( ^ω^)ブーンが丸痣の謎を追うようです。
- 5: ◆HGGslycgr6 :2006/02/16(木) 19:03:50.21 ID:Lm2J2Rdn0
- 春の陽気に誘われて表へ出たブーンは、どこへ行くでもなくただ散歩をしていた。
人通りも疎らな昼下がりの住宅街を、一歩一歩ゆっくりと歩きながら春を感じていた。
時々立ち止まっては柔らかい春風に乗ってくる草木の匂いを胸いっぱいに吸い込み、大きく伸びをしてまた歩き出す。
( ^ω^)「気持ちいいほどブーン日和だお」
降り注ぐ日光がブーンにエネルギーを与えてくれているようだった。
- 7: ◆HGGslycgr6 :2006/02/16(木) 19:06:45.64 ID:Lm2J2Rdn0
- ブーンは居ても立ってもいられなくなり、ブーンをしようと腕を広げた。
そして駆け出す第一歩を踏み出したその時、いきなり目の前から強い衝撃を喰らった。
(;^ω^)「ッ―――」
想定外のことに口から出るはずだった言葉が喉奥に舞い戻り、息が詰まった。
全身が硬直し、目の前が暗転した。
先ほどとは打って替わってブーンの意識は冷たい闇にどんどんと飲み込まれていった。
- 9: ◆HGGslycgr6 :2006/02/16(木) 19:09:41.50 ID:Lm2J2Rdn0
- ( ^ω^)「……あれ…?」
どうやら気を失っていたらしく、気が付くとブーンはさっきと同じところに居た。
奇妙なことに、気付いたときにはブーンはうつ伏せになっているのでもなく、既に直立していた。
体中どこにも痛むところは無いし、擦り傷1つ無い。
( ^ω^)「……目眩でも起こしたのかお?」
ブーンは狐につままれたような顔をしながらその場にしばらく立ち尽くしていた。
( ^ω^)「…今日はもう帰るお」
きっと体調不良なのだろうと結論付けて、ブーンはもう家に帰ることにした。
帰る前にもう一度後ろを振り返ったが、そこには相変わらずの風景があった。
けれどもどこかブーンの心に引っかかるものがあったのは確かだった。
- 11: ◆HGGslycgr6 :2006/02/16(木) 19:16:08.86 ID:Lm2J2Rdn0
- 帰り道の途中で何か精力の付くものを食べようと思いついて、スーパーに寄ることにした。
( ^ω^)「やっぱり精力といえばうなぎだお」
奮発してうなぎを買う決心をしたブーンは、迷う事無く安い中国産のパックに手を伸ばして買い物かごに入れようとした。
しかし、ブーンの手は宙をさまよいパックを掴み損ねた。
( ^ω^)「…これはもうだめかもわからんね」
ブーンは再度慎重にパックを掴み、買い物かごに入れた。
どうやら今日はすこぶる調子が悪いらしい。
ブーンはさっさと会計を済ませると、夕暮れの道を足早に帰宅した。
- 12: ◆HGGslycgr6 :2006/02/16(木) 19:24:17.32 ID:Lm2J2Rdn0
- ( ^ω^)「ふー…」
家について一度溜息を吐くと、電気のスイッチを手探りで探して点けた。
チカチカと音を立てて光りだす蛍光灯の明かりを確認して、ブーンは荷物をテーブルの上に置いた。
既に空腹だったので、うなぎと冷凍していたご飯を電子レンジに放り込んでボタンを押し、テレビのスイッチを点けた。
けれども、徐々に香ってくるうなぎの匂いのせいで、テレビの内容はうわの空だった。
甲高い電子音がなると、電子レンジからそれらを取り出し無造作にどんぶりに盛り付けてテーブルの上に置いた。
しかし、いざ食べ始めるとケチった分の報いを喰らった。
( ^ω^)「見ろ!皮がゴムのようだ!」
しかし捨てるのも勿体無いのでブーンは皮をすべて剥ぎ取り先に食べてしまってから、ゆっくりうな丼を味わうことにした。
口の中で中々細かくならない皮を噛んでいると、突然携帯電話が鳴った。
