( ^ω^)ブーンがタッチタイプをマスターしたようです

37: ◆fMqrvr1rTs :2007/08/03(金) 15:42:47.19 ID:fGsxAZTh0

六話 コーヒーがブラック派の人は砂糖やミルクを入れる人を何故か嫌う


静寂が、店内を包み込んでいた。

誰も口を開こうとせず 「喋るな」と誰かが皆に言い聞かせているかの如く、空気は重く、冷たい。

しかし、誰かが口を開かなければ話は前へと進まない。何の答えも見出せない。

そして、静寂を裂き、口を開いた。

(;^ω^)「ショボン・・・・・・?」

ブーンだ。

( ・∀・)「彼は、姿形はジョルジュに近い。
     だけど、違う。彼はジョルジュなんかじゃない」

怒り狂いそうな、そんな感情を押さえ込み、モララーはブーンに説明する。

目の前の男を、その存在を否定しながら。
  _
( ゚∀゚)「ふふ・・・・・・なんだ、バレてるのかい」

(;^ω^)「(ジョルジュ、さん?)」

口調が変わり、表情が変貌する。そして、確信する。

この人は、ジョルジュさんじゃない。何かが、決定的な何かが違う、と。



38: ◆fMqrvr1rTs :2007/08/03(金) 15:44:39.05 ID:fGsxAZTh0
( ・∀・)「ジョルジュを騙るな屑が。その似ても似つかない容姿、口調。聞いてるだけで吐き気がする」
  _
( ゚∀゚)「おやおや、随分と嫌われたもんだね僕も。折角力を与えてあげたというのに」
返された言葉に対し、モララーは静かに肩を震わせていた。

( ・∀・)「力、だと?ふざけるなよ・・・・・・」
  _
( ゚∀゚)「ふざけてるのはどっちだい?善者を騙るのも大概にして欲しいな。
     君が設計したモノを完全な形で作り上げたんだ。感謝して欲しいくらいだよ」

(#・∀・)「誰がこんなものを望んで具現化するものか!!」

店内に響き渡る怒声。ブーンにツンにドクオ、そしてヒートはびくりと体を奮わせる。

モララーの変貌ぶりに、ブーンとツンとドクオは何が起こったのか全く理解できず、ただ唖然とその状況を見つめていた。

しかし、その姿はモララーの目に映ってはいない。映っているのは、目の前の男の姿、それだけだった。



40: ◆fMqrvr1rTs :2007/08/03(金) 15:46:16.42 ID:fGsxAZTh0

(#・∀・)「お前が、お前さえこなければ僕は幸せだった!平和だった!
     お前のせいで、全てが壊れた。いや、壊された!」
  _
( ゚∀゚)「平和?幸せ?笑わせないでくれよ。
     その破滅を望んだのは他ならぬ君だろう?」

(#・∀・)「誰が!誰がそんなものを望むか!!」
  _
( ゚∀゚)「君は妻を失い、友人を失った。それが、結果じゃないのかな?違う?」

(#・∀・)「貴様が―――――ッあああああああ・・・・・・!!!」

肩を震わせ、下唇を噛む。力を入れ過ぎ、下唇は裂け、血が地面に滴り落ちる。
  _
( ゚∀゚)「その偽善を通すのかな?妻を、友人を見殺しにした君が」

(#・∀・)「黙れ」

両腕の血脈を張らせ、その血管を破裂しそうな程に力を込め、拳を握る。

怒りにより一層加えられた力は、拳の皮膚を張り裂けそうなまでに赤く充血していた。



41: ◆fMqrvr1rTs :2007/08/03(金) 15:48:40.79 ID:fGsxAZTh0
  _
( ゚∀゚)「殴るのかい?ほら、力を欲してる証拠じゃないか」

(#・∀・)「黙れよ」
  _
( ゚∀゚)「うふふ、黙れって言われて黙る奴なんていないよ。
     バカだな君は」

(#・∀・)「・・・・・・よっぽど死にたいんだな貴様は」
  _
( ゚∀゚)「殺せるの?この『僕』を。いや、違うか。『俺』を。
     また、『俺』を殺すのか?」

