ξ゚听)ξとダレカはネガティヴなようです
- 29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 21:57:27.54 ID:/7Yydd+X0
- 今の時刻はもう18時。
バイト先から帰ってきて、有無を言わさずどさりとベッドに倒れこみ、
気付けばその時間だった。
昨日に続き、恐ろしく時間を無駄にしてしまった。
明日は確か、必修の授業があるな……。大学に行く気力は今、湧いていない。
あ〜もう! 何か……」
一人言なのに、言い切ることすら出来なかった。
胸にあるこのどうしようもない、わだかまりをどうすれば除去出来るのだろう?
そう考えているうちに、携帯電話がメールを受信した。
ξ゚听)ξ「誰だ……?」
最近、本当に一人言が激しいな……と思いながらも受信BOXを開ける。
送り主はしぃで、夕飯を一緒に食べない? という内容だった。
了解の返事を送り、私はシャワーへと向かった。
- 30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 21:59:02.92 ID:/7Yydd+X0
- (*゚ー゚)「今日はタクシーだから、じゃんじゃん飲んじゃってね♪」
しぃは歌うように語れば、更に私のグラスへ赤ワインを注ぐ。
イタリアンのディナーも、後はデザートを残すのみとなり
私たちはお互いにアルコールを煽い合っていた。
2人で囲んでいる円形テーブルの中央のキャンドルが少し揺らめく。
冬の到来を予感させる今日の風は少し強く、寒い。
開放型のテラスでフルコースを頼んだのは、失敗だったかもしれなかった。
ξ゚听)ξ「そういうアナタも、相当酔っ払ってるでしょぅ?」
(*゚ー゚)「えへへへ〜。僕よりツンのが酔ってるよぅ〜。語尾が変だもん♪」
そう言って2人で笑い合う。
やっぱり、私の一番の親友はこのしぃだ。
高校の頃から、私は助けて貰っている。感謝が尽きない。
私は心の中で決めた。しぃに、あの内藤という男について話すことを。
ξ゚听)ξ「ねぇ……。少し、相談をしてもいいかな」
今までおどけていたようなしぃの目の色が変わる。
一瞬で酔いが冷めたように、真剣な表情へ代わる。
(*゚ー゚)「どうかしたの?」
私はしぃに、あの内藤という男に漂う異常性について、話した。。。
- 32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 22:01:04.97 ID:/7Yydd+X0
- (*゚ー゚)「……あの男の人が、ね……」
ウェイターが「お待たせしました」と
デザートのティラミス、ホットコーヒーを配る。
しぃは、コーヒーにミルクを垂らしながら、口を動かし続けた。
(*゚ー゚)「確かに、少し変わってるな……とは思ってたよ」
ξ゚听)ξ「へぇ〜。よく見てるわね、しぃって」
(*゚ー゚)「えぇ!? 普通、ちょっと常連の人なら気付かない?」
少し驚いた表情を見せた。 自分が物覚えの悪い人間と言われたようで、
少しだけムっとしてしまう。 確かにそこまで良くはないんだけど。。。
ξ゚听)ξ「それで……どうおかしかったの?」
(*゚ー゚)「いつも君のことを見てたよ」
ξ゚听)ξ「 ぇ?」
しゃっくりのような声が喉から湧き出てしまった。
(*゚ー゚)「君の居ないときは……何も買わずに出てったことも、多々あるしね」
- 36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 22:26:38.99 ID:/7Yydd+X0
- ξ;゚听)ξ「そ、それって……いつ頃から?」
私が入ったのは3ヶ月前。熱のうねる、夏の頃からだ。
