ξ゚听)ξとダレカはネガティヴなようです

100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:12:06.14 ID:Pv4NqOkX0
ξ;゚听)ξ「それは、本当に……何といったら……」

(,,゚Д゚)「ええ。少し、身の回りを気ィつけといてくださいよ。
     一応、今から貴女の見張りを2,3つける予定ですから」

ξ;゚听)ξ「あ、ありがとうございます……」

すると玄関の方……おそらく郵便受けから、カタン、と音がした。
本来なら電話を切ってから、その物を取るべきなのだろうが、
状況が状況では、今取らざるを得ないだろう。

ξ;゚听)ξ「すいません。何か郵便受けに来たようなので……」

(,,゚Д゚)「お願いします。内藤の奴かもしれません」

電話を保留にした後、そろそろと私は玄関へ向かった。
郵便受けには、またも便箋が入っていた。
しかし、前の便箋とは、どうにも雰囲気が違う。
少し艶やかな色をしていた。



104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:14:04.77 ID:Pv4NqOkX0
私はそれを、無造作に開いて中身の手紙を取り出す。
もう、一々怖がることはなくなった。


"恥を知れ、この売女が!
お前は、またも僕を怒らせたんだ。
僕はもう、本気で君に襲い掛かるぞ!
お前は、もう君とは呼ばないかもしれない。

僕は今、お前との距離は  遠いかもしれない。
でも見た目ほど、遠くは無い。君も僕も、引力のように引き寄せあうから。
それをお前は、そこまで気にしないかもしれない。
でも僕は、もう本気なんだ。君の幸せを、願う余裕は  ない。
くるしい 分かり合えないことが こんなにもくるしい

ああ、僕のセロトニンが不足している。
興奮が鎮められないよ。安定剤をまた飲まねば……お前のせいだぞッ!!!!"


随分と乱雑に、文を把握せずとも怒りが分かるように、殴り書きしてあった。
そして、不自然にインクがすれている。
何故か、内藤のあの文の例のクセ。左肩上がりと右肩上がりの混合もない。

おかしい。いよいよ、何かがおかしい。



108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:18:50.46 ID:Pv4NqOkX0
私は保留ボタンを解除し、ギコ刑事との会話を再び続行する。

(,,゚Д゚)「どうでした、奴からのでした?」

ξ;゚听)ξ「どうでしょう……よく分かりません」

(,,゚Д゚)「分からない?」

ギコ刑事は訝しげだ。

(,,゚Д゚)「分からないとは、どういう風に……?」

ξ;゚听)ξ「文自体も、あの手紙と内容が重複してますし……
      書き方だって、おかしいんです」

(,,゚Д゚)「……その文の特徴について、言って頂けますか?」

ξ;゚听)ξ「はい……」

私は手紙に再び目を向ける。

ξ;゚听)ξ「内藤特有の、字の向きの混合がなくなっていて、
      字が変に擦れているんです」

(,,゚Д゚)「擦れている?」



110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:20:39.94 ID:Pv4NqOkX0
ξ;゚听)ξ「はい……。ペンのインクが……。その、右へと擦れてるんです」

(,,゚Д゚)「……それはひょっとして、ほとんどの字がですか?」

ξ;゚听)ξ「そうですけど……」

(,,゚Д゚)「左利きか……おいデミタス! 内藤の利き腕は!?」

ギコ刑事は、電話の向こうで部下らしき人に尋ねていた。

内藤は……どっち利きだったっけ?

……思い出せ……よく、思い出せ……。腕時計?
   そうだ、内藤は、腕時計を見せ付けていた。
 どっちにはめていたか……。


"内藤は私に左手首を見せ付ける。
そこには煌びやかなオメガのオートマティック時計がはめてあった。"

……。
………!
…………あぁッ!!

内藤は、右利きだ。それは、今までの手紙が擦れてなかったことからも、間違いない!!



113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:24:27.96 ID:Pv4NqOkX0
……てことは、  ということは……
  ハハハハハ、フッフふ……


ξ゚听)ξ「ふははははははっはははあはははははは!!」

(,,゚Д゚)「 ! デレンさん、どうしました!?」

ということは、アハハハ。
そういうことなんだ……あはははははは。
なんだ、そうなんだ、そういうことなんだ


















       ストーカーは、2人居る。



114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:27:04.57 ID:Pv4NqOkX0
私は、何事かと騒いでいるギコ刑事との電話をはんば無理矢理切り、

ベッドに入り込み


泣きじゃくった。



誰が敵なのか、分からない。




そして、狂った内藤が何をしでかすのかも、分からない。





バイトは、とりあえず休職しよう。明日、オーナーに伝えよう。



117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:29:53.73 ID:Pv4NqOkX0
ジリリリリッ
ジリリリリリリッリリリリリ

電話が鳴る。
寝ぼけ眼で出ようとして、ふと時計を見る。

夜中の、午前3時。

変わった電話だ。とりあえず、出る。

ξ )ξ「……はい」

(   )「…………」

何も応えない。
これは……無言電話という奴か。
内藤か? もう1人か?

