( ^ω^)はヌクモリティを取り戻すようです

135:◆uAn5dIn1Sw:06/02(土) 22:23 UXZ6bTPMO


( ^ω^)と丑三つ時のおはなしのようです



蝉の声がひたすらうるさい。

(; ^ω^)「暑くて何もしたくないお」

夏休みに突入して嬉しいったら嬉しいのだが、
この暑さはどうにかならないのか!


携帯に着信アリだ。
( ^ω^)「もしもしこちらブーンだお」

('A`)「よお。暑いよな。まあ、俺はクーラーの効いたクーの家に居るわけだが」

(; ^ω^)「ズルいお…僕もそっちに…」

煤T
('A`)「ごめんこの家二人用なんだ」

( ^ω^)「スネ夫乙。イヤミ言うために電話したのかお」

('A`)「肝試しに誘おうと思ってな」

肝試しか。
夏休みも一週間が過ぎてマンネリだったんだ。
いい機会だな……



136:◆uAn5dIn1Sw:06/02(土) 22:40 UXZ6bTPMO


( ^ω^)「ありがとうだお!どこでするんだお?」

('A`)「学校だ。俺達の通ってる学校」

なんだ学校か。

川゚‐゚)「それでは今日の夜、丑三つ時に校門前でな」

クーがドクオの携帯を使って要件を伝えてきた。
いいよな……彼女がいる奴はさ。


( ^ω^)「さて、夜まで積みゲー崩して時間潰すお」

(# ゚ω゚)「うわああああああああアアアアアアアアアア五秒で終わったアアアアアア」

メタル〇ーガ 砂塵の鎖

(; ^ω^)「落ち着くお。旅に出ますかって聞かれて出ませんって答えたらエンディングになったぐらいで叫んではいけないお」


(# ゚ω゚)「だアアアアアアいみわかんねえええ」

超兄貴 聖なるプロテイン伝説

(; ^ω^)「落ち着くお。あまりにカオスでディスクを叩き割たくなっても我慢だお」


( ^ω^)は濃いゲームばかり積んでいたようです

(; ^ω^)「ああ、もうこんな時間に」



138:◆uAn5dIn1Sw:06/02(土) 23:04 UXZ6bTPMO


( ^ω^)「おいすー」

('A`)川゚‐゚)「よう、遅かったな」

この二人はドクオのチャリに二人乗りしてきたらしい。

夜の校舎に集まるのは春のあの日以来だな。

ただ三人とも私服で、ドクオがデレデレしているけど。


今日のクーは白いワンピースに薄手のカーディガン、足には茶色のミュール。
ミュールから見える足の爪には赤いマニキュアが乗っている。
あ、指に少しはみ出してる。


('∀`)「何見とれてんだよ。クーは俺の彼女だぜ?」

うるさいな。わかってるよ。



139:◆uAn5dIn1Sw:06/02(土) 23:20 UXZ6bTPMO


(; ^ω^)「で、これからどうするんだお?」

('A`)「校舎の中をぐるっと一周するんだ。行こうぜ」

玄関の鍵をクーが何やら怪しい道具を使って開けている。
犯罪じゃね?

