( ^ω^)ブーンがタッチタイプをマスターしたようです
- 1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 21:01:59.90 ID:LWHTI14x0
- ( ^ω^)「やったお。僕はついにタッチタイプをマスターしたんだお」
完
- 3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 21:12:52.17 ID:44JVd+410
- ( ^ω^)「ブラインドタッチが出来たからって・・・・・・」
そう、意味はない。
例えタイピングの速度がいかに速かろうとも、役には立たない。
学生なら、パソコンを扱う授業になれば一時期は色々と噂される。だけど、一時期だけ。
あっという間に『気持ち悪い』と言われだすのだ。
こんな力があっても、意味はない。
そう思ってた。だけど、この日を境に僕はもっと速く打てるように精進することになる。
- 7 : >>5うん。頑張る :2007/07/02(月) 21:23:15.93 ID:44JVd+410
(´・ω・`)「やあ、僕の名前は・・・・・・そうだね。今はまだ名乗る必要はないかな」
夕暮れ。赤くなった太陽の光を浴びながら家の外を歩いていると突然後ろから声がする。
駄目だ。関っちゃいけない。
僕はその声を無視して家へと歩く。
(´・ω・`)「無視か。内藤ホライゾン。君の力を活用することが出来るというのに勿体無いな」
・・・・・・何で僕の名前を知ってるんだ。
駄目だ。無視だ無視。早く家に帰ってニコ動でも漁ろう。
(´・ω・`)「やれやれ。どうあっても振り向かないつもりか」
無視だ。無視。
(´・ω・`)「君のタッチタイプの力が今役に立つというのに」
なんだって?
- 8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 21:31:00.72 ID:44JVd+410
立ち止まってしまった。
この力が?いやまて。ブラインドタッチなんて今やパソコンを持ってる人間の大半は出来る。
そんな力が役に立つわけがない。そんな餌に釣られるわけには・・・・・・
( ^ω^)「・・・・・・kwsk聞かせて欲しいお」
振り返ってしまった。やってしまった。どう考えても釣り。
でも、僕の中で何かが動いた。自分の力が活用できる。本当なのか?
(´・ω・`)「ようやく興味を示したね。『内藤ホライゾン』君。えぇと、友達内ではブーンだったかな?」
声の正体は男。年齢は大体二十歳前後くらいだろうか。
服装は黒一色。駄目だ。やっぱり振り返っちゃ駄目だった。どう見ても不審者だ。
それより、だ。どうして僕のあだ名まで知ってるんだ。
(´・ω・`)「おっと。警戒しないでくれよ。僕は君に『お知らせ』に来ただけさ。そう身構えなくて良い。」
この状況で警戒するなという方が無理な話だ。
どう考えても目の前の男は不審者。怪しさのオーラが全開だ。
そんな男を信用することが出来るわけがない。
- 13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 21:46:15.27 ID:44JVd+410
- (´・ω・`)「まあいいや。それじゃお知らせだ。
君はタッチタイプが出来るね?それだけとりあえず答えて欲しい」
( ^ω^)「・・・・・・出来ますお」
見ず知らずの男に対してこんな対応はいいのだろうか。
そう考えながらも自分の中にある『好奇心』は歯止めが利かなくなってきていた。
(´・ω・`)「そうか。なか良かった。それじゃ『これ』をあげるよ」
男が僕の方にひらいた掌を差し出してきた。
掌の中には小さな緑色の石が装飾された指輪があった。
( ^ω^)「これは・・・・・・なんだお」
(´・ω・`)「君の役に立ってくれる。今は分からないと思うよ。でも、すぐにわかるさ」
どうみてもただの指輪。銀色の輪に緑色の石。
(´・ω・`)「それじゃ、僕は去るよ。君は今この時を持って『異常者』になった。それだけは忘れない欲しい」
異常者、だって?
( ^ω^)「どういうことだ――――――
男に問おうと口を開いた瞬間、一陣の風が吹き荒れた。
思わず目を閉じて、再び瞼を開けて問おうと口を開こうとしたが、そこには男の姿はなかった。
- 14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 21:51:58.59 ID:44JVd+410
( ^ω^)「なんなんだお一体・・・・・・」
僕はなんともいえない感情になりながら、自宅へと帰った。
男に渡された指輪。ブラインドタッチが出来ること。一体それが何を意味するのか。
色々考えていたが、なんだか自分が痛く思えてき始め考えるのをやめて、自室のパソコンを弄りだした。
その時、僕はまだ何も知らなかった。これから起こること、これから巻き込まれていく人達のことを。
―――――― ( ^ω^)ブーンがタッチタイプをマスターしたようです ―――――――
- 25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 22:36:33.35 ID:44JVd+410
―――――翌日
太陽が昇り、閉めているカーテンから日が零れ、丁度眠っている僕の目に日の光が入る。
昨夜なんとなくで男に渡された指輪を右手の中指にはめて、他には何もせず眠った。
そのおかげか、そのせいか、中指に違和感を感じて昨日のことを思い出した。
この指輪は一体なんなのか。男は一体何が目的で僕にこの指輪を渡してあんなことを言ったのか。
現実から少し離れた話。
だけど、自宅警備員の僕にとってこんな非現実的な話は少し嬉しくもあった。
でも、不安も勿論ある。
何せ突然の出来事だったのだから。今でも信じられないが、しっかりと緑色の石が装飾された指輪は僕の薬指にある。
- 26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 22:39:52.06 ID:44JVd+410
