('A`)ドクオが宇宙を駆け抜けるようです

28: ◆A57zIoS2yk :2006/09/30(土) 21:39:09.65 ID:IR8Bb/F10
  
第03話 ショボンの干渉

艦隊が発進して、何時間経っただろうか……。
戦闘配置には就いていないものの、クルー達はピリピリとした空気をかもし出していた。

そんな中で、ドクオは自機のチェックに勤しんでいた。
ドクオのジム・コマンドはパーソナルカラーとして、黒とグレーのツートンで仕上げられていて、
先日、配属されてきたショボンのジム・キャノンも同じカラーリングだ。


('A`)「各部関節、異常無し……バルカンの弾数、満タンだな」


最後のチェックも終わって、ドクオはスイッチを切り、一息入れた。


(*゚ー゚)「ドクオ大尉。お疲れ様です。これコーヒーです」

('A`)「ん、ありがとう」

(*゚ー゚)「い、いえ……」


ドクオも鈍感ではない。
しぃの健気な対応を見ていれば、自分に好意を寄せてくれている事は分かりきっている。
だが、その気持ちを受け入れる考えは無かった。



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/30(土) 21:41:08.18 ID:IR8Bb/F10
  
('A`)「いいのか? ブリッジを抜け出して」

(*゚ー゚)「艦長はもうすぐ第二種戦闘配置に入ると言っていました」

('A`)「そうか……ならさっさと戻りな」

(*゚ー゚)「え……」

('A`)「聞こえなかったか?」

(*゚ー゚)「……いえ、失礼しました!」


顔を伏せて、そそくさと帰っていったしぃを見ながら、ドクオはまたの客人を迎えた。



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/30(土) 21:41:48.67 ID:IR8Bb/F10
  
( ゚∀゚)「へぇ、しぃ軍曹の誘いを断るのかよ?」

('A`)「お前には関係ない」

( ゚∀゚)「あるね。俺が狙っている女だぜ」

('A`)「だったら、人に嫉妬してないで口説いて見せてみろよ」

( ゚∀゚)「言うね……そっちも嫉妬してないのか?」

('A`)「あの新型か? 冗談じゃない。俺はコイツ以外乗る気は無い」

( ゚∀゚)「強がりを! 見てな、今日だけでお前の撃墜スコアを超えてやる!」


そう吐き捨てて、ジョルジュはドクオ機の正面にある自機へ飛んだ。

ジョルジュ機はジムをベースに開発された高性能機だ。
それが配備された日から、ジョルジュの態度は更に大きくなり、うっとおしくなっていた。



32: ◆A57zIoS2yk :2006/09/30(土) 21:43:11.29 ID:IR8Bb/F10
  
('A`)「……新型がどうした。俺はコイツで生き残って見せるさ」


ジョルジュの背中に向けて小さく呟くと、ドクオはパイロットルームへ向かった。
パイロットスーツに着替えるためである。


(´・ω・`)「あ、ドクオ大尉」

('A`)「ショボン少尉か……何をしているんだ?」

(´・ω・`)「早めに着替えておこうと思いましてね」

('A`)「ホウ……考えることは一緒だな」

(´・ω・`)「みたいですね」


二人は微笑すると、制服を脱いでスーツを着る。



33: ◆A57zIoS2yk :2006/09/30(土) 21:45:06.56 ID:IR8Bb/F10
  
(´・ω・`)「今回の作戦なんですが、ドクオ大尉は蚊帳の外なんですか?」

('A`)「ん……?」

(´・ω・`)「ジョルジュ大尉の方に新型を配備されてますし、
     明らかに無視されてるでしょ? ドクオ大尉って」

(;'A`)(コイツ……ハッキリ言うなぁ)

(´・ω・`)「性分なモノでして」

(;'A`)「あ!? どうして……」

(´・ω・`)「私と始めて会話した人は、皆思ってますよ」

('A`)「なるほど。いや……嫌いではないがな。
   下手に建前を造るヤツよりは数倍マシだ」

(´・ω・`)「そう言ってくれると助かります」


そこら辺のヤツらよりは上手く付き合えそうだな。
とは思えたものの、ドクオは馴れ合いをするつもりもなく、
ショボンがソロモン戦で死ぬだろうという考えが抜けなかった。



34: ◆A57zIoS2yk :2006/09/30(土) 21:46:02.48 ID:IR8Bb/F10
  
('A`)「士官学校じゃ、モビルスーツには乗ったのか?」

(´・ω・`)「私は成績良かったので、
      実技訓練は他の人たちよりも多くさせてもらいましたよ」

('A`)「そうか。実戦は……」

(´・ω・`)「訓練とは違う。360度すべてに気を配れ。ですか?」

('A`)「ん、そうだ。話が早くていい」

(´・ω・`)「教官たちは嫌ってましたよ。私のこういう所」

('A`)「人の性格なんか変えられん。
   それでイライラしているヤツは、他人に干渉し過ぎてるのさ」

(´・ω・`)「人嫌いですか?」

('A`)「……話し過ぎたな」


ドクオは饒舌になっている事を迂闊に感じて、ヘルメットを取るとパイロットルームを出ようとした。



36: ◆A57zIoS2yk :2006/09/30(土) 21:46:50.96 ID:IR8Bb/F10
  
(´・ω・`)「分かりますよ。戦争の中で人の生き死に何て考えていられない」

('A`)「…………」

(´・ω・`)「他人に干渉すれば、それが迷いになるから」

('A`)「……やめろ」


背中に投げかけられる言葉は、ドクオの胸を刺す。


(´・ω・`)「自分のやっている事を否定されたくないから、いつも一人」

('A`)「やめろと言っている!」



37: ◆A57zIoS2yk :2006/09/30(土) 21:47:32.09 ID:IR8Bb/F10
  
(´・ω・`)「……図星ですね」

('A`)「本当に……嫌な性格だな」

(´・ω・`)「性分です。私の性格は変わりませんよ」

('A`)「あぁ……もう俺に関わるな」

(´・ω・`)「同じ隊ですが?」

('A`)「……足手まといになるなよ」

(´・ω・`)「了解」


それを聞くと、ドクオは出て行った。


(´・ω・`)「似てるんですよ……私とね」

('A`)「チッ、久しぶりに大声出しちまった……」


ドアを挟んで、二人はため息を吐いた。


第03話 ショボンの干渉 終



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