- 14: ◆HGGslycgr6 :2006/02/16(木) 19:31:45.18 ID:Lm2J2Rdn0
- ディスプレイに表示されていた名前はショボン。
こんな時間に電話をよこすなんてそう無いことだ。
( ^ω^)「もぐもぐ…ショボン?どうしたんだお?」
(´・ω・`)「あぁ、ブーン大変だ…僕が、僕が…」
ショボンの慌てぶりに何かを感じ取り、ブーンは皮を一気に飲み込んで話の続きを促した。
( ^ω^)「ショボン?何があったんだお?」
(´・ω・`)「僕がいなくなっていくんだ!助けてくれ!」
( ^ω^)「いなくなるって何を言って――――」
プッ…―――ツーツーツー
突然前触れも無く電話が切れた。
ブーンは電話と、うな丼を交互にチラチラ見ながら考えていたが、うな丼にラップをすると急いで家を飛び出した。
- 15: ◆HGGslycgr6 :2006/02/16(木) 19:38:33.80 ID:Lm2J2Rdn0
- すっかり日が暮れた道を駆けるブーン。
ショボンの住むアパートに駆けつける間もブーンは何度も電話を掛けたが、ショボンは一度も出なかった。
1階にあるショボンの部屋につくと、ブーンはすぐにドアに手をかけ、力いっぱい引っ張った。
( ^ω^)「ショボン!!!」
叫びながらかっこよくドアを開けようと思ったが、ドアには鍵がかかっていてびくともしなかった。
(;^ω^)「て、手首が抜けるかと思ったお…」
( ^ω^)「ショボン!ショボン!どうしたんだお!」
ガンガンと扉を叩いてみるが部屋の中からは反応が返ってこない。
もう一度部屋を確認してみたが、ショボンの住むところに間違いは無かった。
ブーンは裏手に回って窓から呼びかけてみることにした。
- 16: ◆HGGslycgr6 :2006/02/16(木) 19:45:45.91 ID:Lm2J2Rdn0
- 足に纏わり付く草を踏みながら裏手に回ってみると、部屋の中からカーテン越しに光が漏れていた。
どうやら中にいるのは間違いないようだ。
ブーンは窓枠に手をかけ横に引いた。すると窓には鍵がかかっていなかったらしく、抵抗無くするすると開いた。
( ^ω^)「ショボン!!!」
邪魔臭いカーテンを手で払いのけると、床に座りながらこちらを見ているショボンがいた。
( ^ω^)「ショボン!何が――――」
しかし、ブーンは次の瞬間我が目を疑う光景に出くわした。
(´・ω・`)
(´・ω・`:
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( ^ω^)「――――――え?」
ショボンは目の前から砂山が崩れるように消えてしまったのだ。
- 17: ◆HGGslycgr6 :2006/02/16(木) 19:54:19.63 ID:Lm2J2Rdn0
- しばらく呆けていたブーンだが、とりあえず何が起こったか確認しようと部屋の中へ入った。
部屋の中は特に変わった様子も無く前に遊びに来たときのままだった
( ^ω^)「確かこの辺だお…」
ブーンはさっきショボンが消えていった辺りを詳しく調べてみた。
しかし辺りの床を見回してみても。崩れ落ちたショボンの形跡は何一つ無かった。
(;^ω^)「やっぱり今日は調子が良くないみたいだお」
よく考えてみれば、人が目の前で消えるなんてことはそうそう無い。
きっとあんな電話をよこして、ビックリさせようとどこかに隠れてるに違いない。
( ^ω^)「ショボン、どこにいるお?ショボンのせいでせっかくのうな丼が台無しだお」
ここに隠れているのかと、テーブルの下を覗くとそこに握りこぶし大の何かが落ちていた。
- 18: ◆HGGslycgr6 :2006/02/16(木) 20:02:58.91 ID:Lm2J2Rdn0
- 何かと思い手にとって見たが、それが蛍光灯の明かりの下に出るとブーンは反射的にそれを放り投げた。