普段時間の見る時に使う携帯を何気なくひらいた。
すると、そこには新着メール一件の表示があった。
誰からだろうか。僕にメールをする人なんていない。
学生の頃も僕は人と接することを避けて途中から家に引き篭もった。
そんな僕にメールを送る奴なんて・・・・・・いた。
一人だけ、いた。
メールを調べてみると、案の定そいつだった。
とはいっても、そいつもなかなかメールなんてしてこない。ここ一ヶ月くらいはしてなかったと思う。
一ヶ月ぶりのメールに少しわくわくしながら、内容を確認する。
(;^ω^)「・・・・・・有り得ないお」
メールの内容は昨日自分が体験したことと酷似していた。
突然怪しい男が現れて、見たことも話したこともないのに自分の名前を呼び、タッチタイプが出来るかどうかを聞いてくるというものだった。
酷似、そんなもんじゃない。全くもって同じだ。
- 28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 22:44:03.38 ID:44JVd+410
- 僕は早々とメールを返した。
今から近所の喫茶店であって、話そう。と。
返信はすぐに来た。今から行くとのことだった。
そのメールを読み終えた後、早々と着替えをする。
黒のジーンズ。黒色無地のロングTシャツ。黒色のニット帽。
不審者とも思える服装だけど、気にせずにあまり入っていない財布と携帯をポケットに押し込んで早々と家を出た。
喫茶店は本当に家の近くにあり、昼飯や深夜お腹が空いた時に食べにいくことがある。
歩いて2分もかからないくらいの位置だ。
まず何を話すかを考えながら歩いているとあっという間に着いた。
店内に入ると、店員が「お一人様ですか?」と問い掛けてくる。
僕は「あと一人来るお」とだけ伝え、席に案内してもらった。
席に座る前にドリンクバーを注文する。
食べ物を注文すればドリンクバーの料金が安くなりますけど、と店員が言ってくるが軽く流して飲み物を注ぎにゆく。
ホットコーヒーを一杯注いで、角砂糖を5個とミルクを3個入れて席に戻る。
- 30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 22:48:19.53 ID:44JVd+410
- スプーンでカチャカチャと音を立てながら少しずつ飲んでいると
( ^ω^)「お。こっちだおー」
ひらひらと手を振り、こちらに来るように手招きをする。
僕の声と手に気付いたようで、こちらに向かってくる。
('A`)「おっす」
( ^ω^)「おいすー」
幼稚園、小学校とずっと同じクラスで中学の半ばでほぼ同時に引き篭もった幼馴染のドクオだ。
('A`)「お前は相変わらずのピザだな」
( ^ω^)「そういうドクオも相変わらず覇気のない顔だお」
('A`)「ほっとけ」
ははは、と笑いあって、ドクオは僕と対面になって座る。
- 31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 22:53:31.74 ID:44JVd+410
- ( ^ω^)「それじゃ話そうかお」
('A`)「ちょい待ち。すいませーん」
ドクオは近くで机を拭いていた店員を呼び、ドリンクバーを注文する。
店員は僕と同様に食べ物を頼めばドリンクバーの料金が安くなるというが、ドクオも軽く流して飲み物を注ぎにいった。
少し大きめのグラスを持ち、氷を入れてアイスコーヒーを注いでいる。
僕とは違い、砂糖もミルクも入れずにブラックの状態でグラス片手に席に座る。
( ^ω^)「ブラックなんて美味しいかお」
('A`)「そういうお前はそんな甘ったるい飴湯みたいなのが美味しいか?」
( ^ω^)「僕はこれくらいが丁度いいんだお」
('A`)「だから太るんだよお前は」
( ^ω^)「そういうドクオはだから痩せてるんだお」
僕等はまた、はははと笑い合う。
- 32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 22:59:06.10 ID:44JVd+410
- お互いにコーヒーを少し飲んで、顔を見合わせる。
('A`)「それで、突然会うことになったが、どうした?」
( ^ω^)「それはこっちのセリフだお。いきなりあんなメールが来たからびっくりしたお」
僕はまたスプーンでコーヒーをかちゃかちゃと混ぜる。
('A`)「びっくりしたのは俺の方だわ。ありえねぇだろ?どこのゲームの世界だよっていう」
( ^ω^)「それなんだけどお」
('A`)「あん?」
( ^ω^)「僕も同じ体験したお」
(;'A`)「は?」
何を言ってるんだコイツは。といった感じで見てくるドクオに対して僕は右手をドクオの顔の近くへと差し出す。
( ^ω^)「いきなり現れた不審者に渡された指輪だお」
緑色の石が装飾された指輪。ドクオはそれをまじまじと見つめる。
- 37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 23:26:47.93 ID:44JVd+410
- (;'A`)「おまえもかよ・・・・・・」
( ^ω^)「ということはドクオも緑色の石がついた指輪を?」
('A`)「いや、俺は黒色だ」
そういってドクオは僕の顔の近くに左手を差し出してくる。
ドクオの左手の薬指には僕と同じ形の銀色の指輪があった。そしてその指輪には黒色の石が装飾されていた。
( ^ω^)「ほとんど同じだお・・・・・・」
('A`)「なんか意味あんのかなコレ」
確かに同じ形で装飾されている石の色が違うという奇妙なものだけど
これといって何か起こっているわけでもない。
( ^ω^)「うーん。これがゲームとか漫画だったら何かがきっかけでこの指輪が能力みたいなものを発動するんじゃないかお?」
('A`)「バーカ。有り得ないだろ。・・・・・・でも、この状況も大分ありえねぇんだよな」
( ^ω^)「つまりこの有り得ない状況なら、漫画やゲームみたいな展開も有り得るわけだお
つまり、僕達は選ばれた人間というわけかお!?
