流石兄弟が殺人ゲームに参加するようです

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/21(火) 20:32:54.14 ID:4ZhGUL5L0
21.

部屋の中に転がり込んでドアを閉じようとした時、モンスターの腕が割り込んできた。

髪を掴まれたクーが悲鳴を上げる。


川゚ -゚)「痛っ」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「あっ、クソッ」


ドアを押さえていた弟者はケースから注射器を取り出してその腕に突き立てた。

すぐにクーの髪を離して激しく痙攣する腕をドアから放り出す。

後続が到着する前にドアを閉じてロックを下ろすと、二人はその場にへたり込んだ。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「大丈夫か?」

川゚ -゚)「ええ、大丈夫。ありがとう。でも薬が…」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「気にするな」



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/21(火) 20:33:57.83 ID:4ZhGUL5L0
22.

ミネラルウォーターの残りを口に含むと少し楽になった。

改めて今自分たちがいる場所を見回すと、そこはコンクリートに四方を囲まれた部屋だった。

部屋の中央に黒ヤギの被り物を付けた男がいた。

鎖で床に繋がれてしきりに唸り声を上げている。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「な、なんだこいつ…」


黒ヤギ男の隣に置かれたテレビから音楽が鳴り始めた。

同時に教育テレビでやっているようなアニメが流れる。


『白ヤギさんからお手紙ついた 黒ヤギさんったら読まずに食べた』

  ∧_∧
弟(´<_`  )「何だこりゃ?」



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/21(火) 20:34:55.61 ID:4ZhGUL5L0
23.

奥には別の出入り口があるがナンバー式のシリンダーキーがかかっていて開かない。


川゚ -゚)「ねえ、テレビの上にこんなのがあった」


クーは弟者に錆びかけた出刃包丁を見せた。

部屋には黒ヤギのコスプレ男、童謡を繰り返し流し続けるテレビ、包丁。

シリンダーキーの番号はどこに…?

  ∧_∧
弟(´<_`  )「まさか…」


弟者は黒ヤギに近づいて腹のあたりをうかがった。

抜糸もされていない真新しい手術の跡がある。

弟者は頭を抱えた。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「ほじくり出せってか…!?」



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/21(火) 20:35:46.18 ID:4ZhGUL5L0
24.

手術で埋め込んであるのでは吐き出させたり排泄を待つわけにもいかない。

弟者はクーに最後の聖水を渡した。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「俺が動きを止めるから、お前はこれをあいつに注射してくれ」

川゚ -゚)「え、私がやるの?」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「俺の方がまだ力がある。柔らかそうなところを狙ってやれ」

川゚ -゚)「わかった」


とは言え黒ヤギを捕まえるのは難しかった。

他のモンスターのように積極的には攻撃してこないものの、捕まえようとすると

物凄い力で暴れて二人がかりでも押さえられない。

それでもどうにか弟者が羽交い絞めにしたところでクーが注射器を振るう。

しかし…



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/21(火) 20:36:51.47 ID:4ZhGUL5L0
25.

( ゚ρ゚ )「ウー!」

川゚ -゚)「あっ!」


弟者を跳ね飛ばした黒ヤギが身をよじった。

クーの手にした注射器は相手の額に当たり、針が曲がってしまった。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「おい!」

川゚ -゚)「大丈夫、まだ何とか刺さるわ」


まだ針が折れてなくなったわけではない。。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「いや待て、そうじゃない。こうしよう」

川゚ -゚)「?」


弟者はクーから出刃包丁を受け取った。



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/21(火) 20:37:49.06 ID:4ZhGUL5L0
26.

弟者はクーと協力してモンスターの体に包丁で切り付けた。

暴れ回る相手の急所を突くことはできなかったが、たくさんの軽傷を作ることができた。

しばらく待っていると黒ヤギは失血で力を失い、その場に倒れこんだ。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「最初からこうしてりゃ良かった…」

川゚ -゚)「まだもう一つの問題が残ってるでしょ」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「うっ…」

川゚ -゚)「いいわ。私がやる」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「!」


クーは出刃を拾い上げ、黒ヤギの上にまたがった。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「経験があるのか?」

川゚ -゚)「医大に通ってたの。獣医志望だったけど…」



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/21(火) 20:38:31.91 ID:4ZhGUL5L0
27.

川゚ -゚)「痙攣がひどいわ。動かないように体を押さえておいて」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「わかった」


両手で持った出刃をヤギ男の腹に突き立てて切り開く。

クーはその中に手を突っ込み、臓腑の中を探った。


川゚ -゚)「何かあるわ、ケースみたいなものが」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「オエエエ」

川゚ -゚)「うわっ! ちょっと、向こうで吐いてよ」


むせ返るような臓物臭(とゲロ臭)があたりに満ちる。

クーは指先に硬いものが触れるのを感じてそれを取り出した。

それは血まみれのフィルムケースで、中に番号を記したメモ用紙が入っていた。



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/21(火) 20:39:42.08 ID:4ZhGUL5L0
28.

川゚ -゚)「24512334」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「に、よん、ご、いち、に、さん、さん、よん。よし、開いた」


部屋を出た二人の前に階段が現れた。

それを上がりながら弟者は気になっていたことを口にした。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「別にとがめる気はないが、お前シャブ中じゃないのか?」

川゚ -゚)「…」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「指の先っぽが変だったんでな」


シャブ中は必ず腕に注射するわけではない。

用心深くなると注射器の跡を残さないために指と爪の間などに刺すようになるのだが

何度もやると皮が硬くなって変形してしまう。



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/21(火) 20:40:38.67 ID:4ZhGUL5L0
29.

川゚ -゚)「いつ気付いたの?」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「包丁を受け取った時だ」

川゚ -゚)「目ざといわね」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「なあ、モンスターはシャブに似た薬を打たれてるんじゃないか」

川゚ -゚)「?」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「お前はシャブに耐性ができていたから効かなかったのかも知れない」

川゚ -゚)「そうか…そうかも知れないわ」


弟者はふと時計を見た。

五時まではもう15分くらいしかない。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「くそ、もうこんな時間か。走ろう」


二人は疲れた体に鞭打って階段を駆け上がった。



49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/21(火) 20:42:07.43 ID:4ZhGUL5L0
30.

途中「ゴール すぐそこ」と描かれたダンボール紙が貼られていた。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「待っててくれ、兄者! 今行くぞ」


階段を上がり切って通路を走ると廃駅に出た。

スタート地点の隣駅だ。

「ゴール」という看板が立っている。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「よし、時間内だ。兄者はどこだ?」


あたりには誰もおらずテレビモニタが一つ置かれているだけだ。

そこに文字にが表示された。


『完走おめでとう』



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