川゚‐゚)「開いたぞ」

まあいいか。

一応上履きに履き替えて夜の校舎に侵入する。
非常灯のグリーンの光と月明かりに照らされた校舎ははっきり不気味だ。


( ^ω^)川゚‐゚)('A`)「ちょっと待て、なんで俺が先頭なんだ」

クルッ

('A`)( ^ω^)川;゚‐゚)「な、なんで私が先頭なんだ!お前ら男だろ!」

クルッ

川゚‐゚)('A`)(; ^ω^)「僕も先頭は嫌だお」

クルッ

( ^ω^)川゚‐゚)(;'A`)「いや、だから俺は嫌だって」

クルッ

('A`)( ^ω^)川;゚‐゚)「私はか弱い女の子だぞ?情けなくないのか」

クルッ

川゚‐゚)('A`)(; ^ω^)「先頭は勘弁だお」

クルッ

( ^ω^)川゚‐゚)('A`)「無限ループって怖くね?」



140:◆uAn5dIn1Sw:06/02(土) 23:36 UXZ6bTPMO


まあ、横一列になればいいわけだよね。

ガタッ

(;'A`)「ひぃ」

川;゚‐゚)「うわっ」

(; ゚ω゚)「ひぎぃ」

(;'A`)「お、お前ら驚きすぎだろ!風で窓が鳴っただけじゃねえか」

(; ^ω^)「ドクオだってびっくりしすぎだお!」

(;'A`)「ば、馬鹿言ってんじゃねえ!
お前パンツ大丈夫なのかよ!」

(;^ω^)「大丈夫に決まってるお!」

川゚‐゚)「私は予備があるから大丈夫だ」

(;'A`)(;^ω^)「ええええええ」



141:メンズビーム打ちてえ◆uAn5dIn1Sw:06/02(土) 23:52 UXZ6bTPMO


(; ^ω^)「早く一周して帰るお!」

(;'A`)「そうだな!早く帰ろう」

ふっ……

川;゚‐゚)「うわっなんだ!真っ暗だぞ!」

緑色の非常灯が消えた?
おかしい。いきなり消えるなんておかしい。

川;゚‐゚)「ドクオ…どこだ!」

(;'A`)「ここだ!捕まれ!」

ギュッ

川*゚‐゚)('A`)( ^ω^)

('A`)「いや、ブーンは呼んでないだろ」

パッ

よかった。またついた…

(; ゚ω゚)「おっ?」

まだおかしい。外が真っ暗だ。
月明かりすらない、
完全な闇。

僕らを照らすのは弱々しい非常灯のみ

(;'A`)「どう…なってんだよ…」



143:夜はラップ音がヤバい◆uAn5dIn1Sw:06/03(日) 09:18 X9Hb3sW9O


(;'A`)「やべえって……」

さっきから鳥肌立ちまくりだ。
俺は多少霊感があるからわかる。
早くここから離れるべきだ。

川;゚‐゚)(;'A`)

クーが抱きついているのは嬉しいが逃げ切るのが先だ。

(;'A`)「よし、走るぞ!冗談抜きでヤバい」

(; ゚ω゚)「おお!」

夜の校舎を全力で突っ走る俺達三人組。

ズデーン

川 ‐ )「痛っ」

何もない所でこけるか普通。

(;'A`)「お、おいどうした」

川; ‐ )「つ、つつつ冷たい手に足を掴まれたんだ……」

クーの足には赤い手形がついている。
真剣にやべえ…



144:◆uAn5dIn1Sw:06/03(日) 13:19 X9Hb3sW9O


(;'A`)「クー、立てるか?」

川;゚‐゚)「あ、ああ」
ここはもうただの夜の学校じゃねえ。
ちょっとした異世界だ。
少なくとも俺達のいるべき空間ではない。

川;///)「ドクオ…その……ちょっと……」

(;'A`)「どうした?気分悪いのか?」

やっぱり女の子には影響が出やすいのか?

川;///)「トイレ…行っていいかな…」

もじもじしているクー見てたらなんか落ち着いた。

川;///)「すまない…」

近くの女子トイレに駆け込むクー。
さすがに俺も女子トイレには入れねえ。

('A`)「なあ、お前好きな奴とかいる?」

トイレの外で待つ俺とブーン。

( ^ω^)「いるかもしれないお」

とりあえず誰かと話してないと間が持たない。

('A`)「なんだそりゃ、自分のことだろ?」

( ^ω^)「自分でも好きなのかどうかわからないんだお」

('A`)「そいつは困
『キャアアアア』

(;'A`)「な、なんだ!クー!」

女子トイレの中からだ!無事でいてくれ!



145:◆uAn5dIn1Sw:06/03(日) 13:54 X9Hb3sW9O


川;゚‐゚)「ふう」

間に合った。
危ないところだった……

真夜中の女子トイレはやはり真っ暗だ。
仕方なく携帯のディスプレイの明かりを頼りに用を足した。
服、汚れてないよな?


トントントン

川゚‐゚)「誰だ。イタズラはよせ」

女子トイレに入ってくるとは。
デリカシーがないのか?男どもは…

トントントン

川;゚‐゚)「やめろ。ひっぱたくぞ!」

タチが悪いイタズラだな…どっちもひっぱたいてやる。

トントントン

川;゚‐゚)「いい加減に」

トントントン

川;゚‐゚)「やめ…」

トントントントン

川; ‐ )「冗談は……」

背中に冷たい汗が流れている…
男どもじゃない……

トントントントントントントン

川; ‐ )「あ、あああ」


止んだ。
よかった……



グッ

足に冷たい感触。
いやだ、見たくない…

震える手から携帯が落ちた。
ディスプレイの明かりに照らされた私の右の足首には

爪の剥げ落ちた真っ赤な手


川;ワ;) 「キャァァァァァァ」



146:◆uAn5dIn1Sw:06/03(日) 14:56 X9Hb3sW9O


(;'A`)「クー!どうした?」

個室のドアを開けると…

川; ‐ )「あ、あああ、ああ」

放心状態だ。
……ワンピース、汚しちゃったのな…


(;'A`)「落ち着けって、俺だよ!ドクオだよ!」

川;‐;)「うう、うわあああ」

(;'A`)「よしよし、俺が来たから大丈夫だ。早く家に帰ろう。な、な?」


何が起こったんだ……この学校には何がいるんだ…




(; ^ω^)「あ、クーちゃんおm('A`)「だ ま れ」

ブーンをトイレから追い出しておく。空気を読んでくれよな…

川;‐;)「グスン、ヒッグ、帰りたい……」

(;'A`)「大丈夫さ!帰れるって」

仕方なく俺のズボンを貸しておく。
俺変態みたいだな……

(; ^ω^)「あ、パンツ一丁の変態」

だから空気読めよ!



