ξ゚听)ξとダレカはネガティヴなようです

59: 連投しちまった :2007/07/09(月) 23:03:48.44 ID:/7Yydd+X0
(;´・ω・`)「お客さん! いい加減にしてくださいッ!
       警察を呼びますよ!?」

( ^ω^)「これを、買ってきたんだお」

そして紙袋から取り出したのは、
プレゼント用に包装された、長方形の、何かだった。

( ^ω^)「バービー人形だお!」

…………。

私の目の前に、"決定的な狂気"が存在している。
もう、逆らいようがないほどの。

(;´・ω・`)「ドクオ君っ!!」


オーナーが突然叫ぶ。
すると、店内に警報ベルが鳴り響きだす。
このベルは店内だけに留まらず、周囲100mには聞こえるであろう大きさの。


(;^ω^)「……!」

流石に、この内藤もそれを無視し切れないようだった。



61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 23:06:48.85 ID:/7Yydd+X0
店内のお客さんも、その異常性を感じ、
急いでコンビニから出て、逃げ出す。

この近くには派出所が存在する。
5分もしないうちには、お巡りがここへ来るだろう。


(;^ω^)「ツンちゃん……僕は、やばいんだお」

警報ベルに掻き消されそうなほど、か細い声で内藤は呟いた。


( ^ω^)「二日連続で無断欠勤してしまったんだお……」

ξ;;)ξ「……え」

( ^ω^)「それでも、これからも……僕は君のために休み続けるんだお」

まるで姫を守る騎士なんだ、とでも言いたげに内藤の顔は笑う。



62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 23:09:13.92 ID:/7Yydd+X0
(;´・ω・`)「例の白ボタンをッ! ドクオ君!!」

レジ下に取り付けられてある、通称「白ボタン」の警備会社への連絡手段を
押すようにドクオ君へオーナーは指示を出す。

('A`)「はい!!」

見た目には分からないが、警備会社へ通報をする。

( ^ω^)「じゃあツンちゃん。バービー人形はここに置いておくお!」

内藤は人形の入った箱を、地面に置き
オーナーと強引に荒々しく肩をぶつけながら、店の外へ出て行った。
駐車場に停めてあった白い大型ワゴンに乗り込み、車を発進させる。

(;´・ω・`)「ツンさん……大丈夫かい……?」

オーナーが声を掛けてくれた。
でも、私の心は冷め切ってしまっていた。。。


( ><)「どうかしたんですか!?」

程なくして、警官がやって来る。
少し経てば、警備会社の人間も現れるだろう。

(;´・ω・`)「あ、どうもです。 ドクオ君、ベルを止めてくれ」

うるさく鳴り響いていたベルがピタリと止んだ



64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 23:12:10.66 ID:/7Yydd+X0
(;´・ω・`)「不審者が現れたんです……」

オーナーが警官に今起こった状況を説明した。
私は内藤が置いた例の"贈り物"を手に持ちながら、警官が
クリップボードに挟んだ紙に書き込みを行っている。
あれが"実況見分"って奴なのかな? と私は呑気に考えていた。

('A`)「ツンさん……大丈夫でしたか?」

ξ゚听)ξ「あ……うん、大丈夫よ……」

(;´・ω・`)「ツンさん……あの男の、身分とか分かるかい?」

ξ゚听)ξ「あ……はい。え〜と……」

('A`)「あの男、ここによく来てますよね」

(´・ω・`)「うん。だが公共料金とか、身分の分かる物を
      何一つこのコンビニで支払っていないんだよ……」

ξ゚听)ξ「ガイドライン商事の……内藤という男です」

( ><)「住所は分かりますか?!」

('A`)「この近辺に住んでいるハズです」

代わりにドクオ君が答えてくれた。



65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 23:15:13.94 ID:/7Yydd+X0
オーナーが、私に話しかける。

(´・ω・`)「大丈夫かい? ……何か、合ったのかい?」

ξ゚听)ξ「……。オーナーさんは……ストーカーって知ってますか?」

(´・ω・`)「……最近、テレビを賑わせている、あの……?」

ξ゚听)ξ「はい。……あの男は、私を尾け狙って……」

(´・ω・`)「そ、そうなのか。………ふぅむ……」

何か、考え事をしているようだった。
随分長い時間掛かったが、一つの結論を出した。

(´・ω・`)「よし分かった。 今後、あの男をこのコンビニに立ち入れさせないよ」

ξ゚听)ξ「えぇ!? 本当ですか?」

(´・ω・`)「渡辺さんからもね、あの男の話も聞いたんだ。
      それに、今日の出来事だけじゃ、警察はそう動いてくれないしさ」

私は深々とお辞儀をする。ありがたい。。。

ξ゚听)ξ「ありがとうございます!」

(´・ω・`)「いいっていいって。このコンビニに出来ることと言ったら、それくらいだしね」



66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 23:17:18.00 ID:/7Yydd+X0
・・・・・

