( ^ω^)ブーンたちは漂流したようです
- 19: ◆xh7i0CWaMo :2007/08/27(月) 00:05:15.87 ID:es/DDJnU0
- 第一話 殻世界
セーラー服姿の女が二人。
一方は清潔、他方は薄汚れている。
同じく制服姿の男が一人と、野暮ったい私服の男が一人。
計四名。見ず知らずの者同士が一堂に会してできることといえば、
ただただ沈黙することぐらいである。
最初は皆、それぞれ違った動作で驚きを表していた。
無理もない。個々の事情があるし、この場所が未知ということもある。
やがて、汚れたセーラー服……ハインが声をあげた。
从 ゚∀从「どこだ、ここは」
( ^ω^)「……」
言われてブーンも周囲を見回す。
だだっ広い部屋だ。体育館ぐらいの大きさがある。
天井、床、壁面その全てが白色に染まっている。
電灯らしきものは見えないが、明るい。
まるで空気を構成する原子一つ一つが淡く輝いているかのようだ。
遠くのほうに扉が一つだけ見える。
それだけだ。
それだけの空間に、彼らはいつしか突っ立っていたのだ。
- 21: ◆xh7i0CWaMo :2007/08/27(月) 00:05:49.09 ID:es/DDJnU0
- 从 ゚∀从「お前、何か心当たりあるか?」
( ^ω^)「え、いや、無いですお」
从 ゚∀从「俺にもねえや……んー、なんだ、何が起きた?」
伸び放題の髪をがしがしと掻き毟り、今度はペニサスのほうを向く。
从 ゚∀从「なぁ、お前」
('、`*川「ジョルジュくん、何をしようとしたんだろう」
从 ゚∀从「あ?」
('、`*川「手を挙げて……。
あ、そうか。抱きしめようとしてくれたんだ。
もう一度好きだって言ってくれようとしたんだぁ……」
从 ゚∀从「なんだ、こいつ」
本人は独り言のつもりなのだろうが、その場にいる全員の耳に届くほどの声量である。
お花畑で遊んでおられる。
少なくともブーンはそう判断したし、ハインも同様のようだった。
- 22: ◆xh7i0CWaMo :2007/08/27(月) 00:06:20.87 ID:es/DDJnU0
- 从 ゚∀从「お前はどうなんだよ」
ハインの矛先が、未だぼんやりと立ちつくしているドクオに向く。
彼は一度身体を震わせてから、おずおずとハインを見やった。
('A`)「あ、いや、その……」
从 ゚∀从「何か心当たりあるのか?]
('A`)「あ、え……」
何にイラついているのか、彼は一度舌打ちした。
しかし口から出る言葉は不明瞭なものばかりで、とても理解には達しない。
まるで他人と話すのは初めてというような口ぶりである。
从 ゚∀从「もういいよ、はっきりしねえ奴だな」
諦めたハインは再びブーンのほうを向く。
どうやら、一番まともに会話ができると判断されたらしい。
从 ゚∀从「ま、ともかく誰も心当たりが無いみたいだ。
どうする」
ブーンは首を捻った。
何もかもわからぬまま、考えをめぐらすことも不可能である。
遠くに部屋から出る唯一の手段が見える。
先ほどからのハインの言動から考えて、外に出て行こうとするのではないかと思った。
そして次の瞬間、彼の予感は的中したのだ。
- 23: ◆xh7i0CWaMo :2007/08/27(月) 00:06:56.96 ID:es/DDJnU0
- 从 ゚∀从「とりあえず出ようぜ。ここには何もないみたいだ」
装飾品一つない部屋。確かに何かを疑う余地もなさそうだ。
( ^ω^)「で、でも、もしも誘拐されたりとかしてたら、どうするんですかお?」
从 ゚∀从「誘拐ねえ……っても、俺ら互いのこと知らないっぽいしなあ。
何か共通点があるとも思えねえし、そもそも誘拐されたって記憶も無い」
それはそのとおりである。
ブーンにしても、彼はあの時教室で、しかもツンの目の前にいた。
それから一秒も立たずにここへ移動してきたのである。
気絶した覚えも無い。しかし、誘拐とでもしなければ合理的な説明ができない。
( ω )「……ツン」
大体、もう少し空気を読めと言いたい。
从 ゚∀从「どうした?」