(*゚ー゚)「詳しくは覚えてないけど……8月頃からじゃないかなぁ……?」
8月。 入って1ヶ月も入っていない時だ。
そんなときから……。 自分の不注意が嫌になった。
ごくり、と息を呑む。
しかしそんな真似をしても、内から沸き起こる震えは止まらなかった。
ξ;゚听)ξ「ねぇ、しぃ」
(*゚ー゚)「ん?」
私は、最近頭から離れない、例の単語を言おうとした。
ξ;゚听)ξ「あの内藤って、やっぱr(*゚ー゚)「ストーカーだと思うよ……」
やっぱり そう、だよね。
いよいよ、わなわなと震えている体は確信じみて力を強めていく。
- 37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 22:29:56.98 ID:/7Yydd+X0
- ξ;゚听)ξ「け、警察に言うべきかなぁ……?」
(*゚ー゚)「警察……? ぅ〜ん。警察かぁ……」
しぃが意外にも、押し黙ってしまう。
(*゚ー゚)「今の時点じゃあ 厳しいね……。基本、事後処理だし……」
ξ゚听)ξ「そう……」
やはり、頼れる場所ではないのか。。。
それならば、どうすればいいのだろうか。
(*゚ー゚)「ストーカーについては、僕はよく知らないんだ。
でも、……僕はツンと一緒に、内藤と戦うつもりだよ」
……ありがたい、
本当に、暖かく、力強い言葉だった。
ξ゚听)ξ「ありがとう……しぃ」
(*゚ー゚)「ふふ。困ったときはお互い様だよ。ほら、コーヒー冷めちゃってるよ?」
ξ゚听)ξ「あ、本当だ……ははは……」
コーヒーを飲み干した後、私たちは会計を済ませた。
タクシーに乗り、まずは私の住むマンションへ辿り着く。
しぃと別れた後、私は多少千鳥足になりながらも、自室へ目指した。
- 38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 22:32:06.76 ID:/7Yydd+X0
- ξ゚听)ξ「え……?」
玄関の前に"違和感"があった。
それを手に取る。
ピンク色のリボンが幾重にも巻かれ、締めに超著結びをしていた。
それはワインのボトルだった。
私がしぃと一緒に飲んだ、赤ワインより一つ上のランクの。
何となく、気味が悪い。 私は傍の壁にそれを立てかけた。
ξ゚听)ξ「何なのこれは……?」
( )「羨ましくって」
返事を求めなかった私の言葉に、返す人間が居た。
反射運動のように、右手を見る。
非常用階段の影から、内藤が姿を現した。
( ^ω^)「僕も君とお酒を飲みたいお。イタリアンを食べたいんだお」
ξ;゚听)ξ「……そんな、どうして……」
どうして知ってるの?
……尾けていたんだ? そして、
( ^ω^)「僕も君とチーズフォンデュを食べたいんだお?」
ずっと、見ていたんだ。。。
- 42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 22:34:53.80 ID:/7Yydd+X0
- ξ;゚听)ξ「いや……」
震える手で、私は鞄から鍵を取り出す。
息も荒々しくなり、酔いはあっという間に冷める。
( ^ω^)「君と僕とで、お酒をきこし召し合いたいんだぉお!!」
突然大声を出し、私の体は情けなくビクっと身をすくませてしまう。
男の瞳は、今日の……あの時のように、いやらしく光る。
どうしよう、殺されるかもしれない……。
私は急いで鍵を取り出し、鍵穴に差し込もうとする。。
……くそっ手が震えていて中々上手くいかない。
( ^ω^)「ところで今度、お茶でも飲まないかお? お?」
無視をして、ひたすら鍵に全神経を注ぐ。
( ^ω^)「……もしかして、ツンちゃん。僕が怖いのかお?」
――……やった、差込みに成功した!