(#・∀・)「禹行舜趨の分際で、ジョルジュを騙るな。殺すぞ」
  _
( ゚∀゚)「なら逆言おう。有象無象の君が、出来もしないことを」

(#・∀・)「甘いかどうか、その身に味わわせてやるよ」

一歩踏み出し、ジョルジュへと歩み寄る。

肩を震わせ、苦虫を噛んだように顔を歪め、怒りを彷彿させながら、一歩ずつ踏み込んでいく。



43: ◆fMqrvr1rTs :2007/08/03(金) 15:51:13.40 ID:fGsxAZTh0
  _
( ゚∀゚)「ん?来るのかい?いいよ。君の力。見せてご覧よお!
     僕の与えたその力で、僕を殺してご覧よ!」

(#・∀・)「言われなくとも、そのつもりだ」

瞬間、モララーの指輪から放たれる灰色の光。

黒でもなく、白でもない。土と水を混ぜ濁った色をした、濁色の灰。

光が消え、キーボードが出現した後、既にモララーは文字を打っていた。
_
( ゚∀・`)「来るかい!?さあ、僕を満足させておくれ!この満たされない心を、不満を、欲望を、満足させておくれよ!!」

(#・∀・)「オオオオオオォォオオッッッ!!!」

右手に握る、赤色の剣。左手に握る、灰色の剣。

赤の剣は、燃え滾るように。灰色の剣は、薄黒く濁った心のように。

それらを握り、振りかぶりながら地を蹴り、対象目掛けて突っ走る。

そして、両腕を真横へと一閃し、振り抜き、切り裂く奇形の生物。

しかし――――――
   
(´゚ω・`)「それじゃあ僕は殺せないなああ!!」

斬れたそのモノは、湿気を放つ霧。いわゆる虚像。
しかし、手は休めない。斬って、斬って、斬って、斬っていく。



44: ◆fMqrvr1rTs :2007/08/03(金) 15:53:06.21 ID:fGsxAZTh0
(#・∀・)「ハアアアアアアアアアァァァアアアッッ!!!」
   
(´゚ω・`)「ハ、ハ、ハ、ハ、ハ、ハハハ!!!」

分解され、再構築され、分解される。

斬り裂いた個所は分離され、そして再び体に戻る。

斬っても斬っても再生する。いわゆる、霧。

(#・∀・)「この化け物がァッ!!」
   
(´゚ω・`)「化け物!!いい響きじゃあないか!!ハハハハハ!!!」

店内を飛び回る男。それを追従して、飛翔し、斬る。

椅子や机、寄贈物、骨董品などが錯乱し、切り砕き、飛び散っている。

しかし、モララーにはその惨状などまるで目に入っていない。

唯一映っているのは、異形の生物。ただ一人だけ。


(#・∀・)「いい加減にぃッ死ねええええぇぇぇッッ!!」

目標目掛けて一心不乱に振るう双刀だが、それはまるで当たらない。いや、当たっている。しかし、当たっていない。



46: ◆fMqrvr1rTs :2007/08/03(金) 15:55:49.90 ID:fGsxAZTh0
(´゚ω・`)「無駄だよ!!そんな剣じゃ僕を断てない!アハ、ハハハハ!!」

