('A`)がコンビニ店員になったようです

24: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 03:06:31.43 ID:d2BIeVtU0
  

 ―――――――川 ゚ -゚)「5だ。」―――――――


('A`)「いやー、えらい目にあった…」

教習を終えた俺は二厘校舎から出て、本校舎のカウンターに教習原簿を提出した。
そのまま帰ろうかと思ったが、
不意にタバコを吸いたくなり喫煙スペースを探してあたりをうろつく。
しかし、なかなか喫煙スペースは見つからない。

まったく、喫煙者には住みにくい世の中になったものだ。
そんなことを考えながら校舎内をうろうろしていると、やっと喫煙所を見つけることが出来た。

喫煙所は、簡素なついたてで他と隔離されていた。
外から見ると、まるで家畜小屋のようだ。

少し惨めな思いを感じながらも、俺は喫煙所に入り備え付けられたベンチに座る。
そして、ジャケットの胸ポケットからタバコを取り出しくわえる。



25: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 03:07:43.74 ID:d2BIeVtU0
  
('∀`)「ふあー、生き返るぜ…」


タバコの煙を吸いこみながら、体にニコチン成分が染み渡るのを感じる。

バファリンの半分がやさしさで出来ているのなら、
俺のからだの半分はニコチンで出来ているな。

われながらうまい表現を使うとひそかに微笑むと、予想外の人物が喫煙所に入ってきた。


川 ゚ -゚)「……やあ、君か」

('A`;)「く、クー教官!!」



26: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 03:08:57.02 ID:d2BIeVtU0
  
クーさんは俺の横に座ると、ポケットからタバコを取り出した。


川 ゚ -゚)「…今日は疲れただろう」

('A`;)「は、はい! それはもう…
   それにしても、バイクを倒しまくりで自分の下手さ加減に辟易してしまいます…」

川 ゚ -゚)「はじめは誰でもそんなものさ。気にすることはない」


そう言ってクーさんは煙を吐き出す。
タバコを吸う姿さえ美しい。美人とは何をやっても絵になるものだ。

そんなことをボーっと考えていると、クーさんが口を開いた。


川 ゚ -゚)「ときに君とは始めてあった気がしないのはなぜだろう?
    もしかして、どこかで一度会っていないかい?」

('A`)「あー、この前深夜に俺のバイト先のコンビニにいらっしゃいませんでしたか?」

川 ゚ -゚)「………あのとき愉快な動きをしていた店員か」

('A`;)「…あ、あのことは忘れてください」


いやな覚え方をされていたものだ。俺のテンションは一気に下がった。



28: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 03:10:18.43 ID:d2BIeVtU0
  
川 ゚ -゚)「ふふふ。 まあいいじゃないか。 見ていてなかなか愉快だったぞ」

('A`)「そ、それにしても、どうしてあんな深夜にいらっしゃったんですか?」

川 ゚ -゚)「ん………眠れなくてな。 気晴らしにちょっと行っただけさ」

('A`)「…そうなんですか。 
   まあ、あの時間帯は大体俺が入っているんで眠れない夜はまたいらしてくださいよ。
   廃棄の食品くらいならサービスで渡せますよ」

川 ゚ -゚)「それはいいことを聞いた。是非、また立ち寄らせてもらおう。」


そう言ってクーさんは立ち上がる。
俺も短くなったタバコを灰皿に捨てて立ち上がる。



29: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 03:11:06.47 ID:d2BIeVtU0
  
川 ゚ -゚)「明日も教習に来るといい。 毎日来たほうが上達も早い」

('∀`)「は、はい! 明日もよろしくお願いします」

川 ゚ -゚)「うむ。では失礼する」


そして俺たちは喫煙所を出て別れた。
クーさんはまだ仕事があるといって二輪校舎に戻っていった。

俺は家路に付きながら今日の出来事を反芻しては自然と笑みを浮かべていた。
憧れの人に毎日会えうことが出来る。
それだけで人間はこんなに幸福な気分になるのか…

明日からの日々が楽しみでたまらなかった。



32: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 03:14:13.30 ID:d2BIeVtU0
  