私は鍵を急いで180度回し、扉のロックを開ける。
汗ばんだ手でドアノブに触れる。
( ^ω^)「怖いのかお? 僕が怖いのかお? お?」
- 43 名前: >>40 はい 投稿日: 2007/07/09(月) 22:37:13.27 ID:/7Yydd+X0
- その言葉と態度、顔は非常に光悦としていた。
"被害者の生活に影響を与え、自分の存在をそこで認識して快感を得ようとする”
テレビの大学教授のあの言葉が、頭に浮かぶ。
( ^ω^)「おっおっお……怖がらなくても、いいんだお。
運命を、僕は君に感じているんだお」
「運命を、僕は君に感じている」
合コンのとき、私は散々そのセリフを言われたのを思い出した。
あの合コンで私と偶然会った。
それに、この内藤は異常なまでに運命を感じ、今までの思いを爆発させたのだ。
私は玄関の扉を押し開き、自分の身をその中へ素早く預ける。
その姿を見た内藤はにんまりと笑い、いつの間にか手にしている
あの赤ワインのボトルを掲げ、玄関に近づいてくる。
ξ;゚听)ξ「いやぁ!! 来ないでェ!!!」
( ^ω^)「来るか来ないかは、僕が決めることだお」
"歪んだ形の権力の誇示"
扉を急いで閉める。
しかし、ふちに手を掛けた内藤の力で、完全に閉め切ることが出来ない。
- 45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 22:40:25.57 ID:/7Yydd+X0
- ξ;゚听)ξ「ひぃ……」
必死に扉を押し、閉めようとするも、やはり内藤の手のせいで閉まらない。
暗闇の中、目に映る内藤のウネウネと蠢く指を見るだけで、私は吐きそうになる。
( ^ω^)「ツンちゃん。今は僕のことを嫌っているのかもしれないお」
内藤が語りかける。 お願い、帰って……。。。
( ^ω^)「でも、僕はツンちゃんに好きになってもらうんだお」
一瞬、内藤の力が弱まる。
( ^ω^)「このワインを、ツンちゃんと一緒にξ#゚听)ξ「帰ってェェエエエ!!!」
火事場の馬鹿力だろうか。
おそらくワインを私に見せようとして、一瞬内藤の力が弱まったので
私は完全に閉め出すことが出来た。素早くチェーンを掛ける。
閉め切ったとき、ガシャァンとガラスの割れる音がした。
そして、鼻につくこのアルコールの匂い。
ピチャ、ピチャと水が滴るような音が外で聞こえる。
あのワインが、閉めたときにその衝撃で割れたのだろう。
内藤の、嗚咽するようなあの「おっおっお……」という口癖も聞こえる。
- 47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 22:43:42.75 ID:/7Yydd+X0
- ( )「あ〜あ……オーダーメイドの、30万もするこの黒スーツが……」
安心したせいで、腰が抜けてしまった。
早く奥に行きたいのに……。 体の自由が、キカナイ。
( )「でも、僕は頑張るんだお」
ノックの音が響く。
コツ、コツ、コツ、コツ……。
( )「僕は君と結ばれる。それにひたすら走るんだお」
ξ;;)ξ「ひっく……ひっく……」
( )「じゃあ、また明日」
その言葉を機に、内藤はどうやら帰ったようだった。
だとしても、私は動くことが出来なかった。
- 48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 22:44:53.40 ID:/7Yydd+X0
今日は、君と沢山の会話が出来てとても嬉しいよ
本当に、本当に……でも、もっと話たかったんだ
まあ、いいか でも君は本当に可愛らしい
でも、狂ってくれ 僕を刺し殺すまでに
だって、狂い泣きする君は身震いする程、 可愛らしくてさ
人生は妥協の繰り返しで成り 立っているらしいんだけど、
僕は君に関して だけは、 妥協しないよ
僕と君はどうにも、誰も彼もが祝福しないらしいんだけど、
僕の君に対する愛だけは、誰にも止められないよ
恥を知れ、僕はまたも妥協してしまったんだ
人生はそう長くないのに、何度も何度も ネガティヴ
気がつけば、僕は右手首にカミソリで十字をつけていた
美しい十字跡と、あぶく血
やっぱり僕はネガティヴ
- 50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 22:47:33.77 ID:/7Yydd+X0
- 酷く憂鬱だ。
いや、憂鬱にならない方がおかしいだろう。
ストーカーに狙われて、幸せで居られる方が……
そして、大学の授業の存在も……。
この科目は必修なのに……
教授の言葉をノートにひたすら書き込んでいるが、
自分が何を書いているのかが分からない。
理解できないまま、授業は終わってしまった。
私は、教室を出て廊下を歩く教授に話しかける。
授業のことではない。
ξ゚听)ξ「あのッ教授!!」
( ФωФ)「ぬ? ……デレンさんか。何だね?」
