( ^ω^)ブーンがタッチタイプをマスターしたようです
- 21: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/22(木) 21:01:36.60 ID:tfVKOnoJ0
- そして
忘れてはいけないもう一つのパターン
ボツネタ編。
投下します
- 47: ボツネタ編 ◆fMqrvr1rTs :2007/11/22(木) 21:35:01.98 ID:tfVKOnoJ0
全ての話が終わった時、時刻は既に深夜の2時を過ぎていた。
家に帰った時、カーチャンは酷く心配していた。
まず、ツンが頬を引っ叩かれ、僕は顔面を殴られた。
そして一言「こんな時間までほっつき歩いて心配かけさすんじゃないよ!!」だった。
普段はおちゃらけたカーチャンだったけど、この時のカーチャンは、『母親』がしっかりと根付いていた。
そして、今僕は
( ω )「・・・・・・」
部屋で引き篭もっていた
- 51: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/22(木) 21:38:50.39 ID:tfVKOnoJ0
九話 隣り合わせの現実。一歩踏み出せばそこは地獄。ヒッキーにとっての、外。
- 53: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/22(木) 21:44:38.32 ID:tfVKOnoJ0
戦うと決めた。
確かに、モララーさんと話して、全てを知り、そして決心した。
でも、いざ指輪を眺め思ってしまう。
戦えない。怖いんだ。あんな命のやりとり、僕には向いていない。
十数日前まで僕はただのニートだった。引き篭もりだった。
運動もせず、働くこともせず、ただ家のお金を貪り、生きていた。
ゴキブリ以上に価値のない、本当にどうしようもない生活をしていた。
だからこそ、今頃その自分の無力さを痛感してしまった。
何せ、元が元だ。
そして、あまりにも強大で、絶望的なまでの力の男――――ショボン。
僕と段違いの力を操るモララーさんですら歯が立たない、そんなレベル。
一体何をどうすれば、今の状況を打破できるのだろうか。
たかがニート風情の僕に、一体何が出来るのだろうか。
- 54: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/22(木) 21:47:05.42 ID:tfVKOnoJ0
でも、それでも、戦わなくてはいけない。
戦える人は、限られている。
モララーさん一人に任せるわけにはいかない。絶対に。
なら、どうして
僕の身体は動こうとしてくれないんだっ―――――
- 57: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/22(木) 21:52:00.58 ID:tfVKOnoJ0
・・・・・・
気がつけば、時計の針は夕方の6時を射していた。
結局あれから何一つ行動せず、ただただ時間だけが流れていった。
無論眠ることも出来なかった。眠る気になんてなれなかった。
頭の中で埋め尽くされるのは、ぐるぐるとした渦巻く感情、葛藤。
でもはっきりと分かっていることはある。戦わなくてはならないということ。
でないと、生きているのに、死んでいるのとなんら変わらない。むしろ、死んでいる方がいっそ綺麗だ。
ここまで頭の中で整理がついているのに
実際は何一つとして行動をしていない。
目の前にある死に臆して、足がすくみ、他の人に頼り、戦いの場から逃げてしまう。
他の人がやってくれる。他の人が救ってくれる。他の人が助けてくれる。
- 58: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/22(木) 21:57:12.80 ID:tfVKOnoJ0
僕より、強い人が、
僕より、活躍する人が、
僕より、頭のいい人が、
全部やってくれる。
モララーさんと約束したのに、なのに僕は
何一つして、約束を守っていない。
僕は、何も・・・・・・何一つも・・・・・・
「なーに辛気臭い顔してんだよお前は」
背後から、突然に声が響いた。
――――――
- 61: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/22(木) 22:03:33.42 ID:tfVKOnoJ0
( ω )「ドクオ・・・・・・・」
('A`)「あんだってお前はそんな顔してんだよ。馬鹿」
いえない。
いまさらになって戦いたくないなんて、いえない。
違う。戦いたくないんじゃない。もう、無理なんだ。
精神的に、もう戦うことが出来なくなってるんだ。
('A`)「・・・・・・まあ、深くは聞かないけどよ」
今は、ドクオの存在がただただ心苦しかった。
同時に、罪悪感が胸中を埋め尽くしていった。
そして、ふと、思った。
- 65: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/22(木) 22:08:27.22 ID:tfVKOnoJ0
( ω )「ドクオは」
('A`)「あん?」
( ω )「ドクオは・・・・・・戦うことが、怖くないのかお?」
遠まわし。あくまでも直接使えるわけにはいかない。
違う。そんな擁護的な意味じゃない。伝えられないだけだ。
結局僕は、戦うことが怖いんだ。
傷つくことも、無論、傷つけることも。人の命なんて背負えない。
どうしてモララーさんはあんなに平気な顔して歩くことが出来るんだ。
自分の研究で、妻という存在を失い、それでも尚、生きている。
改めて思う。強い人だと。僕の力が足元にも及ばないのも納得できる気がする。
製作者だから、とか設計者だからとかじゃない。
純粋に、強いんだ。精神も、肉体も。
だからこそ、あの人はあんなにもたくましく生きている。
妻を失ったからこそ、得た力なのかもしれない。
なのに僕はただ怖い。恐れてしまう。傷つけて傷つけられての戦いを。
誰かが倒れてしまう。誰かが死んでしまう。または自分が死んでしまう。
それが怖い。考えるだけでも、身体の芯から震えが、寒気がとめどなくあふれ出てくる。
- 67: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/22(木) 22:14:07.81 ID:tfVKOnoJ0
( ω )「僕は、怖いお。怖くて、怖くて怖くて仕方ないお」
つい、出てしまった。
頭の中で蠢く恐怖。戦うことに対する、恐怖。
('A`)「馬鹿か」
( ω )「・・・・・・お」
('A`)「怖くないわけないだろ」
( ω )「なら・・・・・・」
('A`)「誰だって怖い。モララーさんだって、怖いはずだ。
でもな、やらなきゃならない。他に誰がやる?その辺の子供が出来ることか?その辺の大人に任せれることか?