('A`)川 ゚ -゚)「ドクオとクーの二輪教習日記! その3」


川 ゚ -゚)「バイクの走行にもだいぶ慣れてきたようだな。」

('A`)「ふひひw おかげさまで」

川 ゚ -゚)「では、今日は止まる練習をしてみよう」



33: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 03:14:50.27 ID:d2BIeVtU0
  
('A`)「止まる…ですか? ブレーキをかければそれで終わりじゃないんですか?」

川 ゚ -゚)「止まるということはそんな簡単なものではないよ。
    路上では突然前方に障害物が現れることがある。
    たとえば、歩行者・急に路上に出てきた車・飛び出してきた猫・トンボなどだ」

('A`;)「と、トンボ!?」

川 ゚ -゚)「そんなとき、急にかつ安全に止まる必要がある。
    それが急制動というものだ。今日はこの練習をしよう」

('A`;)「あの…トンボって……」

川 ゚ -゚)「あの直線の向こうにコーンが立っているだろう?
    そこまで時速40kmで走行する。コーンに前輪が達したところでブレーキをかける。
    そこから14m先の白線までに安全に止まること。
    急激にブレーキをかけてタイヤやハンドルががロックしないように気をつけろ」

('A`;)「トンボ……」

川 ゚ -゚)「さあ、スタートだ」



35: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 03:16:09.41 ID:d2BIeVtU0
  
俺は直線コースのスタートまでバイクに乗って移動する。
一方クーさんはその直線の先のコーンのすぐそばに立っている。

そこからクーさんが大声で叫ぶ。


川 ゚ -゚)「ロックさせないコツはわかるなー!?」

('A`)「ゆっくり、徐々にブレーキをかけるんですよねー!?」

川 ゚ -゚)「そのとおりだー! 
    それをふまえて、急制動の場合は後輪ブレーキからかけて、
    スピードが落ちたら前輪ブレーキを使えー!!」

('A`)「了解デース!!」



38: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 03:17:58.80 ID:d2BIeVtU0
  
会話が終わったあと、俺はクラッチを握りながらセルスイッチを押してエンジンを起動させる。
そして右手でアクセルを回しつつ、クラッチを徐々に離しながら前に進む。

スピードが徐々に上がる。
クラッチを握り、右足のつま先をあげてギアを二速に押しあげる。
しばらくして三速へ。

スピードメーターを見る。現在時速45km。
まだいける。俺は時速60kmまで速度を上げる。

言われたスピードよりも20km上だ。俺はなんて勇敢な教習生だ。
きっと、クーさんも俺をいつもの教習生と違う男だと思っているはずだ。

顔をにやけさせながらそんなことを考えていると、
ブレーキの合図であるコーンが眼前に迫っていた。



39: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 03:18:50.72 ID:d2BIeVtU0
  
川 ゚ -゚)「いまだ!ブレーキ!!」

('A`;)「のわあああああああああああ!!」


考え事をしていたせいで反応が遅れた。
俺はつい、右手の前輪ブレーキレバーを思いっきり握ってしまった。
案の定、ハンドルとタイヤがロックされる。体が急激に前に押し出される。

そのときだった。
俺の股間に強烈な衝撃が走った。


(;A;)「は…はひょー……」



40: 78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/25(月) 03:21:29.61 ID:d2BIeVtU0
  
幸運なことにバイクは倒れることは無かった。
しかし、俺は股間に走ったあまりの衝撃にバイクから下り地面にしゃがみこんだ。


川 ゚ -゚)「まったく。あれほど急激なブレーキは行なうなと言ったのに……
    ほら、早く立つんだ。もう一回するぞ」

(;A;)「……起つなんて無理です……いろんな意味で………」


*ちなみにドクオ君は、急激なブレーキングを行っただけでなく、ニーグリップも怠っていました。
 ニーグリップとはバイクのガソリンタンク部分を両太ももではさむことで、ライディングの基本です。
 これを怠ると、低速時など走行時において車体のコントロールが出来ませんし、
 なにより、今回のような急制動を行ったとき、ガソリンタンクで股間を強打することになります。
 
 その痛みは侮ること無かれ。
 作者は実際、ドクオとまったく同じミスをして悶絶したことがあります。
 繰り返しますが、ニーグリップはライディングの基本ですので怠らないようにしましょう。



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