ξ゚听)ξ「ここの大学には……やっぱり心理学科はありませんよね?」
- 51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 22:49:55.95 ID:/7Yydd+X0
- 杉浦教授は苦笑する。
( ФωФ)「君は……この大学に何年居ると思ってるのだね? うちにはないぞ」
ξ゚听)ξ「ですよね……すいません」
しかし、これはほとんど建前のような質問だった。本命は、これから。
( ФωФ)「では、宜しいかね?」
ξ゚听)ξ「あ、ちょっと待ってください教授!!」
( ФωФ)「まだ、何か?」
ξ゚听)ξ「では、心理学の研究が盛んな大学はどこでしょう?」
杉浦教授は、ふぅむと言った感じのポーズを取り、考え出す。
( ФωФ)「……む、……まぁ……ラウンジ大学のバルケン教授が最近、
バウムテストの有用性の再確認、新たな用途を発見したとかで話題になったが……」
ξ゚听)ξ「ラウンジ大学、ですか」
弟である、ジョルジュの通う大学だ。 更に弟は、心理学を専攻していた。
( ФωФ)「まあ、この工科大学には、そう長けておる先生はおらんだろう。
餅は餅屋。 ラウンジ大学の人に聞いてみなさい」
- 52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 22:51:23.70 ID:/7Yydd+X0
- 日も暮れている。
大学を出て、構内駐車場に停めてある車の中。
私はジョルジュに夜、そっちへ向かうというメールを送る。
ξ゚听)ξ「……ふぅ」
ケータイを閉じた後は、ギアを発進させる。
何処へ向かうかは、決めてない。
そうだ、そういえばまだシフト表の確認をしていない。
バイト先のコンビニへ向かおう。
- 54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 22:54:34.63 ID:/7Yydd+X0
- ξ゚听)ξ「こんにちわー」
コンビニの中に入る。
今の時間、働いていたのはオーナーのショボンさんと、ドクオ君だった。
(´・ω・`)「あ、おはようございまーす」
('A`)「ツンさん。どうも……」
ξ゚听)ξ「ちょっとシフト確認にバック入りますねー」
(´・ω・`)「どうぞどうぞ」
('A`)「お願いしまーす」
ξ゚听)ξ「では、入りまーす」
お決まりの台詞を言い、私はバックルームに中に行く。
ξ゚听)ξ「っげー。再来週8時間のシフトあるし……」
呻きながらも、手帳にシフト予定を書き込んでいく。
今出ている、1ヶ月後までの全てのを書き終えると、
帰りにカフェラッテでも買おうかな、と私はさっさと戻ろうとした。
が、見てしまった。
- 55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 22:56:35.04 ID:/7Yydd+X0
- 大抵、どこのコンビニもそうだろうが、
バックルームへ続く扉には、マジックミラーが取り付けられている。
その向きは当然、バックルームから店内を見渡せるように設置されている。
戻ろうとして、そのマジックミラーを、見てしまった。
そこに写りこむは内藤の姿。
全く遠慮を見せず、ずかずかとバックルームへ向かおうとする姿。
その姿を見て、何事かと内藤に近づくオーナー。
私は思わず後ずさりをし、スナックを保管してある棚に思い切りぶつかる。
そして、バックルームのドアへ手を掛ける内藤の姿。
それは開き、対面し合う私と内藤。
そして慌てて駆け寄る店長、何事かと目を見開いているドクオ君。
( ^ω^)「ツンちゃん……」
目の前の私を発見し、喜ぶ内藤の姿。
悪寒が、走る。
- 56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 22:59:45.44 ID:/7Yydd+X0
- (;´・ω・`)「すみません、お客様! ここは従業員以外立ち入り禁止で……」
しかし、オーナーのその言葉に反応するでもなく、
何故か内藤は私に、左手首を見せ付ける。
そこには煌びやかなオメガのオートマティック時計がはめてあった。
( ^ω^)「もしよければ、これをあげようと……」
内藤は、バックルームの中へ入ってくる。
とうとうオーナーは、内藤の体を掴み、抵抗する。
(;´・ω・`)「お客さん! お客さん!!」
(#^ω^)「触んなお!!」
無理やり振り解き、内藤は激昂する。
( ^ω^)「ツンちゃん。……この時計は気に入らないのかお?」
ξ;;)ξ「こ、来ないで……!」
( ^ω^)「せっかくのオメガなのに、気に入らないのかお……?」
内藤は、目を落とすと、持っていた紙袋に手を入れ、
ガサゴソと音を立てて、何かを取り出そうとしていた。
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