('A`)達は月に願い事をするようです

2: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:07:27.61 ID:/JzinOPbO
友達100人出来るかお?
友達100人出来ましたお。

友達を作るなんて簡単だお。
だって僕は、明るくて、気さくで、朗らかだからだお。

あ、あの子、友達が居ないんだお。
可哀相な子だおー。
よーし、僕が友達に『なってやる』お。

ドクオ君だっけお?
僕と遊ぼうかお?
そう言ったら、満面の笑顔で頷いたお。
フヒヒ!本当に簡単だお。

……そこから、僕の悩みが始まったんだお。
……本当の友達の作り方ってどうすれば良いんだお。

偽り、驕り、葛藤。
僕を蝕んで行くお……。
だから月に願い事。

『本当の友達が欲しいお』



3: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:08:49.52 ID:/JzinOPbO
ブーンは、自室で座り込み、考えている。
この前、公園で何か大切な事が分かった様な気がする。
しかし、どんなに考えても答えは出ない。
右腕の火傷は、月極の能力でとっくの昔に消え去っていた。
だけど、あの時の痛みは、何度も心に走る。

( ^ω^)「ドクオ」

自ら手放した友人の名を呼び、手を握ろうとした。
握ろうとしても、するりするりと、手は通り抜ける。
拒まれる様に、手は逃げて行く。

(;^ω^)「くっ……僕は……」

ブーンが焦燥感に囚われている時、
机の上に置いてある、携帯の着信音が鳴り響いた。
今日、何十回目だろうか。
ブーンは渋々と、机の上にある携帯を手にする。
そして携帯を開くと、『メール着信1件』と表示されていた。



4: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:10:36.80 ID:/JzinOPbO
携帯を操作し、受信フォルダを開く。
そこには『友達』の名前が表示されている。
ブーンは、メールファイルを開いた。

『今、何してんの?』

表示されたメール内容に、ブーンはうんざりとさせられた。
至極面倒臭そうに、ブーンは返信する。

『家族と出掛けてるお』

ブーンは嘘を付いた。
だけど、これが相手を黙らせる一番の手段なのだ。
ブーンは携帯を閉じ、机の上に置き、再度考え込む。

( ^ω^)「本当の友達って……」

ブーンは直ぐに打解け、友達が出来る性格だった。
羨ましがる者も多いだろうが、ブーンはこれが悩みだった。



6: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:11:43.25 ID:/JzinOPbO
贅沢で、羨望さえ覚える、ブーンの悩み。
友達を作っては、すぐに飽き、時には驕り、友達を作る。
この繰返しで、ブーンには沢山の友達が出来た。
しかし、ブーンは心の中で、葛藤する。

友達を粗末に扱う自分に、嫌気が差してしまう事。
一応友達なのだから、もっと親身に接するべきなのでは、と思う事。
そして、本当に心の底から通じ合える友達が欲しい、と思う事。

( ^ω^)(馬鹿過ぎるお)

自分で蒔いた種だ、自分で処理しなくてはならない。
ブーンは、心からそう思った。

( ^ω^)「え?」

その時、ブーンにまた『何か』が頭に過ぎった。
もう一度、深く考える。
今、すぐ側に『何か』がある。
捕まえなくては、今なら、まだ間に合う。



7: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:12:39.53 ID:/JzinOPbO
葛藤?
違うお。

友達?
これじゃないお。

ドクオ?
……大事な問題だけど違うお。

早く、早く捕まえなくては、またさらわれてしまう。
記憶の何処かに、さらわれてしまう。
ブーンは焦りつつも、必死に考える。

メール?
余計な事だお。

月極?
今は考えたくもないお!

自分で蒔いた種だ、自分で処理しなくてはならない?