(;^ω^)「うわぁぁぁぁぁ!!!手、手が!!!」
ブーンが拾ったそれは紛れも無く人間の右手だったのである。
皮膚を触った生々しい感触が頭からなかなか離れずに、ブーンは鳥肌が立ちっぱなしだった。
(;^ω^)「な、なんでこんなところに手が落ちてるんだお!!」
およそ考えられない事態にブーンは取り乱していたが、まだアレが本物だとは限らない。
ブーンはもう一度恐る恐る近づいて、放り投げた手を見てみた。
見れば見る程リアルなその手には、手の甲の辺りに丸い模様がついていた。
(;^ω^)「…やっぱり偽モノかお?ショボンも人が悪いお」
しかし、それだけではなかった。その手には小指の爪が無かったのである。
ブーンはそのことに気が付いた瞬間、背中に寒気が走り、目の前がチカチカして倒れそうになった。
ショボンの右手も同じように小指の爪が無いことを思い出したのだ。
- 20: ◆HGGslycgr6 :2006/02/16(木) 20:13:26.18 ID:Lm2J2Rdn0
- (;^ω^)「……………」
言葉も無く立ち尽くすブーン。
ただ落ちている手を見つめながら先ほど見た光景を思い出していた。
(;^ω^)(やっぱりさっきのは幻覚じゃなかったのかお?でもだとしたら何で手だけが…)
ブーンが考え込んでいると、前触れも無く突然びくりと手が動いた。
(;^ω^)「ひおっ!」
ブルブルと震えだした手は、ブーンの目の前で徐々に浮き始めたのである。
余りに現実離れした光景にただただ呆然とするブーン。
心臓のドキドキがうるさい位に聞こえてくる。
しかし、突然視界の外からさらなる不条理がやってくる。
それには足があった。そして胴体も腕もあった。けれどもそれ以外が無く、そしてそれらもあまりにちぐはぐだった
太さの違いは勿論、左足はハイヒールを履いているのに、右足はスニーカーを履いているのだ。
- 21: ◆HGGslycgr6 :2006/02/16(木) 20:21:26.56 ID:Lm2J2Rdn0
- そんなものが歩いてきたのだから、ブーンは気を失いそうになる。
(;^ω^)「…………(ヤバすぎるお)」
これは夢なのだろうか。こちらに気付いて歩いて来たらどうしよう。
そんな言葉が頭の中を駆け巡る。
ブーンはただ息を潜め、それを注意深く見ていた。
そのグロテスクな生物は浮かんでいる手の前で立ち止まると、まるでプラモデルの部品をはめるように右手を自身に取り付けた。
そして、突然目の前から消えてしまったのだ。それもゆっくりとではなく、一瞬にして。
見失ってしまったのかと勘違いするほどの唐突さに、ブーンは辺りを見回してみたが、そこはもういつも通りのショボンの部屋だった。
(;^ω^)「………………」
しかしながら、それでもブーンは体に残る恐怖でしばらく動けずにいた。
- 23 名前: ◆HGGslycgr6 [遅筆でスイマセンorz] 投稿日: 2006/02/16(木) 20:34:51.45 ID:Lm2J2Rdn0
- 今日は昨日に引き続き休日だ。
ブーンはいつもより早起きをした。というより、全然寝付けなかったのである
( ^ω^)(一晩中アイツが頭から離れなかったお…)
あの後、ブーンは自分の家に帰った後も食欲が湧かず、うな丼も食べずに冷蔵庫の中にしまってある。
朝食は食べようと思ったが、体がだるくて何かを準備するのがめんどくさかった。
( ^ω^)「…ショボン」
携帯を取り出しショボンに電話をかけてみるがやっぱり出てこない。
ブーンはなんだか心細くなって、ドクオに電話を掛けることにした。
( ^ω^)「もしもし?ドクオかお?」
('A`)「…朝からなんだよブーン、俺はそろそろ寝たいんだけど」
どうやらドクオはまた徹夜でゲームをやっていたようだ。