( ゚∀゚)「え!? ストーカー?」

アパートを訪ねるなり、私の開口一番がそれでは
流石にズボラな弟のジョルジュも、驚くだろう。

( ゚∀゚)「……なぁ。まさか、姉ちゃん。被害に会ってるのかい……?」

ξ゚听)ξ「ええ。……その通りよ……。アンタの助けが要るの」

居間の中。出された温いお茶を飲みながら、私は答えた。
ジョルジュの知識が、必要だ。

ξ゚听)ξ「何か資料とか……欲しいんだけど」

(;゚∀゚)「ん、あ、ああぅん。……ちょっと待って」

ジョルジュは近くに無造作に置かれていた透明の書籍鞄を開けて、
中から青いグリップでまとめてある、A4サイズのレポート用群を取り出した。

(;゚∀゚)「犯罪心理学は分野外だから、あまり詳しくはないんだけど……」

ξ゚听)ξ「いいのよ」

( ゚∀゚)「ええっと……これとこれか」

ジョルジュは束の用紙から数枚選別して、引き抜いた。



68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 23:19:27.26 ID:/7Yydd+X0
( ゚∀゚)「定義は飛ばすな。まぁ、要約すると
     ストーカーというのは、まぁ……ありとあらゆる手段を使って
     邪魔な物を排除して、被害者の完全支配を目指すような奴、らしい」

ジョルジュが所々つっかえながらも、用紙の内容を読み上げる。

ξ゚听)ξ「何だかよく分からないけど、最悪の人種ってことね」

( ゚∀゚)「はは、そういうこと。更に言えば事実を認識する能力の欠如、
     抑制欠如を含んでいることが多いんだってさ」

ξ゚听)ξ「……ふーん。それって、サイコパスって奴?」

昔の洋画だったかに出てきた、その単語を織り交ぜてみる。

( ゚∀゚)「あー……そんな感じなのかなぁ。
     含んでいる部分も、あるらしいね」

ジョルジュはそこで区切り、フゥと息を吐く。
改めてジョルジュをよく見ると、その目は怯えていた。

( ゚∀゚)「姉ちゃん……その、ストーカーはどんな奴なんだい?」

ξ゚听)ξ「ええっとね……正式に会ったのはついこの前なのよ」

私はあの男がしでかした行いを、ジョルジュに逃さず伝えた。



70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 23:26:16.78 ID:/7Yydd+X0
( ゚∀゚)「……うん。それは、ストーカーだね」

私の話を聞き終えると、ジョルジュはゆっくりと頷いた。

( ゚∀゚)「特にゴミを持ち去るってのは決定的だね。
     情報を得る、そのゴミを所有して擬似的所有感を満たす。。。
     ゴミ袋毎持ち去るのは、間違いなくソレだよ」

"情報把握による心理的優越感を目的"

私は頷き返す。
ゴミ袋を漁るような真似があの時点で出来たというのは
もう、相当前から住所は知られていたのでは……
え? あれ……。ちょっと、待てよ……
だったら何故、ゴミ袋そのまま持ち去らないんだろうか?
……まあ、異常者の行動に一々難癖をつけては身が持たない。

ξ゚听)ξ「それで……どうすればいいのかな?」

私は本題、一番聞きたかった内容を話す。

( ゚∀゚)「……今の時点では、厳しいかな……」

しかし、ジョルジュの回答は満足の行くものではなかった。

( ゚∀゚)「ストーカーについての認識は、まだまだ甘いんだ。
     でも、最近は急激にその犯罪が表面化している。
     それに、殺人に発展した例も、少なくないんだ」

ξ;゚听)ξ「さ、殺人!?」



72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 23:29:23.85 ID:/7Yydd+X0
殺人。
あまりにも現実味のないこの言葉が
私の目の前に、どかりと居座っている……。
内藤と対峙したとき、思い浮かんだ「コロサレル」という言葉が、段々と重くなる。