(  ω )「お?これって―――」



8: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:13:41.51 ID:/JzinOPbO
ブーンは、確かに掴んだ。
まだ、形は歪だけど、大切なモノ。
これは一体、何だろう。
ブーンの、心臓の鼓動が早くなる。
息が荒くなり、苦しくなる。

(  ω )「ハァッ……ハァッ……」

もう少し、もう少しで分かる気がする。
この『何か』の意味が。
息を整え、深呼吸。
精神をフルに集中させて、導き出そう。

( ^ω^)「これは、つまり……?」

ブーンが『何か』を掴み、理解しようとしたその時、自室の扉が開いた。
扉の隙間から、ブーンの母親が顔を覗かせた。

( ^ω^)「カーチャン?」

J( 'ー`)し「あらやだ、この子ったら息荒げて、お盛んねぇ」



10: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:15:05.94 ID:/JzinOPbO
(;^ω^)「違うお!これは……」

J( 'ー`)し「はいはい。あ、そうそう、ブーンに手紙が来てるわよ」

( ^ω^)「手紙?」

ブーンは友達こそ多いが、手紙を寄越す友達は皆無だった。
今は携帯のメールで、事足りる時代なのだ。
ブーンは疑問に思いながら、母親から手紙を受け取る。
薄いピンク色の封筒。
ミミズがのたくった様な字で『渡辺様よりブーン君へ』と書かれている。
住所は書かれていなかった。

(;^ω^)「自分で『様』って……。てか渡辺って誰だお」

沢山居るブーンの友達の名前を、脳内で照合して行くが、
『渡辺』という名前の友達は居なかった。

J( 'ー`)し「女の子かしらねぇ。ブーンもやるわね!」

ブーンの母親は手を握り、
人指し指と中指の間に親指を入れながら、部屋を出て行った。



12: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:17:08.77 ID:/JzinOPbO
( ^ω^)「…………」

薄いピンク色の封筒を、ブーンは眺める。
そして訝しがりながらも、封筒を開けた。
中には、やはり薄いピンク色の便箋が入っていた。
ブーンは二つ折りにされた便箋を、広げて読む。
そこには―――。

( ゚ω゚)「なんじゃこりゃああああ!!!」

『総合公園まできてねぇー。バーロー』

やはり、ミミズがのたくった様な字。
呼び出すのは良いが、日時が指定されていない。
そして、バーローである。
ブーンは、昼間にも関わらず、殺意を覚えた。

(;^ω^)「あの?どうすれば良いんだお」

ブーンは手紙へと問掛けるが、返答してくれない。
何故、返答してくれないんだろう。
返答してくれなくちゃ困る、ブーンはそう思った。



15: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:18:35.94 ID:/JzinOPbO
総合公園。
ドクオとブーンが邂逅した場所。
涙を流した、場所。
そして、大切な『何か』を掴み損ねた場所。

( ^ω^)(……今から行ってみるかお)

何故だかブーンは、総合公園へと赴きたくなった。
思い出がそうさせたのかも知れないし、
掴み損ねた『何か』を、もう一度探そう、と思ったのかも知れない。

( ^ω^)(渡辺様はどうでも良いお)

ブーンは、仕度をし始めた。
財布をジーンズの後ポケットに入れ、携帯を青いショルダーバッグに入れる。

( ^ω^)「仕度完了だおー」

ブーンは、自室から出て、玄関の扉を開ける。
飛び込んだ来た、夏の陽射が、何故か今日は気持ち良く、感じられた。



17: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:20:15.59 ID:/JzinOPbO
( ^ω^)「ふーふふんふん、ふーふふふふん♪」

鼻歌を奏でながらブーンは、軽やかに歩く。
ブーンは総合公園の一件以来、精神的に安定している。
正常に『近い』では無く、正常と言って良い程、精神が安定している。
あれから月極との殺し合いも、二回しているが、
前みたいに爽快感が無くなった。
自分で、理由を考えて見たが、分からなかった。

