( ^ω^)と夏の日のようです

4: ◆zS3MCsRvy2 :2007/07/08(日) 17:43:42.33 ID:/YDuLUAZ0
『( ^ω^)と夏の日のようです』   第一話



七月末。
僕は電車に揺られながら、叔父さんの家に向かっていた。

( ^ω^)「海がきれいだお!」

都会では中々見られなかった海を見て気分が高揚する。
夏の日差しを受けて、海面がきらりと輝いている。

僕――――内藤ホライゾンは今年高校を中退した。
無理をして地元有数の進学校に進んだが、馴染むことが出来なかった。
次第に学校に行くことも少なくなり、ひきこもりがちになっていった。

そして……2度目の一学期が終わる前に僕は高校を辞めた。



6: ◆zS3MCsRvy2 :2007/07/08(日) 17:46:09.48 ID:/YDuLUAZ0
( ^ω^)「おー……ようやく到着だお」

長い旅路の末、目的地に着き電車を降りる。
ここは都会の騒々しさから隔離された田舎の町だ。
目の前に広がる緑が眩しい。

( ^ω^)「今日から、この自然が僕の新しい日々を見守ってくれるお!」


僕の現状を心配した両親は、僕を田舎の叔父さんの家に預けることにした。
「大自然に囲まれて、リフレッシュしてこい」との事だそうだ。

最初は反対した。
でも、次第に僕はこう考えるようになった。
都会では味わえない、自然の中での暮らしもいいんじゃないかって。



7: ◆zS3MCsRvy2 :2007/07/08(日) 17:47:59.64 ID:/YDuLUAZ0
(;^ω^)「叔父さんの家まで遠いZEEEEEEEEE!!!!!」

叔父さん一家は山の辺りに住んでいるそうだ。
駅からの道のりは遠い。
ただ、決してつまらない歩き道じゃなかった。

僕のいた街では見られなかった、青く澄んだ空。
爽やかな木々の緑は絵のように美しかった。
海から吹いてくる風が心地よい。


( ^ω^)「車が一台も見えないお……」

舗装されていない、元の姿のままの道をひたすら歩き続けた。



8: ◆zS3MCsRvy2 :2007/07/08(日) 17:50:17.53 ID:/YDuLUAZ0
(´・ω・`)「やあ、ようこそ僕の城へ」

家に着くなり叔父さんが出迎えてくれた。
この人の名前は、ショボン。
歳は40歳前後だったと記憶している。落ち着いた雰囲気の人だ。

( ^ω^)「叔父さん、お久しぶりですお!」

(´・ω・`)「しばらく見ない間にブーン君も大きくなったね」

「ブーン」というのは僕のあだ名だ。
もう10年近く会っていないのに、その呼び名を覚えてくれていたことに嬉しくなる。


( ^ω^)「えと……今日から、お世話になりますお」

(´・ω・`)「はは、そんなに緊張しないでおくれよ。夏の間楽しんでいってね」

( ^ω^)「はいですお!」



9: ◆zS3MCsRvy2 :2007/07/08(日) 17:52:28.40 ID:/YDuLUAZ0
叔父さんに案内されて家の中に入って行った。
家の縁側から海が一望できる。
山々の木々達が日差しを浴びてざわめいた。

('、`*川「あらブーン君、いらっしゃい」

( ^ω^)「叔母さん、こんにちはですおー」

この人は叔母さんのペニサス。軽い挨拶をした。


('、`*川「ちょっと待っててね、今子どもたちも呼んでくるから」

そう言い残して叔母さんは二階に上がっていった。

「あんた達ー、ブーン君が来たわよー」
「えっ!お兄ちゃんが来たのー!?」
「ほらほら、あなたも恥ずかしがってないで下りなさい」
「べ、別に恥ずかしいわけじゃないんだからねっ!」

(;^ω^)「……上が騒がしいお」



11: ◆zS3MCsRvy2 :2007/07/08(日) 17:54:36.01 ID:/YDuLUAZ0
叔母さんが子どもを連れて下りてきたのは、それから数分が経ってからだ。

('、`*川「さ、あんた達挨拶しなさい」

(*゚ー゚)「お兄ちゃんこんにちは」
( ・∀・)「こんにちはー!」

先に挨拶をした女の子はしぃ、元気に挨拶をした男の子はモララーと言う。
記憶の中ではあんなに小さかったのに、二人とも大きくなったものだ。

そして、叔母さんの隣でつっけんどんな態度を取っているのは―――――――。

('、`*川「ほら、あなたも挨拶しなさい」

ξ゚听)ξ「……うるさいわね。別にそんなのする必要ないじゃない」

('、`*川「まったくこの子は……」


( ^ω^)「(お?この子は確か……?)」



13: ◆zS3MCsRvy2 :2007/07/08(日) 17:57:05.27 ID:/YDuLUAZ0
( ^ω^)「ツン、かお?」

叔父さんの家でこの子――――――ツンとよく遊んでいたのを覚えている。

ξ゚听)ξ「っ!き、気安く名前を呼ばないでよねっ!!」

(;^ω^)「…………」

なぜかは知らないが怒られてしまった。
昔はあんなに素直で可愛い女の子だったはずなのに……。


(*^ω^)「(というか今でも可愛いお!)」

ξ゚听)ξ「……ちょっと、その目は何よ」

(;^ω^)「い、いえ!何でもないですお!」



14: ◆zS3MCsRvy2 :2007/07/08(日) 17:59:08.02 ID:/YDuLUAZ0
ξ゚听)ξ「……ふん、まあいいわ。しばらく一緒に暮らすんだし……」

