( ^ω^)ブーンはみているようです

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/12(木) 21:26:36.58 ID:ErvsJSjZ0

あさひが顔を出すと

すずめのなきごえがきこえてくる



ゆうひが顔を出すと

からすのなきごえがきこえてくる



おつきさまが顔を出すと

ねこのなきごえがきこえてくる



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/12(木) 21:27:56.33 ID:ErvsJSjZ0

すずめのなきごえがきこると

ちこくしそうな会社員がはしってくる



からすのなきごえがきこえると

買いもの帰りのおかあさんがやってくる



ねこのなきごえがきこえると

手をつないだ男女があるいてくる



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/12(木) 21:28:42.45 ID:ErvsJSjZ0

小さなブランコにのりゆれる、かわいいこども。

それを見て、楽しそうに笑うお母さん。



電灯のしたで素振りをするがくせい。

ひとりで、いつまでも汗を流し続ける。


ベンチにすわり、唇をあわせる二人。

ふたりとも、しあわせそうなな笑顔をしている。



この公園には、たくさんの人がやってくる。



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/12(木) 21:29:43.56 ID:ErvsJSjZ0

今日もいちにち、いろいろな人を見る。

そして、夜になって、朝になる。

そうしたら、またいろいろな人を見る。

そうやって、また夜になる。



ぼくはいつもここにいるけれど

ぼくはいつだって人をみているけれど

だれもぼくをみてはくれない。



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/12(木) 21:31:15.98 ID:ErvsJSjZ0




( ^ω^)「それでも、ぼくはこの公園が好きだお」






〜( ^ω^)ブーンはみているようです〜







8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/12(木) 21:32:22.99 ID:ErvsJSjZ0
お題を募集して、消化していく形式で書いていきたいと思います。

出来る限りお題には対応していくので、お願いします。

では、お題募集します。



14: 雨の日 :2007/07/12(木) 21:40:31.75 ID:ErvsJSjZ0

ざぁー
ざぁー
ざぁー


きょうはどしゃぶり。

公園には、ぼく以外誰もいない。

いや、やっぱりいた。



木のはっぱに隠れて、雨が止むのを待っている、小鳥たち。

小鳥にとって、雨は大変なことなのだろう。

不安そうに、みんな固まっている。



16: 雨の日 :2007/07/12(木) 21:42:13.74 ID:ErvsJSjZ0

ざぁー
ざぁー
ざぁー


とてもじゃないけど、雨は止みそうにない。

ぼくだって、雨はきらいだ。

雨が降ると、みんな公園にこなくなるから。


いやだなぁ。

雨、早く止まないかなぁ。

きみもそう思うんだろう、ねぇ小鳥たち。



18: 雨の日 :2007/07/12(木) 21:44:08.37 ID:ErvsJSjZ0

さぁー
さぁー
さぁー


すこし、小雨になってきた。

だいぶん、おさまったみたい。


あ、もう行っちゃうのかい?

お母さん、心配してるからって。

気をつけてかえるんだよ。



( ^ω^)「ぼくは、もう少しここにいるから」



19: ぬこの大群 :2007/07/12(木) 21:46:22.54 ID:ErvsJSjZ0

じーっ


そんなにこわい目で、ぼくをみないでくれよ。

なにかあるのかと、心配になっちゃうから。



じーっ


そんなにこわい目で、ぼくをみないでくれよ。

わるいことをしたのかと、不安になっちゃうから。



じーっ


そんなにこわい目で、僕をみないでくれよ。

いつまでたっても、目をそらせなくなっちゃうから。



20: ぬこの大群 :2007/07/12(木) 21:48:51.62 ID:ErvsJSjZ0

あ。

きみには、家族がいたんだね。

家族をまもるために、ぼくをにらんでいたんだね。


いいおかあさんだね。

ひょっとしたら、おとうさんだったのかも。

どっちみち、いいおやになれるとおもうよ。


ぼくは何もしないから、ここはとおってもいいんだよ。



じーっ


( ^ω^)「そんなにこわい目で、ぼくをみないでくれよ」



22: 動物好き :2007/07/12(木) 21:52:57.69 ID:ErvsJSjZ0
「にゃー」

「かわいーね」

「でも、さわっちゃだめよ」


さわっちゃだめ。

理由は、きたないから。病気をもってるから。

そんなこと、わかってるよ。


でも、かなしそうな目で、人を見つめるねこを見ていると

どうしても、その理由に納得することができないんだ。



24: 動物好き :2007/07/12(木) 21:53:42.48 ID:ErvsJSjZ0

かれが、どんな気持ちで人に近づいたとおもう?

かれが、どんなにおなかを減らしているとおもう?