( ^ω^)「暑いお……。早く総合公園に行って涼みたいお」

ブーンがそう呟いていると、前方に人影が見えた。
ヘンテコな格好をしている、少女だ。
その少女からブーンは目を逸す。
おかしな奴には、絡まれたくない。
そんな思いが、ブーンの目を逸らさせた。

(;^ω^)(そう言えば、僕も充分変な奴だお)



18: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:21:47.93 ID:/JzinOPbO
ブーンは、少女を避ける様に歩く。
少女は重そうなショルダーバッグを抱えながら、ふらふらと歩いて来る。
そして、ブーンと少女が、横に並んだ、交差した。

(  ω )「!?」

一瞬なのに、耳に届く、数々の言葉。

『頑張ってるねぇー』

『優しい、優しい勇者様ぁー』

『もう少しで狂気は正気になるよぉー』

『ただ前だけを歩いて、決して逃げないでねぇー』

ブーンは驚き、少女を見遣る。
少女の口が、ぼそぼそと動いている。

(;^ω^)(独り言かお?危ない人だお)

遠ざかって行く少女の背中を、ブーンは無視する様に、前に進んだ。
ただ前へ、前へと歩いた。



20: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:23:07.20 ID:/JzinOPbO
数十分後、ブーンは総合公園に到着した。
公園の入口に進み、並木道に入る。
木漏れ日が、とても綺麗だった。
ブーンはただ歩く、並木道に吹く涼しい風に、包まれながら。
少し歩いた所で、ブーンは足を止めた。
ベンチがある。
ドクオが座っていた、ベンチがある。

( ^ω^)「ここに座るかお」

ブーンは、ベンチへと腰を下ろした。
足を組みながら、空を見上げる。
そして、目を瞑り、考えた。
ドクオがどんな思いで、此処に座っていたのか。
日中にも関わらず、狂ってたのかな。
それとも、もっと、深い事を考えてたのかな。
ドクオの事を、もっと知りたい。
自分勝手だけど、もう一度―――。

(  ω )「おっ?」



24: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:24:52.54 ID:/JzinOPbO
(  ω )「そうかお、僕は本当に自分勝手だお。」

ブーンは目を開け、隣を見る。
ドクオが、座っている様な気がする。
狂気に負けないで、あの時否定出来たなら、
今頃一緒に座って、馬鹿な話に、花を咲かせているのだろうか。
ブーンは隣の席へと、手を伸ばす。
そして、ドクオの手を優しく掴む。
『何だよ!気持ちわりぃな!』
そんな、声が聞こえた気がした。

( ;ω;)「ごめんだお。遅過ぎたお。間違え過ぎたお」

ブーンは、再び同じ場所で、涙を零した。
煉瓦が敷き詰められた地面を、涙の雫で染められて行く。
その時、並木通りに、心地良い風が吹いた。風が、ブーンの髪の毛を優しく撫でる。
いつか、忘れてた、大切なモノ。

( ;ω;)「!?」



25: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:27:07.67 ID:/JzinOPbO
『何と…とか……自分を……くては……』

(  ω )「これは」

風が再び、運んで来てくれた。
あの時、掴めなかった大切な『何か』を運んで来てくれた。

(  ω )(ノイズが酷いお!もっと!もっと!)

ブーンは縋るように、風へと手を伸ばす。
それにつれ、ノイズに隠された、輪郭が見えて来た。
まだまだ、ブーンは両腕を大きく伸ばし、風に触れる。
そして、風を抱き締めた。
抱き締めた風から、忘れていた、大切なモノが湧き出した。

『何とか、何とか、自分を変えなくては』

(  ω )「…………」

(  ω )「そうかお……願い事を叶えて貰わずとも……」

ブーンの、全身が震える。
すぐ側にあった、答えを得られた。



27: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:28:35.09 ID:/JzinOPbO
ブーンは、呆然と空を見上げている。
スポットライトの様に、射し込む木漏れ日が気持ち良かった。
そんな中、ブーンは強い声で言った。

