( ^ω^)ブーンの短編集のようです
- 2: ◆sVvzTNOZGE :2007/07/05(木) 22:47:43.28 ID:hTkRd90aO
- ( ^ω^)ブーンと('A`)ドクオと(´・ω・`)ショボンの夏物語のようです
- 4: ◆sVvzTNOZGE :2007/07/05(木) 22:49:38.12 ID:hTkRd90aO
- 蝉の声が街に活気をつかせ太陽がコンクリートを熱す、夏の色が存分に出される日。
土曜日の午前授業が終わった小学生はみな、虫取網や虫かごを持って思い思いの場所へ出掛けるのでした。
それはこの子達も例外ではありません。
( ^ω^)「っしゃー! 今日こそは公園のビッグボスを釣り上げるおー!
ドクオ隊員、準備は出来ましたか!?」
('A`)「隊長、かっぱえびせんはきちんとリュックに入れました!」
(´・ω・`)「僕はあのハサミが怖いから、あんまり行きたくないなぁ………」
ビッグボスとは、ここら一帯のワルガキ達の憧れの的の巨大なザリガニの事です。
最近近所の小学生は、公園の池に息を潜めているこのザリガニを捕獲する事で、自らの名声を高めようと躍起になっているようです。
( ^ω^)ゞ「大丈夫であります! 奴の捕獲は僕とドクオ隊員とでやるであります!」
('A`)「僕らに任せてよ! ショボン君は辺りに敵がいないか見張ってて!」
“敵”とは、ビッグボスを狙う他の子ども達の事です。
多数の子ども達に命を狙われるビッグボスも、楽ではありません。
- 6: ◆sVvzTNOZGE :2007/07/05(木) 22:52:36.80 ID:hTkRd90aO
- そして公園に向かって歩き始めたブーン君ご一行。
公園は三丁目の駄菓子屋を過ぎた辺りにあります。
(´・ω・`)「ねぇねぇ、駄菓子屋さんに寄っちゃ駄目かな?」
ちょうど駄菓子屋の前を通り掛かった時、一番背の小さいショボン君がポツリと呟きました。
( ^ω^)「行こう行こう!」
('A`)「僕ラムネ買う!」
( ^ω^)「僕はガリガリ君にするお! ショボン君は何を買うんだお?」
(´・ω・`)「僕は着色料100%明太子が欲しいんだ!」
はて、着色料100%明太子とはいったい何なのでしょうか?
(*'A`)「それ何なの〜?」
ドクオ君は、小さな子ども特有のキラキラとした眼差しでショボン君を見つめました。
(´・ω・`)「あのね!」
ショボン君は待ってましたとばかりに興奮気味に口を開きます。
(´・ω・`)「それはパッと見だとどう見てもタラコにしか見えないのに、
食べてみるとスンゴイ辛い明太子なんだよ! 新しいイタズラお菓子なんだ!」
どうやらショボン君は見た目によらず、イタズラっ子なようですね。
- 9: ◆sVvzTNOZGE :2007/07/05(木) 22:55:11.16 ID:hTkRd90aO
- ブーン君達はラムネやガリガリ君が食べおわる頃に公園に着きました。
この公園は街の中でも大きな方で、公園内を川が流れています。
今日は“敵”はまだいないみたいです。
( ^ω^)「よぉーし、ドクオ隊員、ショボン隊員、ビッグボスを探すお!」
('A`)ゞ(´・ω・`)ゞ「ラジャー!」
三人は川に向かってバラバラに走り出しました。
( ^ω^)「おっおっお……ビッグボスはどこだお〜?」
ブーン君は水中に目を光らせながら、川の側をのそのそと歩いていきます。
ザリガニがいると水中の砂が僅かに濁るので、それを頼りにビッグボスを探します。
('A`)「隊長ー! 怪しい影を発見しましたー!」
少し遠くの方で川を見つめていたドクオ君が、声を張り上げてブーン君を呼びました。
( ^ω^)「今行くおー!」
ブーン君とショボン君がドクオ君の元に走り寄ります。
('A`)「けっこう大きな濁りが見えたんだ! 間違いないよ!」
- 11: ◆sVvzTNOZGE :2007/07/05(木) 22:58:01.53 ID:hTkRd90aO
- ( ^ω^)「よーしショボン隊員、かっぱえびせんの準備を頼むお!」
そう言うとブーン君は手頃な大きさの木の棒を拾ってきました。
それに、持参した釣糸とかっぱえびせんを付けて自作釣竿の完成です。