きみたちがそれにはんのうしたとき、

かれはどんな気持ちになったとおもう?




( ^ω^)「へたなやさしさは、しないほうがいい」



26: 早朝の空気 :2007/07/12(木) 21:56:02.85 ID:ErvsJSjZ0

ちゅん
ちゅん
ちゅん


おはよう、すずめさん。

きょうも、いつもどおり早い朝だね。


ちゅん
ちゅん
ちゅん


そうだよ。

ぼくも、いつもどおりの朝だよ。



27: 早朝の空気 :2007/07/12(木) 21:56:53.52 ID:ErvsJSjZ0

ちゅん
ちゅん
ちゅん


え、きょうは雨が降る?

それはいやだなぁ。


ちゅん
ちゅん
ちゅん


でも、そういうにおいがする?

すごいなぁ。ぼくにはわかんないや。



28: 早朝の空気 :2007/07/12(木) 21:58:07.77 ID:ErvsJSjZ0

ちゅん
ちゅん
ちゅん


空気は、おいしいと思うよ。

うん、もうあじわえないけど。



ちゅん
ちゅん
ちゅん


でも、覚えてるから。

空気の味、美味しかったこと。



( ^ω^)「これからも、忘れたくないことだから」



30: 台風4号 :2007/07/12(木) 21:59:51.41 ID:ErvsJSjZ0

つよい風。

木をゆらして、葉っぱを飛ばしている。


つよい風。

砂をあがらせ、雨を流している。


つよい風。

冷たくじめんを濡らして、人を寄せ付けない。



31: 台風4号 :2007/07/12(木) 22:02:28.10 ID:ErvsJSjZ0

人を近づけなくする、

雨はきらいだけど。


人を近づけなくする、

風はきらいだけど。



きみだって、かなしいんだよね。

いつもひとりで、誰もちかづかないから。

ぼくには、その気持ち、よくわかるよ。




( ^ω^)「ぼくも、だれもちかづかないから」



35: ハウスが撤去されそうなホームレスのおじさん :2007/07/12(木) 22:08:50.58 ID:ErvsJSjZ0

……あのおじさん、まだいたんだ。

最近みてなかったから、もうばしょを変えたのかとおもった。



青いビニールシート、いくつものダンボール。

それで作り上げられた、小さな家。



1週間くらい前から、この家はなくなっていた。

だけど、きょう、ひさしぶりにこの公園に家をたてている。



36: ハウスが撤去されそうなホームレスのおじさん :2007/07/12(木) 22:12:39.41 ID:ErvsJSjZ0

「ねぇ、あの人またいるわよ」

「ほんと、町長に頼んで撤去してもらったのに」

「あんな人がいたら、子供を連れてこられないじゃない」



からすがなく、少し前。

きんじょのおかあさんが、何やらはなしている。

小さなおうちのおじさんは、今はいないみたい。



「もう一度、町長に頼もうかしら」

「いっそのこと、家を壊しちゃおうかしら」

「そんなことしたら、こどもたちが危ないわよ」



39: ハウスが撤去されそうなホームレスのおじさん :2007/07/12(木) 22:17:06.54 ID:ErvsJSjZ0
おじさんは、絶対におこらないよ。