ということは、活躍できる場面があるかもしれないお!」
ほとんど妄想だけど、有りえなくもない。
大体こんな有り得ない状況に出くわしているんだ。そんな展開になってもおかしくはないだろう。
- 38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 23:27:41.39 ID:44JVd+410
- ('A`)「まあ、俺たちの立場なんざ脇役程度だろうがな。
どうせ主人公みたいな奴にやられて、それで終わりだろ」
( ^ω^)「それで世界は救われてめでたしめでたし。って感じかお」
('A`)「そんな感じだろうな。まあ、ゲームや漫画だったらな。
わかんねーからな。大体なんで俺らが選ばれたのか。
なんで指輪を渡すのか。タイプする時邪魔になるだろ普通」
確かにそうだ。
指に違和感があったりしたら少し打つ速度だって遅くなる筈だ。
なのに、指輪。どうして指輪を渡したのか。
- 39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 23:28:50.21 ID:44JVd+410
- ( ^ω^)「何か意味があるんだろうお」
('A`)「そういや、そのうちわかるようになるとか言ってたな」
( ^ω^)「あー僕も言われたお。でもそのうちとか言われてもわかんないお」
('A`)「そりゃ俺だって同じだよ。ってことは今のところ話し合っても無駄か?」
( ^ω^)「そうなるかお。それじゃ会った意味がないお」
('A`)「まあ、久しぶりに会っただけでも良かったんじゃね?」
( ^ω^)「元気なさそうな顔で相変わらずでよかったお」
('A`)「喜んでいいのかわかんねーなこのピザ」
( ^ω^)「喜んでいいんだお。この覇気なし男」
('A`)「まあいいわ。それじゃ、またな」
( ^ω^)「おっと。ドリンクバーだけとは言えども逃がさないお」
('A`)「チッ・・・・・・相変わらずのケチ臭さだな」
( ^ω^)「逃げようとしたドクオに言われたく――――――――
突然店内のガラスが割れ、破壊音が店内に広がった。
女性の店員の悲鳴と、数名の客の悲鳴が木魂した。
- 40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/02(月) 23:29:36.64 ID:44JVd+410
- (;'A`)「・・・・・・」
(;^ω^)「・・・・・・」
新手のテロか何かだろうか。いや、でもこんな喫茶店を襲う理由が分からない。
(;'A`)「・・・・・・なあ」
(;^ω^)「なんだお」
(;'A`)「もしかしてだけど」
言わなくてもいい。大体何を言いたいか分かる。でも有り得ないから。
(;^ω^)「なんだお」
(;'A`)「『そのうち』来たんじゃね?」
出入り口に急いで逃げようとする従業員と客。そして広がる悲鳴。
蜘蛛の子散らすように、再び店内へと戻ってくる。
そして同時にこのテロ事件のような元凶と思われる者が店内に入ってくる。
あくまで憶測に過ぎないけれども。
ノハ#゚听) 「タッチタイプマスタああああああああ!!!!出てきやがれええええ!!!!」
爆竹のように高く、けたたましい音のような怒声が店内に響き渡った。
- 60: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/03(火) 01:02:25.33 ID:3tFEtyZZ0
(;^ω^)「なんかやばい気がするお」
ドリンクバー付近で突っ立っている僕とドクオ。
僕は隣りにいるドクオの方を向いて話し掛けるが
ドクオは唖然としていて、何が起こってるか把握できてないみたいだ。勿論僕も把握できていないけど。
だけど、すぐにドクオは正気に戻った。
(;'A`)「俺、この店を出たら就職しようかな」
(;^ω^)「頭が混乱してるのはわかるけどお、何か死亡フラグ臭がしてるお」
('A`)「ふふ、俺この状況を抜け出したら結婚するんだ・・・・・・」
( ^ω^)「ドクオ。死亡フラグ死亡フラグ」
こんな状況でこんな会話できるのだろうかと思うくらいに、のほほんとしている。
- 61: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/03(火) 01:04:32.02 ID:3tFEtyZZ0
- ふと、店内に入ってきた者に視線を向けてみる。
ノパ听)
女性だ。
真っ赤に燃える夕日のような赤髪。紺色のスカート。半袖の学生服。夏服という奴だろうか。
僕等のやりとりをただ呆然と眺めている。
ノパ听)「・・・・・・」
(;^ω^)「・・・・・・(やべ、目があったお)」
急いで逸らすが、横目で見てみるとこちらを凝視している。やばい。これはやばい。
- 63: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/03(火) 01:07:21.20 ID:3tFEtyZZ0
- (;'A`)「なあ、ブーン」
(;^ω^)「ナンデスカドクオサン」
(;'A`)「あの女俺ら凝視してない?」
(;^ω^)「イエスマイマスター」
小声でドクオと混乱した頭でやり取りを続けていると
ノハ#゚听) 「お前等あああああああああ!!!!男ならこそこしてないで堂々と話せええええ!!!!ちん(自主規制)ついてるだろうが!!!ち(自主規制)!!」
怒鳴られた。
表情を見る限り、明らかに怒ってる。非常に不味い。これはやばい。
どうする。どうする僕。
- 66: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/03(火) 01:09:09.09 ID:3tFEtyZZ0
- (;^ω^)「とりあえず話し合いでm
ノハ#゚听) 「ぶるああああああああ!!!!!」
ちょ、走ってこないで。鬼の形相で走ってこないで。そんなセリフ吐きながら走ってこないで。
やばいやばいやばい。どうすれば。
(;'A`)「ブーン、危ないぞ!」
ノハ#゚听) 「うおおおおおおおおおお!!!!」
(;^ω^)「とうっ!」
僕は横っ飛びして突撃してくる女性をかわした。
そして急いで振り返る。
ノハ;゚听) 「あ、やb――――――
机に激突していた。
