('A`)がコンビニ店員になったようです

2: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 02:40:01.80 ID:d2BIeVtU0
  

 ―――――――川 ゚ -゚)「4だ。」―――――――


('A`)「というわけで教習所にやってきますた」


翌日の夕方6時、俺は一番近くの自動車教習所へとやってきた。
なぜ夕方かというと、それは俺の生活リズムが完全に昼夜逆転しているからだ。
朝の8時くらいに寝て夕方の4時くらいに起きる。
そんな俺だから、昼間に教習を受けられるわけが無い。

ただ、夕方6時ともなると夜間教習扱いになってしまい、
俺の通う教習所では追加料金を取られてしまう。

これは少々痛いが仕方無い。



7: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 02:43:51.99 ID:d2BIeVtU0
  
('A`)「んーと、ここでいいのかな?」


俺は本校舎を出て普通自動車の教習コースを横断した。
するとその先には二輪用の教習コースらしき小さなコースと、
その敷地内に建てられた小さな建物があり、そのまえで俺は立ち止まる。

どうやらここが二輪教習の校舎のようだ。


('A`)「あー、あの女の人が教官だったらなー」


そんな漫画みたいなことを考えながら、俺はその校舎の扉を開けた。


川 ゚ -゚)「やあ、いらっしゃい」



8: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 02:47:19.53 ID:d2BIeVtU0
  
('A`)「………」


事態がよく飲み込めない俺は、目をこすりつつ眼前の女性をまじまじと見つめた。
やっぱり、どう見てもあの日コンビニに来た女性だよな。
こんなことって本当にあるんだ。

今年はいろんなことがあった。
大学を休学して、コンビニで働き始め、約1年半ぶりにツンとショボン先輩に再会して、
やくざと喧嘩して、ブーンがバイトを始めて…。

とにかく今年は、俺の人生の中で一番波乱に満ちた年だった。
しかし、そんな一年にもかかわらず今日この女性と再会したことは今年一番の驚きだ。
神様、俺はいままであなたのことを信じていなかったけど、今日だけは感謝させてください。

ありがとうございます。
本当にありがとうございます。

俺は地面にひざまずき、手を合わせて天を仰いだ。



10: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 02:49:32.00 ID:d2BIeVtU0
  
川 ゚ -゚)「今日入校の生徒かな?
    えー………ドクオくん、かな?」

('A`;)「あ、はい…そうです」


そんな不審者な俺を目の前にしても動じた素振りすら見せず、
彼女は冷静に俺に話しかける。


川 ゚ -゚)「………」


すると彼女は俺の顔をまじまじと見つめる。
まさか………俺の男性的魅力に気づいたとでも言うのか!?
という冗談はさておき、あのときコンビニであったことを思い出したのだろうか?

俺は初キッスを待つ女の子のような心境で彼女が何か言うのを待った。



11: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 02:52:17.66 ID:d2BIeVtU0
  
川 ゚ -゚)「アライだな」

('A`;)「はい?」


彼女の予想外の言葉に俺は混乱した。
荒井? 俺の苗字は荒井ではないのだが…。
俺が返答を考えあぐねていると、彼女が静かに口を開く。



12: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 02:53:05.41 ID:d2BIeVtU0
  
川 ゚ -゚)「君のような小顔の人間は、
    ホールドがしっかりしているARAIのヘルメットがぴったりだな」

('A`;)「あ、ヘルメットのことですか…」

川 ゚ -゚)「うむ。 いや、すまない。
    初めての生徒に対してそいつに合ったヘルメットを言ってしまうのが癖でな。」


はぁ、そうなんですか…。
…ちょっと変わった人のようだな。


川 ゚ -゚)「ちなみに私が君の教官のクーだ。
    ビシバシ鍛えてやるからそのつもりでいるように。以後、よろしくな」

('A`;)「あ、はい! よろしくお願いします!」


彼女は俺に右手を差し出す。
俺はズボンで手のひらの汗をぬぐってその手を握り返した。

その手はいつかのツンの手と同じで、暖かく柔らかい手だった。



13: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 02:55:00.54 ID:d2BIeVtU0
  
('A`)川 ゚ -゚)「ドクオとクーの二輪教習日記! その1」


川 ゚ -゚)「まずはじめに、センタースタンドを立てた状態からバイクを起こしてみよう」

('A`)「バイクを起こす…ですか?」

川 ゚ -゚)「うむ。 センタースタンドとはサイドスタンドとは別についていて、
    バイクをまっすぐ立てたいときに使うものだ。
    車輪が完全に地面から浮くから、
    メンテナンスをする際などにはセンタースタンドを立てることになる」