147:◆uAn5dIn1Sw:06/03(日) 15:08 X9Hb3sW9O


(;^ω(#)「正直ごめんだお」

(;'A`)「とにかく玄関に行こう。鍵は開いているハズだ」

下パンツ一丁はスースーする。

泣きじゃくるクーと引きつったニコニコ笑顔のブーンを連れて玄関に着いた俺達。

(;'A`)「なんで!なんで開かないんだよ!」

鍵はかかってないのに戸が開かない!

ガラス戸に映りこんだ俺の顔は焦りに満ちている。
俺達三人は早くここを出たいんだ!

……ん?三人?

ガラスに映っているのは…

(;'A`)

俺と

(; ^ω^)

ブーンと

川;‐;)

クーと

川д川





(; A )「うわああああああああっ!」

よ、四人目!



149:◆uAn5dIn1Sw:06/03(日) 16:56 X9Hb3sW9O


(; A )「ひいいいぃぃぃぃぃ」

クーの手を掴んで走る!ひたすら走る!
ブーンとかしらねーよ!


(; A )「いやあああ」

チラッと廊下の窓を見る。さすがについてこれまい!

川д川

( A )「いやああっあっあっあああああああああ」

川;‐;)「怖いよおお」



(; ゚ω゚)「はぐれたああああっ」

やっべえ、マジやっべえ。僕ドクオ達とはぐれちゃったよ!

(; ^ω^)「落ち着くお。悲鳴のするほうに走ればいいんだお」

さすが僕。すごく冷静だな……

( ;ω;)「うわああんドクオどこおお?」

やっぱ冷静とか無理だよおおぉぉ



150:◆uAn5dIn1Sw:06/03(日) 17:18 X9Hb3sW9O


( ;ω;)「どこだお…」

あは、あはは、ドクオ達足速いよ。

( つω;)「ここは……」

夢中で走ってたら階段の踊場にいた。
踊場には大きな鏡、姿見がある。

川д川

( ゚ω゚)「ひぃっ!」

で、出たっ!
髪はボサボサでクーよりも長く、制服にはところどころ赤いシミがついている……
恐怖で動けない。


……ん?

川д川「……タ……ス……」

あ…まさか、


(; ゚ω゚)「川上さん?」

いつも学校では髪を縛っているからわからなかった。

なんで鏡の中にいるんだ?

鏡の表面が歪んでいる…

川д;川「助けて!ブーン君!」

今、手を伸ばせば助けられるのか?

( ゚ω゚)「川上さん!」

鏡から彼女の細い手が伸びる。

ガシッとつながった僕の手と彼女の手。

(; ゚ω゚)「…っ!」

引っ張られる!このままじゃ鏡に引きずり込まれる!



151:◆uAn5dIn1Sw:06/03(日) 17:31 X9Hb3sW9O


(; ゚ω゚)「あ、あ」

足に力を入れて踏ん張るがそれでも引きずられる…

(;'A`)「な、何してんだよ、ブーン…そいつは」

ドクオ!ナイスタイミング

( ゚ω゚)「僕のクラスメートの川上さんだお!きっと訳ありで鏡に閉じ込められたんだお!」

(;'A`)「何言ってんだよ!そいつ幽霊だろ!」

( ゚ω゚)「違うお!この子は僕の……
僕の好きな女の子だお!


(;'A`)「……」

(;'∀`)「よ、よし、お前を信じるぜ!」

少しためらいながらも川上さんの手を掴むドクオ。
ありがとう……ドクオ。



152:◆uAn5dIn1Sw:06/03(日) 17:45 X9Hb3sW9O


…これは予想外だ。
俺が幽霊だと思っていた女の子は実はブーンのクラスメートで、
しかもブーンはそいつが好きだと。

まったくもって予想外だ。

恐る恐る手に触れる。
温かい…本当に人間らしいな…


(;'A`)「おら、ブーン、力入れろ!一気に引っ張るぞ!」

なんで鏡に閉じ込められてるかとか、
なんで鏡から手が伸ばせるかとかしらねーよ。
ここはそんな場所なんだ。
理屈は通じないんだな。多分。


( ゚ω゚)「えええぃ!」

川上さんとやらの体が鏡から抜け出した。
なんかよくわからないが、

(;'A`)「助かったのか?」

川д川「はぁ、はぁ、はぁ」

( ゚ω゚)「落ち着くお!もう大丈夫だお」

俺のセリフに似てないか?