( ^ω^)「けじめをつけるお」

ブーンは人を殺し過ぎた。
己の自分勝手な願い事の為に。
犯した罪には罰を受けるべきだ。

( ^ω^)「文月」

ブーンの右手に大剣が現われる。
何度、血を浴び、何人、殺したのだろう。
そう思うと、ブーンは暗い表情になる。
そして、ベンチから立ち上がった。

( ^ω^)「ごめんなさいだお」

そう呟き、文月の刃を自らの首に当てる。
うっすらと、血が流れる。
そして、思い切り文月を引こうとしたその時。
女性の、小さな声が耳に届いた。



28: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:30:01.96 ID:/JzinOPbO
「待って」

その声に、ブーンは驚いた。
知っている声だったから。
こんな姿を見られたから。
ブーンは文月を首から放し、女性を見た。

( ^ω^)「シュー姉さん……」

lw´‐ _‐ノv「やっほー、ブーン君」

ブーンの目の前に居る女性、シューはブーンの従姉だ。
腰の下くらいまである長い黒髪。
黒いブラウスに黒いロング丈のスカート、そして黒いブーツ。
全身黒尽くめ、ブーンはバーローを思い出した。

( ^ω^)(まさか、あの手紙)

シューは生まれつき目が見えなく、ずっと目を閉じている。
しかし、彼女曰く『見えない物が見える』らしい。
周囲の雰囲気を感じ取り、何が起こっているかは、大体把握出来るそうだ。
ブーンにはよく分からないが、生涯での訓練の賜だろう。



29: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:31:36.43 ID:/JzinOPbO
( ^ω^)「シュー姉さん、何か用かお?」

その問いにシューは、透き通る様な綺麗な声で答える。

lw´‐ _‐ノv「何か、勇者とか頼まれた。そんな感じ」

ブーンは失念していた。
シューは突飛な言動、突飛な行動をする。
所謂、理解不能という物に、分類される性格なのだ。
それと、関係無いが無類の米好きだ。
ブーンは目頭を指で押さえながら、もう一度質問する。

( ^ω^)「勇者って何だお?誰に頼まれたんだお?」

lw´‐ _‐ノv「勇者はブーン君、頼んで来たのは渡辺さん」

(;^ω^)「!?」

lw´‐ _‐ノv「渡辺さんはおかしくて可愛い」



31: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:33:31.71 ID:/JzinOPbO
ブーンは今日、何度驚いただろうか。
渡辺という謎の人物が、ブーンへ手紙を差し出し、
シューへと言伝を頼んでいた。
そして、ブーンはどうやら勇者らしい。
何の、ファンタジーだろうか。
ブーンは、頭が混乱しそうになった。
それ以前に、先程から気になっていた。
シューは、ブーンが文月を持っているのを、
『見えている』筈なのに全く驚いていない。

( ^ω^)「シュー姉さんは僕のこの大剣が気にならないのかお?」

lw´‐ _‐ノv「んー、私がブーン君と同じ、月極だから?」

( ゚ω゚)「!?」

突然発せられる、月極の気配。
今まで、何処かに、隠していたのだろうか。
ブーンは、シューの凄まじいプレッシャーに気圧される。

lw´‐ _‐ノv「気配を出せるなら、逆に消せる。常考」



32: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:35:44.61 ID:/JzinOPbO
lw*´‐ _‐ノv「見せてあげよう。私の農作業道具」

lw*´‐ _‐ノv「私の月極技は108式まであるぞ」

lw*´‐ _‐ノv「稲刈り専用『神無月』♪」

途端、のほほんとしたシューの声からは想像も出来ない、威圧感が渦巻く。
右腕を真直ぐに伸ばし、シューは手を開く。
シューの周囲から、光の粒子が掌に集まる。
光の粒子は集合し、小さな細長い円柱を形造った。
その光の円柱を、シューは軽く握る。
すると、細長い光の円柱が下へ、上へと伸びて行った。
そして、縦へと伸びた先端付近から、三日月を大きくした様な刃が生えて行く。

lw*´‐ _‐ノv「はい、終わり」

( ゚ω゚)「お、初めて見たお……」

lw*´‐ _‐ノv「え、これレア物?ラッキー」

光の色を失った神無月を、ブーンは見つめる。
シューの肩に携えられている神無月。
それは、大鎌であった。
黒い柄は2m以上、大きく反り曲がった銀色の刃はシューの身長程あった。



