( 'A`)はアルバムを捲るようです

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 14:24:31.83 ID:FLKH7H38O


「おい、ツー!!待てよ!!」

「へへーん!!こののろまが!!追い付いてみなw」

「任せときな!!俺がいっちょ捕まえてやんよ」

「げっ、ジョルジュは反則だよ」

「じゃあこっちならどう!!」

「ブーン!!空も飛べるおー」

「相変わらずブーン君は速いねー」

「待って、皆!!また顔がヤバいことにry」



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 14:43:39.58 ID:FLKH7H38O


('A`)がアルバムを捲るようです


裏表紙:アルバムの続き……

SIDES BY ('A`)&o川*゚ー゚)o


最     終     話



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 15:06:15.94 ID:+f+YIsbYO


外に出るともう陽が昇ろうとしていた。
町は、今にも動きだそうとしていた。

波止場では早起きの漁師達が、我先にと船に乗り込んでいる。

そろそろ新聞配達の兄ちゃんも来るだろうし、子供に弁当を作るお母さん方も目覚めるだろう。

この町は、人々の生で溢れている。

俺は、再び煙草に火を付け町を見下ろす。

懐かしい中学のグランド。皆で走り回った浜辺。殺されそうになったオワタ医院。ショボンの家。騒ぎまくった神社。


……やっぱり

(ノA`)「へへっ、やっぱお前だらけだよ」



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 15:16:04.65 ID:+f+YIsbYO


バーボンハウスのドアが開く。

出てきたのは

o川*゚ー゚)o「抜け出して何してるんですか?」

('A`)「……いや、ちょっとな」

o川*゚ー゚)o「……泣いてたの?」

('A`)「いや、煙がしみてな。恥ずかしいこった」

o川*゚ー゚)o「そうですか」

('A`)「君はどうしたんだい?」

o川*゚ー゚)o「アタシは……貴方と話したかったことがあったので」

('A`)「……ふぅん?なんだ?」

o川*゚ー゚)o「まぁ、立ち話もなんですし」

彼女は近くにあったベンチを指差し、そこに座れと促す。



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 15:17:17.43 ID:+f+YIsbYO


('A`)「あぁ」

風が強かった。三ヶ月切っていない伸び切った髪が、爽な風になびく。

o川*゚ー゚)o「髪……伸ばしてるんですか?」

('A`)「いや、切りに行くのが面倒でな。キミもか?随分髪が長いが」

o川*゚ー゚)o「えぇ、だいぶ長い間切ってないように思います」



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 15:20:07.59 ID:+f+YIsbYO


――その時、一陣の風が通り抜けていった


俺の髪が煽られた。

彼女の髪も煽られた。


(*゚ー゚)


目を疑った……そこに居たのは……


六年、ずっと逢いたかったアイツの姿があった……

逢いたいと、逢いたいと思って止まなかった……



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 15:22:16.45 ID:+f+YIsbYO


  ―――◆―――



迫り来る炎、醜悪で、凶悪で、どこか魅力を持った……

頬が熱い、もう目の前にまで迫っているのだ。


でも

でも、今のアタシにはそんなこともう関係ない。

財布から七枚の写真を取り出す。

アタシのお気に入りの七枚を。



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 15:29:52.03 ID:+f+YIsbYO


(* ∀ )「皆……」

そこに映るのは、咲き誇る垂れ桜。

そして思い思いのポーズを取る、ずっと逢いたかった仲間達……

(*∀)「ツン……」

そこに映るのは、顔を泣き腫らした仲間達。

ツン、オヤジさんとは上手くやってるかい? 大丈夫、アンタなら上手くやれるさ!!
そういえば、なんであの日ツンは、オヤジさんが来ること分かってたんだろ?

