流石兄弟が再び殺人ゲームに参加するようです

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:44:20.59 ID:yV8TszJ20
51.
弟者の様子がおかしい。熱が出たようだ。

サバイバルキットの解熱剤を飲ませたが一向に良くなる様子がない。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「くそ、夜明けも近いってのに。急がないと」


札束は予想以上に重い。

おまけに弟者はもうほとんど自分で体重を支えることができないでいる。

二つを背負った兄者の歩みは遅々として進まない。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「…」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「弟者?」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「ダメだ、俺はもう歩けない」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「冗談だろ!」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「置いて行け」


一瞬の沈黙。



69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:44:49.91 ID:yV8TszJ20
52.
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「カネをか?」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「俺をだ」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「ごめんだな」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「このままじゃ兄者もモンスターの餌食だ。いいから行ってくれ」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「おい、いい加減に怒るぞ」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「ジャグジー付きのペンションを作るんだろ?」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「…」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「人生を変えられるのは夢だけだ」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「夢だけが人生をいい方向に持って行ける気がする…」


弟者は兄者から離れると地面にひざまずいた。

肌身離さなかったショットガンを地面に立てて銃口を自分の顎に当てる。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「狂ったか、おい!?」



71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:45:19.24 ID:yV8TszJ20
53.
  ∧_∧
弟(´<_`  )「こうでもしなきゃ兄者は諦めないだろ」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「止めろ…おい、止めろ…」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「ペンションの開店を見れないのが心残りだが…じゃあな、兄者」


弟者は眠るように目を閉じて引き金を押し込んだ。

すべてが暗転した。

何もかも闇の中に落ちてゆく。


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73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:45:49.89 ID:yV8TszJ20
54.
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「目が覚めたか?」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「兄者…」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「あの世じゃないぞ。足を見てみろ」


弟者は毛布をまくって自分の足を見た。ギプスがはめられている。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「ここは?」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「隣村の個人病院だ。院長は話のわかる男でな」


弟者がしきりに自分の顎や頭に触れているのを見て兄者は笑った。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「銃弾が不発だったんだ。ずっと雨ざらしにしてたからだな」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「そうか…引き金を引くと同時に気を失ったのか」


死んだはずが生きているというのは変な気分だ。

しかしそんなに悪い感じでもない。



74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:46:16.22 ID:yV8TszJ20
55.
  ∧_∧
弟(´<_`  )「カネを捨てたんだな?」


兄者が黙って肩をすくめると弟者は溜め息をついた。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「大バカめ。これからどうするんだ」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「そう悲観したものでもないぞ。これを見ろ」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「ん?」


兄者は一枚の小切手を見せた。

目が回るほどの数のゼロが書き込まれている。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「実はあの後、川を下っている途中でショボンの仲間に助けられたんだ」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「ショボンがケツに隠していたフラッシュメモリーと交換に連中がくれたよ」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「中身はゲームの詳細か?」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「多分な」



79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:49:57.93 ID:yV8TszJ20
56.
ショボンたちの所属は最後までわからなかった。

しかし北の独裁国家が人体実験を行っているというニュースが数日後に流れた。

協定違反の化学兵器だと断定し米軍が今週中に空爆を開始する予定だ。

日本の某学会と警察が協力していたという噂がネットを騒がせたが

すべてワイドショーと週刊誌を賑わせただけに終わった。

ゲームの舞台となった村に至ってはついにメディアに上がることはなく、

流石兄弟が経験した一連の内容は闇に消えた。

少なくとも一般レベルで知る者は誰もいない。



屋上にジャグジーバスを設置した流石兄弟のペンションはそれなりに人気を呼んで

食うには困らない程度に繁盛した。

そしてゲームに参加した翌年、季節は再び夏。

弟者は夕暮れの砂浜で夕食のおかずを釣っていた。



83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:53:44.30 ID:yV8TszJ20
57.
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「弟者、お客さんだぞ」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「おう。今行く」


そこそこの釣果を手にペンションに戻ると懐かしい顔があった。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「クー!?」

川 ゚ -゚)「ごめん、迷惑だと思ったけど噂で聞いて…どうしても会いたくて」


そのままクーはペンションに居着いてしまった。

一人従業員を雇おうと思っていたところなので別に良かったが。



84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:54:15.90 ID:yV8TszJ20
弟者はこのごろ考える。 「人生は変えられるのか? 」

自分の子供を殺した女。 学歴職歴なしの自分たち兄弟。

人間は確かに平等じゃない。

しかし神様は人生を変える力だけはすべての人間に等しく与えていてくれる気がする。


その後三人は喧嘩したりしながらも幸せに暮らしたそうだ。


おしまい
読んでくれた人も支援してくれた人もみんなサンクス!



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