(´・ω・`) ショボンは帰ってきた風の料理人のようです
- 25: たろお ◆agZBhzWYDw :2007/08/21(火) 22:45:00.40 ID:eh9BompZO
2話
運動会
- 27: たろお ◆agZBhzWYDw :2007/08/21(火) 22:46:00.86 ID:eh9BompZO
- ※
僕は意気揚々と、パスタを茹でていた。
( ^ω^) 「得意料理はパスタだお♪」
考えると、僕はパスタを茹でるたびに、こんなことを呟いている。
好きな女子に見せるには、少々痛々しい。
( ^ω^) 「仕上がりはもちろんアルデンテだお♪」
もはや、僕の腕前は、パスタを茹でることに関してはプロ級だろう。
正直、自信がある。
- 28: たろお ◆agZBhzWYDw :2007/08/21(火) 22:46:58.25 ID:eh9BompZO
- パスタを湯から上げ、あらかじめ炒めておいたソーセージと野菜と一緒に炒め合わせる。
そして―――
( ^ω^) 「ケチャップ大量投入だお♪」
出来上がったのは、ナポリタン。
古き良き一品にして、逸品である。
( ^ω^) 「無難にうめぇwwwwwwクチャクチャwwwwww」
- 29: たろお ◆agZBhzWYDw :2007/08/21(火) 22:47:59.42 ID:eh9BompZO
- 僕が美味しくナポリタンを頂いていた、その時だ。
(´・ω・`) 「温故知新て言葉を知ってるか?」
僕は盛大にナポリタンを吹いた。
いつかの男だった。
そう、その名は―――
(´・ω・`) 「ひさしぶりだな。風の料理人、ショボンだ」
- 30: たろお ◆agZBhzWYDw :2007/08/21(火) 22:48:59.64 ID:eh9BompZO
- 歓喜と共に、僕は苛立ちを覚えた。
僕は子供じゃない。温故知新の意味ぐらいは知っている。
( ^ω^) 「昔のことを研究して、それによって現代のことを解釈・理解することだお」
(´・ω・`) 「ほぉ、わかってるじゃないか。
古きを知り、今に活かせ。つまりはそういうことだ」
男は一体何を言いたいのだろう。
僕は首を捻った。
(´・ω・`) 「ナポリタンを、1ランク上にする」
- 31: たろお ◆agZBhzWYDw :2007/08/21(火) 22:50:01.33 ID:eh9BompZO
- なんということだ。
一つの完成形である、この、ナポリタンという料理を1ランク上げると言うのか。
僕の心は踊り出した。
だが、次の瞬間、その舞踏会は中止となった。
(´・ω・`) 「生クリームだ」
生クリームだと。
一人暮らしの僕に、使いこなせる代物ではない。
- 33: たろお ◆agZBhzWYDw :2007/08/21(火) 22:51:18.97 ID:eh9BompZO
- 一パックで約200ml。
ナポリタンごときに、そこまで大量に使えと言うのか。
(;^ω^) 「確実に余りますお」
(´・ω・`) 「お菓子作りでもするか」
余った分は、お菓子作りに使えだと。
無理だ。僕は甘党ではない。と言うか、お菓子作りについての知識は、皆無だ。
- 35: たろお ◆agZBhzWYDw :2007/08/21(火) 22:52:23.26 ID:eh9BompZO
- (´・ω・`) 「冗談だ」
そう言って、男は僕に、小さな塊を三つ、放り投げた。
(;^ω^) 「これは!?」
(´・ω・`) 「コーヒー用クリームだ」
(´・ω・`) 「これなら無駄は出ない。
一人前で、三つだ」
- 40: たろお ◆agZBhzWYDw :2007/08/21(火) 22:53:41.08 ID:eh9BompZO
- (´・ω・`) 「ケチャップが全体に行き渡った後、コーヒー用クリームを入れて、サッと炒め合わせろ。
あまり時間を掛けるなよ」
僕は想像した。
その様は、先程まで心に描いていた舞踏会ではなく、赤と白の入り乱れた、運動会だった。
- 42: たろお ◆agZBhzWYDw :2007/08/21(火) 22:55:48.61 ID:eh9BompZO
- (´・ω・`) 「酸味の中に、コクが生まれ、美味い」
気付くと、僕は叫んでいた。
( ^ω^) 「ありがとう!風の料理人、ショボン!」
男は一言残して消えた。
(´・ω・`) 「ナポリタンに、アルデンテは不要だ」
前略、お袋様。
プロへの道は、遠いようです。
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