- 71: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/03(火) 01:11:22.93 ID:3tFEtyZZ0
- (;'A`)「・・・・・・」
(;^ω^)「・・・・・・」
(;'A`)「・・・・・・なあ」
(;^ω^)「・・・・・・なんだお」
(;'A`)「こういう場合はどうすりゃいいんだ?」
(;^ω^)「・・・・・・結果オーライ?」
(;'A`)「か、帰ろうか」
(;^ω^)「逃げるが勝ちだお」
足早にその場を立ち去ろうとした、その時。
額から血を流しながらよろりと女性が立ち上がった。
ノハ#゚听) 「きさまあああああああああ!!!!よくもやったなあああああ!!!!」
僕避けただけなんですけど。
(;'A`)「やばくね?」
もういい。ドクオは黙っててくれ。
- 72: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/03(火) 01:14:02.31 ID:3tFEtyZZ0
- ノハ#゚听) 「本気を出してやる!!!!」
すると、女性の右手から赤色の光が瞬き始める。
自然と、背骨を背筋が張る。脳が危険信号を発している。
嫌な予感が徐々に高まっていく。
(;'A`)「え、何あれ」
頼むから黙っていてくれ。
目が眩むほどに眩い閃光が放たれる。瞼が反射的に閉じてしまう。
ムスカ大佐の気持ちが少しわかった気がした。
それほど光を感じなくなった時に目を開いた。
そこには、何もなかったはずの空間に透明な赤色のキーボードに手を置いている女性の姿があった。
(;^ω^)「(さすがにそれはねーお・・・・・・)」
僕がそう思った瞬間、女性はキーボードをカタカタと打っていく。言わずもがなブラインドタッチである。
それも、かなり速い。
- 74: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/03(火) 01:17:14.07 ID:3tFEtyZZ0
- ぼうっとその姿を見ていると、突如銃声が鳴り響き、虫が耳元で飛んでいるような、ぷぅん、といった感じの音が通過していった。
要するに、銃弾が左耳の横を通っていったのだ。
そして響く破裂音と破壊音。
その音の方向へ視線を向けてみると、そこには綺麗な円形で半径10センチほどの穴が空いている壁があった。
しかし何故だか、その壁の穴は破壊したというよりかは、空間を作ったといった感じだ。
どちらにしても
(;^ω^)「・・・・・・やべぇお」
完全に危機的状況だ。
- 77: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/03(火) 01:20:15.54 ID:3tFEtyZZ0
- そして女性は再びカタカタと音を立てながらキーボードを打つ。
打ち終えたと同時にこちらを凝視して
ノハ#゚听) 「・・・・・・死ねぇえええええええ!!!!」
爆竹のような咆哮。
(;^ω^)「ちょ」
('A`)「ブーン危ない!」
ノハ#゚听)「おおおおおおお!!!!」
(;^ω^)「とうっ!」
再び横っ飛び。
間一髪。というか、髪が少しなくなった。銃弾で擦り切れた。
再度振り返ってどんな状況か見てみる。
今度は六ヶ個所ほど同様の大きさの空間が出来ていた。
あんなもの当たったりしたら・・・・・・
(;゚ω゚)「(死ぬお!!!絶対死ぬお!!!)」
- 79: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/03(火) 01:21:01.03 ID:3tFEtyZZ0
- ('A`)「なあブーン。俺ちょっと気付いたんだけど」
(;゚ω゚)「な、ななななんだお?!」
('A`)「あのキーボードは指輪から出た光によって出たんだろ?だったら俺らも出せるんじゃね?」
(;^ω^)「お?」
絶望という暗闇の中に光が射し込んできた。
いや、でも
( ^ω^)「どうやって出すんだお?」
('A`)「よし、やってみる」
( ^ω^)「え――――――
そういった瞬間、ドクオの指輪から黒煙のようなものが立ち込め始める。
そしてその黒は突然白光する。また反射的に目を閉じてしまったが、目を開けてみてみると
('A`)「出来たぜ」
隣りにいたドクオが何もなかった空間に透明な黒色のキーボードを出して、その上に手を置いていた。
- 2: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 21:48:40.52 ID:NCZ4FXHA0
- ノパ听) 「・・・・・・」
完全にイレギュラーだ。
ここに来る時には何も『感じなかった』のに。
なのに今は身に焼きつくほどの圧力を感じる。
黒色透明のキーボード。あんな禍々しいものをいきなり出すなんて。
さっきまであの少年からは何も感じなかったのに。
(;'A`)「(出せたのはいいけど使い方ワカンネ)」
でも、関係無い。
私はただ、目の前の相手を倒すだけでいい。
他に理由がいるのか?戦うことにそれ以外に理由が必要か?
だったら――――――
ノハ#゚听) 「ぶちのめすだけだああああああああ!!!!」
(;'A`)「うおおおっ!?」
数多の銃弾が女の咆哮とキーボードのタイプ音が店内に響き渡った。
- 4: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 21:50:45.12 ID:NCZ4FXHA0
- (;^ω^)「・・・・・・」
僕はどうすればいい。
出来ることなら戦いたい。いや戦わなくちゃならない。
でも、戦えない。戦うことが出来ない。
現実では起こり得るはずがない状況なのに、起こってる。
だったらいつまでも現実逃避なんかしていられない。
戦わなきゃ。戦わなくちゃ。
でも、どうやって?
- 5: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 21:53:49.16 ID:NCZ4FXHA0
- ノハ#゚听) 「おおおおおおおおおおおおお!!!!」
(;'A`)「うわっちょ!」
どうすればいい。
あの女が攻撃するときは何かしらキーボードを打ってるみたいだが・・・・・・
ん?『キーボードを打ってる?』ということは、攻撃方法も防御方法もタイピングすることに意味があるんじゃないか?