すると、すぐに電話は切れた。ツー ツー ツー


また、かかりはじめた。
ジリリリリリッ
ジリリリリリリッリリリリリ

私はまたも、それに出る。

そしてまたも、すぐに切れる。 ツー ツー ツー ツー



119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:31:52.60 ID:Pv4NqOkX0
ジリリリリリリッ

イタズラ電話とか、そんなの気にしない。
私は律儀に電話を出る。


ξ )ξ「……はい、もしもし」

(   )「…………」

尋ねる。

ξ )ξ「内藤なの?」

(   )「死ね」

ボイスチェンジャーのような加工された声で、
私は罵倒され、またも電話を切られた。

もう、電話に出るのはやめよう。


明け方までこの電話は続くので、私は電源コードを引き抜いた。



122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:34:54.78 ID:Pv4NqOkX0
今日は、12時からのシフトだ。
昼のラッシュのときに交代をさせるので、
引継ぎをやる身としては、あまり好きな時間帯ではない。


11時50分。私はコンビニに到着した。
やはり、今日は客が多い。
広めのはずの駐車場の大部分が埋まっていてしまい、
少し車を停めるのに苦労をした。
車は、修理に出している間レンタカーを使用している。

ξ゚听)ξ「おはようございまーす……」

('A`) 从'ー'从「おはようございまーす」

('A`)「あ、そうだ。オーナーさんなら、もうバックルームに居ますよ」

ξ゚听)ξ「ありがとうございます」

皆の、好意がとにかく胸に染みる。
本当に、いくら感謝してもし切れるものではない。

でも、バカな私は……
もう1人のストーカーの存在に、気を取られていて……

何処に居るか、何処に居るか……と考えて、
それだけで……そればっかで……  好意にすら、私は疑いの篩いにかけていた。



125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:37:02.26 ID:Pv4NqOkX0
(´・ω・`)「ツンさん、おはようございます」

既に制服に着替えていたオーナーが、冷蔵庫からおでんのセットを取り出し、挨拶した。

こんなに優しいオーナーにすら、私は疑いの眼差しをしてしまう。
そんな自分が嫌で嫌で、自暴自棄になりそうになる。

(´・ω・`)「ツンさん……。内藤のことからは、私達が全力で守るから! 安心してね。
      次に来たときはね、威力業務妨害で訴えるぞ! て言うつもりだから」

オーナーは私に笑いかけた。
屈託の無い、本当に心の底からの、笑顔だった……。

ξ;;)ξ「はい……ありがとうございます……」

馬鹿なことを考えていた自分に、腹が立って
どうしようもなくなって、私はいつの間にか涙を流していた。

(;´・ω・`)「ツ、ツン君……。……今から時間だけど、
       少し、ここで休んでいきなさい。 好きなとき、来てくれればいいから」


ξ;;)ξ「え……でも……」

(´・ω・`)「いいっていいって。仕事は基本、2人体制だろう? 大丈夫さ」



129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:38:44.34 ID:Pv4NqOkX0
そう言うと、オーナーはおでんセットのカートを引いて
店内へと向かった。


私は涙を拭いながら、店内の監視カメラの映像を見る。
報告をドクオ君、オーナー、渡辺さんの3人で行っている姿を眺めた。

そのうち、渡辺さんが仕事を上がり、バックルームへと向かっていく。

从'ー'从「入りまーす」

ξ゚听)ξ「あ、お疲れさまでーす」

从'ー'从「大丈夫なの? ツンちゃん」

コンピューターを弄りながら、私を気遣ってくれる。

ξ゚听)ξ「本音を言えば……辛いです」

从'ー'从「そう……」

ξ゚听)ξ「でも……みんな、私を助けてくれて……それが凄く、嬉しいです」



132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:41:12.88 ID:Pv4NqOkX0
从'ー'从「私も……」

ξ゚听)ξ「……」

从'ー'从「微力ながら、あなたを助けたいわ」

ξ゚听)ξ「わ、渡辺さん……」

止まっていたはずの涙が、また溢れ出しそうになる。

从'ー'从「あー、あー。泣かない泣かない。また店内に出れなくなっちゃうよ? ふふ」

涙を踏ん張って止めながら、私は渡辺さんに笑いかける。

ξ゚听)ξ「そ、そうですね……あははは。時給が減っちゃう」

私はちょっと気晴らしげに、監視カメラの映像を再度見る。
4つある、カメラのうち1つだけ おかしいものが写っていた。

おかしいんじゃない。  

あってはならないものが、写りこんでいたのだ。


駐車場を主に映し出すCカメラは
内藤の、白い大型ワゴンの停車する場面を鮮明に捉えていた。



135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:43:04.94 ID:Pv4NqOkX0






    ――――     逆再生   ―――――






139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:44:33.27 ID:Pv4NqOkX0
10時30分。
僕は、身支度を整える。
きちんと、風呂に入り 体に付着する忌まわしき汚れを丹念に洗い流す。
 普段はつけないような、香水も僕は「特別日だ」と呟き、
少しばかり あしらってみる。
 いつもは、つけないので、勝手がよく 分からない。

