( ^ω^) の最高速度は215キロのようです
- 34: ドックン番外編 :2007/07/12(木) 20:38:01.83 ID:h7VUh7nQ0
('A`)「ちっくしょう。なんだあいつは。せっかくの機会を台無しにしやがって。
ああいったものはその場の雰囲気というものが大事であって、簡単にはできないんだぞ。
それをあいつは、いとも簡単にぶっ壊しやがった。許せん。」
似たような語句を何べんも繰り返し、ぶつぶつと呟きながら歩いていた。
通りすがる人が訝しげな目をおくるが、そんなことには気付かない。
('A`)「くそ。」
('∀`)「でも、あれ……」
('∀`)「うひひひひひ。」
('A`)「それをあいつは……」
思い出しては喜んで、深く思い出すほど腹が立つ。
そんな記憶の階段を昇り降りしていたら、いつのまにか自宅へと着いていた。
- 36: ドックン番外編 :2007/07/12(木) 20:39:20.75 ID:h7VUh7nQ0
('A`)「ただい……はっ!!」
ドアを開けた瞬間に、ドクオのシナプスが急激にネットワークを構築した。
今日ガレージから帰るときに女の子とすれ違ったのを思い出したのだ。
見たことのある顔だと今になって気付く。ドクオのインスピレーションは今マックスだ。
('A`)「もしや。在り得る。あの状況、あの場所、あの二人。
高確率だ」
家のドアを力いっぱい閉め、走り出す。
お前にだけ、そんなことはさせない。絶対邪魔してやる。
それが友達だろブーン。
- 37: ドックン番外編 :2007/07/12(木) 20:40:46.66 ID:h7VUh7nQ0
とにかくさせない、やらせない。絶対にだ。そんな気持ちが拡大した。
とはいえ、悪意のあるものではなく、むしろ悪戯をしに行く気分だった。
それでも、後ろめたさがあったのか、はては予想する罪悪感の所為か
落ちそうになる気分を盛り上げるために、復讐者などと悪役を気取ってみる。
('A`)「俺はトラだ、悪いトラだ。そうだ。幸せを食ってやるんだ。そのために生まれてきた。」
走って息切れしながら、吐く息と共に自家製の呪いの言葉を唱える。
しかし、ガレージについた頃にはすでに二人はおらず、飛行艇もなかった。
('A`)「ふっ、いい度胸じゃねぇか。楽しんできな。絶対に邪魔してやるぜ。」
二人がいないことにドクオは望みを絶たなかった。
いや、むしろ料理のスパイスにきつい香辛料を入れて味を引き立てるかのごとくに感じた。
そして、それはとてつもない美味だと確信した。
- 38: ドックン番外編 :2007/07/12(木) 20:43:02.69 ID:h7VUh7nQ0
しかし、飛行艇が着水するのはここではない。飛行可能な場所に行かなければいけない。
ただ、そうなると範囲が広くなる。とりあえずガレージを出て考えてみる。
ドクオの横を一台のモペッドが通り過ぎた。それに大声で呼びかける。
('A`)「ミルナ先生―。」
( ゚д゚ )「ん、おう、ドクオだっけか?」
モペッドが停止し、搭乗者が自分に言うかのように呟く。
('A`)「先生協力してください。ブーンがまずいんです。このままじゃ奴は暗黒面へと堕ちてしまいます。
是非とも先生の協力が必要なんです。ブーンを探してください、お願いします。」
( ゚д゚ )「なんだ知ってるのか?俺もブーンに言いたいことがあるんだ。どこにいるか知ってるか?」
('A`)「いえ、いまはわかりません。でも、青い飛行艇に乗っています。もうすぐ日が落ちますから
すぐに戻ってきます。」
( ゚д゚ )「そうか、青い飛行艇か。よし、見かけたら近くによってみよう。じゃあなドクオ。」
- 39: ドックン番外編 :2007/07/12(木) 20:44:33.37 ID:h7VUh7nQ0
ミルナは5、6メートル走ってからモペッドを始動させ、角を曲がっていった。
ドクオはとりあえず、飛行禁止区域から出るところに行こうと思い、歩き出した。
目的地に着いて、辺りを見回してから煙草に火をつける。
何本か吸い終わった後、空に黒い点が見え、そしてエンジン音が聞こえた。
吸っていた煙草を川に放り投げ、ランナーズハイの走者よろしく素晴らしい笑顔で飛行艇を追った。
('∀`)「ひーひっひっひー。させねぇ、させねぇぜブーンちゃん。絶対にナー!!」
ドックン番外編 〜おわり〜
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