(´・ω・`)「じゃあ僕は怖いから公園のパトロールに行ってくるね!」
( ^ω^)ゞ('A`)ゞ「よろしくお願いします!」
小さい頃って、パトロールとかが大好きなんですよね。パトロールの途中でクワガタやオニヤンマを発見した時のドキドキは忘れられません。
( ^ω^)「今日こそはビッグボスを釣り上げて僕らの名を有名にしてやるお!」
('A`)「うん、そうだね!」
ブーン君が糸を水中に垂らして数分。一向にザリガニがかかる気配はありません。
( ^ω^)「……逃げられたかお?」
('A`)「そうかもね……」
その時でした。公園の入口の方からショボン君が息を切らして走ってきました。
(;´・ω・`)「ブーン君、ドクオ君!」
額から一筋の汗が流れ落ちます。
(;'A`)「どうしたんだ!?」
(;´・ω・`)「六年生の人達が来た!」
- 14: ◆sVvzTNOZGE :2007/07/05(木) 23:01:01.00 ID:hTkRd90aO
- 多くの小学生にとって、上級生である六年生というのはまさに恐怖の存在でした。
ほとんど中学生の彼らは体も大きく、まさに威圧的な存在感を放ちます。
先ほど公園に来た六年生三人組が、ブーン君達の目の前に迫ってきました。
<ヽ`∀´>「ガキ共、俺達はビッグボスを探しに来てんだから、さっさとそこをどくニダ!」
( ^Д^)「お前ら四年生だろ? チビ達は隅っこの砂場で遊んでろよ!」
六年生の二人がブーン君達に向かって暴言を吐きました。
(;'A`)「ブーン君………」
(;´・ω・`)「怖いよブーン君………」
(;^ω^)「う………」
(#^Д^)「さっさとどけよ!!」
怯えて固まっているブーン君達に痺れを切らした取り巻きが、声を荒げました。
ブーン君達は仕方なく川から離れて、林の方向へと向かって行きました。
(;'A`)「くっそ〜………」
ドクオ君が小さな拳を握り締めて歯をくいしばります。
( ´ω`)「ドクオ君、仕方ないお……。あいつら、六年生のニダーとプギャーだお。
カーチャンもあいつらには関わるなって言ってたお……」
- 18: ◆sVvzTNOZGE :2007/07/05(木) 23:05:17.65 ID:hTkRd90aO
- (´・ω・`)「…………」
('A`)「ショボン君、どうしたの?」
無言で立ち尽くすショボン君を気にかけたドクオ君が声をかけました。
(´・ω・`)「僕………こんな悔しいの初めてだよ…」
( ´ω`)「…………」
(´・ω・`)「……ブーン君は悔しくないの?」
( ´ω`)「僕だって悔しいお。けど、あいつら中学生にだって喧嘩で負けた事ないらしいお……」
(´・ω・`)「ブーン君! 僕達の隊長はブーン君なんだよ! 忘れちゃったの!?
隊長になる時に、僕らは何があっても諦めないチームになろう!って言ったのはブーン君だよ!?」
( ^ω^)('A`)「………!」
おやおや、ブーン君とドクオ君の目に輝きが戻りましたよ。
普段は温厚なショボン君が大きな声を出した事で、
ブーン君やドクオ君の心の炎がまた燃え出したみたいですね。
( ^ω^)「………リベンジするお」
('A`)「僕も同じこと考えてた……」
(´・ω・`)「……僕に良い考えがあるよ」
ショボン君がウインクをして微笑みました。
- 23: ◆sVvzTNOZGE :2007/07/05(木) 23:08:23.01 ID:hTkRd90aO
- ( ^Д^)「あのチビちゃん達、ご丁寧に釣竿まで置いてってくれたぜwww」
<ヽ`∀´>「ほんとガキは馬鹿で扱いやすいニダwww」
プギャー君とニダー君は、ブーン君達が作った釣竿でビッグボスを釣っていました。
二人の辺りにはポテチの空き袋やコーラの缶が散らかっていました。
先程ブーン君達がいた時には落ちていなかったゴミです。
( ^ω^)「あの〜、すみません」
すると突然ブーン君が二人の目の前に現れました。
背中にショボン君のリュックを背負っています。
( ^Д^)「あぁ何だよ!?」
<ヽ`∀´>「今日からこの公園は俺達の領地ニダ!」
( ^ω^)「分かりましたお。…それなら、このゴミを片付けても良いですかお?