あの女は攻撃する際に銃弾を放ってくる、ってことは何かしらパソコンに関係する文字列を打ってるってことか。
つまり、防御する際に使用する文字列は・・・・・・
('A`)「こういうことか」
ノハ;゚听) 「なんだ!?」
俺はキーボードを見ながらよく確認してある文字列を打った。
『Personal Firewall』と。
- 9: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 21:56:38.83 ID:NCZ4FXHA0
- 瞬間、女は三歩ほど下がる。
ノハ;゚听) 「(一般のファイアーウォールだと防火壁としての役割しかないけど・・・・・・
一般使用されるファイアーウォールだと銃弾くらいは防がれるか?)」
('A`)「(やべぇ、攻撃方法ワカンネ)」
自分の左腕に装着されている黒色の盾。形状はドラクエとかで使用されてそうな感じだ。
ノハ#゚听) 「おおおおおおおお!!!!」
ほぼ同音に近い速度で打たれる何らかの文字列。銃弾が来る。予想でしかないけど多分そうだ。
瞬間、銃弾が女の近くで空間が出来て発射された。
それだけ分かれば後は単純だ。要は『盾』があるのだから、防げばいい。
目では見えないが、空間の位置さえ分かれば、真っ直ぐにしか飛んでこない銃弾は防ぎきれる。
- 13: >>11あるいらないですね。ゴメンナサイ ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 21:58:05.89 ID:NCZ4FXHA0
- (;'A`)「(つっても、攻撃できなけりゃどうしようもねーんだよ・・・・・・)」
どうすりゃいいんだ。
攻撃できなけりゃ意味がない。防御は防御でしかない。何かしら攻撃をしなくちゃ意味がない。
『盾』しか扱えない者は『武器』を扱う者を保守することで『役割』を果たせる。
だが、『武器』を扱う者は『盾』がなくとも攻撃することが出来る。
攻撃こそが絶対の防御とはよくいったもんだ。
そんな考えをしている間にも女は銃弾を乱射してくる。
そういえば、ブーンはどうした?
(;^ω^)「・・・・・・」
何か考えていた。ただ呆然とこの攻防のやり取りを眺めながら。
アイツも確か指輪を持ってたはずだ。
だったら、何か、何か出来ないか?
- 16: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 22:01:03.22 ID:NCZ4FXHA0
- (;^ω^)「・・・・・・」
ドクオは懸命に戦っている。防戦一方だけど、戦っている。
一方の僕は?ただ傍観しているだけ。何もしてない。いやできない。
ドクオを助けたい。ドクオの力になりたい。でも、どうしたらいい?
僕は『武器』も『盾』もない。故に『攻撃』も『防御』も出来ない。
その僕が今一体何が出来る?どうすることが出来る?
どうも出来ないんだ。傍観することしか、出来ないんだ。
ノハ#゚听) 「うおおおおおおおお!!!!」
(;'A`)「ちい!」
女性の咆哮。ドクオの防御。
防ぐことに徹しているけど、いかに『盾』があってもそれを行使する人間の力は決して有限じゃない。
- 20: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 22:02:47.97 ID:NCZ4FXHA0
- ドクオもいつあの防御が破られるか分からない。
僕はそれを黙って見過ごすのか?
見過ごしたくなんてない。共に戦いたい。
でも僕には何も出来ないんだ。出来ることなんて、ないんだ。
くそ!結局僕は何も出来ないじゃないないか!
無防備で無謀ででも戦うことくらい出来るじゃないか!
僕には二つの腕があるじゃないか!わかってるならどうしてこの体は動かないんだ!
答えは簡単に出る。でも、認めたくない。そんな簡単な答えを認めたくない。
『勇気がない』なんて・・・・・・
- 22: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 22:05:05.67 ID:NCZ4FXHA0
- (;'A`)「ちっくしょ!」
ノハ#゚听) 「おおおお!!!!」
つーか、キーボードを打つだけなのにわざわざ叫ぶ必要なんてあんのか?
というか、この状態いつまで持つかな。
ブーンはあの状態だし、俺は防戦一方だし。
俺は『盾』しか持ってないから『防御』することしか出来ないし。
ちょっとまて。
何故『防御』しか出来ないと決め付けるんだ?
『攻撃』出来ないなんて、誰が決め付けたんだ?
かの安西先生も言ってただろうが。『諦めたら、そこで試合終了ですよ』って。
だったら、諦めずに足掻いてやるさ。無駄なことだなんて、誰にも決める権利なんざないんだから。
- 24: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 22:08:14.99 ID:NCZ4FXHA0
- (#'A`)「だあらあああああああああああ!!!!」
ノハ;゚听) 「なんだ!?」
俺は走った。盾を前に突き出し、相対している女に向かって。
('A`)「防御こそが、最強の攻撃なんだ!!!!」
ノハ;゚听) 「はあああ!?」
(#'A`)「シールドアタアアアアアク!!!!」
ノハ;゚听) 「なんですとおおおおおお!?」
- 27: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 22:10:18.71 ID:NCZ4FXHA0
- ぶっちゃけて言えば、『盾』を使った体当たりだ。
意表をついた今ならいける。
飛び道具による攻撃しかしてこなかったこの女に対して、至近距離なら、いける!!
(#'A`)「あああああああああ!!!!」
めいいっぱいに叫んだ。そして殴った。
ノハ;゚听) 「うがああああ!!」
女の体が宙に浮く。
(#'A`)「『盾』は守るだけじゃない!『抗う』ことだって出来るんだ!!」
要は、逆転の発想が必要だったってわけだ。
盾による攻撃で浮いた女の頭にもう一発盾で追撃する。
手に鈍い衝撃が走るが、銃弾を防ぐほどの物じゃない。
そのまま盾を振り切り、地面へと一直線に叩き落す。
- 30: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 22:12:01.74 ID:NCZ4FXHA0
- ノハ; ) 「うぐあ!!」
女はその言葉だけ漏らして、そのまま倒れこんだ。
警戒は解かずに、女を見つめる。
終わったか?やった、のか?
