(´・ω・`) ショボンは天国の料理のようです

55: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 18:56:22.29 ID:Q6zEnVOtO

1話

破裂波



56: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 18:57:36.84 ID:Q6zEnVOtO


金なし。彼女なし。ペットなし。友達少し。

この生活を始めて、幾年が過ぎていた。
こんな生活を続けていると、時には、故郷が恋しくなることもある。

('A`) 「名古屋が恋しいぜ」

俺の生まれは名古屋だ。
最近(でもないが)、名古屋メシが話題になっていたりする。
嬉しい限りだ。
やはり、直にそういう話題を耳にすると、郷愁を誘われる。

('A`) 「カーチャン…」



58: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 18:58:45.99 ID:Q6zEnVOtO


J( 'ー`)し 「ほらドクオ!いっぱいお食べ!」

そう言って食卓に並べられたのは、山盛りの鶏手羽先の唐揚げだった。
美味いし、安いし。
育ち盛りの俺を育てるには、理に適った食べ物だった。

('∀`) 「ひゃっほーい!!」

手掴みで、はしたなく、俺はそれを貪った。

(;'∀`) 「うまい、うますぎる。十万石まんじゅうわっなにするやめえええええええええ!!!!」

上機嫌な俺を羽飼締にして、カーチャンは言った。

J( 'ー`)し 「名古屋生まれなのに、埼玉県民にしかわかんないネタをするだなんて…
恐ろしい子!!」



60: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 19:03:01.04 ID:Q6zEnVOtO


思い返せば、あの日、俺はカーチャンから地方ローカルネタはNGだと教わったのだ。
純真無垢な俺が、打算的になった瞬間がこれだ。

('A`) 「よし、今日はカーチャンとの思い出と、鶏手羽先の唐揚げを肴に一杯やるか」



61: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 19:04:05.21 ID:Q6zEnVOtO


('A`) 「鶏手羽先に醤油と砂糖で下味を付ける」

('A`) 「片栗粉をまぶして、揚げる」

('A`) 「完成」

食べた。
まぁまぁ、美味い…気がする。

('A`) 「カーチャン…」

お袋の味には遠く及ばない。

('A`) 「世界の山ちゃあああああああああん!!!!」

なんとなく叫んでみた。

「うるせぇ!!!!」



62: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 19:05:07.29 ID:Q6zEnVOtO
ドンドンと壁を叩かれ、隣人から非難をくらった。
それどころか、ドンドンという音は、次第に速度を上げていく。

そして―――

(#´・ω・`) 「うるせぇ!!天国の料理人、ショボンだ」

連打する拳で壁に穴を開け、あの男が現れたのだった。

(#'A`) 「敷金返って来ないじゃんかよ!!」

十数万が、一瞬にして消えた。

(´・ω・`) 「お詫びに、美味しい鶏手羽先の唐揚げの作り方を教えるよ」



67: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 19:11:54.35 ID:Q6zEnVOtO
こんな交渉、決裂に決まっている。

(#'A`) 「それなら、世界の山ちゃんで、たらふく鶏手羽先の唐揚げを食べて来るわ!」

男は、俺を無視して鶏手羽先の唐揚げ作りを始めた。



68: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 19:12:46.68 ID:Q6zEnVOtO
(´・ω・`) 「まずは、鶏手羽先を洗う」

(´・ω・`) 「水で洗うな。酒だ。酒。
酒で、ギュンギュン揉み洗え。5〜6分は洗え」

(´・ω・`) 「酒が白く濁って、手羽先の汚れが落ちたら酒は捨てろ」

(´・ω・`) 「見てみろよ…
手羽先の奴、白く輝いてるぜ」



69: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 19:13:49.90 ID:Q6zEnVOtO
(´・ω・`) 「次だ。
手羽先に付いてる酒を、キッチンペーパーで拭き取れ」

(´・ω・`) 「包丁の先っぽか、フォークで手羽先を滅多刺しにしろ。
日頃のストレスはこうして晴らすんだ」



72: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 19:15:03.43 ID:Q6zEnVOtO
(´・ω・`) 「ボウルにたっぷり酒を注ごう!
甘味を感じるくらい、みりんも注ごう!」

(´・ω・`) 「そこに、手羽先をぶち込め!」

(´・ω・`) 「冷蔵庫で、最低30分は寝かしてあげようか…」

(´・ω・`) 「いっぱい揉んだからね」

(´・ω・`) 「このまま4〜5日は保つよ。
でも、放置プレーは程々にしてね」



73: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 19:16:18.09 ID:Q6zEnVOtO
(´・ω・`) 「30分後、手羽先をボウルから引き上げたら、キッチンペーパーで拭いてあげよう」

(´・ω・`) 「たまには優しくしてあげてね」

ひさしぶに現れたと思ったら、なんだか男は気持ち悪くなっていた。
さすが死んだだけはある。

(´・ω・`) 「よし!手羽先に醤油をからめよう!」

(´・ω・`) 「手羽先10本当たり、醤油は大さじ1杯半で十分だよ」

なんか、少ない。

('A`) 「少なくない?」

俺は聞いた。そしてそれを、後悔した。



76: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 19:18:15.78 ID:Q6zEnVOtO
(´・ω・`) 「あ?」

男の「あ?」に、なぜか神々しいものを、俺は感じた。

(´・ω・`) 「100回揉め」

('A`) 「え?」

(´・ω・`) 「100回揉めよ!!」

なんだこの情緒不安定は?
手羽先を揉みながら世の中の理不尽を思い、俺は射精した。

(´・ω・`) 「思いっきり、たくさん揉むことで、醤油はしっかり手羽先に染み込む」

なるほど、つまり換えのパンツはないということか。



77: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 19:19:19.76 ID:Q6zEnVOtO
(´・ω・`) 「あとは、たっぷりの片栗粉をまぶして、油で揚げよう」

(´・ω・`) 「揚げてる最中は手羽先をいじるなよ!絶対だぞ!
いじると、衣がはがれて悲惨だ」

(´・ω・`) 「こんがりサクサクカリカリジュワーって感じに、濃いキツネ色に揚がったら、完成だ!」

山ちゃんもびっくりのクオリティ。

そんなことより、俺はカーチャンを思い出していた。

故郷が恋しい。



79: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 19:20:35.90 ID:Q6zEnVOtO
(´・ω・`) 「ビールとタルタルソース持って来てくれね?」

俺とカーチャンの思い出に、土足で入っくるとは。
それと、パシるな。

('A`) 「こんなの耐えられない!!
もうこんなボロアパート出て行ってやる!!」

もはやヤケクソだ。

('A`) 「俺は名古屋に帰るんだ!!」

だが、そんな俺の叫びは、男の無慈悲な笑いによって、打ち消されたのだった。



83: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 19:24:33.54 ID:Q6zEnVOtO
(´・ω・`) 「ククク…」

そして、それは―――

(´・'ー`・`) 「クキキキ…」

身体中の全ての孔穴からあらゆる体液を垂れ流しながら―――

(´J'ー`し`) 「グァァァッ…」

静かに、そして激しく―――

J( 'ー`)し 「アーハッハッ!!」

覚醒した―――



('A`) ドクオ編 〜 BAD END 〜



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