('A`)「なるほど!」

川 ゚ -゚)「しかし、君のセローのように250ccクラスには付いていないことが多い。
    でも練習しておいて損はない。」


そう言うとクー教官はハンドルを両手でつかみ、車体を前に押す。
するとセンタースタンドが折りたたまれ、両車輪が地面に付いた。


川 ゚ -゚)「さあ、やってみよう」



15: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 02:56:09.07 ID:d2BIeVtU0
  
('A`)「えーと、こうですか?」


俺はハンドルを両手でつかみ、腕の力で車体を押す。
しかし、なかなかセンタースタンドが折りたたまれない。

ちなみに教習者はHONDAの「CB400SUPER FOUR」
通称「スーフォア」と呼ばれる、ネイキッドバイクのスタンダード車である。


川 ゚ -゚)「コツとしては、腕の力だけではなく腰にも力を入れて体ごと押すことだ」


空手の型と似た要領か?
俺は腰を落として、思いっきり車体を押した。
すると、センタースタンドが折れたたまれ車輪が地面に付いた。



16: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 02:57:38.19 ID:d2BIeVtU0
  
('∀`)「やった! 出来ました教官!」

川 ゚ -゚)「うむ。 しかし油断をしていると…」


すると、車輪が地面に付いた瞬間、車体が俺の立っている反対方向へと倒れていく。


('A`;)「これはいかん! ぬおおおおおおおおおおお!」


俺はハンドルを思いっきりつかみ、
バイクの倒れる方向の反対へと全体重をかけ車体を起こそうとする。
しかし俺の努力もむなしく、バイクは反対方向へと倒れた。
その勢いに引っ張られ、俺も地面に転がった。


川 ゚ -゚)「バイクの重量は150kgは軽くある。
    油断するとこのようにすぐ倒れるから注意しろ。
    ちなみに教習者には車体を囲むように金属のフレーム(バンパー)が付いているので、
    多少こかしても車体自体に傷が付くことはない。
    しかし、実際のバイクにはバンパーは付いていないから
    こかすと大切な愛車に傷が付くことになる。気をつけろ。」



17: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 02:59:24.85 ID:d2BIeVtU0
  
('A`)川 ゚ -゚)「ドクオとクーの二輪教習日記! その2!」


川 ゚ -゚)「次は実際にバイクを動かしてみよう。
    センタースタンドを倒してバイクにまたがりたまえ」

('A`;)「は、はい!」


俺は先ほどの要領でセンタースタンドを倒し、
車体を倒さないように注意しながらバイクにまたがった。
両足が地面に付くので、またがっていれば倒れる心配は無いようだ。


川 ゚ -゚)「ハンドルの左にあるレバーがクラッチ、右がアクセルと前輪ブレーキだ。
    そして右足がギア、左足が後輪ブレーキになる」

('A`)「ふむふむ」



19: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 03:01:16.42 ID:d2BIeVtU0
  
川 ゚ -゚)「では実際に動かしてみよう。
    まずはミラーを合わせて、後方を目視する。
    続いて左手のクラッチを握りながらセルスイッチを押し、
    右足を踏み込んでギアをローに入れる。
    次にクラッチは握ったまま、右手でアクセルをまわす」

('A`)「むふむふ」


言われたとおりにすると、「( ^ω^)ブーン!」というエンジン音が鳴り響く。


('∀`)「おお! 鳴ってます! エンジンが鳴ってますよ!」

川 ゚ -゚)「よーし。 アクセルは回したまま、左手のクラッチをゆっくりと戻すんだ」

('A`;)「ゆっくり…ゆっくり…」


俺はゆっくりとクラッチを戻す。
すると、クラッチを戻し終えないうちにバイクが前に動き出した。


('A`;)「わわわ! クラッチをまだ完全に戻していないのに動き出しましたよ!」

川 ゚ -゚)「その状態が『半クラッチ』という状態だ
    さらにそのままクラッチを戻したまえ。」

('A`)「はーい」



22: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 03:04:29.79 ID:d2BIeVtU0
  
そう言われて俺は一気にクラッチを離した。
するとバイクがすごい勢いで走り出し、俺の体は後ろへと持っていかれる。

たまりかねて俺は右手で前輪ブレーキを思いっきり握り締めた。
するとバイクが急に止まり、今度は逆に体がものすごい勢いで前のめりになる。

それと同時に、車体が左方向へと倒れていく。
俺は急いで足を地面に出すが時すでに遅し、無様に俺とバイクは地面へと倒れこんだ。


川 ゚ -゚)「これがいわゆる『立ちゴケ』というものの一種だ。
    これを実際の路上でやると死ぬほど恥ずかしいから気をつけろ。
    
    ちなみに急にブレーキを握ると、車輪とハンドルがロックされて自由が利かなくなる。
    自動車にはこの状態を防ぐ『ABS』というシステムが採用されているが、
    残念なことにバイクにはABSは付いていない。
    
    この状態は非常に危険だから、ブレーキは徐々にかけるようにすること。」



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