(´・ω・`) ショボンは地獄の料理人のようです

135: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:48:47.85 ID:ZcbY48nWO

最終話

萌え上がる、紳士



137: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:49:55.36 ID:ZcbY48nWO


気が付くと、僕はまた、あの厨房に立っていた。

^ゝ^ おかえりなさい
 ー  どうでした

相変わらずこの男の顔はでかい。

(´・ω・`) 「楽しかったよ」

^ゝ^ それはよかったね
 ー  ところでご馳走はまだ?

(´・ω・`) 「悪かったね。今作るよ…」

余程、腹を減らしているのだろう。
少々の罪悪感を感じつつ、僕は厨房内をぐるりと見渡した。



140: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:51:40.19 ID:ZcbY48nWO
(´・ω・`) 「でも、この厨房、何も材料がなさそうなんだが…」

残念だが、これでは何も作れない。

^ゝ^ 舌があるよ
 ー 

(´・ω・`) 「した?」

^ゝ^ 地獄に落ちた人の舌
 ー  腐らない様に茹でてあるよ

下ごしらえまでしてるとは、なかなかの切れ者だ。
流石は、閻魔大王と言ったところか。



142: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:53:13.84 ID:ZcbY48nWO
(´・ω・`) 「じゃあ、タンシチューにしよう。
もしもの時のために、ハインツのデミグラスソース缶もあるし」

ハインツのデミグラスソース缶。
これは、僕の御守りだ。少々重いのが難点だが、いつもポロシャツの胸ポケットに潜めている。
まぁ、紳士のたしなみだ。



146: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:54:53.88 ID:ZcbY48nWO
(´・ω・`) 「それから、お前がさっきから持ってる、その赤ワインをくれ」

^ゝ^ なんで?
 ー 

(´・ω・`) 「ハインツのデミグラスソース缶と赤ワインを、同量、鍋に入れて、半量になるまで煮込む。
これで煮れば、大体のものは美味い」

^ゝ^ じゃあ赤ワインあげるね
 ー 



150: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:56:14.62 ID:ZcbY48nWO
(´・ω・`) 「あ、あとバターはないか?」

^ゝ^ ちょっと待って
 ー  今、僕のお乳から作るよ

(´・ω・`) 「ありがとう」



155: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:57:35.81 ID:ZcbY48nWO


(´・ω・`) 「よし、いい感じになったな」

鍋の中を見て、僕は言った。
煮汁が元の半量程度になり、タンもいい感じに色付いている。

^ゝ^ バター出来たよ
 ー 

出来たてバターの、その芳醇な香りは、僕に幻覚を見せた。

(´・ω・`) 「焼きたてのトーストに、たっぷりバター塗って食いてぇ」

食いてぇ。いや、喰らいてぇ。

ハッ、と意識を取り戻し、僕はタンシチューの仕上げに取り掛かった。



161: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:59:16.54 ID:ZcbY48nWO
(´・ω・`) 「仕上げにバターをちょこっと投入だ。
これで、さらなるコクを出す」

(´・ω・`) 「バターが溶けるくらい煮たら、完成だ」

光沢のある、茶褐色のそれは、まさに『魅せる』料理。

同量の、ハインツのデミグラスソース缶と赤ワインを、半量になるまで煮詰め、仕上げにバターを入れる。

たったこれだけで、ここまでの破壊力を演出する。
ハインツのデミグラスソース缶には、『破壊神』の名が相応しい。

^ゝ^ 辛抱堪らん
 ー 

男は、鍋ごと喰らい出したのだった。



163: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 20:00:56.59 ID:ZcbY48nWO


鍋を空にし、冷静になったのか。
男は、恥ずかしそうに言った。

^ゝ^ 僕、女の子なのに
 ー  こんな食べ方して恥ずかしいよぅ

(*´・ω・`) 「僕っ娘だったの!!!?」



おしまい\(´・ω・`)/



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