( ^ω^)「いや、なんでもないですお。
ここから出るんですかお?」
从 ゚∀从「まずその敬語をやめろ、気持ち悪い。
出る以外、何もやることねえだろ?」
- 24: ◆xh7i0CWaMo :2007/08/27(月) 00:07:35.81 ID:es/DDJnU0
- ごもっともだ。しかし、いまいち踏ん切りがつかないのも事実である。
从 ゚∀从「何ボサッとしてんだよ。ほら、行くぞ」
一人で行けばいいのに、とも思ったが、殴られそうなので心の中で留めておく。
(;^ω^)「わ、わかりま……わかったお」
从 ゚∀从「お前らはどうすんだ?」
未だにぶつぶつと何やら呟き続けているペニサスと、挙動不審なドクオに尋ねる。
二人とも、特別反応を示さなかった。
その気持ちも、ブーンにとってはわからなくも無いのだが、ハインにはただただ鬱陶しいだけのようだ。
从 ゚∀从「ったく……」
溜息混じりに吐き捨てると、彼女は扉に向かって歩き始めた。
ブーンもそれに追随する。
結局残り二人も付いてきた。
およそ間抜けな行進が沈黙のままに続いていく。
大きな取っ手も何も無い滑らかな青色の扉の前にたどりついて、一同ぴたりと足を止めた。
一瞬の間。その扉は自動で開かれた。
- 25: ◆xh7i0CWaMo :2007/08/27(月) 00:08:11.90 ID:es/DDJnU0
- ( ・∀・)「おや」
扉は細い通路に繋がっていた。
明るさは全く変わらず、むしろ違和感を覚えるほどである。
そして、目の前に男が立っていた。三十代半ばに見える。
彼は四人を物珍しそうに観察してから、柔和な笑みを浮かべた。
( ・∀・)「どうしてここから出てきたんですか?」
从 ゚∀从「こっちが聞きてえよ!」
ハインが怒鳴る。
( ・∀・)「いや、私もね、いつかここから人が出てくるとは聞かされていましたが……
この扉はどうやっても今まで開きませんでしたから」
从 ゚∀从「どうでもいい。それより、ここはどこだ?」
( ・∀・)「殻世界ですね、おそらくは」
やけに客体的な口調で男はそう告げる。
从 ゚∀从「からし……なんだって?」
( ・∀・)「殻世界。少なくとも私達はそう記憶しています」
从 ゚∀从「わかんねえな」
ハインは大仰に首を振った。
- 27: ◆xh7i0CWaMo :2007/08/27(月) 00:09:27.66 ID:es/DDJnU0
- 从 ゚∀从「とにかくな、俺達はわけもわからんままにここに来て迷惑してるんだよ。
だからさ、帰りたいの。わかるよな」
( ・∀・)「そうもいかないんですよ。
なぜなら、私の意志であなたたちがここに来たわけじゃありませんから」
从 ゚∀从「じゃあ俺らをつれてきた奴のところに連れて行けよ」
( ・∀・)「それも無理ですね。少なくとも、この世界に居る人達は誰も知りませんから」
ハインの頬が小刻みに揺れる。
拳の形をつくった手が持ち上がりかかっている。
「とりあえず」と、男は彼方を向いた。
( ・∀・)「出てきた人たちを受け入れるように、と命令されています。
ついてきてください」
そう言うと、彼は答えも聞かずに歩き始めた。
从 ゚∀从「おい、ちょ、待ちやがれ!」
華麗に無視。
脳の血管を切って殴りかかろうとするハインをブーンが慌てて静止する。
(;^ω^)「ま、まぁ落ち着くお! 殴ってもどうにもならないお!」
从#゚∀从「うっせえ!」
(;^ω^)「一応ついていくしかないお……あの人、何か知ってるみたいだお」
- 28: ◆xh7i0CWaMo :2007/08/27(月) 00:09:55.91 ID:es/DDJnU0
- そんなやり取りを背後にしても、男は全く反応を見せない。
もしかしたら彼らをあざ笑っているのかもしれないが、
それはブーンたちに知れることではないのだ。
四人は男についていく。
皆、少々心細げであるのは確かだ。
通路はどこまでも続いていく。
ここも白色だけが取り囲んでおり、いつしか遠近感さえ失くしてしまっているような錯覚に陥る。