ジョルジュと会話をして、得られた安心感が一気に吸い上げられていった。

( ゚∀゚)「んっと……まずは、……そうだね。証拠を集めることだよ」

ξ;゚听)ξ「し、証拠……?」

( ゚∀゚)「うん。その男がこれからもストーキング行為を続けるつもりなら、
     必ず物的証拠が現れるハズだよ」

ξ゚听)ξ「物的証拠って言ったら……」

私は思い出した、そして机の上に
内藤が置いてきたバービー人形の箱を置く。

( ゚∀゚)「これは……?」

ξ゚听)ξ「ストーカーからの置き土産」

そして私は勢いよく、包装をビリビリと破く。
ん? よく見ると、箱と包装の間から便箋が挟まっている。 それを手に取る。



73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 23:31:14.67 ID:/7Yydd+X0
ξ゚听)ξ「これは……」

私はその便箋からそうっと中の手紙を、取り出した。
これは、内藤の字だろうか。
意外と綺麗な字だが、その文には酷く違和感と居心地の悪さを感じさせる。。
一文毎に右肩上がり、左肩上がりと、ゴチャゴチャになっているからだろう。


"気付いているのかもしれないが、
僕は、君のことを愛しているんだ。

いつまでも君のことを守るつもりで居るつもりだ。
君が、僕を愛してくれるのを僕は待つよ。
君のためならば、僕は命を投げ出したっていいんだ。

前に言ったように、僕は君とお酒だって飲みたいんだ。

もう、僕は会社に居られないだろう。
でも、君が僕を愛してくれるのならば、僕は構わないんだ。
君のために、僕はいつまでも待つよ。
僕は君を守る  "


事情を全く知らない他人がこの手紙を見ても、
何処か薄ら寒いものを感じ取れるはずだ。

(;゚∀゚)「キモいな、こりゃぁ……」



78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 23:45:39.05 ID:/7Yydd+X0
ξ゚听)ξ「何か、分かる?」

心理学を学んでいるこの男なら、手掛かりをつかめるかもしれない。

(;゚∀゚)「さっぱり。……いや、でも……ちょっと待って」

ジョルジュはしきりに手紙を読み返す。
何度も何度も目を文の上に走らせる。
気が付けばその額には、尋常じゃない量の脂汗が溜まっていた。

(;゚∀゚)「この男……爆発性を、秘めているかもしれないぞ……」

ξ゚听)ξ「爆発性?」

(;゚∀゚)「二面性を持ち歩いている可能性が強いんだ……」

ξ;゚听)ξ「………そう、なの」

危険。
とても危険な男だ。
何かをしでかす……殺人?

"地獄とは、他者のことだ" 

この言葉を今、私の記憶は蘇らせる。

でも、……私にはまだ、天使のような他者、味方がついている!

私は……まだ、大丈夫。



79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 23:47:31.40 ID:/7Yydd+X0
マンションに着き、玄関の前に立つ。

便箋が差し込んであった。
私は感情なく、それを読む。



"あそこは男の部屋なのか? 
僕が君を守っている、とても愛しているというのに
君は他の男と一緒になっているのか?    "



私はその腐った手紙を、破り捨てたい衝動に駆られながらも、
その手紙を鞄の中へ入れて
           玄関を開けた。。。。――――



80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 23:50:21.99 ID:/7Yydd+X0
車からは、小型の発信機が発見された。
あのコンビニでの騒動の際、警官の人が偶然見つけたのだった。

もう、一切の妥協は許されないだろう。

今日のバイトの際、オーナーのショボンさんは
オフだというのに、「ツンさんが心配だ」と、コンビニに来てくれた。

働いているのは、私とドクオ君と、オーナー。異例の3人体制だった。
といってもオーナーは基本発注と検品の手助けが主な仕事だったのだけど。

(´・ω・`)「……じゃ、仮点検始めちゃって」

もう勤務時間が過ぎる。
レジの中のお金の確認をしながら、私はドクオ君と話をした。

ξ゚听)ξ「なんか、いっつも働いてるね」

('A`)「え? あ、あはは……週5勤務ですから」

ξ゚听)ξ「へぇ〜。大変ね」

('A`)「あ、ありがとうございます……ツンさんも、大変ですね」



84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 23:55:33.02 ID:/7Yydd+X0
ξ゚听)ξ「……へ、へへへ……」