(#・∀・)「ハアアアアアアッ!!!」

息を荒げ、肩を震わせ、対象を狙い両手に握る剣を振るう。

幾度も切り裂いている筈なのに、まるで感触がなく、効いていない。


敵対し合う二人を傍観していた、男がキーボードを出し、二人に歩み寄ろうとする。

(;^ω^)「ぼ、僕も!!」

(#・∀・)「邪魔だッ!退けピザッ!!」

( ω)「お・・・・・・」

ブーンはその場から動かない。いや動けない。

『邪魔』 その言葉が酷く胸に染み渡り、身体が動くことを許さない。

そう。邪魔なんだ。力を持たない自分が戦闘に身を投じることでどれだけモララーに負荷がかかることか。

(#・∀・)「ウオオオオオオオオオッッ!!」

(´゚ω・`)「アハハハハハハハハハ!!!」

あの闘いに、ついていけるのか。互いの思いを持った闘いに、参加するだけの資格が、あるのだろうか。

あるわけが、ない。



49: ◆fMqrvr1rTs :2007/08/03(金) 15:58:01.40 ID:fGsxAZTh0
(#・∀・)「死ねえええええええッッ!!!」

(´゚ω・`)「死ねないねェッ!!」

攻撃に徹し、双剣を振るうモララーだが、その剣は未だ血筋を残していない。

切り裂いた部分は霧状になり、分離される。そして分離された部分は、静かに戻る。

まるで、攻撃に対して意味をなさない。

(#・∀・)「剣がッ!駄目ならッ!!」

(´゚ω・`)「何だい!?何が来るんだいッ!?」

剣を捨て、文字列を打つ。

静かに双剣は消え、モララーの背後周辺に無数の空間が出来る。

(#・∀・)「地獄へ逝けよ屑がッ!!」

風を切り裂き、飛び出す銃弾。しかし

(´゚ω・`)「駄目だなあッ!それは当たらないよお!」

店の壁に出来る無数の空間を見て、モララーは舌打ちをする。しかし手は休めず、速射する。



50: ◆fMqrvr1rTs :2007/08/03(金) 16:00:18.90 ID:fGsxAZTh0
(´゚ω・`)「如何に強力な攻撃も当たらなければ意味がないよねえええ!!」

店内を飛び回り、右へ左へと飛翔する。

(#;・∀・)「(糞が、当たらな――――)」
(´゚ω・`)「おやあ!?休んでる場合はないんじゃないかなあ!?」

(#;・∀・)「がああああああッッ!!!」

右腕を噛み付き、肉を裂き、血を食らう。

苦痛に顔を歪ませながら、腕を振るう。しかし、男は口を離さない。

(´゚ω・`)「狂気の沙汰ほど面白いってよくいうよねえ!!?」

(#;・∀・)「それは貴様だけだ糞がッ!!」

噛まれていない片腕でキーボードを打ち、弾丸を射出させる。

しかし、既に男の姿はない。

(´゚ω・`)「はははははああ!!当たらない!!あたらなぁあい!!」

滴る右腕の血を拭いながら、男を一瞥する。

場所を特定した瞬間、右腕に走る痛みを堪えキーボードを打ち、弾丸を速射する。

(´゚ω・`)「アハハハハハハハハハッッ!!!!」

当たらない。天井に無数の空間を作るだけで、掠りもしない。



53: ◆fMqrvr1rTs :2007/08/03(金) 16:03:12.24 ID:fGsxAZTh0
(;-∀-)「(畜生・・・・・・)」

当てれない。でも、諦めてしまっていいのか。

それで、ジョルジュに、妻に、謝ることが出来るのか?

アイツ等に、合わせる顔があるか?

いいや―――――

(´・ω゚`)「俯く暇はないよおおおおお!?」

(#・∀・)「おおおおおおおおおおおッッ!!!!!」

まだだ、まだ終われない。諦める余裕があるなら抗うまでだ。

この右手 左手 足 首 心音 全神経が途切れ途絶えるまで振るい続けてやる。

無念を残したまま、むざむざと死んで堪るものか。

(#・∀・)「その首をッ!刎ね飛ばすッ!」

再び握る両手に双剣。大きく振りかぶり、突っ走る。



54: ◆fMqrvr1rTs :2007/08/03(金) 16:05:43.43 ID:fGsxAZTh0
(´゚ω・`)「その攻撃は最早意を為さないことがわかんないのかなあ?」