- 24: ◆HGGslycgr6 :2006/02/16(木) 20:40:31.86 ID:Lm2J2Rdn0
- ブーンは昨日の夜あったことを、ドクオに説明した。
('A`)「ブーン、そりゃあお前疲れてるんだよ」
確かに昨日はおかしなことが他にもあった。
( ^ω^)「やっぱりそう思うかお?」
冷静に考えてみればあんなことが起こるはずも無い。
ブーンはドクオに指摘されて自信が出た。
('A`)「そうだよ、それじゃあ俺も疲れてるから寝るぞ」
( ^ω^)「ありがとうだお」
ドクオとの会話でブーンは少し元気が戻ってきた。
( ^ω^)「うな丼食べなおすお」
- 25: ◆HGGslycgr6 :2006/02/16(木) 20:48:01.40 ID:Lm2J2Rdn0
- うな丼を平らげて、ブーンはぼーっとテレビを見ていた。
テレビからは賑やかなバラエティ番組が流れてくる。
しかし、ブーンはドクオと話しているときは消えていた不安が徐々にまた湧き出てきているのを感じていた。
( ^ω^)「……やっぱりおかしいお」
あれが幻覚だったらショボンが何処に行ったのかがわからない。
( ^ω^)「もう一度行ってみるお」
昼間の明るいときなら、多少は恐さも紛れるだろう。
ブーンはもう一度ショボンのアパートに向かうことにした。
- 27: ◆HGGslycgr6 :2006/02/16(木) 21:00:18.43 ID:Lm2J2Rdn0
- ショボンのアパートに着くと、昼間に窓から入るわけにもいかないと
ブーンは適当な理由を作り大家の人に鍵を開けてもらった。
当然のことながら、部屋は昨日の夜のままであった。
昨日の夜、手が落ちていた場所、いきなり変な生物が消えた場所。
ブーンは一通り調べてみたが何も変わった所は見当たらない。
冷蔵庫を開けてみても中身はちゃんと入っている。
ふと、思いついて電話を掛けてみるとベッドの方から着メロが聞こえてきた。
手にとって見ると間違いなくショボンの携帯だった。
開いてみると着信履歴にはびっしりと自分の名前が並んでいる。
( ^ω^)「……ショボンはやっぱり消えてしまったのかお」
頭を抱えるブーン。と、その時ブーンの携帯に着信が飛び込んできた。
- 28: ◆HGGslycgr6 :2006/02/16(木) 21:05:44.43 ID:Lm2J2Rdn0
- ( ^ω^)「はいお?」
('A`)「もしもし?ブーンか?」
相手はさっき寝たはずのドクオだった。
( ^ω^)「ドクオ寝たんじゃなかったのかお?」
('A`)「いや、あの後結局ずっとゲームを続けてたんだ。それで思い出したんだよ」
( ^ω^)「何を思い出したんだお?」
('A`)「丸い模様のことだよ。まぁ、関係ないかもしれないけどな」
ドクオはゆっくりと思い出したことを話し始めた。
- 30: ◆HGGslycgr6 :2006/02/16(木) 21:16:45.10 ID:Lm2J2Rdn0
- ('A`)「あれは、たしか三日くらい前だな――」
その日ドクオは毎週買っている週刊誌を買いにコンビニへと出掛けていた。
('A`)「今週はアイツちゃんと描いてるかなぁ…」
ドクオは独り言を言いながらコンビニへの道を歩いていた。
そして、後もう一回角を曲がればコンビニというところで、誰かの短い悲鳴が聞こえてきたのである。
('A`)「あん?」
ドクオが後ろを振り向くとOL風の女がしりもちをついているのが見えた。
('A`)(パンツ丸見えじゃないか…)
ドクオは助ける気持ち半分、下心半分でOLに近づいていった。
('A`)「大丈夫ですか?(白キタコレ)」
OL「あぁ、ありがとうございます」
('A`)「でさ、そん時そのOLの足に丸いアザみたいなのがついてたんだよ」
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