今となっちゃ、確かめることすら出来ないや。



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 15:31:32.72 ID:+f+YIsbYO

(*∀)「ショボン……」

そこに映るのは、雄弁を振るい作文用紙を破り捨てた男の子。

ショボン、夢……叶えるんだよ、アタシは……アンタの酒、飲めそうにないわ。

……楽しみだったんだけど。


(*∀)「ブーン……」


そこに映るは、目を腫らした男の子と、その子を優しく受けとめる女の子……

ブーン、アンタには一杯元気を貰ったよ。

ツンへのプロポーズ、絶対アタシに相談してくるって確信してた。

だからもう考えてたんだ。

『当たって砕け!!』

もう伝えられないみたい、ツンを泣かしたら承知しないよ……



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 15:38:08.51 ID:+f+YIsbYO

(*∀)「ジョルジュ……」


そこに映るのは、寄り添い満足気に眠る二人の男の子。

ジョルジュ、アンタとは一番バカやったね。
アンタと居るとなんでも楽しかった。
苦しい事が、楽しいと思えた。

泣きたい時に、笑いたくなったんだ。

もう、逢えない。

バーボンハウスで飲める日を楽しみにしてたんだよ……



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 15:46:09.36 ID:+f+YIsbYO


(*∀)「渡辺……」


そこに映るのは、綺麗な浴衣を着た女の子。


渡辺、アンタとは恋敵だったみたいだね、アンタは気付いてか知らないけどアタシには分かってたよ。

だからね、あの祭りの時、ドクオに褒められてはしゃぐ貴方がとても羨ましかったんだ……格好悪いな、アタシ……


今度はやり返してやろう。そう思ってたけど、もう浴衣は着れなさそう……



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 15:47:37.70 ID:+f+YIsbYO









(*∀)「……ドクオ」


――そこに映るのは


('∀`)从'ー'从(*゚∀゚)ξ゚ー゚)ξ( ^ω^)( ゚∀゚)(´・ω・`)



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 15:48:58.71 ID:+f+YIsbYO


(*;∀;)「ドクオっ!!」


いつも一番にアタシを見つけてくれる男の子。

アタシに振り回されても何にも言わず付き合ってくれた。

アタシの一番傍に居てくれた。


(*;∀;)「ドクオ!!」

嫌だ!!死にたくない!!

もう諦めたはずのモノが蘇ってきた。

(*;∀;)「死にたくないよ!!生きたいよ!!逢いたいよ!!」



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 15:54:47.80 ID:+f+YIsbYO


ドクオと、皆と逢いたい……

――でも


――――迫り来る炎の壁を抜ける手段は無い


(* ∀ )「……」


ふと、あの日の会話が頭を過った。

あの時、ブーンは何を言ってた?

思い出せ!!思い出すんだ!!



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 15:56:13.01 ID:+f+YIsbYO



















⊂二二( ^ω^)二⊃「ブーン!!空も飛べるお!!」



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 15:58:16.61 ID:+f+YIsbYO

―――それだ


アタシは、直ぐ様窓ガラスを、近くにあった電気スタンドで叩き割った。


窓から身を乗り出す。

人が沢山居る……

下に見えるのはレスキュー隊が敷いたであろう巨大なマット。

少しでも外れれば、確実に死ぬだろう。


足が竦む、勇気が出ない。

梯子車を探す。


もっと上の階の逃げ遅れた人を救助している。



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 15:59:45.52 ID:+f+YIsbYO

こちらの切羽詰まった状況は伝わっていないようだ。

――飛び降りるしかない


手足が震える。

奥歯がガタガタと煩い程の音を立てる。

勇気が出ない。



ふと目を落とす。



45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 16:01:33.21 ID:+f+YIsbYO


写真が散乱していた。


その一つ一つが、アタシに勇気をくれる。

その一つ一つが、アタシを支えてくれる。


写真に火が燃え移った。


(*゚∀゚)「あーぁ、燃えちゃったや」

(*゚∀゚)「まぁ良いや、こんな物なんて無くても全部アタシの中にあるんだから」


『アルバムの続きは、また撮れば良い』



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 16:03:03.81 ID:+f+YIsbYO


アタシは飛んだ。


恐怖はない。




  ―――◆―――


ツー?ツーなのか?


o川*゚ー゚)o「……」

(;'A`)「アンタ、いや、お前……ツーなのか?」



49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 16:04:49.54 ID:+f+YIsbYO

o川*゚ー゚)o「……」


この沈黙は肯定の証か?


それとも突拍子の無いことを言われ戸惑ってるのry

『パァーンッ』


甲高い音が辺りに響く。





o川*゚ー゚)o「今ごろ……」

o川*゚∀゚)o「今ごろ気付いたんですか?この馬鹿野郎が!!」



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 16:06:37.26 ID:+f+YIsbYO


(つA;)「……ツー?本当にツーなのか!?」


それだけ言ってから、声にならなくなった……

言いたいことは山程あった。

やりたいことも山程あった。


ただ一言、これだけは一番に言おうと決めてた。


(;A;)「ぅぐっ……おかえり……ツー」

彼女は、はにかみながら

(*゚ー゚)ノ「ただいま」


髪をかきあげた彼女は、やっぱり彼女だった。



53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 16:08:23.62 ID:+f+YIsbYO


(つA;)「……ほんとにっ、待たせやがって……」

(*゚ー゚)「ごめんね」

(つA;)「お前が居なくなって、俺、俺」

(*゚ー゚)「心配かけちゃったね」

(つA;)「畜生!!仕方ねぇから許してやるよ!!」

(*゚ー゚)「ふふっ、ありがとね」

(つA`)「……んじゃ、いっとく?」

(*゚∀゚)「おうよ!!」


俺達は駆け出した、あの頃と同じように……




水平線の向こうから、暖かい太陽が、顔を覗かせていたんだ。



57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/13(木) 16:11:12.85 ID:+f+YIsbYO

('A`)がアルバムを捲るようです


裏表紙:アルバムの続き……

SIDES BY ('A`)&o川*゚ー゚)o






戻るエピローグ