( ・∀・)「一応、お名前を教えていただけますか。
ああ、私はモララーといいます」
( ^ω^)「ブーンですお」
後が続かない。
ブーンが後続の三人を促して、やっと彼らは名乗った。
('、`*川「ペニサス」
('A`)「あ、ど、ドクオ……です」
从#゚∀从「ハインリ……ハインでいいや、畜生」
やはり、ハインは虫の居所が悪いようだ。
- 30: ◆xh7i0CWaMo :2007/08/27(月) 00:10:45.56 ID:es/DDJnU0
- ( ・∀・)「しかし、私の仕事も今日で終わりですねえ……いやはや、感極まる思いです」
抑揚の無い声でそう呟くモララー。
从 ゚∀从「なんだ? てめえいっつもあそこにいたのか?」
ハインが嘲り口調で尋ねる。
すると、彼は首を振って肯定した。
( ・∀・)「それが私の仕事でしたからね」
予想外の答えを聞いて、ハインはしばし黙り込んでしまった。
そして、「気持ち悪ィ」とひとりごちる。
やがて、先ほどと同じような形状の扉が見えてきた。
从 ゚∀从「あの先には何がある?
それぐらいは答えられるだろ」
( ・∀・)「そうですねえ……あの先には、受付があります」
- 31: ◆xh7i0CWaMo :2007/08/27(月) 00:11:11.07 ID:es/DDJnU0
- そのとおりだった。それはまるで役所の風景。
幾人かの人間が行き交い、カウンターでは老人が受付の女性と話し込んでいる。
とはいえ、それなりの設備があるわけではなかった。
コンピューターや書類の類は見受けられない。
代わりに、見たこともない大きな電子機器がいくつか、カウンター内にある机に設置されていた。
モララーはカウンターの中に入って奥へと進んでいく。
付いていく途中、老人と受付の会話が聞こえた。
/ ,' 3 「なぁ、どうにかならんもんか?
老人を痛めつけても幸福は降りてこんぞ」
从'ー')「そう言われましても……」
/ ,' 3 「ほれ、一つか二つじゃないか、繰り上げてはもらえんか?」
女性は返答に困っているようだが、ブーンたちには一体何の会話であるかもわからない。
( ・∀・)「しょぼんさん、来ました」
モララーの声に一番奥の机で紙に何やら書き込んでいた男が顔をあげた。
(´・ω・`)「……ああ、例の?」
- 32: ◆xh7i0CWaMo :2007/08/27(月) 00:11:42.99 ID:es/DDJnU0
- こちらも、モララーと同年代ぐらいであろうか。
幾分若く見えるが、実年齢がそうというわけでもない気がする。
( ・∀・)「それで……明日から自分は何をすればいいんでしょう?」
(´・ω・`)「ま、そのうち考えておく」
( ・∀・)「わかりました」
無気力な会話を済ませると、モララーはその場にいる全員に向けて一礼し、
何処かへと去っていく。残されたブーンたち四名としょぼんという名らしい男。
居心地悪いことこの上ない。
(´・ω・`)「……ええとね、何から説明すればいいんだろうね。
あ、僕は殻世界でいろいろやってる、内部機構のしょぼんっていうんだ。
どうぞよろしく」
从 ゚∀从「……とりあえず、なんで俺らがここにいるのか、説明してくれるか」
ハインが怒気を孕んだ声を出す。
(´・ω・`)「正直、わからないんだよ。確かに我々が君達がくることを知っていた。
そのためにモララー君をあの場に置いていたんだからね。
でも、その方法も理由も、時間もわからなかったんだよ」
从 ゚∀从「よくもまあそんな不確定な情報を信じてたな、オイ」
(´・ω・`)「なんだろう……どういえばいいのかな、この感覚。
例えるなら人はいつか死ぬということを知っていることのような」
- 35: ◆xh7i0CWaMo :2007/08/27(月) 00:12:36.89 ID:es/DDJnU0
- ( ^ω^)「常識……ですかお?」
(´・ω・`)「そうだ、それだ。常識だ」
納得したように何度も頷くしょぼん。
そして遂に、ハインが怒鳴り散らした。
从#゚∀从「じゃあこの殻世界ってのはなんなんだよ!