(#・∀・)「当たらないからと諦めて堪るかッ!!その息の根止めるまで死んでも死にきれないんだよッッ!!」

赤の剣は縦に振り下ろし、灰の剣は横に凪ぐ。

しかし、当たらない。分離され、再び元に戻る。

(´゚ω・`)「無駄ァッ!ムダアアッ!!アハはッ!アハハハハハハハ!!!」

笑い、叫び、狂気する。しかし対してモララーは一歩距離を取り、冷静に何かを判断していた。

( ・∀・)「戦闘というのはな―――――」

不敵に笑うその様に、男は後退る。

(´゚ω・`)「なんだい!?何が、何があああ来るんだいッ!?」

「おk父さん」

モララーしか映っていないその目には、その声は聞き取れなかった。

そして――――――



56: ◆fMqrvr1rTs :2007/08/03(金) 16:08:19.08 ID:fGsxAZTh0

( ・∀・)「こうするもんなんだよッ!!」

(´゚ω・`)「だから効かないと何度いえば―――――ぬぁああアアアッ!!?」

腹部を切断し、分離した体に向け放たれた一発の銃弾。

それは、静かに異形の生物へと衝突し、霧状の分離体を消滅させた。

ノハ#゚听) 「まだ、終わらせないぞおおおおおおお!!!」

追撃。二発、三発と発射されていく。

(;´゚ω・`)「おオオオオオオオオオオォォォォオオオオッッ!!」

腹に穴をあけ、悶え苦しみながら悲痛な叫びを上げる。

ノハ#゚听) 「うおおおおおおおおおおお!!!!」



57: ◆fMqrvr1rTs :2007/08/03(金) 16:11:52.68 ID:fGsxAZTh0

(;´゚ω・`)「糞がああああああああああああッッ!!!」

ノハ#゚听) 「うらあああああああああああああああああ!!!!」

身を裂き、皮膚を貫き、徐々に身体を貪っていく。

しかし、同じ手は何度も続かない。そして

(´゚ω・`)「邪魔ヲオ!!するなあああッ!!」

ノハ; ) 「、え、おおおぉぉ・・・・・・」

腹部に突き刺さる虚空を裂いた拳は、ヒートの身体を宙へと持ち上げる。

(´゚ω・`)「僕の遊びを邪魔しないで欲しいなあああ!!」

瞬間、腕を引かれ、支えを無くしたヒートは血を口から滴らせながら、静かに地面に身を沈めた。

(;・∀・)「ひ、ヒート」

我が子の倒れる様を目視し、焦りの表情を浮かべ、駆け寄る。

―――――しかしそれは、叶わない。

(´゚ω゚`)「ざああああんねんでしたあああ!!」

(; ∀ )「―――――」

嗚咽を漏らすことすら出来ず、顔面を横から殴られ、地を滑走する。



58: ◆fMqrvr1rTs :2007/08/03(金) 16:14:22.67 ID:fGsxAZTh0
(´・ω・`)「それじゃあ、妻も子も友人も助けられないよね。ふふふ」

立ち上がらない。立ち上がれない。まるで無力だ。

赤子の手を返すかの如く、軽くにあしらわれる。

(´・ω・`)「報われないなあ。アンタの妻も子も友人も。
      また、犠牲者が増えるなぁ。うふふ」


だが、誰が諦めると言っただろうか。

負けられない。負けるわけにはいかない。

妻のため、子のため、友人のため、

この手で、この剣で、この力で、奴の首を刎ね飛ばすまでは――――!!