35: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:38:03.61 ID:/JzinOPbO
lw´‐ _‐ノv「でも、それだけなんだけど」

( ^ω^)「……それだけって?」

lw´‐ _‐ノv「私は一度も月極を殺していない」

( ^ω^)「へ?」

今日は、驚かされっぱなしだ。
月極なら狂気に囚われ、殺人衝動が起こる筈だ。
これは、避けられぬ事実で、必然なのだ。
しかし、シューは一度も月極を殺していない、と言う。
もう駄目だ、シューの突飛さには着いて行けない。
ブーンは頭を抱え、俯いた。

lw´‐ _‐ノv「ブーン君、答えを見つけられたら大丈夫」

シューは、宥めるようにブーンへ言い聞かせる。
ブーンは頭を抱えながらも、シューの方へとチラリと、見遣る。

lw´‐ _‐ノv「じゃあそろそろ真面目に話そう。頼まれてるし」



36: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:41:04.55 ID:/JzinOPbO
シューはコホン、と一つ咳払いした。
そして肩に携えていた、神無月を消した。
それを見たブーンも、文月を消す。
シューが、ブーンを射抜く様に見つめる。
凛とした真面目な口調で、シューは語り出した。

lw´‐ _‐ノv「結論から言って、月が狂わせている訳では無い。
       人の弱みに付け込み、狂気を増幅させているだけ。
       人の弱み、それは『願い事』
       『願い事』は自分で何とか出来る物がほとんど。
       自分を変える努力をすれば良い。
       だけど『叶えてやる』と言われたら、気付けなくなる。
       甘い甘い蜜だ、それに誘われ人は狂う。
       答えは、本当にすぐ側にある筈なのに。
       まぁ、結果的に『月が狂わせている』訳だけど」

( ^ω^)「…………」

lw´‐ _‐ノv「渡辺さんに教えて貰った事だけどね」



38: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:43:04.83 ID:/JzinOPbO
シューは一区切り置き、ブーンに問う。

lw´‐ _‐ノv「続き聞く?」

( ^ω^)「……聞くお」

lw´‐ _‐ノv「ん。いや、この先は別の場所で話そう」

lw´‐ _‐ノv「渡辺さんが教えてくれた『神様が住んでいた所』で話そう」

( ^ω^)「?」

シューはブーンの手を引っ張り、足早に歩き出す。
ブーンはシューの手が、冷たく感じられた。
不安めいた物が、ブーンの脳に過ぎる。
何故か、ブーンは泣き出しそうになった。
本当に、何故かは分からなかった。
泣き出しそうになった。



39: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:45:51.64 ID:/JzinOPbO


小説で例えるなら、起承転結の内、今は『転』への導入部分だ。
私は、勇者を育てる為のキーパーソン。
ブーン君とクーちゃんをきちんと育てて、最高の『結』へと導きたい。

渡辺さん。
君が生きて来た理由、意思、私が手助けする。
もう、愚かな事は繰り返させない。
嘲り笑っている、月の鼻っ柱をへし折る。

しかし、その為には、だ。
もう、私が好きな米を食べられなくなってしまう。
あーあ、ちょっと残念さ。
もっと、色々な米を食べたかった。

ん。
あっちの世界にも、あるかも。
そう思うと、ちょっと楽しみか。
んふふー♪



41: ◆iFirHT6FV. :2007/08/15(水) 04:47:55.26 ID:/JzinOPbO
第六月話

『狂気脱穀』


終わり。



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