わけわかんねー、色々おかしいじゃねえか!」
言われてみるとおかしな点はいくつも見当たる。
例えば、職員の数。
ここには受付で未だ応対している女性としょぼん、
そして彼方でこちらに視線を送りながら立っているモララーしかいない。
いくらなんでも、これだけの数で運用できるはずが無い。
机の数から考えても、もっと多くの人が働いていてしかるべきだ。
例えば、役所の構造。
普通、こういう建物には職員専用の部屋へと続く扉がいくつもあったり、
エレベーターが設置されていたりするものだ。
しかしここには、先ほどブーンたちが出てきた扉と、外へと続くとおもわれる出入り口のみである。
他には何も無い。シンプル極まりない平面が一つなのである。張りぼてとでも表現するのが適切か。
そして、やはり内装、ほとんどの機器が白色、あるいは薄汚れた灰色なのである。
(´・ω・`)「ここは……」
答えを見つけようとしているのか、しょぼんは視線を宙に彷徨わせている。
- 36: ◆xh7i0CWaMo :2007/08/27(月) 00:13:24.32 ID:es/DDJnU0
- (´・ω・`)「ここは、世界だよ」
やっとのことでしょぼんは苦し紛れに言った。
(´・ω・`)「そうとしか説明できない。
この世界はこうやって成り立っているんだからね」
从 ゚∀从「ハァ?」
(´・ω・`)「君達もそうだろう?」
地球が当たり前のように存在し、当たり前のように役所のシステムがあるように、この世界ではこうなのだ。
それ以上説明できない。
しょぼんはそう説明したいのだろうか。
(´・ω・`)「それに、殻の意味は外に出たらわかると思う。
とりあえず登録だけ済ませておこう」
どこかおどおどした口調でしょぼんは早口で言った。
- 37: ◆xh7i0CWaMo :2007/08/27(月) 00:14:06.39 ID:es/DDJnU0
- ( ^ω^)「登録ってなんですかお?」
(´・ω・`)「ここの住人であるという証明なのかな。
そうすることで、君達は保護を受けることができる。
実はね、No.000001からNo.000100までが欠番だったんだよ。
君達のために用意されたものだ……」
从 ゚∀从「待て待て待て待て、俺達はここに住むつもりなんて毛頭無いぞ」
(´・ω・`)「え?」
从 ゚∀从「早くもとの世界に帰らせろ」
まったくもって同意だ。ブーンも頷いた。
「そうだ、そうだ」という雰囲気がドクオたちから放たれている……気がする。
(´・ω・`)「こ、困るなあ。そんな方法、わかるはずないじゃないか」
从#゚∀从「んだとコラァ! てめぇ人様を勝手に拉致っておきながらその言い草は……」
(;^ω^)「ハイン、ハイン落ち着くお」
ハインに再び詰め寄られ、ついにしょぼんはヒステリック気味な声をあげた。
(;´・ω・`)「もう、勘弁してくれないかなあ、僕に怒られても困るんだよ。
こうすることを、僕らは常識として知ってるんだからさあ!」
- 38: ◆xh7i0CWaMo :2007/08/27(月) 00:14:26.35 ID:es/DDJnU0
- 逆切れかよ……
ハインが怒りを通り越し、呆然とそう呟いた。
(;^ω^)「仕方ないお。やっぱりここの人たちは何にも知らないみたいだお」
从 ゚∀从「……じゃあどうすんだよ」
( ^ω^)「ここは一応彼の言うとおりにしてみるお。
保護とか言ってるし、多分悪いようにはならないはずだお」
从 ゚∀从「……ったく、今まで会ってきたどのオヤジよりもウゼェや」
(;´・ω・`)「な、納得してくれた?」
( ^ω^)「大丈夫だお」
(´・ω・`)「そうか。それじゃあ」
しょぼんは机の引き出しを開いて、そこから金属製のカードの束を取り出した。
そこから四枚抜き取って、各々に手渡す。
(´・ω・`)「これで君達は様々な施設を利用することができる。