さっきの“お礼”をしたいんですお」
ブーン君がへこへこと二人に媚びへつらいます。
<ヽ`∀´>「お? 気が利くガキもいるもんニダw」
ブーン君はリュックを下ろして黙々とゴミを片付けました。
( ^ω^)「ふぅ。それでは失礼しますお」
- 25: ◆sVvzTNOZGE :2007/07/05(木) 23:11:12.21 ID:hTkRd90aO
- ( ^Д^)「物分かりが良いガキもいるもんだなw
………と、あのガキ、リュック忘れて行きやがったぜ?」
プギャー君がニヤリといやらしい笑みをニダー君に見せました。
<ヽ`∀´>「つくづくバカなガキニダwww」
( ^Д^)「いただいちまおうか?www」
<ヽ`∀´>「この公園は俺達の公園ニダ。つまり、この公園に落ちているリュックは俺達の物ニダwww」
そう言うとニダー君はプギャー君の目線の先にあるリュックに手をかけ、中を開きました。
中には銀紙に包まれたおにぎりが二つと、ペットボトルに入ったコーラが二本入っていました。
( ^Д^)「山分けだなww」
<ヽ`∀´>「いただきニダw」
そう言うと、プギャー君とニダー君は二人同時におにぎりの銀紙を開きました。
( ^Д^)「と、俺は明太子が死ぬほど嫌いだから、まずは具をチェックしないとな!」
プギャー君がおにぎりを割ると、綺麗なピンク色のタラコが姿を現しました。
( ^Д^)「うはwwwタラコ大好きwwwww」
( ^Д^)<ヽ`∀´>「いただきま〜す(ニダ)」
- 30: ◆sVvzTNOZGE :2007/07/05(木) 23:13:30.81 ID:hTkRd90aO
- プギャー君とニダー君が大きな口を開けて、おにぎりを一かじりしました。
( ^Д^)<ヽ`∀´>「………」
おや? 二人の顔がみるみる赤くなっていきますよ?
(;^Д^)<;ヽ`∀´>「か……」
唇の色がみるみる赤黒く変わっていき、どんどん腫れていきます。
(;^Д^)<;ヽ`∀´>「か……」
3…2…1…
(;´Д`)<;ヽ´∀`>「辛ェェェェェ!!!!!!」
二人は同時に口から火を吐いて、リュックからコーラを取り出しました。
キャップを開いてコーラを一気に喉へ流し込みます。
(;^Д^)<;ヽ`∀´>「生き返るぜ(ニダ)…………。
……ん?」
おや? 二人の顔がみるみる青くなっていきますよ?
(;´Д`)<;ヽ´∀`>「しょっぺェェェェェ!!!!!!!」
そう言い残すと、二人はどこかへ向かって走り去って行きました。
- 36: ◆sVvzTNOZGE :2007/07/05(木) 23:16:43.07 ID:hTkRd90aO
- 近くの林からブーン君達三人が顔を出します。
('A`)「………大成功だね」
( ^ω^)「ほんとショボン君はイタズラの才能があるお!」
('A`)「お昼御飯のおにぎりの具を着色料100%明太子とすり替えるなんて、ショボン君は凄い器用だね!」
(´・ω・`)「手に水を付けたらそれくらいワケないよ」
ショボン君は勝ち誇った笑顔を見せました。
( ^ω^)「そして極めつけは、水で薄めた醤油だおw」
('A`)「最高だったね! …でも何で水で薄めたんだい?」
(´・ω・`)「昔お爺ちゃんに、
醤油は絶対に一気に飲むなって言われてたから、ちょっと手加減してあげたんだ!」
ショボン君が、親指を立てました。
- 38: ◆sVvzTNOZGE :2007/07/05(木) 23:18:26.74 ID:hTkRd90aO
- ('A`)「でも、ショボン君の醤油を買ってくる早さには少し笑えたねw」
ドクオ君が思い出し笑いを始め、ついに腹を抱えて笑い出しました。
( ^ω^)「ほんとだお!」
ブーン君もそれにつられて笑います。
(*´・ω・`)「そんなに笑わないでよ〜!」
ショボン君は少し頬を赤くして照れながら怒った素振りを見せました。
- 41: ◆sVvzTNOZGE :2007/07/05(木) 23:20:28.55 ID:hTkRd90aO
- (*´・ω・`)「あ! 釣竿がセットされたままだよ! 見に行こうよ!」
恥ずかしさに耐えられなかったのか、ショボン君が話題を逸らして釣竿の元へ走って行きます。
ブーン君とドクオ君も後を追いました。
( ^ω^)「待つお〜!」
一足先に川に着いて釣竿を上げたショボン君は、動きが止まっていました。
(;´・ω・`)「………」
( ^ω^)「どーしたんだお?」
(;´・ω・`)「これ見てよ!!!」
ショボン君が持つ釣竿の釣糸にぶら下がるソレを見たとき、ブーン君は腹から大声を出しました。
ドクオ君も同じ反応をして腰を抜かしてしまいました。
この少年達は、どんなに時が経って大人になろうともこの夏の日の出来事を忘れないでしょう。
こんなに楽しく光輝いていた日々は、何年経っても彼らの宝物になっている筈です。
だからあなたも少し昔に浸ってみてはいかがですか?
- 45: ◆sVvzTNOZGE :2007/07/05(木) 23:22:42.57 ID:hTkRd90aO
- お題:
着色料100%明太子
夏の色
( ^ω^)ブーンと('A`)ドクオと(´・ω・`)ショボンの夏物語のようです
end
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