ぼくは、自信をもってそういえる。

だって。



おじさん、いままで何回も家こわされてるよ。

おかあさん自慢の、かわいいこどもに。

こどもだから、何をやったか、わかってないんだ。

すなばの山をくずすのと、同じ感覚なんだとおもう。



でも、おじさん、おこらないよ。

ほんとは、大変なことなんだろうけど、

何も言わずに、家をたてなおしてるよ。



41: ハウスが撤去されそうなホームレスのおじさん :2007/07/12(木) 22:20:02.67 ID:ErvsJSjZ0

こどもはやっぱりこどもなんだから。

わるいことしたら、おやがおこらなくちゃ。



あ、おあかさん、かえっちゃった。

町長さんに、なにかいいにいくのかな。



おじさん、またいなくなるのかな。

おうち、壊されるのかな。




( ^ω^)「ちょっと、寂しいかも」



48: 郵便屋さん :2007/07/12(木) 22:48:24.39 ID:ErvsJSjZ0

自転車に乗って、やって来た。

後ろには、赤く大きな籠。

あれは、郵便屋さんなのかな。


ここにはポスト、ないはずなのに、

なんでかな、自転車止めた。



あ、ベンチに座っちゃった。

ちょっとだけ、一休みなのかも。



49: 郵便屋さん :2007/07/12(木) 22:51:33.52 ID:ErvsJSjZ0

大きく背伸び。

ぼくもつられて、少し背伸びをしたくなる。



今時、自転車に乗って配達をするってことは

きっと、学生なのかもしれない。

仕事、さぼったらダメなのに。



ホームレスのおじさん、にらんでるよ。

仕事さぼっちゃだめだって、そんな目をしてる。

何か、いやな思い出でもあるのかもしれない。



51: 郵便屋さん :2007/07/12(木) 22:55:02.84 ID:ErvsJSjZ0
立ち上がる、小さな郵便屋さん。

もう一回、大きく背伸びをしている。



自転車にまたがって、いきおいよく飛び出した。

元気よくでていくすがた、少しかっこいいかも。



ホームレスのおじさんも、立ち上がった。

ベンチに向かって、歩き出す。

・・・ハガキがいちまい、落ちてたみたい。


あーあ、小さな郵便屋さん、失敗しちゃったね。



52: 郵便屋さん :2007/07/12(木) 22:58:32.97 ID:ErvsJSjZ0
おじさん、ハガキをじーっとみつめてる。

何か、大事なものでもみるかのように。

じーっと、じーっと。


おじさん、なんかいも、目をこすってる。

いや、ふいている?

目からの汗を、手でふいている。


どうしたのかな。

何が、書いてあったのかな。



( ^ω^)「小さな郵便屋さんの、手紙かお?」



57: 夕暮れ :2007/07/12(木) 23:12:08.70 ID:ErvsJSjZ0

オレンジ色の空が広がっている。

今日も一日おつかれさま、というには、ちょっと早いみたい。

この時間は、だれもこないことが多いなぁ。


そろそろ、太陽が沈んじゃう。

お仕事おえて、お月さまと交代する。

きょうもいちにち、おつかれさま。



ぼくは随分とねてないけど

別にきつくないんだ。

だから、ずっと起きてるよ。

この公園を、みつめながら。



59: 夕暮れ :2007/07/12(木) 23:15:17.23 ID:ErvsJSjZ0
ブランコ、すべり台、砂場。

小さな公園だけど、僕は好きだなぁ。

よく、ここで遊んでたっけ。



夕暮れ。

おてんと様と、お月様の、交代する時。

いちにち一回、必ずやってくる。



( ^ω^)「毎日、変わらないお」



61: 仲間? :2007/07/12(木) 23:17:21.85 ID:ErvsJSjZ0

「ほらーちゃんと運べよー」

「絶対に地面につけるなよー」



一人の小学生が、いくつものランドセルを背負っている。

とっても重そう。苦しそう。

それを見ている周りのこどもたちは、楽しそう。



鞄持ち。

あれって、楽なんだよね。

勝ったら、もう何も運ばなくていいから。



62: 仲間? :2007/07/12(木) 23:19:17.79 ID:ErvsJSjZ0
「じゃんけんぽん!」

「あ、後だしー!もう一回はこべよなー」


いきなりじゃんけんしたって、両手ふさがってるんだから

出せるわけがないよ。

それでも、その子は文句も言わず、ランドセルを運んでる。


仲間。

仲間?

今のこどもたちは、仲間なのかな。



63: 仲間? :2007/07/12(木) 23:21:15.26 ID:ErvsJSjZ0
ぼくには、仲間っていたっけ。

ごめん、おぼえてないや。

いたとしても、きっと、今みたいな関係。


きっと、仲間という文字のあとに、クエスチョンマーク。

いつまでたっても、分からないまま。

今でも、分からないまま。




( ^ω^)「もう、思い出さなくていいや」



65: 3年前 :2007/07/12(木) 23:24:28.06 ID:ErvsJSjZ0

こどもが、ぼくの方に近づいてくる。

だめだよ、こっちに来ちゃ。



ぼくを囲む、縄をくぐるこども。

正しくは、ぼくの後ろにある木を囲んでいる縄だけど。



あ、だめだよ。

この木にのぼっちゃ、だめ。

やめ、て。



66: 3年前 :2007/07/12(木) 23:25:36.63 ID:ErvsJSjZ0

この、木に、のぼ、っちゃだめ。

だ、め。



危ない、から。

だめ。



いや、だ。

たすけ、て。

こわい。



68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/12(木) 23:27:12.66 ID:ErvsJSjZ0