川;゚‐゚)「ど、どーなっているんだ?これは…」

そういや、クーはさっきからずっと踊場の隅っこでガタガタ震えてたな。



153:◆uAn5dIn1Sw:06/03(日) 20:38 X9Hb3sW9O


川;д;川「ぐすっ…寂しかったよ…」

川゚‐゚)「大丈夫、大丈夫。私達がついているからな…」

よかった…本当に幽霊じゃないみたいだな…
何があったのかは知らないが、この子は助かったんだ。

川゚‐゚)「さあ、皆でこの学校を抜け出そう」

('∀`)「ああ、そうだな」

( ^ω^)「賛成だお」


四人になった私達は再び玄関に戻った。

…今後はすんなり開いたな…

('∀`)「ぷはっ!外の空気は気持ちいいぜ」

( ^ω^)「やっと出られたお!」

川*゚‐゚)(ドクオのズボンあったかい)

川゚‐゚)「ところで川上さん、家のこととか大丈夫か?」

話によると、彼女一週間前、美術部で帰りが遅くなり、
暗い夜の校舎を歩いていたらあの鏡に閉じ込められた とのことだ。
科学的に証明できない現象だが、まあ彼女は助かったんだ。
結果オーライだ。


川д川「私、家が遠い田舎で…だから近くのマンションに一人暮らししてるんです…」

川゚‐゚)「そうか。じゃあ今晩は私の家に泊まるといい」

川д川「いいの?私…一週間お風呂入ってないから臭いし…」

川゚‐゚)「なら私の家の風呂に入るといい。良いシャンプーもあるぞ?」

川д川「でも……」

川゚‐゚)「遠慮するな。私達女の子だぞ?身だしなみには気を配らないと」

川д川「はい……」



154:◆uAn5dIn1Sw:06/03(日) 20:52 X9Hb3sW9O


川゚‐゚)「そうと決まったら、ブーン」

( ^ω^)「なんだお?」

川゚‐゚)「お前の轟天号の後ろに川上さんを乗せてやれ」

(;^ω^)「僕の自転車の名前はユアンゴディ154だお!それに、女の子は女の子同士で乗ったほうが…」

('A`)「悪い。俺のライトニングサイクリングスの後ろはクー専用だから」

そう言って二人乗りして走り去るドクオとクー。

もちろん残されたのは僕と川上さん。


(;^ω^)「ええっと川上さん。僕の自転車の後ろにどうぞ」

川д川「あ、はい」


クーの家に向かってチャリを漕ぐ僕。
さっきあんな恥ずかしいこと言ってしまったから、
よけいに後ろの彼女を意識してしまう。

( ;^ω^)「うんと、川上さん…もう少ししっかり捕まらないと危ないお」

川;д川「あ、はい…」



155:◆uAn5dIn1Sw:06/03(日) 21:01 X9Hb3sW9O


川゚‐゚)「なあドクオ。あの二人、上手くいくかな?」

('A`)「サアな…ブーン次第じゃねえの?」

パンツ一丁でチャリを漕ぐのはいろいろとキツいんだが。

('A`)「なあ、そろそろズボン返してくれよ」

川゚‐゚)「やだ」

('A`)「いいじゃん。もうワンピース乾いただろ?」

川*゚‐゚)「それでもやだ」

はあ……
まあ、こんなところもかわいいんだけどな。



156:◆uAn5dIn1Sw:06/03(日) 21:12 X9Hb3sW9O


川;д川「えっ……でも私臭いよ…」

( ^ω^)「僕はあんまり気にしないお。それに、川上さんが落ちてケガするのはイヤなんだお」

川//川「………」

ギュッ


(*^ω^)(あったかいお……)

川上さんの体温を背中に感じながら、
僕は自転車を漕いだ。

…このまま、ずっといられたらいいのにな…



クーの家までの道のりは、やたら短く感じた。





( ^ω^)と丑三つ時のおはなしのようです

おしまい



157:◆uAn5dIn1Sw:06/03(日) 21:20 X9Hb3sW9O



一応これでホラー編はおしまいです。

生暖かい感想などお待ちしております。

どうみても後半グダグダです本当にありがとうございました。

やっぱ技術不足ですね。

次はこの話の続きを投下する予定です。

お楽しみください。



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