('A`)「あっけないもんだな・・・・・・」
ノハ; ) 「予想GUYな攻撃だぞ貴様ああ・・・・・・」
(;'A`)「うおっと!」
ノパ听) 「・・・・・・とどめをさせ」
(;'A`)「はい?」
起き上がった女の言葉は、全く予想もつかないものだった。
- 32: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 22:14:00.17 ID:NCZ4FXHA0
- ノパ听) 「勝負は決した。私はお前に負けたんだ。完敗と言ってもいい。
盾一つでここまで叩きのめされたら認めるしかない」
('A`)「いや、でも俺武器ないから」
ノパ听) 「なんという好機!!」
('A`)「やっべ失言した」
再び距離を取られる。なんだコイツ。エアーマンみたいだ。
ノハ#゚听) 「私はまだ負けていないぞおおおおお!!!!」
(;'A`)「やっべ、あーやっべ」
- 37: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 22:17:04.48 ID:NCZ4FXHA0
- ( ^ω^)「・・・・・・!!」
そこで僕は気が付いた。
今自分には戦うための『武器』も『盾』もない。
でも、『目』があるじゃないか。
そして考えることだって出来るじゃないか。
だったら、ドクオを補佐しよう。
( ^ω^)「ブーンも戦うお!」
('A`)「いや邪魔」
( ;ω;)「世の中あんまりだおおおおお」
ノハ#゚听) 「横からうるさいぞおおおおおお!!!」
( ;ω;)「ひでぶっ!」
- 41: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 22:19:22.06 ID:NCZ4FXHA0
- ドクオの元に走ったらドクオに邪魔者扱いされて、泣きながらドリンクバーのとこに走ったら女性に飛び蹴りされた。
待て。飛び蹴りなんてする必要があるのか?あの女性は他に『武器』があるんじゃないのか?
そういえば、この店の中に入った時も走りながら突撃してきただけじゃないか。
ということは、あの女性は銃弾以外の武器はないのか?
それなら、まだ勝機は残ってる。
ノハ#゚听) 「うおおおおおおおおおお!!!!」
再び銃声と咆哮。そして壁に出来る無数の空間。いや無理。絶対無理。勝機なんて欠片もない。
でも、もしかしたら――――――
(;^ω^)「ちょ、ちょっと聞きたいことがあるお!!」
僕は勇気を振り絞り、女性に向かって叫んだ。
ノハ#゚听) 「なんだああああ!!!言ってみろおおおおお!!!!」
怒声を吐いて、僕を睨んでくる。う、怖い。
でも、言わなくちゃ。言わなきゃ。
- 44: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 22:22:03.08 ID:NCZ4FXHA0
- (;^ω^)「ナンデモナイデスオ。ゴメンナサイデスオ」
自宅警備員で引き篭もりの僕には無理です。ドクオごめんね!
('A`)「・・・・・・」
そんな白い目で見ないでくれよ。ああ、確かに僕には勇気もないさ。
でも、頑張ったと思う。あんな殺気だってる人に叫んだんだから。
ノハ#゚听) 「男なら言いたいことくらいハッキリと言ええええええ!!!!」
(;'A`)「ブーン危ない!」
キーボードのタイプ音。これは、不味い!
(;^ω^)「とうっ!」
横っ飛びで再び回避。また髪が銃弾で擦り切れた。いい加減禿る。
- 47: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 22:25:07.41 ID:NCZ4FXHA0
- パ听) 「まあ、いい。何か言いたいことがあるんだろう?」
(;^ω^)「お?」
どうやら、僕に質問させてくれるようだ。
ノパ听) 「もう一度言うが、私はハッキリしない男は大嫌いだ。
男ならもっと野球少年の如く燃え滾るハートがないと駄目だ!!」
ああなるほど。この人は熱血教師みたいなタイプの人なのか。
だったら、質問に対しても分かり易い反応を返してくれる筈だ。
( ^ω^)「じゃ、じゃあ言わせて貰うお!君はもしかして銃弾を発射する以外の攻撃方法はないんじゃないのかお!?」
ノハ;゚听) 「エ、ナニイッテルンデスカ」
分かり安すぎるだろお前。
- 50: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 22:26:58.15 ID:NCZ4FXHA0
- ( ^ω^)「ドクオ!!この人は銃弾しか攻撃方法がないお!」
('A`)「ブーン・・・・・・」
ドクオが感極まっている。僕の分析がやっと役に立ったんだ。
('A`)「それぐらい気付いてる」
( ;ω;)「ちっくしょおおおおおおおお!!!!」
ノハ;゚听) 「(気付かれたのか)」
うん?じゃあ、どうしてドクオは何もしないんだ?
それに気付いてるってことは、何かしら対処方法があったんじゃないか?
・・・・・・もしかして、ドクオはさっきのあの攻撃その対処方法だったのか?
だったら、そうだとしたら、
―――――今の状況は最悪だ。
- 54: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 22:28:11.95 ID:NCZ4FXHA0
- ('A`)「バーカ。もう勝負はついてる」
ノハ;゚听) (;^ω^)「な、なにぃ?」
パンッ
僕と女性が驚いた次の瞬間、一発の銃声が響いた。
('A`)「敵を騙すにはまず味方からってな。武器くらい出す方法思いつくっての。
俺が一体どれだけパソコン弄ってると思ってんだ?伊達に自宅警備員じゃないぜ」
カッコいいことを言ってるような言い方だけど、ドクオ、それ凄いカッコ悪い。
ノハ;゚听) 「な、な、な」
女性の左足に血が滲み出ていた。決して勢いは激しくない。
だけど、足を打たれたとなれば、行動範囲を削減できる。
この勝負、本当にどうなるか分からなくなった。
- 58: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 22:29:34.28 ID:NCZ4FXHA0
- ('A`)「お前が銃弾として使ってる文字を考えてたんだ。
そしたら簡単に答えが出た」
ノハ;゚听) 「ば、馬鹿言うなあああああ!!文字列が分かっても内容を理解してないと具現化できないんだぞおおおお!?」
('A`)「伊達に、自宅警備員じゃないって言ったろ?」
瞬間、銃声が響く。
ノハ;゚听) 「ぬあああ!!」
続いて右足にも血が滲んでいた。
('A`)「勝負あったな」
(;^ω^)「(くそ、コイツカッコいいお)」
静かに、女性の赤色のキーボードが消えた。
ノパ听) 「・・・・・・自宅警備員なんかにやられた。でも感じちゃう!悔しい!」ビクビクッ
('A`)「うは、テラモエス」
( ^ω^)「(やっぱコイツカッコ悪いお)」
- 60: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 22:31:55.97 ID:NCZ4FXHA0
- ('A`)「色々と聞きたいことがある。でもその前に少しブーンと話をさせて欲しい。
いいか?」
ノパ听) 「・・・・・・。どうせ私は負けたんだから、拒否する権利はないぞ。
好きにすればいい」
('A`)「わかった。それじゃ少し離れる。ブーンちょっと来い」
( ^ω^)「イエッサー」
僕はドクオに言われるがまま、ついていった。
喫茶店の奥、トイレの近くでドクオは足を止めた。
- 61: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 22:34:00.25 ID:NCZ4FXHA0
- ('A`)「なあ、ブーン」
( ^ω^)「なんだお?」
(;A;)「僕超怖かったよおおおおおお!!!!