すとんっ。


木からとびおりる、こども、

だいじょうぶかな、けがはないかな。

よかった、本当に良かった。



この木は、のぼっちゃだめ。

危ないから。

絶対に、のぼっちゃだめ。



( ^ω^)「ぼくみたいに、なっちゃうから」



70: 友達 :2007/07/12(木) 23:30:04.05 ID:ErvsJSjZ0

「返事は、どうかな」

「・・・。友達で、いよう?」


あーあ。

ざんねんだったね、男の子。

でも、友達にはなれたんだから、良かったと思おうよ。


ほら、笑って。

悲しいかおが、一番だめなんだから。

ぼくも、わらうから。



73: 友達 :2007/07/12(木) 23:36:07.10 ID:ErvsJSjZ0

よし、その顔がいちばんいいよ。

ずっとずっと、すてきだから。


これからも、がんばってね。

チャンスは、何回でもあるけれど

失う時間は、いつか分からないから。



( ^ω^)「ぼくはもう、時間がとまってるから」



74: 破滅 :2007/07/12(木) 23:39:08.14 ID:ErvsJSjZ0

がしゃーん


ごーん


どかーん


ばーん


ぐしゃぐしゃ



( ^ω^)「さようなら、小さなおうちのおじさん」



75: 地面の落書き :2007/07/12(木) 23:43:09.47 ID:ErvsJSjZ0

からすがなくころ、こどもたちがお家にかえりはじめる。

すなばには、こどもが遊んだあとがたくさん。

少しのぞいてみると、なにかの落書き。



『((=゚Д゚=)』かわいらしいねこ。

『にしこり』まついひできせんしゅ。

『J( 'ー`)し』これは、おかあさんのかおかな?


あ・・・。

『( ^ω^)』



( ^ω^)「みえてる、のかお?」



79: ジャングルジムで遊ぶ子供達 :2007/07/12(木) 23:46:32.91 ID:ErvsJSjZ0

ちゅん
ちゅん
ちゅん

おはよう、すずめさん。

何かね、今度、このこうえんにジャングルジムができるらしいよ。


ちゅん
ちゅん
ちゅん

分かってるよ。

うん、そうみたい。

この公園、せまいから。



80: ジャングルジムで遊ぶ子供達 :2007/07/12(木) 23:47:47.45 ID:ErvsJSjZ0

わー
わー
わー

きょうも元気なこどもたち。

こんな狭い公園でも、楽しんでる。



わー
わー
わー

もうちょっとしたら、ジャングルジムでも遊べるよ。

この木をどけて、作るみたい。



82: ジャングルジムで遊ぶ子供達 :2007/07/12(木) 23:50:36.31 ID:ErvsJSjZ0

かぁー
かぁー
かぁー

こんにちは、からす。

もうそろそろ、きみたちとのケンカ、けっちゃくつけなきゃね。


かぁー
かぁー
かぁー

だめだよ。

ずっとライバルだって、約束したろう。



83: ジャングルジムで遊ぶ子供達 :2007/07/12(木) 23:51:49.08 ID:ErvsJSjZ0

いちゃ
いちゃ
いちゃ


また来たね、君達。

正直、目の前でいちゃつかれるのは辛いんだ。


いちゃ
いちゃ
いちゃ

でも、幸せなんだよね。

それなら、いいんだ。

ぼくも、幸せになれるから。



84: ジャングルジムで遊ぶ子供達 :2007/07/12(木) 23:53:47.05 ID:ErvsJSjZ0

にゃー
にゃー
にゃー

こんばんは、ねこたち。

ここにきて、いちばん話したのは、きみたちだよ。

だって、きみたち全員、みえるんだもんね。


にゃー
にゃー
にゃー


うん、そうみたい。

『3年前、転落事故を起こした木』は、てっきょされる予定だったんだし。

大体、死亡事故がおきてるのに、てっきょされないほうがおかしいんだよ。



86: ジャングルジムで遊ぶ子供達 :2007/07/12(木) 23:56:08.41 ID:ErvsJSjZ0

こんばんは、おつきさま。

きみと会うのも、もう最後かも。

暗い夜、照らしてくれてありがとう。

ぼく怖がりだから、とても助かった。


そんなこといっても、ゆうれいに会うことは慣れたんだけどね。

大体、怖がるひつようはないわけだし。


もうそろそろお別れかな。

それじゃ、また。



88: ジャングルジムで遊ぶ子供達 :2007/07/12(木) 23:58:30.71 ID:ErvsJSjZ0

「この木もなくなって、本当に安心ねー」

「何年前かしら、あの転落事故」

「あぁ、木から落ちて、亡くなったって話?」

「ほんと、不安だったんだからー」

「ジャングルジムなら、子供もたくさん遊べるでしょうし」

「いいわねー」



89: エピローグ :2007/07/13(金) 00:00:41.74 ID:8jxivifw0

木、なくなっちゃた。

もう、ここにいる意味はないかな。

この場所は好きだけど、

しがみつくものがなくなったら、

上に引っ張られるから。


ほら、もう来た。

上に、引っ張られちゃう。

さようなら、みたいだね。

それじゃ、みんな。



( ^ω^)「みていて、たのしかったお」



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