(´・ω・`) ショボンは天国の料理のようです

132: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 20:03:39.49 ID:Q6zEnVOtO

3話

無限



134: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 20:04:51.18 ID:Q6zEnVOtO


あの事件から数ヶ月―――

私は―――

家に―――

帰って来た―――



『(*゚ー゚) しぃが帰って来るようです〜近日公開〜』

するとかしないとか。多分しない。



136: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 20:06:26.31 ID:Q6zEnVOtO
(*゚ー゚) 「完治!!」

早い話が、退院したと言うわけだ。

(#゚ー゚) 「あのやろおおおおおお!!!!
次に来た時がてめぇの命日だ!!!!」

傷口が開くと面倒なので、今日は叫ぶのを数回程度に抑さえておいた。

(((#゚ー゚))) 「イライラが止まらんね」

今、私は相当な量のフラストレーションが溜まっている。
それもそのはず。

(*゚ー゚) 「病院食が美味くない」

現代日本の抱える医療の闇。その一角を支える、病院食の不味さ。
医療問題に真っ向から挑む私ってかっこよくない?(笑)



138: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 20:07:34.71 ID:Q6zEnVOtO
(*゚ー゚) 「コッテリしたもん食いてー」

(*゚ー゚) 「あんなもん食わされてたんじゃ性欲すら湧かん」

女性ホルモンが足りていない様で、肌のカサつきが目立つ。
ファンデーションのノリもいまいちよくない。

(*゚ー゚) 「ならばコラーゲンを…」

コッテリしつつ、コラーゲンも豊富。
ならばあの料理しかない。

(*゚ー゚) 「豚の角煮しかないわ…」

さっそく私は豚の角煮を作り始めた。



141: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 20:09:13.21 ID:Q6zEnVOtO
(*゚ー゚) 「まず、大きい塊のまま、豚バラ肉を茹でる」

(*゚ー゚) 「…」

(*゚ー゚) 「…なげぇ…」

(*゚ー゚) 「…」

(*゚ー゚) 「あ、柔らかくなった…」

(*゚ー゚) 「これを冷蔵庫に鍋ごと入れて、冷えて固まった脂を取り除…」

(*゚ー゚) 「脂が冷えて固まるのっていつよ?」

明日くらいか?
そう言えば八角も陳皮もない。

(*゚ー゚) 「…プチッ」

キレた。



傷口が。



143: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 20:10:30.74 ID:Q6zEnVOtO
(; ー ) 「ぐはぁ!!!!」

(; ー ) 「む、無念…」

私がキッチンを、醜く転げ回っていると、冷蔵庫が突然開き、中からあの男が現れた。

(´・ω・`) 「う〜、寒い寒い」

先程、冷蔵庫に鍋を入れた時にはいなかったはず。なぜだ。

(; ー ) 「いつの間に冷蔵庫の中に!?」

男は誇らしげに言った。

(´・ω・`) 「お前がいつも牛乳だと思ってるアレ。
アレが僕だ」

怖い。牛乳が、怖い。



145: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 20:12:22.18 ID:Q6zEnVOtO
(; ー ) 「そんなことより救急車を呼んで…!」

(´・ω・`) 「事態は何となくだが把握した!
作ろう!究極の豚の角煮を!」

生涯最後のコラーゲンに乾杯。

(´・ω・`) 「あ!言い忘れてた!
天国の料理人、ショボンだ」

お前の人生、それでいいのか?



146: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 20:13:19.28 ID:Q6zEnVOtO
(´・ω・`) 「まず、豚バラ肉の塊を、2cm厚さに切る」

(´・ω・`) 「それを、沸騰したお湯に10秒くらい通す。
茹でると言うより、洗う感じだ」

(´・ω・`) 「こうすることで、肉の、アク、臭み、汚れが取れる」



147: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 20:14:53.17 ID:Q6zEnVOtO
(´・ω・`) 「鍋に油を熱し、ぶつ切りのネギと皮付でスライスした生姜を炒める。
香りが出たら、茹でた肉、醤油、砂糖、紹興酒を入れ、水をヒタヒタになるまで加える」

(; ー ) 「材料は…これだけ…?」

(´・ω・`) 「キミは実にいいお客さんだ!」

男はシャカリキにになった。
ほんの少し、テンションが上がった様だ。
私のテンションは下がったが。



149: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 20:16:03.18 ID:Q6zEnVOtO
(´・ω・`) 「さっき入れた紹興酒。
それだけあれば、味、香りともに本場中国の味わいになる!
そう、トンポーローだ!」

(´・ω・`) 「泡盛で煮れば、沖縄のラフテー」

(´・ω・`) 「焼酎で煮れば、九州の角煮」

(´・ω・`) 「日本酒で煮れば、和食の角煮」

(´・ω・`) 「ワインで煮れば…
つまりはそういうことだ」



150: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 20:17:00.23 ID:Q6zEnVOtO
(´・ω・`) 「さて、角煮作りを再開だ!」

(´・ω・`) 「って言っても、後は、1回アクを取って、弱火で煮込むだけ」

(´・ω・`) 「脂は取らないのかって?
脂が美味いんだよ。脂が」

(´・ω・`) 『未来を恐れない者だけに訪れる幸福』

(´・ω・`) 「僕の作る角煮にはそれがある」



152: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 20:18:02.99 ID:Q6zEnVOtO
(´・ω・`) 「1時間半〜2時間半煮込め」

(´・ω・`) 「煮込んでる途中で、水が足りないと思ったら、水を足せ。
どうせ蒸発するから追加量は適当に」



154: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 20:19:51.44 ID:Q6zEnVOtO
(´・ω・`) 「柔らかく煮上がった肉を皿に盛ったら、煮汁にトロミを付ける」

(´・ω・`) 「水溶き片栗粉だけじゃなくて、今回は油も追加だ」

(´・ω・`) 「テカテカで見た目も素敵」

(´・ω・`) 「付け合わせには緑の葉っぱがオススメだ。
ホウレン草がいいかな?まなかな?」

(´・ω・`) 「塩茹でしたホウレン草も皿に盛って、肉にトロミを付けた煮汁をかけたら、完成だ」



159: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 20:22:39.66 ID:Q6zEnVOtO
(´・ω・`) 「いただきまーす」

(´・ω・`) 「肉と脂がトロトロテカテカでうめぇwwwwwwwwwwww」

どうやら私は眼中にないらしい。
肉を煮込んでいる間に忘れたのだろう。

私の脳裏に『死』の一文字が過ぎる。

ピンポーン―――

その時、歴史は動いた。



161: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 20:23:56.94 ID:Q6zEnVOtO
ミ,,゚Д゚彡 「いい香りがしたから入ってみたら、ここはかつての俺の家じゃないか!!?」

夫が帰って来た。

(,,゚Д゚) 「罠だ!罠に決まってる!」

息子だ。いつからあんなに疑り深くなったのだろうか。
可愛くない。

(´・ω・`) 「やっべ!逃げろwwwwwwwwwwww」

そして、男は冷蔵庫へ駆け込む。

(; ー ) 「もうだめだわ…」

こうして、私は静かに逝ったのだった。



162: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/06(木) 20:24:51.80 ID:Q6zEnVOtO


ミ,,゚Д゚彡 「おいおい、これは美味しそうな豚の角煮だな!」

(,,゚Д゚) 「罠だ!罠に決まってる!」

ミ゚Д゚彡 「ウマー」

(゚Д゚) 「ウマー」



ミ,,゚Д゚彡 フサギコ編 (,,゚Д゚) ギコ編 〜 GOOD END 〜



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