生活水準を満たすことができる、のほうが正しいかな」
- 39: ◆xh7i0CWaMo :2007/08/27(月) 00:15:20.85 ID:es/DDJnU0
- 施設、生活水準。
どれもこの世界基準の言葉なのだろうし、意味を解するには程遠い。
(´・ω・`)「モララーくん、モララーくん!」
彼は大声で彼方に、警備員のように突っ立っているモララーを呼び寄せた。
( ・∀・)「なんでしょう」
(´・ω・`)「とりあえず、彼らを必要最小限の施設につれていってあげて。
ええと、第一と第二のホールね。それからついでに、住居への案内もお願い」
その口調から、もう会話するのは嫌だというような思いが感じられる。
さっさといざこざを解消し、元の仕事(のような何か)に戻りたいのだろう。
( ・∀・)「了解しました」
(´・ω・`)「よろしくね」
モララーは一つ頷いて、改めてブーンたちに向き直った。
( ・∀・)「それじゃ、行きましょうか」
そしてまた、有無を言わさぬ態度で出入り口に歩いていく。
ドクオが放った二度目の舌打ちが、一際大きく響いた。
- 40: ◆xh7i0CWaMo :2007/08/27(月) 00:15:49.37 ID:es/DDJnU0
- 自動ドアを抜けて、外に出た。
少し高台に位置しているらしいそこからは、驚くような街の全景がよく見えた。
建造物がいくつも連なっている。
ほとんど同じ、四階建てぐらいの直方体のビルの形をしている。
そして、それら全てに窓が無いため、ビルの面全てが灰色で塗り固められているようだ。
ところどころ、違う形の建物も見える。
それらは大抵ビルの二階から上を切り取ったような出来具合で、
つまるところ種類としては同じなのだ。
从 ゚∀从「飽きる街並みだ」
ハインの言うとおりである。
そして、何より驚くべきは。
( ^ω^)「空がないお……」
地上より遥かに高い場所。
そこには本来、青空を泳ぐ雲があったり、黒い雲が水滴を降らしているはずである。
それが、ない。
なぜなら、この街全体が、巨大な灰色の屋根に覆われているからだ。
ドーム状のそれは、確かに殻だった。
- 41: ◆xh7i0CWaMo :2007/08/27(月) 00:16:54.78 ID:es/DDJnU0
- ( ・∀・)「ここから見えるのが、大体全てですね。
これ以外には何もありません」
从 ゚∀从「え、いや、でもおかしいだろ」
( ・∀・)「何がです?」
从 ゚∀从「この殻の外はどうなってんだよ」
( ・∀・)「外、ですか。考えるだけ無駄じゃないですか?」
ブーンたちは宇宙の果て、もしくはその向こう側がどうなっているのかを知らない。
知る術はないし、つまり考えるだけ無駄だ。
そしてその思考が、彼らにも当てはまる。
殻の外を知る術はない。つまり考えるだけ無駄だ、と。
それこそ、彼らの常識に他ならない。
ここは殻の中だけで世界が完結しているのだ。
( ・∀・)「さ、行きましょう。はやくしないと暗くなります」
モララーはマイペースに目の前の階段を降りていく。
- 43: ◆xh7i0CWaMo :2007/08/27(月) 00:17:13.48 ID:es/DDJnU0
- 从 ゚∀从「なぁ、ブーンよ」
( ^ω^)「お?」
从 ゚∀从「なんでここ、こんなに明るいんだ?」
( ^ω^)「……」
从 ゚∀从「電灯もないのに……それに、こんなに快適ってのもおかしいよな」
( ^ω^)「どこかで空調でも機能してるんじゃないかお?」
从 ゚∀从「なぁ、ここ、結構不器用に見えるけど、実はかなり技術進んでんじゃね?」
やはり、知る術はない。
・・・
・・
・
第一話「殻世界」終わり
第二話「ゴミペット」に続く
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