( ^ω^)ブーンがタッチタイプをマスターしたようです
- 1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 21:01:59.90 ID:LWHTI14x0
- ( ^ω^)「やったお。僕はついにタッチタイプをマスターしたんだお」
完
- 3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 21:12:52.17 ID:44JVd+410
- ( ^ω^)「ブラインドタッチが出来たからって・・・・・・」
そう、意味はない。
例えタイピングの速度がいかに速かろうとも、役には立たない。
学生なら、パソコンを扱う授業になれば一時期は色々と噂される。だけど、一時期だけ。
あっという間に『気持ち悪い』と言われだすのだ。
こんな力があっても、意味はない。
そう思ってた。だけど、この日を境に僕はもっと速く打てるように精進することになる。
- 7 : >>5うん。頑張る :2007/07/02(月) 21:23:15.93 ID:44JVd+410
(´・ω・`)「やあ、僕の名前は・・・・・・そうだね。今はまだ名乗る必要はないかな」
夕暮れ。赤くなった太陽の光を浴びながら家の外を歩いていると突然後ろから声がする。
駄目だ。関っちゃいけない。
僕はその声を無視して家へと歩く。
(´・ω・`)「無視か。内藤ホライゾン。君の力を活用することが出来るというのに勿体無いな」
・・・・・・何で僕の名前を知ってるんだ。
駄目だ。無視だ無視。早く家に帰ってニコ動でも漁ろう。
(´・ω・`)「やれやれ。どうあっても振り向かないつもりか」
無視だ。無視。
(´・ω・`)「君のタッチタイプの力が今役に立つというのに」
なんだって?
- 8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 21:31:00.72 ID:44JVd+410
立ち止まってしまった。
この力が?いやまて。ブラインドタッチなんて今やパソコンを持ってる人間の大半は出来る。
そんな力が役に立つわけがない。そんな餌に釣られるわけには・・・・・・
( ^ω^)「・・・・・・kwsk聞かせて欲しいお」
振り返ってしまった。やってしまった。どう考えても釣り。
でも、僕の中で何かが動いた。自分の力が活用できる。本当なのか?
(´・ω・`)「ようやく興味を示したね。『内藤ホライゾン』君。えぇと、友達内ではブーンだったかな?」
声の正体は男。年齢は大体二十歳前後くらいだろうか。
服装は黒一色。駄目だ。やっぱり振り返っちゃ駄目だった。どう見ても不審者だ。
それより、だ。どうして僕のあだ名まで知ってるんだ。
(´・ω・`)「おっと。警戒しないでくれよ。僕は君に『お知らせ』に来ただけさ。そう身構えなくて良い。」
この状況で警戒するなという方が無理な話だ。
どう考えても目の前の男は不審者。怪しさのオーラが全開だ。
そんな男を信用することが出来るわけがない。
- 13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 21:46:15.27 ID:44JVd+410
- (´・ω・`)「まあいいや。それじゃお知らせだ。
君はタッチタイプが出来るね?それだけとりあえず答えて欲しい」
( ^ω^)「・・・・・・出来ますお」
見ず知らずの男に対してこんな対応はいいのだろうか。
そう考えながらも自分の中にある『好奇心』は歯止めが利かなくなってきていた。
(´・ω・`)「そうか。なか良かった。それじゃ『これ』をあげるよ」
男が僕の方にひらいた掌を差し出してきた。
掌の中には小さな緑色の石が装飾された指輪があった。
( ^ω^)「これは・・・・・・なんだお」
(´・ω・`)「君の役に立ってくれる。今は分からないと思うよ。でも、すぐにわかるさ」
どうみてもただの指輪。銀色の輪に緑色の石。
(´・ω・`)「それじゃ、僕は去るよ。君は今この時を持って『異常者』になった。それだけは忘れない欲しい」
異常者、だって?