  この部屋の住民に聞こうにも
 頭がない状態では口を動かせまい。  仕方ない。

             香水は諦めるしかない。

     

     この住民が誰か、僕は知りたくもない。反吐が出る。
   あのツンを我が物にした男の顔など見たくない。



      だから、吹っ飛ばした。



143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:46:25.28 ID:Pv4NqOkX0
11時10分。愛車に乗り込む。
後部座席に行儀よく座る、愛しの友たちに視線を向ける。

 やはり、誰も彼も、 自らの存在をアピールするかのように
人殺しの発するような妖気、ぎらつきを魅せ付ける。


……少し、待ってくれ。
 もう、少し。
最後の交渉が上手くいかないのなら。


    僕を踏みにじった、ツン。
          彼女に、僕のことを脳に永遠に刻みつけなくてはならない。
    邪魔するものを、どうするか、と  か。



  制裁を加える。  誰かをどうするか、だなんて個人の、 僕の権利。



144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:47:53.03 ID:Pv4NqOkX0
12時15分。
いい時間だ。
前、乗り込んだときに見たんだ。
彼女のシフトの、時間を。

ようし。

僕は、後部座席の拳銃達に「少し待ってね」と、心の中で宥めながら
 コンビニの、店内へ入り込む。


        む。     おかしい、彼女が居ないぞ………。



145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:49:21.88 ID:Pv4NqOkX0
――――………..................――  ………

从'ー'从「あ……!」

ξ゚听)ξ「駄目……  」

無意識のうちに、本能が呟く。
内藤が、入り口の自動ドアから入店する。

その姿は、Bカメラから見て取れる。
出入り口近くのレジへ内藤は近づいていく。

今は12時台のレジピークだというのに、
そのレジを操作しているオーナーの元へ寄る……。


この映像は、音声も録音しているのだが
普段はOFFにしており、しかもそれの解除方法は
私にも渡辺さんも知らないことだった。


会計をしているオーナーに、
それを無視するかのように話しかける内藤。


2人が、何を話しているのか……何となく、予想はつく。

           …..................――  ………



148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:51:40.31 ID:Pv4NqOkX0
・・・  ・・・・

なぜだ。 ふざけるな!


( ^ω^)「何故お前が居るんだお」

レジで接客をしているこの店のオーナー。
反吐が出るような態度のこいつから、情報を引き出す。

( ^ω^)「ツンとあそこの男が、今のシフトのはずだお」

(´・ω・`)「……はい、では1500円お預かりします」

僕の言葉を無視して会計を進める。
接客を受けている当の客は困惑した表情だ。 失せろ。

( ^ω^)「ツンは中に居るのかお? 何でお前が働いてるんだお?」

(´・ω・`)「……こちら、48円のお返しになります。 
      ありがとうございました、またお越しくださいませー」

野次馬どもはざわついてる。

( ^ω^)「ツンはバックルームに居るのかお?」

(´・ω・`)「お客さま……いいえ、内藤様。  お引取り願います」

        あ……?



152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:53:52.88 ID:Pv4NqOkX0
(´・ω・`)「他のお客様がご迷惑しています。 これ以上ここに居るのでしたら、
      威力業務妨害として、訴えるつもりですが……?」



( ^ω^)「………」



(´・ω・`)「申し訳ございません。このコンビニへ、今後立ち入らないでください。
      ………大変お待たせしました、……こちらのお弁当は温めますか? ……」



そう。
あ、そう。

俺は向かう。愛車へ。友、戦友となろう者の元へ。

          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/10(火) 00:56:48.11 ID:Pv4NqOkX0
・・・・  ・・・・・・・・・

从'ー'从「ほらツンちゃん! 内藤帰ってるわ! よかったね!」

渡辺さんは私に笑いかけてくれた。
でも、私は内藤がそのまま帰るとは、到底考えられないことだった。

内藤は再びCカメラに写り、自分の車に乗り込もうとしている。
おかしいことに、その顔や仕草からは、 "喜び"が感じ取れた。

从'ー'从「オーナーさんが、ガツン! って言ってくれたんだよ、もう大丈夫よ」

ξ゚听)ξ「……そう ですかね………」

それでもCカメラ映像に、ひたすら釘付けになっている私を
不審に思ったのか、「え?」と渡辺さんは同じように覗き込む。。。


从'ー'从「……な……!  き、、、、きゃぁぁぁぁぁぁあぁあぁああ!!!!」

絶叫、私は出来なかった。 喉まで私と共に驚き、すくみ上がっていたのだから。


       ショットガンを手にした内藤が、再び店内へと足を戻している。



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