ξ゚听)ξ「一応挨拶しておくわ。よろしくね、ブーン」

(*^ω^)「よろしくだお!」


やっぱり、昔から変わってないな。
僕はそう思った。



16: ◆zS3MCsRvy2 :2007/07/08(日) 18:01:16.59 ID:/YDuLUAZ0
(´・ω・`)「さてブーン君、君は昼食がまだだろう」

(;^ω^)「お、すっかり忘れていたお。腹ペコですお」

(´・ω・`)「ははは、それじゃみんなで昼食にしようか」


そう言うと、台所から叔母さんがお昼ごはんを運んできた
大皿に並べられた、身の大きなお刺身。
ワカメとタコのぶつ切りの酢の物。
そしてポテトサラダ。
どれもこれもが大きな食器に盛られていた。

(´・ω・`)「今日はいいカンパチが手に入ったから、刺身にしたよ」

(*^ω^)「おいしそうですお!お刺身は大好物ですお!」

(´・ω・`)「それは良かった。それじゃみんな手を合わそうか」



17: ◆zS3MCsRvy2 :2007/07/08(日) 18:03:27.63 ID:/YDuLUAZ0
(*゚ー゚)「いただきます」
( ・∀・)「いただきまーす!」
(*^ω^)「いただきますお!」

食前の儀式を済ませると、すぐに目の前の料理にかじりついた。

養殖物とは違う、すっきりした脂の乗ったカンパチの身。
その食感は水っぽさなどなく、実に歯触りがよくて何枚でも食べられそうだ。

酢の物にも手を付ける。
ポン酢で和えただけの物だが、具材が新鮮なだけあってこれまた趣深い。
コリコリとしたタコの歯ごたえとワカメの磯の香りが心地よい。

キンキンに冷やされたポテトサラダは最高の箸休めだ。



20: ◆zS3MCsRvy2 :2007/07/08(日) 18:05:36.91 ID:/YDuLUAZ0
(*^ω^)「ハムッ!ハフハフ、ハフッ!!」

ξ゚听)ξ「ちょっとあんた、私の分のお刺身残しなさいよ!」

( ・∀・)「兄ちゃんずるいよ!僕にも!」

(*゚ー゚)「みんな食べすぎだよー」

('、`*川「あらあら、そんなに急がなくても十分ありますよ」


大盛によそわれた茶碗を片手に夢中でおかずに箸を伸ばす。
横からツンにぐいぐいと押されるが気にしない。
こんなに美味しい料理は僕の街では味わえなかった。



22: ◆zS3MCsRvy2 :2007/07/08(日) 18:07:44.71 ID:/YDuLUAZ0
(*^ω^)「ごちそうさまですお!」

あっという間に並べられた皿は空になり、みんなで食後の儀式を済ませた。

(´・ω・`)「ブーン君、よく食べるんだね」

( ^ω^)「いつもはこんなに食べませんお。でも、おいしくて止まりませんでしたお!」

(´・ω・`)「嬉しいこと言ってくれるね。あとで漁師に伝えておくよ」

そう言うと叔父さんは僕に何かを渡した。

(´・ω・`)「こんなもので悪いけど、食後のデザートだよ」

渡されたものを見ると、それは小ぶりの夏みかんだった。
叔父さんはみかん農家をやっていたのを思い出した。

( ^ω^)「ありがとうございますお!」

皮をむいてひとかけらを口に入れる。
爽やかな酸味が口の中を潤してくれる。これまたいくらでも食べられそうだ。



23: ◆zS3MCsRvy2 :2007/07/08(日) 18:10:09.43 ID:/YDuLUAZ0
(´・ω・`)「それじゃブーン君、午後からは君の自由時間だ
     
(´・ω・`)「散歩に行くなり、昼寝するなり自由にしておくれ」

( ^ω^)「分かりましたお!」


叔父さんに言われたとおり、僕は山道を散歩することにした。

新緑に囲まれて清々しい気分になる。
じぃじぃ、という蝉の声が山全体に響き渡る。
この大自然の中で、今年の夏を過ごす。
今年は最高の夏になるだろう。


僕はそう思いながら、暑い夏の道を自分のペースで歩き続けた。



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