( ^ω^)はヌクモリティを取り戻すようです

273:◆uAn5dIn1Sw:06/23(土) 20:59 mUhF1NeyO
  


第七話

ドクオ


俺は再びクーの家の前に立って、頑丈そうな扉に手をかけた。
ついさっきには大きく、重く見えた扉は今の俺には小さく見える。


急げ……

……ここ最近、やたら焦るようになった。
今大事なのは落ち着いてクーを受け入れることじゃないのか?

俺だけじゃない。
この街全体が何か見えないものに急かされている気がする。


……なに考えんだ。俺はクーを笑顔にするためにここに来たんだろ。

扉には、鍵がかかっていなかった。



274:◆uAn5dIn1Sw:06/23(土) 21:37 mUhF1NeyO
  


クーの家は照明が点いていなくて薄暗かった。

お金持ちの家の玄関は広い。
理由は知らない。


川 ‐ )

クー。

しわくちゃの制服に、寝癖のついた髪。
辛かったよな

苦しかったよな

不甲斐ない彼氏でごめんな。

今、助けてやるからな。

馬鹿な俺には気の利いた言葉は思いつかない。
なら行動で示す。

('A`)「クー………」

俺は、あの春の夜のようにクーに……

川; ‐ )「来るな!……悪夢が!」

俺の眼目の前を銀色が一文字に光った。

後ろ手に隠していた右手には、
鋭い刺身包丁がにぎられている……



276:◆uAn5dIn1Sw:06/23(土) 22:01 mUhF1NeyO
  


川; ‐ )「来るなよ!来ないでよ!」

刃先の震える包丁を突きつけながら俺に迫るクー。
俺は逃げない。

包丁なんざ怖くもなんともないとひたすら自分に言い聞かせても、
俺の足はガタガタ震えて、立っているのがやっとだ。

ここで崩れてたまるか。

(;'∀`)「俺は、異性として素直クールが好きなんだ」

あの日のセリフをもう一度。
思い出してくれよ……

(;'∀`)「俺は異性としてクーが好きだ!」

まだなのか、

(;'∀`)「俺は、クーが!大好きだ!」



川;‐;)「ああ ああ あああああっ!」

振り上げられた包丁は、真っ直ぐに俺の胸に向かって…………



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