( ^ω^)「どういうことだ――――――
男に問おうと口を開いた瞬間、一陣の風が吹き荒れた。
思わず目を閉じて、再び瞼を開けて問おうと口を開こうとしたが、そこには男の姿はなかった。
- 14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 21:51:58.59 ID:44JVd+410
( ^ω^)「なんなんだお一体・・・・・・」
僕はなんともいえない感情になりながら、自宅へと帰った。
男に渡された指輪。ブラインドタッチが出来ること。一体それが何を意味するのか。
色々考えていたが、なんだか自分が痛く思えてき始め考えるのをやめて、自室のパソコンを弄りだした。
その時、僕はまだ何も知らなかった。これから起こること、これから巻き込まれていく人達のことを。
―――――― ( ^ω^)ブーンがタッチタイプをマスターしたようです ―――――――
- 25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 22:36:33.35 ID:44JVd+410
―――――翌日
太陽が昇り、閉めているカーテンから日が零れ、丁度眠っている僕の目に日の光が入る。
昨夜なんとなくで男に渡された指輪を右手の中指にはめて、他には何もせず眠った。
そのおかげか、そのせいか、中指に違和感を感じて昨日のことを思い出した。
この指輪は一体なんなのか。男は一体何が目的で僕にこの指輪を渡してあんなことを言ったのか。
現実から少し離れた話。
だけど、自宅警備員の僕にとってこんな非現実的な話は少し嬉しくもあった。
でも、不安も勿論ある。
何せ突然の出来事だったのだから。今でも信じられないが、しっかりと緑色の石が装飾された指輪は僕の薬指にある。
- 26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 22:39:52.06 ID:44JVd+410
普段時間の見る時に使う携帯を何気なくひらいた。
すると、そこには新着メール一件の表示があった。
誰からだろうか。僕にメールをする人なんていない。
学生の頃も僕は人と接することを避けて途中から家に引き篭もった。
そんな僕にメールを送る奴なんて・・・・・・いた。
一人だけ、いた。
メールを調べてみると、案の定そいつだった。
とはいっても、そいつもなかなかメールなんてしてこない。ここ一ヶ月くらいはしてなかったと思う。
一ヶ月ぶりのメールに少しわくわくしながら、内容を確認する。
(;^ω^)「・・・・・・有り得ないお」
メールの内容は昨日自分が体験したことと酷似していた。
突然怪しい男が現れて、見たことも話したこともないのに自分の名前を呼び、タッチタイプが出来るかどうかを聞いてくるというものだった。
酷似、そんなもんじゃない。全くもって同じだ。
- 28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 22:44:03.38 ID:44JVd+410
- 僕は早々とメールを返した。
今から近所の喫茶店であって、話そう。と。
返信はすぐに来た。今から行くとのことだった。
そのメールを読み終えた後、早々と着替えをする。
黒のジーンズ。黒色無地のロングTシャツ。黒色のニット帽。
不審者とも思える服装だけど、気にせずにあまり入っていない財布と携帯をポケットに押し込んで早々と家を出た。
喫茶店は本当に家の近くにあり、昼飯や深夜お腹が空いた時に食べにいくことがある。
歩いて2分もかからないくらいの位置だ。
まず何を話すかを考えながら歩いているとあっという間に着いた。
店内に入ると、店員が「お一人様ですか?」と問い掛けてくる。
僕は「あと一人来るお」とだけ伝え、席に案内してもらった。
席に座る前にドリンクバーを注文する。
食べ物を注文すればドリンクバーの料金が安くなりますけど、と店員が言ってくるが軽く流して飲み物を注ぎにゆく。
ホットコーヒーを一杯注いで、角砂糖を5個とミルクを3個入れて席に戻る。
- 30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 22:48:19.53 ID:44JVd+410
- スプーンでカチャカチャと音を立てながら少しずつ飲んでいると
( ^ω^)「お。こっちだおー」
ひらひらと手を振り、こちらに来るように手招きをする。
僕の声と手に気付いたようで、こちらに向かってくる。
('A`)「おっす」
( ^ω^)「おいすー」
幼稚園、小学校とずっと同じクラスで中学の半ばでほぼ同時に引き篭もった幼馴染のドクオだ。
('A`)「お前は相変わらずのピザだな」
( ^ω^)「そういうドクオも相変わらず覇気のない顔だお」
('A`)「ほっとけ」
ははは、と笑いあって、ドクオは僕と対面になって座る。
- 31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 22:53:31.74 ID:44JVd+410
- ( ^ω^)「それじゃ話そうかお」
('A`)「ちょい待ち。すいませーん」
ドクオは近くで机を拭いていた店員を呼び、ドリンクバーを注文する。
店員は僕と同様に食べ物を頼めばドリンクバーの料金が安くなるというが、ドクオも軽く流して飲み物を注ぎにいった。
少し大きめのグラスを持ち、氷を入れてアイスコーヒーを注いでいる。
僕とは違い、砂糖もミルクも入れずにブラックの状態でグラス片手に席に座る。
( ^ω^)「ブラックなんて美味しいかお」
('A`)「そういうお前はそんな甘ったるい飴湯みたいなのが美味しいか?」
( ^ω^)「僕はこれくらいが丁度いいんだお」
