠くから蝉の鳴く声が聞こえたような気がした。



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