( ^ω^)はヌクモリティを取り戻すようです
- 286:◆uAn5dIn1Sw:06/24(日) 12:56 s1N9e/CrO
ヌクモリティは誰かを取り戻すようです
川つ-川「ん……」
低血圧の私にはちょっと辛い朝。
昨日、クーちゃんにメールで
『朝五時、学校に来てほしい』
と連絡されたから。
朝早くに何があるのかな?
シャワーを浴びて、軽くご飯を食べて、制服に袖を通す。
鏡に映った自分の顔は眠そうだ。
川-川
……前髪、切ろうかな……
今後クーちゃんに腕のいいサロン教えてもらおう。
校門の前には
川゚‐゚)
('A`)
( ^ω^)
三人がいた。
みんな、私の友達。
ずっと離したくない友達。
- 287:◆uAn5dIn1Sw:06/24(日) 13:10 s1N9e/CrO
川-川「あ、みんなおはよう」
('A`)「ああ、おはよう」
ぶっきらぼうな挨拶は相変わらずだな。
( ^ω^)「……貞子ちゃん、おはよう」
川;-川「どうしたの、ブーン、顔しか笑ってないよ?」
ブーンは顔が笑っていても、心からは笑っていないことがある。
そんな時は怒っている時だ。
川-川「……なにか、あったの?」
川゚‐゚)「貞子ちゃん……いや、貞子さん。もう、隠してもしょうがないですよ」
川;-川「何……言ってるの……?」
やだ、私はこの先のセリフを知っている。
やめて……
川 ‐ )「 『( ^ω^)はヌクモリティを取り戻すようです』の作者、川上 貞子さん。私達は、全てを知っています」
- 288:◆uAn5dIn1Sw:06/24(日) 13:25 s1N9e/CrO
川;д川「何言っているの!悪い冗談は止めてよ!」
違う、私は作者じゃない!
認めたくない、認めたくない、認めたくない。
('A`)「もう、俺達知ってしまったんです。俺達があなたのノートの上の創作の『人』つまりキャラクターだってことを」
川;д川「証拠があるの?デタラメ言わないで!」
( ω )「証拠ならあるお……」
ブーン君が私の鞄から取り出したのは……
『( ^ω^)はヌクモリティを取り戻すようです』
と表紙に書かれたオレンジのノート。
('A`)「俺達は知っています。俺達がこのノートの通りに喋って、動いて、生きてきたことを」
川 ‐ )「そして、このノートの残りのページは、とても少ないことも……」
- 289:◆uAn5dIn1Sw:06/24(日) 13:37 s1N9e/CrO
( ω )「ノートのページを使い切ったら、多分僕達の『おはなし』はおしまいです」
川 ‐ )「仮に、新しいノートに続きを書いたとしても、それは新しいノートの私たち」
('A`)「……この辺で、お別れなんですよ、貞子さん」
川;д;川「やだよ!みんなとお別れなんかしたくない!」
( ω )「駄目ですお……このノートが終わったら、このノートの中のキャラクターの時間は永遠に止まっていまう」
川 ‐ )「途中から、キャラクターとして話に加わったあなたの時間も、
このままでは終わってしまいます」
川;д;川「私の時間なんて終わってしまったほうがマシなんだもん!
このノートから抜け出して、現実に帰ったところで私には友達もいなければ優しい家族もいない」
川 川「なら……ずっとこのままでいいんだよ……」
- 290:◆uAn5dIn1Sw:06/24(日) 13:52 s1N9e/CrO
('A`)「わがままは止めてくださいよ。こんなちっぽけなノートの世界に、いつまでも居ちゃあいけません」
川;д;川「やだ!やだやだやだ!このノートの中なら、私はいじめられないし、みんなみたいな優しい人がいっぱいいるし……」
川 ‐ )「確かに、そうですね。でも、このノートの世界は、あなたの理想の世界です」
( ω )「理想は、理想でしかない。僕達は現実を知らない。だけど、僕達はあなたに現実に帰ってほしい」
川;д;川「なんで?なんでなの!」
('A` 「俺達は、あなたに他の素晴らしい作品を書いてほしいんですよ……」
川゚‐゚ 「もう、ページが殆どないみたいです。世界が……あやふやになってきました」
( ^ω^ 「行ってください。あの階段の鏡から、現実に」
川;д;川「……わかった。きっと、きっと私は幸せな作品を書くよ……
さようなら
みんな」
- 292:◆uAn5dIn1Sw:06/24(日) 14:02 s1N9e/CrO
あやふやな世界を、私は駆け抜ける。
さようなら、こうなりたかった理想の私、
川゚‐゚)
素直 クール
勉強ができて、心は優しくて、美人。
さようなら、理想の男友達。
('A`)
クチエ ドクオ
ぶっきらぼうだけど、優しくて、思い切りがいい。
さようなら、理想のボーイフレンド。
( ^ω^)
内藤 ホライゾン
いつも笑顔で、彼女を大事にしてくれる優しい人。
さようなら。
みんな、さようなら。
水面のように歪む鏡に、私は飛び込んだ。
ノートの最後の一行が、埋まった。
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