( ^ω^)ブーンが機械と戦うようです

103: 機械 ◆DIF7VGYZpU :2006/10/07(土) 21:05:46.50 ID:VzEgPm9u0
  
――それぞれのその後

兄者と弟者は、トレーダー族の元には返らず、ミルナと共に人間社会の復旧に努めることにした。
育ての親であるミルナ、ウマーの母親には申し訳ないが、二人はどうしてもミルナに付いていくことを望んだ。
それから以後数十年、二人はミルナの下で活動し、それぞれに家庭を持つことになる。

トレーダー族は、移民を始めた。
その行き先は同行する者以外には完全に秘匿されている。
いくら彼らの中で人間への不信感が薄れたといえ、それが種族全体として受け入れられるにはまだ少し時間がかかる。
いつか人間が地に再び満ち、未開の地を訪れたとき。
その時は、再び両種族が手を取り合って生きることができるかもしれない。

ジョルジュはトレーダー族と共に移民をすることを決意した。
ちなみに、彼はもうジョルジュ長岡ではない。今はジョルジュ荒巻と名を変えている。
システムがつけた名前でも、荒巻の名前は荒巻の名前で、ジョルジュの大切な父親の名前だ。
だから彼は名前を変えた。その名前は彼の隣に立つトレーダー族の娘との間に生まれた子供に受け継がれていくだろう。

そしてツンと内藤は、移民を前にある場所に立ち寄っていた。



105: 機械 ◆DIF7VGYZpU :2006/10/07(土) 21:15:36.87 ID:VzEgPm9u0
  
黄色い花が風に揺れる。
そこは、ツンの秘密の場所。丘に開けた広場だ。

その場所には、友人の姿をしたシステムの端末が埋まっている。
システムが崩壊したその日に、内藤がこっそりと持ち帰って埋めたのだ。

( -ω-)ξ--)ξ「……」

いつか長の墓にそうしたように、ツンと内藤は少しだけ盛り上がった墓に向かって祈っている。
墓標は無い。気の利いた碑文も思いつかないし、彼がそんなものを望んだかどうかはわからないからだ。

システムは、なぜこのような人型の端末を作ったのか。
ミルナは人間に対する皮肉だろうと切り捨てたが、内藤はそうは思わなかった。
システムは、もしかしたら人間になりたかったのかもしれない。
いつか目を覚ました人間と共に、世界を共に生きていきたかったのかも知れない。

すべてはもう終わったことであり、夢の話。仮定の話だ。
だが、それは内藤の中での真実となった。
彼の友人、ショボンなら、きっとそう考えると思ったからだ。

内藤は、トレーダー族の移民についていくことにした。
ツンを一番側で守りたい。
その気持ちももちろんあったが、友人が最期に残した『残されたものの気持ち』を考えての行動である。

( ^ω^)「ツン、これから、ずっと一緒にいてボクが守るお」

黙祷をやめた内藤が、友人の前で宣言するように言う。
その言葉を聞いたツンは、顔を赤く染めながら、しっかりと頷いた。

――終



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