('A`)「だから太るんだよお前は」
( ^ω^)「そういうドクオはだから痩せてるんだお」
僕等はまた、はははと笑い合う。
- 32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 22:59:06.10 ID:44JVd+410
- お互いにコーヒーを少し飲んで、顔を見合わせる。
('A`)「それで、突然会うことになったが、どうした?」
( ^ω^)「それはこっちのセリフだお。いきなりあんなメールが来たからびっくりしたお」
僕はまたスプーンでコーヒーをかちゃかちゃと混ぜる。
('A`)「びっくりしたのは俺の方だわ。ありえねぇだろ?どこのゲームの世界だよっていう」
( ^ω^)「それなんだけどお」
('A`)「あん?」
( ^ω^)「僕も同じ体験したお」
(;'A`)「は?」
何を言ってるんだコイツは。といった感じで見てくるドクオに対して僕は右手をドクオの顔の近くへと差し出す。
( ^ω^)「いきなり現れた不審者に渡された指輪だお」
緑色の石が装飾された指輪。ドクオはそれをまじまじと見つめる。
- 37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 23:26:47.93 ID:44JVd+410
- (;'A`)「おまえもかよ・・・・・・」
( ^ω^)「ということはドクオも緑色の石がついた指輪を?」
('A`)「いや、俺は黒色だ」
そういってドクオは僕の顔の近くに左手を差し出してくる。
ドクオの左手の薬指には僕と同じ形の銀色の指輪があった。そしてその指輪には黒色の石が装飾されていた。
( ^ω^)「ほとんど同じだお・・・・・・」
('A`)「なんか意味あんのかなコレ」
確かに同じ形で装飾されている石の色が違うという奇妙なものだけど
これといって何か起こっているわけでもない。
( ^ω^)「うーん。これがゲームとか漫画だったら何かがきっかけでこの指輪が能力みたいなものを発動するんじゃないかお?」
('A`)「バーカ。有り得ないだろ。・・・・・・でも、この状況も大分ありえねぇんだよな」
( ^ω^)「つまりこの有り得ない状況なら、漫画やゲームみたいな展開も有り得るわけだお
つまり、僕達は選ばれた人間というわけかお!?
ということは、活躍できる場面があるかもしれないお!」
ほとんど妄想だけど、有りえなくもない。
大体こんな有り得ない状況に出くわしているんだ。そんな展開になってもおかしくはないだろう。
- 38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 23:27:41.39 ID:44JVd+410
- ('A`)「まあ、俺たちの立場なんざ脇役程度だろうがな。
どうせ主人公みたいな奴にやられて、それで終わりだろ」
( ^ω^)「それで世界は救われてめでたしめでたし。って感じかお」
('A`)「そんな感じだろうな。まあ、ゲームや漫画だったらな。
わかんねーからな。大体なんで俺らが選ばれたのか。
なんで指輪を渡すのか。タイプする時邪魔になるだろ普通」
確かにそうだ。
指に違和感があったりしたら少し打つ速度だって遅くなる筈だ。
なのに、指輪。どうして指輪を渡したのか。
- 39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 23:28:50.21 ID:44JVd+410
- ( ^ω^)「何か意味があるんだろうお」
('A`)「そういや、そのうちわかるようになるとか言ってたな」
( ^ω^)「あー僕も言われたお。でもそのうちとか言われてもわかんないお」
('A`)「そりゃ俺だって同じだよ。ってことは今のところ話し合っても無駄か?」
( ^ω^)「そうなるかお。それじゃ会った意味がないお」
('A`)「まあ、久しぶりに会っただけでも良かったんじゃね?」
( ^ω^)「元気なさそうな顔で相変わらずでよかったお」
('A`)「喜んでいいのかわかんねーなこのピザ」
( ^ω^)「喜んでいいんだお。この覇気なし男」
('A`)「まあいいわ。それじゃ、またな」
( ^ω^)「おっと。ドリンクバーだけとは言えども逃がさないお」
('A`)「チッ・・・・・・相変わらずのケチ臭さだな」
( ^ω^)「逃げようとしたドクオに言われたく――――――――
突然店内のガラスが割れ、破壊音が店内に広がった。
女性の店員の悲鳴と、数名の客の悲鳴が木魂した。
- 40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 23:29:36.64 ID:44JVd+410
- (;'A`)「・・・・・・」
(;^ω^)「・・・・・・」
新手のテロか何かだろうか。いや、でもこんな喫茶店を襲う理由が分からない。
(;'A`)「・・・・・・なあ」
(;^ω^)「なんだお」
(;'A`)「もしかしてだけど」
言わなくてもいい。大体何を言いたいか分かる。でも有り得ないから。
(;^ω^)「なんだお」
(;'A`)「『そのうち』来たんじゃね?」
出入り口に急いで逃げようとする従業員と客。そして広がる悲鳴。
蜘蛛の子散らすように、再び店内へと戻ってくる。
そして同時にこのテロ事件のような元凶と思われる者が店内に入ってくる。
あくまで憶測に過ぎないけれども。
ノハ#゚听) 「タッチタイプマスタああああああああ!!!!出てきやがれええええ!!!!」
爆竹のように高く、けたたましい音のような怒声が店内に響き渡った。
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