(# ∀ )「アアアアアアアアアアアッッッ!!!」

(;´・ω・`)「ふふふァッ――――!?」

効いた。感触があった。食らわした。だったら――――

(#・∀・)「その首をッ! 刎ね飛ばして!! 殺してやるよッ!!!」

(;´゚ω゚)「オオオオオオオオオオッ!!!」

振るった両腕。
断った。何か、四肢のうちの、何かを断った。感触は、この手中に確かに、ある。



60: ◆fMqrvr1rTs :2007/08/03(金) 16:17:13.59 ID:fGsxAZTh0

(#・∀・)「妻をッ!友人をッ!奪ったッ!この憎い力でッ!貴様をおおッ!!」

振るう灰と赤の剣。狙いは只一つ

首だ。

(;´・ω・`)「危ない危ない」

首元まで迫った双剣は、『そこ』で止まっていた。

動かない。如何に力を込めようとも、見えない何かで攻撃は防がれている。

(# ∀ )「う、お、お、お、お、お、お、おッッ!!!」

(´・ω・`)「ムダなのになあ」

諦められない理由が、そこにはある。

全てを奪った元凶が、そこにはある。

殺してでも手に入れなくてはならないものが、そこにはある。


だからこそ、負けられない。



61: ◆fMqrvr1rTs :2007/08/03(金) 16:19:05.91 ID:fGsxAZTh0

(# ∀ )「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

諦めない。負けられない。やらなくちゃならない。

だから、振るう。この剣を。この、二つの剣を。

(#・∀・)「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

(;´・ω・`)「(僕の、ファイアーウォールが悲鳴をあげている・・・・・・!?)」

見ているか、ジョルジュ、でぃ。

無様で、情けない僕の姿を。

それでも、抗う僕の姿を。

(#・∀・)「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

(;´゚ω゚`)「おおおおおおおおおおおおッッ!?」

――――――何かを、砕いた。

(#・∀・)「おおおおおおおおおおおおおおッッ!!!!!」

(;´゚ω゚`)「ぐああああああああああああああああああ!!!!」


腕を振るい、切り裂いた先に首はなかった。
だが、切り裂いた先、そこには右肩があった。空間を作り、ゴト、と音を立て落ちる。



63: ◆fMqrvr1rTs :2007/08/03(金) 16:21:23.84 ID:fGsxAZTh0

(#・∀・)「ま、だまだあああッ!!」

(;´゚ω゚`)「うあああああああああ!!」

目標目掛け、がむしゃらに振るう双剣。

徐々に、血筋を作り、血線をなぞる。

(#・∀・)「お前にはッ!!ジョルジュの苦しみがわかるかッ!!妻の、苦しみがッ!!」

(;´゚ω゚`)「くおおおおおおおおおおおお!!!」

そして最後の狙いを、一つに絞り振るう両手。

(#・∀・)「血で洗えッ!!その罪をッ!!」

ただ一つ。首を狙って。


しかし――――――


(´・ω・`)「――――――ざああんねん」

(;・∀・)「待てッ!!まだ、まだだッ!!まだ終わっていない!!」

距離を開け、店の外へと音を立てず駆けるショボン。

焦り、追従するが時既に遅し。



66: ◆fMqrvr1rTs :2007/08/03(金) 16:24:02.00 ID:fGsxAZTh0

(;´・ω・`)「いささか部が悪い。今日は引かせて貰う。
      また会う時、僕の首を刎ね飛ばせるようになっててね。ふふふ・・・・・・」

ごおう、と風が吹き荒れ、その瞬間ショボンの姿は消えていた。

残されたのは切り裂いた奴の腕。

それは赤黒く煌き液状になり蒸発し、分散した。

やっと、殺せると思った。全てを、終わらせられると思った。なのに

なのに―――――!!

(#;∀・)「おおお・・・・・・おおおおおおお・・・・・・!!!!」

何も護れなかった。何も手に入れられなかった。何一つ、果たせなかった。

奴は遊んでいただけだ。この戦いを。

全ての元凶で、自分が憎んでいることを踏まえて戦いを望み、必死に足掻く自分を弄んでいたんだ。

奴の掌の中で躍らせれた。そう考えれば考えるほどに、滴る涙は止め処なく溢れ出てきた。



67: ◆fMqrvr1rTs :2007/08/03(金) 16:26:13.43 ID:fGsxAZTh0


そしてその状況を、その惨状を、ただ見つめることしか出来なかった男が一人。






( ω)「(僕は、何も出来なかったお)」


項垂れた彼の目には、何も映すことが出来なかった。






六話 おわり。



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