( ^ω^)「少しでもドクオを尊敬した僕が馬鹿だったお」
('A`)「怖いもんは怖いんだ。伊達に自宅警備員やってないんだぜ?」
( ^ω^)「お前のその台詞が少しでもカッコいいと思ってた自分が情けなくて仕方ないお」
- 65: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 22:36:15.42 ID:NCZ4FXHA0
- ('A`)「まあいい。本題に移るが、どうしてこんなことになったんだ?」
( ^ω^)「そんなことを僕に言われても困るお。
僕だって色んなことが起きすぎて訳がわかんないんだお」
('A`)「そりゃそうだわな。いきなりこんな状況になったら誰だって混乱するよな」
( ^ω^)「というか、どうやってドクオはそのキーボードを出したんだお?」
('A`)「ん?これか?」
僕の視線の先、それはドクオの指輪から具現した黒色透明のキーボード。
( ^ω^)「指輪から出したのはわかるお。でもどうやって出したのか分からないお」
('A`)「んーなんかサモナイ風に言うと『継承せよ』みたいな感じ」
( ^ω^)「わかんないから産業で」
('A`)「女が持ってたキーボードをイメージ
そしたら何か体の中から何かが出てくる感じになった。
その状態でキーボードをまたイメージしたら出た」
- 68: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 22:38:26.30 ID:NCZ4FXHA0
- ( ^ω^)「把握したお」
なるほど。そうやったら出たのか。
だったら、僕も出せるんじゃないのか?
キーボードを、イメージ・・・・・・
('A`)「ちなみに嘘だ」
( ^ω^)「ぶち殺すぞ」
本気で迷妄して、イメージして、頑張ってる最中これだ。
この皮と骨め・・・・・・
- 71: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 22:40:32.52 ID:NCZ4FXHA0
- ('A`)「さて、あの女のところに戻るか」
( ^ω^)「お?話があったんじゃないのかお?」
('A`)「馬鹿野朗。ただ怖かったんだよ。もうスッキリした」
( ^ω^)「このクズが」
('A`)「本当の話をすれば、お前、どうしてあの女が俺らを襲ってきたと思う?」
( ^ω^)「お?」
確かに、どうして襲ってきたのだろうか。
それに店に入ってきた時に言ってた
「タッチタイプマスタああああああああ!!!!出てきやがれええええ!!!!」
の言葉。
つまりこの中でブラインドタッチが出来る人間がいると特定して入ってきたわけだ。
そうなると、指輪を持ってる人間がいるということを知ってたことになる。
- 74: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 22:43:27.25 ID:NCZ4FXHA0
- ( ^ω^)「多分、僕等が指輪を持ってることを知ってて、
それで指輪を持ってる人間が何かの邪魔になるとかで襲ってきたんだと思うお」
('A`)「確かにその一説は間違ってないと思うぜ。でも俺が言いたいことはそこじゃない」
ドクオの表情が一気に引き締まり、真面目なものとなる。
思わず、僕は唾を飲んだ。
( ^ω^)「なんだお?」
('A`)「女が男である俺らを『襲ってきた』ということだ!!」
( ^ω^)「もうお前ホント死ねお」
真面目になって聞いた僕が本当に愚かだった。
とりあえず、ドクオを一発殴り、服の後ろ首を掴んで強引に引き摺りながら女性の下に戻る。
- 76: ◆fMqrvr1rTs :2007/07/04(水) 22:46:33.11 ID:NCZ4FXHA0
- ('A`)「ねー、一人で歩けるってばー」
( ^ω^)「うるせぇ、黙ってろ」
('A`)「んだとこのピザ。お前俺のこの能力で消し炭にしてやろうか?」
( ^ω^)「ボディプレスしてやろうかお」
('A`)「うん。皮と骨の俺には致死のダメージだ。正直スマンカッタ」
納得したようで、改めてドクオを引き摺りながら女性の下に戻る。
到着した先には
(;^ω^)「いないお・・・・・・」
('A`)「逃げたな」
直後、パトカーのサイレン音が耳に響き渡った。
ノパ听) 「自宅警備員・・・・・・次あった時は必ずこの手で・・・・・・!!」
ブーンは忘れられていた。
- 3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:33:14.40 ID:5T1nmvYe0
- (;^ω^)「コイツは・・・・・・」
(;'A`)「やっべぇな・・・・・・」
ここまで騒ぎを大きくすれば確かに警察が来てもおかしくはなかった。
でも、それ以上に生きることに必死だったんだ。
どうしよう。
そんな考えをしている内にも時は過ぎていく。
そして、とうとう、パトカーのサイレン音が店の前で止まった。
_
( ゚∀゚)「うおおおおおおっぱい!!」
警官の服で突入してきた男。いや、むしろコイツを捕まえろ警察。
- 5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:36:23.77 ID:5T1nmvYe0
- (;^ω^)「ドクオ、どうするお?」
僕は警察の登場に恐怖と不安を感じながら、隣りにいるドクオに耳打ちする。
怖いもんは仕方ない。ドクオの気持ちが今少しわかった気がした。
(;'A`)「どうするもこうするも、どうも出来ないだろ」
(;^ω^)「逃げるって手もあるお」
(;'A`)「逃げたら確実に怪しまれる。だったら大人しく傍観者ぶるのが一番だ」
_
( ゚∀゚)「おいそこのキーボードを出してる怪しい奴!ちょっとこっちに来い!」
('A`)「しまった!」
( ^ω^)「お前はどこまで馬鹿なんだお」
- 7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:39:23.04 ID:5T1nmvYe0
- ('A`)「というかコレどうやって消すのかワカンネ」