いや、まず取り合ってもくれないだろうな。相手にもしてくれない。だったら、やるしかない」
( ω )「僕には、出来ないお・・・・・・」
('A`)「ブーン」
( ω )「お・・・・・・・?」
('A`)「戦えない。出来ない。無理。怖い。
そう考えている時点で既にお前は戦えていない」
( ω )「どういう・・・・・・」
- 70: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/22(木) 22:17:47.06 ID:tfVKOnoJ0
('A`)「戦うということが、どれだけ難しいか。
死と隣り合わせあることが、どれだけ恐ろしいか。ショボンが相手の時はそれこそ死ぬさえ思った。
心臓を冷えた手で触られるような悪寒すら感じた。でもな前を向いてなくちゃ駄目だった」
( ω )「・・・・・・」
('A`)「止まったら、そこで引きずり込まれてしまう。恐怖って奴に。
こればっかりは抑えられないんだ。だから前を向き続けた。諦めたら、そこで終わりなんだ」
( ω )「・・・・・・」
('A`)「立ち止まったら、そのときすでに戦えていない。
恐怖に沈んでしまったら、それまでだ。だから諦めるな。自分を信じろ。
信じれるのは、最終的に自分なんだ」
戦う・・・・・・
最初から、戦っていなかった。戦場にすら、立っていなかった?
目の前の恐怖に抗うこともせず、ただ侵食され続け、この状態に、絶望だけの状態になるまで気がつけなかった。
モララーさんは、戦っていた。ドクオも、戦っていた。
そしてヒートさんですら、戦っていたんだ。
- 73: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/22(木) 22:22:56.18 ID:tfVKOnoJ0
なのに、僕は
戦うことすらしなかった。
ようやく気付けた。戦うこと、戦うということ、その意味に。
モララーさんに話されて、感じた確かな怒り。
でも、それは一時的なもので、すぐに沈んでしまった。
そりゃそうだ。あの時でさえも、モララーさんに対して同情していただけだったんだから。
同情していなければ、怒りすら沸いて来なかった。
・・・・・・戦わないと。
ショボンと。そして何よりも
自分と。
- 74: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/22(木) 22:28:08.03 ID:tfVKOnoJ0
( ^ω^)「ドクオ」
('A`)「あ?」
( ^ω^)「目が、覚めたお」
('A`)「・・・・・・逃げるなよ」
( ^ω^)「もう、大丈夫だお」
でも、本当は
( ^ω^)「確かに、ちょびっと怖いお。・・・・・・違う。怖いお。
今でも、ショボンと戦うことを考えたら体が震えてくるお。
でも負けないお。折れないお。最後まで、諦めないお」
('A`)「上等だ」
にやり、と口を尖らせ、笑う。
しかし「だが」とドクオは付け加える。
('A`)「時として逃げることもアリだ。絶対的な力を目にした時、俺は逃げる。
それがいかに無様でも、それがいかに情けなくとも、俺は生きるために、逃げる。
死だけは、絶対に、避ける。それだけは覚えとけ」
( ^ω^)「・・・・・・わかんないけど、覚えとくお」
('A`)「おう」
- 76: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/22(木) 22:32:46.73 ID:tfVKOnoJ0
しばらく、沈黙が流れた。
でも、それは決して居心地の悪い、気分の悪い沈黙じゃない。
不思議と心が落ち着く、そんな沈黙。
静かに、何かが取れていった。
('A`)「うっし」
( ^ω^)「お?」
('A`)「んじゃ、まー・・・・・・」
( ^ω^)「・・・・・・」
('A`)「桃鉄でもすっかwwww」
( ^ω^)「おっおっwwww」
それから、幾分と気が楽になった。
貧乏神がキングボンビーになったりと、苛立ちがたまったりはしたけども
そこに、さっきまであったあの心の闇は消え去っていた。
戦える。これからは、本当に戦える。
そう、確信した。
- 77: ◆fMqrvr1rTs :2007/11/22(木) 22:33:48.08 ID:tfVKOnoJ0
('A`)「うい、目的地ー」
( ^ω^)「伍連続・・・・・・僕の千載一遇カード・・・・・・」
しかしいざ勝負してみると、上手くいかないものだということも知った。
九話 おわり
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