自分は変な笑い方だなぁ、と心の中で少し愕然とする。

('A`)「あの男から……何かされても……その、ええと……」

ξ゚听)ξ「ん?」

('A`)「あの……あー…僕も、オーナーみたいにツンさんを、……守りますんで」

突然。 こう言われては、自分でもどうしてらいいのか分からなくなる。

ξ////)ξ「……ぁあ! あの! ありがとね、うん……」

('A`)「あ、あはは……明日も、僕同じ時間帯じゃないすか……それに僕……」

(´・ω・`)「あ、しぃさんおはようございまーす」

引継ぎのしぃが来たようだ。
しかし、さっさとバックルームに入ったのか、姿を確認出来なかった。

ξ゚听)ξ「あ……じゃあ、そろそろ上がりますね」

(´・ω・`)('A`)「お疲れさまでーす」



86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/09(月) 23:58:32.68 ID:/7Yydd+X0
バックルームに入る。
そこにはコンピューターに出勤時間を打ち込むしぃの姿があった。

ξ゚听)ξ「あ、しぃおはよーう」

(*゚ー゚)「……おはよう」

不思議と、しぃは不機嫌だった。
何かあったのだろうか?

(*゚ー゚)「あ、そんじゃーね」

そう言って私の体をすり抜けると、さっさと店内へ戻ってしまった。

本当に、どうしたんだろうか。

私は退勤時間の打ち込み、日報を終え帰宅しようとする。

明日もバイトがある。
オーナーさんが、明日も来てくれると言っていた。本当に嬉しい。
バイト、頑張らなくっちゃな。

駐車場に内藤のものと全く同じ、白のワゴンが停めてあった。
そして、私の姿を見た途端、発進して消えてしまう。

……今更、こんなことでは驚かない。
だが自分の車を見てしまうと、私は流石に怯えてしまった。



89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:01:00.93 ID:Pv4NqOkX0
私の車は、まるでゴルフクラブか何かで
滅茶苦茶に叩きのめされたかのように、ベコベコに痛めつけられていた。

急いで駆け寄る。

……ゾっとするほど、車体はめった打ちにされている。
怨念以外の何物も感じ取ることが出来ないほどに。

そして、ドアには手紙が差し込まれていた。


"もう、遊びは終わりだ。
僕は君を本気で愛している。守っているのに
僕に対してこんな仕打ちをする。
もう、遊びは終わったんだ。 君は分からな過ぎだ "

そして、手紙の裏には写真が糊付けされたあった。

ありえない量の銃器を持ち、装備し、そして満面の笑みを浮かべている内藤が写っていた。


私は警察へ、被害届を出した。脅迫罪の被害届を。



92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:03:22.91 ID:Pv4NqOkX0
警察署に届けを出し終えたら、私は脇目も振らず自分の家へ向かう。


部屋に閉じこもる。
ここのところ、こればっかりな気がする。
しかし、今日私はとうとう警察へ、届けを出した。
重要な、解決への一歩を踏み出したのだ。

担当の、ギコと名乗る貫禄のある刑事の話によれば、
「夜のうちには、令状見せたります」 ということらしい。

ということは、今頃にはもう内藤は連行されているのだろうか……。

そう思いにふけていると、家の電話が鳴った。


ξ゚听)ξ「はい」

(  )「あ、どうも。一課のギコですわ」

あのとき、被害届の際、対応をしてくれた刑事だ。

ξ゚听)ξ「あ、こんばんわ」

(,,゚Д゚)「あー……。実はですね、内藤の野郎……家におらんのですよ」

ギコ刑事は単刀直入に私へ伝えた。

ξ;゚听)ξ「えッ!?」



98: >>97 ちょw :2007/07/10(火) 00:09:28.85 ID:Pv4NqOkX0
ξ;゚听)ξ「ど、どこか外出しているんじゃないんですか?」

(,,゚Д゚)「はい。そう思って張り込んでるんですが……一向にも」

心臓が狂騒的に踊り狂う。

(,,゚Д゚)「近所の住民にも聞き込みしましたがね………
     随分と荷物を抱えて出掛けていったとか」

ξ;゚听)ξ「………」

相槌を打つのを忘れてしまう。

(,,゚Д゚)「それと、内藤の身辺も調査しました………。
     仕事は非常に優秀ですが、ここ最近は無断欠勤ばかり。
     会社側はもう解雇の姿勢を見せています。
     更に、周囲の人間にも奴について聞きました。
     危ない人間、関わりたくない人間、て結果でしたね」

ξ;゚听)ξ「そう……ですか」

(,,゚Д゚)「奴が何処へ向かったのか……現在全力で捜査しています」



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