だからずっと出しっぱなしだったのか。
_
( ゚∀゚)「ナニをこそこそ隠れてやってるんだ?」
言い方が何か、うん、腹立つ。
('A`)「いや、ナニをする必要もないじゃないですか」
_
( ゚∀゚)「なんだろう、お前とは友達になれそうな気がする」
('A`)「いや、俺もなんかそんな感じがします。あ、キーボード邪魔ですね。消しますよ」
_
( ゚∀゚)「いやあ、なんか悪いね」
('A`)「いえいえ、こちらこそこんなわけのわからなものを。デリート、っと」
消せたんかい。というかお前等何馴れ合ってんだよ。
_
( ゚∀゚)「あ、怪しい奴め!!お前等ひっとらえろ!!」
('A`)「ナンテコッタイ」
- 8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:40:52.33 ID:5T1nmvYe0
( ^ω^)「あの、僕関係ないんで」
(;'A`)「お前って奴ァ――――――!!」
- 10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:44:36.31 ID:5T1nmvYe0
- _
( ゚∀゚)「ん、確かに君は何もなさそうだな。よし、あの覇気のない男を捕まえろ!!」
('A`)「三十六計!逃げるが勝ちよ!!」
_
( ゚∀゚)「逃がすか!追えー!!」
駄目だ。ドクオを捕まえさせるなんて、そんなわけにはいかない。
僕がそう思い、ドクオを助けようと一歩踏み出した次の瞬間――――――
ノパ听) 「とうっ!」
(;^ω^)「なんでアンタが――――――!!」
- 13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:47:12.28 ID:5T1nmvYe0
- ('A`)「お前は、さっきの女!逃げたんじゃなかったのか!?」
ノパ听) 「甘いな、自宅警備員。警察から身を隠すためにドリンクバーの裏に隠れてただけだああああ!!
それよりお前は何をしてるんだ!!お前は私が倒す!!だからこんなところで捕まってる場合じゃないだろう!!」
_
( ゚∀゚)「おおおおおおおおお!!!!」
警察が何かおたけびをあげている。どうみても僕等より不審者じゃねーか。
ノハ;゚听) 「おおおおおおおお!!!?なんだああああああ!?」
_
( ゚∀゚)o彡゚「おっぱい!おっぱい!」
警察は女性の胸をロックオンしながら右腕を上下に振っている。
確かに、この女性の胸はふくよかで、豊満な大きさだけど・・・・・・
警察がそれをやっちゃ不味いだろ。公序良俗もないじゃないか。
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:49:26.22 ID:5T1nmvYe0
- ノパ听) 「なんだかよくわからないが熱い奴だなああああああ!!!!気に入ったぞおおおおおお!!」
_
( ゚∀゚)「じゃあ記念におっぱいもませてくれ」
ノパ听) 「だが断る」
('A`)「あの、僕は渦中の外ですか」
ノパ听) 「はっ!!そうだ、こんなことをしてる場合じゃないぞおおおおお!!!
自宅警備員よおお!!!早く逃げろおおおおお!!!!」
_
( ゚∀゚)「・・・・・・そう簡単に逃がすと思うのか?」
突然警察の目がギラリと輝いた。
まるで何かのスイッチが入ったかのように、威圧感をひしひしと身に受ける。
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:53:13.59 ID:5T1nmvYe0
('A`)「あ、警察さん。ちなみにこの惨状は全部そこにいる女がやりました」
ノハ;゚听) 「お前って奴ァ――――――!!」
_
( ゚∀゚)「お前等!この女を確保だ!!」
次の瞬間、女性が数名の警察官に取り押さえられた。
その中で、命令を下してた男は女性の胸を揉んでにやけていた。
- 17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/06(金) 23:57:23.32 ID:5T1nmvYe0
- ( ^ω^)「それじゃ、僕等は帰りますお」
('A`)「ばいにー」
_
( ゚∀゚)「何言ってんだ。手前等も署に連行だっての」
(;^ω^)「え、何でですかお?犯人捕まったし大円満じゃないですかお?」
_
( ゚∀゚)「アホ抜かせ。目撃者には違いないだろ。それに被害者っての面もある。
それを考えても事情聴取は必要なんだよ。無論お前等に拒否権はない。
わかったら、両手挙げて、大人しくしてろ」
ちらりとドクオの方を見る。もう抵抗する気はないようだ。両手を挙げて無表情のまま突っ立っている。
('A`)「ブーン。大人しく連行される方がいいみたいだ。下手に抵抗はしない方がいい。
それに、俺たちはこの店に損傷を加えるようなことはやってないんだ。すぐに解放されるさ」
そうドクオが僕に耳打ちしてくる。
- 18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 00:00:08.31 ID:pfVfDoU00
- いや、だから
( ^ω^)「僕は関係ないんで。そこ二人が全部やりました」
(;'A`)ノハ;゚听) 「お前って奴ァ――――――!!」
_
( ゚∀゚)「関係ないも糞もねーっての。いいから両手挙げろ。
抵抗するってんなら、ちぃっとばかし痛い目見て貰うぞ?」
( ^ω^)「スミマセンデシタ」
- 19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 00:02:06.33 ID:pfVfDoU00
- 大人しく、素直に警察の言うとおりにした。
ドクオと女性は僕を睨みつけている。
睨まれながら、僕達はパトカーへと突っ込まれた。
('A`)「お前マジ覚えてろよ」
( ^ω^)「おちんちんびろーん」
静かに、パトカーが僕等を乗せ、発進した。
一話おわり
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